ダンジョンに転生者がいるのは間違っているのだろうか   作:黒歴史

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第79話お礼参りするよ〜

『て、敵だぁぁぁぁあ!!!悪魔が来たぞぉぉぉぉぉお!!』

「ヒャッハァァア!!!」

 

 俺はベル達と別れた後、宮殿に入ると当然すぐに見つかった。最初はギラギラとしたアマゾネス(ケダモノ)達が襲いかかってきたが

 

「今は男も女も関係あるかあ!!!よくも俺等を襲った挙句、あのガマガエルに俺の初めてを喰わそうとしたなこの野郎!!!」

 

 適当な理由をつけて怒り心頭状態の俺は近寄ってくるアマゾネス達に対して遠慮なく拳を繰り出す。闇魔法を使ったら死ぬのでそっちは使っていないが

 

 10人ほど倒すと【イシュタル・ファミリア】の者達は自分達の置かれている状況をだんだんと把握してきたのか顔色を変え、本気で襲いかかって来た

 

「遅いわぁ!!!闘技・神…じゃない。【闘技・闇砂嵐】!!」

 

 手首は回転していないが、闇そのものを回転させ出来た風で吹き飛ばす。【黒縄・大竜巻】とは違い上ではなく、横に発生させたため後ろに続いていた者達にも逃げる隙すら与えず巻き込んだ

 

「ヤミさん!!!」

 

 前が風による土煙で覆われている間に不意に後ろから声がかけられた。振り返ってみればベルが飛んで俺の元に着地して来た

 

「ホームに帰ってろって言ったはずだが?」

「あの人を、春姫さんを……助けるって決めたんだ。それに僕は、『腰抜け』なんかにはなりたくない……ッ!」

 

 ベルの目を見ていればそれは本気の目だと直感的にわかった。それを知った途端に俺は高らかに笑い出した

 

「ハッハッハァ!!!

 たかだか1人の娼婦のためにこんな地獄に身を投じるかぁ!!!【ファミリア】の1人としては失格なんじゃねえか!?

 ……だが、『男』の1人としてなら合格だ。ようこそ、地獄へ」

 

 砂煙の中から【イシュタル・ファミリア】の者達が飛び出した。数は10名、いつものベルであればそれを見た途端にビックリしたり、何かしらの反応を示すのだが

 

「覚悟を決めた者は強いぞ?」

 

 息するようにベルはそれらを一瞬で気絶させた。多分時間稼ぎでLv1、2くらいの下っ端であったのだろうが10人を全て無力化させたベルは流石と言える

 

「さて、ベル?まあ大体わかってるつもりだが命はどこに行った?」

 

 ベルの背中を見ながら尋ねるとベルは振り返って作戦の説明のため口を開いた

 

「命さんは春姫さんを救出しに行った。僕達はその間、最初から狙われていた事を逆手にとって……」

「敵の注意を引きつける……っと。俺はただ単にお礼参りするために来たから、暴れるだけだがな」

 

 そう言うと「さて」と呟き、宮殿の奥へと足を動かすとベルもそれに続いてついて来た

 

「行くか」

「うん!」

 

 今この宮殿で最強の兄弟が動き出した

 

 

 

 

 

「オラオラァッ!!!【イシュタル・ファミリア】の『戦闘娼婦(バーベラ)』ってのはこの程度かぁ!?」

 

 現在宮殿30階、途切れる事のない戦闘娼婦達に叫び、暴れ、己を奮い立たせながら宮殿内を走破する

 ベルは敵の数に苦戦しながらも俺についてくる。ほぼ意地になって戦い、走り続けているのだろうが、その顔に後悔の色は一つもなかった

 

「ーーどきなぁァァッ!!」

 

 宮殿中央、吹き抜け沿いの廊下を駆けていたその時、頭上に影が出来た。見れば高速回転しながら大戦斧が落ちて来ていた

 もちろん俺達はそれを簡単に避けたのだが、そのあとに起きた事に驚いた

 地面に刺さるかと思った斧は爆音と共にその床を貫いたのだ。そのまま床、壁を破壊し、階下の部屋を4つほど貫通した

 

「フリュネさん……!」

「久しぶりだな。二度と会いたくなかったぜ」

 

 斧が降って来た上階の位置を見るとそこにはさっきも言ったが二度と会いたくなかった2Mを超す女がいた

 その側には黒い長髪の女傑、アイシャがそこに立っていた

 

