要塞空母デスピナ出撃す。第2篇   作:まはまは

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お待たせしました。第45話です。
今回は、前回の続きになります。

そして最後の方では、また動き出す者たちが…

もうすぐ、春イベですね。
皆さん、備蓄と練度上げをして待ちましょう。



第45話 はじめての提督生活2

第45話 はじめての提督生活2

 

紀伊水道上空

 

『ヘクター01、レーダーに敵を捕らえた』

『ヘクター05、同じく確認』

「ビッグフォートレスよりヘクター01、05へ。位置情報を送信せよ。ヘクター全機、高度30,000ft(約9000m)以上で観測任務を続けろ」

ヘクター01、05から送られてきた敵艦隊の位置情報がCVICに送られ、網膜に映るレーダーに反映される。

敵の戦力は現在も増えている模様。既に200隻に迫るようだ。

やっぱり、精度と範囲を高めるためにも衛星とAWACSが欲しい。

 

「TFCC(戦闘群司令部指揮所)、ワダツミシステムにて全艦の攻撃目標の割り振りを始めてくれ」

『TFCC、了解。艦隊、ワダツミシステムオンライン』

「全艦、第1種戦闘配備。対水上戦闘用意」

『『『『了解(でち)(ですって)(なの)』』』』

「ミサイルを全弾ライオニックⅡに」

『CDC了解、換装始めます』

俺は、海面にゆっくりと降り立ち、S型艤装を解除する。

視界に映るタブのうちの一つである航空隊を視線操作で開く。所属部隊一覧が表示され、第101航空隊を選択し、2個大隊に出撃を命令しておく。

ミサイルの換装と航空隊の準備が終わるまでの間、共通戦術状況図を最大表示にして見る。

現在、俺から見て10時方向、約70km先に敵の大艦隊がいる。

敵の位置は、偵察中のヘクター隊がニアリアルタイムで送信してきてくれる。

特務艦隊メンバーの位置は、ほのかは俺の隣。潜水艦達は敵の大艦隊から20km地点に向けて潜航中だ。

ミサイルの飽和攻撃後、潜水艦隊は敵の残存艦隊に接近し魚雷で攻撃となる。その間、潜水艦の存在を敵に悟らせないように航空隊でチクチクと攻撃を行う。

共通戦術状況図を小さくして、ヘクター12の観測情報が反映された紀伊半島南端部の海図を開く。

海図には24隻、4艦隊を示す光点が紀伊半島の南端を越えたところにあった。

こちらは、翔鶴さん達の艦隊の様子だ。周囲に他の光点が無いことからまだ、敵の主力艦隊とは会敵していないようだ。

 

『裕一さん、攻撃準備可能です』

「ありがとう、砲雷長」

海図を閉じる。残った状況図に、特務艦隊の武器管制情報を重ねて表示させておく。

潜水艦達ももうすぐ所定の位置に着く。

「全艦、ミサイル発射準備」

状況図で俺を示す白い点から攻撃目標の赤い点に白い細い線が伸びる。

少ししてからほのかや潜水艦達を示す緑の点からも細い緑の線が伸びていく。

てか、俺のがえげつない。

まぁ、他と違ってミサイル沢山あるから仕方ないけど…。状況図を拡大しても線が重なりすぎてどれを攻撃するのか見えない。これはひどい。

『全艦のミサイル照準を確認』

『こちらエピメテウス、所定位置に到着。これより発射深度に着きます』

「了解した、ほのか」

「おけ、せーの」

俺は、ほのかと一緒にカウントダウンを始める

「「3、2、1、ファイア!」」

 

互いのCDCで妖精さんが、発射ボタンを同時に押す。

ミサイルハッチが一斉に開き、ライオニックⅡが発射される。

中から軽快な音と共にライオニックが少し上に打ち上げられ、ブースターに着火し白煙を上げて飛んでいく。

今回は少しずつ前に進みながら発射しているので、煙に包まれずに済んだ。俺は学習する子なのだよ。

状況図には、発射されたミサイルが順次表示されていく。状況図にはミサイルを表す白い太線が移動している。

『航空隊準備完了、発艦作業にかかります』

「了解、少し待ってね」

両側の(邪魔なので左右の艤装にくっつけておいた)飛行甲板を操作して水平に戻し、使用可能にする。

使用可能になった飛行甲板に、妖精さん達とDF-02Aが、左右の艤装から出てくる。

あとは待つだけなので、あれの準備もしておこう。

 

エピメテウス視点

 

