ダンジョンに転生者がいるのは間違っているのだろうか 作:黒歴史
話し合いの末、正式にアルベラ商会の
ベル達に「何故急に?」と聞いた所、どうやら娼婦であれば『身請け』、つまりは金を払って非戦闘員を引き取る事が出来るらしい
それをするための金額の相場は2、300万らしい。つまりはこの冒険者依頼はベル達にとっていい話であった
ヘスティア様は渋い顔をしていたが、命の想いを聞いて渋々といった感じで許可をした
それから命が【タケミカヅチ・ファミリア】のもとまで赴き身請け諸々春姫の事を報告し、ベルと命の話に同意した俺はもちろん、リリ、ヴェルフ、オガにも異論はなく、【ヘスティア・ファミリア】は100万ヴァリス獲得に乗り出したのだ
「また冒険者依頼絡みで来てしまいましたね」
「まぁそろそろオガにもダンジョンで実践を知ってもらいたかったし、丁度いいんじゃねぇの?」
「まぁ5階層まで行ったら引き帰らせたんだけどな」と付け加えながら歩く。オガは「アニキ達の勇姿を見たいっす!?」と帰ろうとしなかったが説得してなんとか帰らせる事が出来た
「さぁみなさん。早く行きましょう!」
前を向けば命がパーティの先頭に立ってぶんぶんと子供のように刀を上下に振っていた
「
一方でリリは空腹になったモンスターが階層中から集まる食料庫に対して危機感を覚えていた
「それにしても、『身請け』か……そんなものがあったんだな」
大刀を担ぐヴェルフが言う。それならば穏便に済むと、納得した表情だった
「うん、お金を集めるのはかなり大変かもしれないけど……これであの人を」
ベルを見れば命と同じくらいのやる気を漲らせていた
「しかし身請けの目安が300万……念のためにも、500万は用意しておきたいですね」
「うっ……気が遠くなりそう」
「稼ぎなら任せろ」
「到達階層を増やすのも視野に入れないとな」
周囲の様子、モンスターの気配に意識を割きつつ、後衛のリリを含めて話す。より深く潜ってより多くの金を…がヴェルフの提案だ
「こっちにはLv3が2人いるんだ、20階層くらいまでは行こうと思えば行けるんだろ?」
リリに振り向きながら、ニヤリとヴェルフ釜笑いかける
だが、ヴェルフの案に対してパーティの参謀役であるリリが首を横に振った
「いくらLv3と言えど、やられるときはあっさりやられます。ダンジョンとは、そういう所です」
あの18階層の事が身に沁みているのか、リリは慎重な意見を崩そうとはしない
確かにほいほいと到達階層を増やしていくのは危険だろう。まぁとりあえず今は冒険者依頼に集中だと気を引き締めた
「ーー止まってください」
「どうした命……ああ、来たな。数は1匹だ」
命が止まり何があったかを聞く前に【領域】に入ったため納得する
すると俺の言った通り横穴から1匹の虎のモンスターが姿を現した
「『ライガーファング』……!」
「どうやら下の階層から上ってきたようですね」
15階層以下に出現するモンスターとの遭遇にベルが驚き、リリが冷静に
他のモンスターか冒険者かはわからないがその虎の牙と爪には真っ赤な血が付いており、こちらを威嚇するように唸り声を上げている
「探知系の『スキル』か。便利だな」
ミノタウロスにも劣らない獰猛な虎を見つめつつ、ヴェルフが感心したように命へ声をやった
「いえ、一度遭遇したモンスターでなければ感知できません。その分ヤミ殿の魔法の方が数も正確に……」
「俺のやつにも欠点はある。まぁ命がいたらそれはほぼなくなるんだけどな!!」
お互いの『魔法』や『スキル』の情報は共有してあるため命が謙虚な事を口にしたが励ますように俺が叫ぶ
「ミノタウロスよりも速い!注意してください!」
「はい!」
駆け出した命に続く俺達は咆哮するライガーファング、更に周囲から集まるモンスターの群れと交戦に入った
「ーーこれは」
モンスターの群れとと何度目かの交戦を経て、ダンジョンの奥へと進んでいると、奥から音が反響しながら響いてきていた
「モンスターの叫び声に……足音」
「おいおい、またか?」
「いやぁ、なんか付いてんのかな?俺達は…」
モンスターの群れと思われる鳴き声に、こちらに近づいて来る複数人の走音。これで3回目の『
「前方から……食料庫からやってきたのですか?」
リリが疑問を呈しながらバックパックを担ぎ直す。顔が見えない同業者に眉を曲げつつ、逃走の準備を始めた
ここは一本道、このまま棒立ちしていれば間違いなく『怪物進呈』される
「別れ道まで引返そう!」
ベルからの当然の指示に全員が頷く。そのままパーティの向きを回頭させ、元来た道を逆走する。ある程度走ると広い十字路に入った
その瞬間、俺達を囲むかのように左右から別の冒険者と怪物の集団が雪崩込んできた
「二方向!?」
まさかの『怪物進呈』の鉢合わせ
そのまま冒険者とモンスターの鯨波は衝突した
「うおっ!?」
ヘルハウンドが勢いそのままに突っ込んできて噛み付こうとして来る。それを首を切る事で阻止するが、数えきれない数の追撃が迫る
「クッソ!!離された!!」
周りを見ればもう仲間の姿がモンスターの波によって見えないようになってしまっていた
そうこうしている内に最初の『怪物進呈』が迫り、混乱状態であったこの場に衝突する
「ーーっ!!おいお前っ!大丈夫か!?」
仲間を探すために周りを見渡せば『怪物進呈』をしようとしたであろう者達の1人であろうフードを被った女性の冒険者を見つけ、声をかける
声が届いたのか女性は少しずつ俺に振り返る
「みーつけた♪」
褐色の肌をした冒険者が俺を見るなりニヤリと微笑む
そして武器のナイフを持って飛びかかってきた
「ハァッ!?」
突然の事で驚きながらも刀で防ぐ。その際にその女に近づいたため、最近嗅いだ匂いが鼻を襲った
「お前、【イシュタル・ファミリア】のやつか!?」
「ピンポーン♪正解!」
「あははー」と無邪気に笑いながら武器を振るう女の攻撃を防ぐかそらすかで耐えているとある考えが浮かんだ
(あれ?こいつが【イシュタル・ファミリア】のやつって事はその仲間も……)
その考えがよぎった瞬間、背後に気配を感じたため前の女を蹴飛ばしそのまま後ろから来ていた攻撃を弾く。流石にこの状況で気絶させたらまずいため魔法は使っていない。そのため、蹴飛ばした女はすぐに起き上がる
「やっぱり強いねぇ。オレは好きだぜ?強い男」
「アマゾネスはみんなアンタみたいなやつだと聞いてんだがな!!」
男勝りというやつなのだろうか?そんな奴が乱入し、先程の女と挟み討ちにあっていた
「2対1か「ゲゲゲッ!?みぃ〜つけたぁぁぁ〜!!」
言いかけたところでおぞましい声が響いた。声のした方に振り向…く前に顔を掴まれそのまま猛スピードで走る
いきなり過ぎたため魔法を使う暇すらなく後頭部から壁に叩きつけられた
『ゲゲゲッ!安心しなよぉ、後でアタイの美しい顔に傷をつけた事を後悔させてやるからさぁ』
意識が遠のいていく中、最後に見たものは巨大なガマガエルの醜悪な顔だった