ダンジョンに転生者がいるのは間違っているのだろうか   作:黒歴史

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第74話約束

 エイナさんと別れた後、奉仕活動を続けていた俺達はある店の前でヘスティア様達と集まった

 リリ、ヴェルフ、命、オガ、最後にジャガ丸くんのバイト帰りのヘスティア様に加えて、古びた書店の中に入った

 

「やぁ、おじいさん!約束通り、手伝いに来たよ!」

「あぁ、ヘスティアちゃん。本当に来てくれたんだね」

 

 ヘスティア様はもともとこの書店の手伝いをする予定だったらしい

 朝の内から言い付けられていた俺達は、集合時間にこの店の前で落ち合う段取りだったのだ

 

「すっかり有名になっちゃって、儂は驚いとるよ。口だけじゃなかったんだなぁ」

「フフン、まぁね。ボクの勧誘を断った事を後悔しても遅いんだぜ?」

「はっはっはっ、こりゃ確かに惜しいことをしたかな!」

 

 この書店はまぁ、昔色々とヘスティア様が世話になったところらしい。飢えてるヘスティア様にご飯を食べさせてくれていたり…

 

「じゃあみんな、朝説明した通り、このお店の蔵書整理を手伝ってくれ。これも奉仕の一環だと思ってさ、どうか頼むよ」

 

 そのヘスティア様の言葉を皮切りに、俺達は書店の整理を始めた

 

 

 

 

「ほいほいほ〜い…っと」

 

 闇で10本くらいの伸縮自在の腕を作り高い所の本を整理していく。本当に使いやすいな。想像(この)魔法

 効率よく本を整理しているとヘスティア様から声がかけられた

 

「ヤミ君、この本を高い所に置きたいんだけど届かなくてさ。ちょっと手伝いに来てくれないかい?」

「お安い御用で。…にしても、背が低いってやっぱり大へ「ウガァァァァァァ!!」ぶっ!?」

 

 言いかけたところで怒ったヘスティア様が俺に飛びつき肩車の体制になりながらかじりついてきた

 

「口を動かす前に体を動かせぇぇぇぇ!!」

「わかったから!痛いから!離れてヘスティア様!」

 

 結局かじるのはやめてくれたが罰として肩車の状態で移動する事になった

 

 

 

「…なぁヤミ君」

「…なんだヘスティア様?」

 

 肩車のまま本を整理していると急に上のヘスティア様に声をかけられた

 

「君は、急にいなくなったりしない…よね?」

「急にどうした。なんかあったのか?…今朝あったな」

 

 そう言うとヘスティア様は「うん」と言って心配そうな声で続けた

 

「ヤミ君はベル君とは違って心も体も大人だし

 そ、そういう事にも興味あるんだろうからベル君が歓楽街を知った今、自由に歓楽街に行けるんだけど……イシュタルって美の女神だから万が一、彼女に『魅了』でもされたら……」

「ヘスティア様」

 

 話を続けるヘスティア様の頭を闇の腕一本で撫でる。そうするとヘスティア様は口をつぐみ、逆に俺は口を開く

 

「俺は……いや、俺とベル坊はヘスティア様が勧誘してくれたからこうやって冒険者になって、仲間達(あいつ等)に出会う事が出来た。今更その恩を仇で返すなんて出来ねぇよ」

「ほ、本当かい?」

 

 ヘスティア様が心配そうな声で聞いてくる。なので綺麗な笑顔で返す事にした

 

「本当だ。女神の『魅了』だろうがなんだろうが、曲げるつもりはないぞ。安心してろ、ヘスティア様」

 

 ハッハッハと笑いながらそう答えると同時に丁度本棚の整理を終わらせた

 そういう訳だから早く降りて欲しかったのだが、このままベル達の様子を見に行くそうだ。肩凝るなぁ

 

 

 

 〜翌日?〜

 

 

 

「ごちそうさまでした……」

「お粗末様でした……って!?