「…深度10。浮上停止、ミサイルハッチ解放」

他の潜水艦達と比べ大きな私の艤装。そのミサイルハッチが開く。

私は、周りの皆さんに準備が出来たか確認をとる。皆さんが準備が出来たと、サインをくれる。

「ライオニックⅡ…発射!」

ライオニックⅡが海面の上へと打ち上げられる。

「急速潜航!!」

ハッチを閉じ、急いで潜航する。次の攻撃のために敵の艦隊の近くまで移動する。

見つからないように音はたてないように。

 

裕一視点

 

飛行甲板では、次々と電磁カタパルトでDF-02Aが射出されていった。さきほど最後の発艦が終わり飛行甲板から妖精さんがいなくなったことを確認して飛行甲板を再び両側の艤装にくっつけておく。

潜水艦達からもライオニックⅡが発射された。その事を状況図で確認して、視界に映る状況図を小さくして、3博士に特注で作られた水面に浮くイス二脚を艤装から取り出す。資材積載を応用して色々と持ち運べるので便利である。

艤装の邪魔にならないように背もたれのないイスに座り、再び艤装から最後までチョコたっぷりのお菓子を取り出す。

ほのかもイスに座り、水筒を取り出し飲み物を飲み始める。

「はぁー楽だねー」

「あぁ、楽だなー」

ミサイルを撃って、航空隊を出して、潜水艦に攻撃させて。俺達はほぼ動くことない戦闘。

硫黄島での戦いと違い楽な暇な戦闘である。

ちなみに、対空レーダーや対潜用のソナーは常に見ている。警戒は怠ってはならないのだ。

「お兄ちゃんも飲む?」

「ちょーだい」

ほのかから水筒を受け取り、中身を飲む。お、カフェオレか。冬の海の上ではちょうどいい、身体が温まる。お礼にお菓子を渡して、ゆっくりとする。

そうこうしているうちに状況図のミサイルがまもなく敵の大艦隊に着弾するようだ。

何百発のミサイルが敵に近づいていき…ミサイルを表す太線とともに敵を示す赤い点が消滅する。ヘクターからの情報を待つ。

視界に攻撃の結果が表示される。

「戦艦棲姫は…1隻撃沈、他の深海棲艦は172隻を撃沈。残りは…戦艦棲姫1隻と戦艦級、重巡級20隻ほどか。空母や軽巡を全滅できたのは大きいな」

同じく結果を見たほのかも感想を言う。

「まぁ、まずまずじゃない?航空隊に対艦ミサイル最大まで積ませておいて正解だったね」

「ホントそれ。こっちだとライオニックⅡでも威力不足なのかな」

「多分、運悪く落とされているだけだよ。ダイソン以外は大破確定だろうし」

そういえば、仮想世界では秋月が、こちらの世界では硫黄島でもミサイルの撃墜があったな。心配し過ぎか。

「そうだな。あとは潜水艦と航空隊に任せますか」

エピメテウスに残存艦隊の殲滅を指示して、航空隊に攻撃命令を出しておく。

 

「あ、そうだ。実は前のクッキー残っていたから持ってきたんだー」

「え?」

そう言ってほのかが艤装からクッキーが大量に入った袋を取り出す。

普通の料理は問題なく出来るが、お菓子作りだけはなぜか上手くならないほのか。

そんな妹が作ったクッキーである。

「はい、お兄ちゃんの」

と、クッキーの入った袋を渡してくる。俺はつい苦笑いでその袋を受け取ってしまう。

「あ、ありがとう」

ほのかはもうひとつクッキーの入った袋を取り出し、ひとつ取り出し口に放り込んで食べ始める。

───ガリッガリッ

俺もひとつ口に放り込む。

───ガリッガリッ

うん、ほのかの作ったクッキーはサクッではなくガリッなのだ。味は多分普通。甘くはないけど。

まぁ、大切な妹が作ってくれたものだ。捨てるなんてとんでもない。完食しますけど何か?