「ハッハッハ。月とスッポンが目の前にいるなぁ」

「ゲゲゲッ!アタイが月とは【悪魔】も言うねぇ

 アタイが恋しくて戻って来たのかいッ、感激じゃないかァ〜!?」

 

 お前じゃねーよ。と気持ち悪く笑うフリュネに突っ込みたかったが、とりあえず今はそれどころじゃないため言わない

 

「ベル坊、準備はいいか?」

「うん……」

 

 俺達は互いに目を合わせ、互いに頷いた

 そしてその足に力を込めて……

 

「「逃げるッッ!!」」

『『『なぁッ!?』』』

 

 俺の【ステイタス】は『対人特化型』、『格上殺し』、『多対一特化』などではあるが、最後の多対一が問題なのだ

 多対一の『多』とは同レベル又は格下の事、その中に格上のフリュネがいる場合、どうしても戦況は向こうに傾く

 だから背中を敵に向けて逃げた

『背中の傷は剣士の恥?』知るか

 俺は女に傷つけた。既に男の恥だよ

 

 予想外だったのか後ろの彼女達は悲鳴に似た言葉を発して止まっている。チャンス……

 

「逃げるなぁぁぁぁあ!!!」

 

 なんてものは存在しない。後ろに何かが落ちて着地した音がした。フリュネが追いかけてくる。それでも俺達は足を……

 

「伏せろぉ!!!」

「っ!!!」

 

 後ろにヒュンヒュンと空気を切り裂く音がしたためベルと共に伏せた。俺達の頭上を通っていったそれは先程も見た斧

 斧はそのまま通路の奥の壁に当たり、その壁に巨大な大穴を開けた

 床にへばりつく俺達には戦慄する暇すらなく巨大な影が覆った

 

「っっ!?」「はっっやぁ!!!」

 

 あっという間に近づいたフリュネが残った大戦斧を振り上げ、振り下ろす。それをベルは転がり、俺は腕でジャンプする事で回避した

 

「ヤミさん!!!」

「わーってるよ【ROOM(ルーム)】」

 

 ベルが右腕を突き出して俺を呼ぶ。俺はそれに応えるため薄い闇の中に俺、ベル、そしてフリュネを入れた。それを確認するとベルは魔法の引鉄を引いた

 

「【ファイアボルト】!!」

 

 ベルの咆哮に合わせ炎雷は発射、目の前のフリュネに襲いかかったーーーーだが、フリュネはそれを横に飛び引く事で回避する

 

「小賢しい魔法「【曲がれ】」

 

 フリュネの言葉を遮り放った俺の言葉。【曲がれ】その言葉に反応したのはベルでもフリュネでもなかった

 

「なぁ!?」

 

 ベルの放った魔法、【ファイアボルト】の魔法がそれに応え、まっすぐ突き進んでいたそれはフリュネに向かって曲がり、爆発した

 

 俺の【ROOM】はオペオペの実を食ったあの人のようにはいかないが、この範囲の中は闇であり魔法を引きつける力がある

 つまり、この入っている魔法の軌道を範囲攻撃でない限り自由変えられるのだ

 

「……よくもアタイの美しい顔にぃぃぃぃい!!!」

「うおっ!?」

 

 爆炎の中から怒りのフリュネの斧が振り落とされた

 それを俺は反射的に刀で受け止めてしまった。するとその落とされた力に俺の両腕両足の筋肉、骨が悲鳴をあげた、床にもヒビが入った

 

「ゲゲゲッ!流石にやるねぇ。Lv3でこのアタイの力を受け止めるなんて……おっと」

「っっ!!」

 

 ベルがナイフ二本を持ってフリュネの背中から攻撃しようとしたが、まるでフリュネはそれがわかっていたかのように振り向き、空いていたもう片方の腕でベルの腕を掴んだ

 

「ふんっ!!」

「ぐうっ!!」

 

 そのまま手に持ったベルを俺にぶつけてきた。ぶつかった俺とベルは仲良く転がり、通路の先に繋がる広間まで追いやられた

 転がるのが止まるとまた仲良く急いで立ち上がり、前を見ると視界に入ってきた光景に凍りついた

 

「アイシャさん……!?」

「こりゃあ……また詰みって感じか?」

 

 広間の四方を埋めつくさんばかりの戦闘娼婦が、転がり込んだ俺達を包囲していた。彼女達を誘導したであろう長脚の女傑は、抜き身の大朴刀を担いでこちらを見つめている

 

「……よくやったよ、あんた等は」

 

 上階への大階段を背にするアイシャは淡々と告げた

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