 ほとんど食ってねぇじゃん!?」

 

 ホームの食堂で命が元気のない声で食事を終えた。だが皿にはほとんどそのままの状態の食事が残っており、それを指摘すると命は

 

「せっかく作ってくださったのに、すいません。食欲がなかったので……せめて自分の皿は自分が洗います」

 

 と言い、行ってしまった

 

「なぁ、命君、何かあったのかい?」

「昨夜、遅くまで出かけていたようでしたが……」

 

 顔を寄せてくるヘスティア様にリリがそう言う

 そう言ってる間に命は皿を洗い終えてそのまま行ってしまった

 ベルを見るとヴェルフと視線を交わし頷きあって、命の後を追っていった

 

「…オガ、そういえばお前等書店で何か話してたな」

「な、なんのことっすかね〜…」

 

 ヒューヒューと下手くそな口笛を吹き誤魔化そうとしたが

 

「後で詳しく教えろ」

「…はい」

 

 そんなもので誤魔化されるわけがない。とりあえずヘスティア様には内緒という事で離れた場所で話す事になった

 

「んで?書店で何話してた?」

「は、はい。えーと……」

 

 オガはゆっくりとオガなりにわかりやすく話してくれた

 

 どうやらベルが言っていた春姫は命が探していたと言う友人の名前であったそうな。彼女と命達は十年前からの友達で、友と、親友とも呼べる中だったらしいが、命達が仕事で忙しい中、久々に会いに行くと春姫は追い出されていた……と

 

「ベル先輩は助けに行きたいと思っていたらしいっすが……」

「まぁ今の現状じゃあ無理だわな。俺達は【アポロン・ファミリア】との対峙直後で疲弊してるって感じだし。何よりヘスティア様になぁ…」

 

 借金の事もあり、ヘスティア様にはこれ以上負担をかけることが出来ない。さぁどうしたもんか……

 

「ついでに言うとアニキが無茶するかもってリリ先輩が……」

「え、マジか。お前リリに殺されるぞ?」

「大丈夫っす。リリ先輩はアニキの後ろにいますから」

「え?」

 

 オガにそう言われて振り返ってみると笑顔でこちらを見るリリがいた。俺は驚き後退るとリリが冷ややかな声で話す

 

「ヤミ様。わかってますよね?」

「あ、ああ。『間違っても助けに行かないでください』だろ?」

 

 そう言うとリリは「わかっているならいいんです」とそのまま背を向け行ってしまった

 

「リ、リリ先輩って怖いんすね……」

「ああ、ここの【ファミリア】じゃイチニ1、2を争うレベルだ」

 

 リリが見えなくなると2人でそう話し合った

 

 

 

 

『すいません!!【ヘスティア・ファミリア】の方!!誰かいらっしゃいませんか!?』

 

 外から声が聞こえる。見れば正門に一台の馬車が来ておりその馬車の前に男が1人いた、玄関からヘスティア様、リリ、ヴェルフが出てきて、話し合いを始めた

 

「なんなんすかね?」

「えーっと?あの男の服を見るとなんか綺麗だし、冒険者って感じじゃねえな。となると、商業的な何かをしているやつか

 紙を渡したところを見ると依頼か?」

 

 そう話しなら歩き、玄関から出ると馬車はもうおらず、代わりにベルと命がそこにいた

 

「おーっす。何話してんだ?」

「あ、ヤミさんにオガさん」

 

 話しかけるとベルが反応して返してくれた

 

「ヤミ様。依頼です」

 

 そう言ってリリが俺にピラピラと依頼書を手渡してきた

 なになに……

 

 依頼主:アルベラ商会

 依頼内容:14階層の食料庫(パントリー)で、石英(クオーツ)を採掘して来てください

 

 報酬:100万ヴァリス

 

「ひゃ、100万!?」

「おー、こりゃまた……わっかりやすい」

 

 オガは驚き、俺は平然とする態度でそれを見る

『今後とも御贔屓に』みたいな事だろう。やる事の割にあまりに報酬が釣り合わなすぎる

 

「んで、この依頼はやるのか?俺はどっちでもいいけど…」

「んー、あまり商人や商会とは繋がりを持ちたくないなぁ」

 

 俺が聞くとヘスティア様は腕を組んで悩み出す。利益絡みの煩雑な手続きと対応、あるいは利害関係わ良しとしないらしい

 

「先方には悪いけど、この依頼は断って「「やりましょう!?」」どわぁ!?」

 

 急にベルと命がやる気を出した。いきなりの声でヘスティア様は驚き仰け反る

 

「借りを作ると言うわけではありませんがっ、もらっておくのはもらっておくというかいえ浅ましい事は重々承知なのですがとにかく自分達には一刻も早くお金が必要ですッ!!」

「ぼ、僕もそう思いますっ!?」

 

 命がすっごい早口でスラスラと言い。ベルはそれを肯定すると、同時に俺を見た

 

「「ヤミ殿(さん)もそう思うよね(いますよね)!?」」

 

 なんで俺?と疑問を持ちながらも手を顎に添えて考え…

 

「まぁ、別にいいんじゃねぇの?金がないのは事実だし…」

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