───ガリッガリッ

状況図を敵の残存艦隊に拡大表示してモニタリングする。

現在、潜水艦達が敵の残存艦隊の真下に移動中。航空隊は潜水艦達が配置につくまで一定の距離を保っている。

「無事、作戦は遂行出来そうだな」

「お兄ちゃん、私にもデータ送って」

「はいはい、送ったぞ」

「ありがと。……この感じなら15時頃には横須賀鎮守府に帰れそうだね」

現在の時刻は13時半過ぎ。帰ったら遅めのお昼を食べて、それから書類仕事を再開だな。

「そうだな。…あ、潜水艦達が攻撃を始めたな」

状況図には敵の赤い点と魚雷のマークが重なっている。予定通り潜水艦達は敵の真下に入り込んで魚雷を撃ったようだ。

「…全目標消失、作戦完了。撤収!」

「…さぁて、帰りますか。はい、イス」

「うん?お前ひとつ持っていていいよ」

「いいの?それなら、もらっておくね」

イスを仕舞って航空隊を呼び戻す。横須賀鎮守府から帰りのノーブルも呼んでおく。

あ、作戦完了を伝えなければ……あれ?これどこに報告すれば……上司に連絡かな。と、なると高野総長か。

高野総長直通の通信を開く。しばらくコールして高野総長が出た。

「高野だ、裕一君か」

「はい、報告いたします。紀伊半島沖に集結していた、敵艦隊を殲滅しました」

「うむ、ご苦労だった。報告書は軍令部に送ってくれ」

「了解しました」

「すまないな、提督業初日に。現状すぐに動かせるのは、特務だけだったのだ。戦力が整うまでは頑張ってほしい」

「お任せください。ところで、総長。今回はなぜ通信ではなく手紙だったのですか?緊急の場合は通信だったと思いますが」

「実はな…例の計画のための書類輸送実験だったのだ。どれくらい時間がかかるなどを検証していてな。たまたま、今日実施していてので実際に使ってみたという訳だ」

「…緊急の時以外でお願いします」

「はははは、すまん。裕一君ならば問題ないと思ってな」

「…では、これで。はぁー…」

通信を切ってため息をつく。高野総長ってあんな方だっけ?愚痴を言いたいが、ここは心に棚を作ろう。

ちょうどノーブルが到着し、こちらに近づくにつれ風が吹き荒れる。

さて、帰りますか。

 

 

特務艦隊が集結中だった敵の大艦隊を殲滅した頃。

翔鶴達の艦隊は、戦艦ル級を旗艦とする海域主力艦隊と遭遇していた。

 

「うん?あれは…深海棲艦!距離4万、方向は…えっと」

「11時方向ですよ、機長」

「あ、そうだった。って、事で打電オナシャス」

「はーい」

 

『我、敵艦隊ヲ発見ス。距離四万、十一時方向。先頭ハ戦艦ル級、二番艦ハ軽巡ヘ級。単縦陣で接近中』

 

偵察機の打電は母艦である瑞鶴に伝えられた。

「偵察機より入電、敵艦隊を発見したですって!」

「瑞鶴、敵の位置は?」

「えっと、距離4万、11時方向。単縦陣にて接近中、先頭は戦艦ル級!」

戦艦ル級を確認した事で敵の主力艦隊と断定。

 

第3艦隊の翔鶴、瑞鶴、第10艦隊の隼鷹は第1次攻撃の準備を開始。

 

「直掩隊も攻撃隊の援護に回って!」

「第1次攻撃隊、発艦!」

「ヒャッハー!者共かかれー!」

翔鶴の直掩隊、攻撃隊、瑞鶴の攻撃隊、隼鷹の攻撃隊、計100機を超える航空機が

接近中の敵の主力艦隊に向かう。

攻撃隊発艦後、空母は護衛の駆逐艦と共に艦隊を離れる。

 

アニメやゲームでは空母も一緒に砲撃戦に参加するが、「無駄に被弾してバケツを使いたくない」「航空攻撃は初手が命だと思う。砲撃戦に参加するのは装甲空母からだろ」というどこぞの司令補佐が言った。そのため、作戦前に説明して空母は駆逐艦と共に艦隊を離れることになった。

 

「隊長、見えました。戦艦ル級です」

「あれか…。ル級を潰せれば御の字だが、全機!よく聞け!目標は随伴の軽巡と駆逐艦だ!敵の本丸を丸出しにしてやれ!」

「「「了解!!」」」

「全機、攻撃開始!」

艦攻隊が高度を下げていき、艦爆隊は高度を上げる。各隊は、隊列が乱れることなく先頭の隊長機について行く。仮想世界での経験があるからか、練度は十分である。

深海棲艦達が上空の攻撃隊に気づき、対空迎撃を始める。

弾幕の薄いためなんの障害にならず、艦攻隊は徐々に高度を下げていく。

先頭の戦艦ル級から取舵、面舵と蛇行移動を始める。

艦攻隊は、二手に別れ先頭の戦艦ル級ではなく随伴艦ヘの雷撃準備を始める。

海面ギリギリまで高度を下げ、深海棲艦に迫る。

薄い弾幕ながらも、稀にコックピットの横を砲弾が通り過ぎていく。

「300…250…200…」

攻撃隊の機長達は、距離カウントを始め、魚雷を投下するタイミングをはかる。

「150、140、130、120、110、投下!」

機体下部に取り付けられた魚雷が海に投下される。投下と同時に、魚雷のスクリューが起動し、深海棲艦に向かって疾走する。

深海棲艦は魚雷を回避するため面舵を取り始める。

しかし、魚雷は左舷と正面の2方向から。しかも至近距離からの雷撃であり、爆破させることも出来ない。

そのまま、深海棲艦の軽巡と駆逐艦は魚雷を複数受けて、沈没。中には弾薬に引火し、轟沈するものもいた。

 

第1次攻撃により、戦艦ル級を除く全ての深海棲艦を撃沈した。

 

そして、砲撃戦が始まる。

陣形は単縦陣。

戦艦ル級の正面から第3艦隊のWarspite、摩耶。第10艦隊の妙高、那智、矢矧が迫る。

戦艦ル級の両舷から、第2護衛艦隊、第6護衛艦隊が雷撃をおこなう。

戦艦ル級とは反航戦。近距離になるまでは、Warspiteと戦艦ル級の遠距離砲撃戦となる。

 

「レーダーに敵艦捕捉!距離約30,000m」

「敵艦視認!1時の方向!」

レーダー妖精と観測妖精からの報告がWarspiteへと入る。

38.1㎝Mk.Ⅰ連装砲2基が戦艦ル級へと指向する。

「距離23,000mから砲撃を開始する。第3戦速!」

速力を上げ、戦艦ル級へと迫る。

Warspiteの後に重巡、軽巡が続く。

 

戦艦ル級との距離が27,000mを切った頃。

「戦艦ル級、発砲!」

「回避して、面舵!」

Warspiteが戦艦ル級の砲撃を避けるため面舵をとり始める。後続の摩耶たちも面舵をとる。

「舵、もどーせ!」

戦艦ル級に対して正面を向くようにし、艤装の重要区画に被弾しないように努める。

戦艦ル級の砲撃を回避しつつ、距離は23,000mを切った。

「Enemy ship is in sight. Open fire!」

Warspiteから最初の砲撃が開始された。砲弾は戦艦ル級が途中で減速し、前方に着弾する。

「修正して、第2射Fire!」

今度は、戦艦ル級が増速すると考え、偏差をややつける。戦艦ル級は予想通り増速していたらしく、砲弾は戦艦ル級に命中した。

4発中2発が命中。小破しているようだった。

 

一方、戦艦ル級の砲弾も先ほど夾叉され、ついにWarspiteへと命中する。

「やぁ!やるじゃない…」

戦艦ル級の主砲は16inch。距離はすでに20,000mを切っていた。そのため、Warspiteの装甲を貫徹する。

6発中3発が命中し、少なからずダメージを受けた。

 

ここから少しの間、遠距離砲撃が続く。Warspiteと戦艦ル級の両者の砲撃は、カスダメしか発生しなかった。

そして、距離は15,000mを切る。ここから重巡たちが砲撃を開始する。

「摩耶様の攻撃、喰らえ~っ!」

「第一・第二主砲、斉射、始めます!」

「敵は右舷だ!しっかり狙え!」

戦艦ル級へと重巡の砲弾が降り注ぐ。戦艦にとって重巡の砲弾は、そこまでダメージにならない。戦艦ル級は、砲撃を始めた重巡を無視してWarspiteに、引き続き砲撃を続ける。

しかし、重巡の攻撃が小さなダメージしか与えることができなくても、攻撃を受け続ければ、大きなダメージになっていた。

距離10,000mを着る頃には、戦艦ル級の被害は、大破寄りの中破になっていた。

戦艦ル級は、1隻でも道連れにしようと狙いをWarspiteだけでなく摩耶、妙高、那智、そして矢矧に広げ、攻撃する。

この時、戦艦ル級は目の前の敵に集中していた。そのため、左右と後方から迫る魚雷達に気づかなかった。

第2、第6護衛艦隊が放った魚雷は、そのまま戦艦ル級へと命中した。戦艦ル級は、大きな爆発と共に跡形もなく消し飛んだ。オーバーキルであった。

 

16:26

第3艦隊、第10艦隊、第2護衛艦隊、第6護衛艦隊の4艦隊は、敵主力艦隊を撃滅。

これにより、1-3海域 製油所地帯沿岸の制海権は優勢となった。

 

 

横須賀鎮守府 指令補佐執務室

 

「…以上で報告を終えます」

翔鶴さんが報告書を提出してくる。俺はそれを受け取る。

「ご苦労だった。参加メンバーの補給、入渠をして、しっかりと休息をとりなさい」

それと…と言って、俺は、机の中からあるものを取り出す。

「今日の謝罪というかなんというか…間宮の割引券だ。参加メンバーに渡しておいてくれ」

甘味処間宮で使える、20%offの割引券。提督に配布されているものだ。

艦娘へのご褒美として渡される。

「お気遣い、ありがとうございます。では、失礼します」

「あぁ」

翔鶴さんが執務室を出ていく。それを、目で追う。

ほんとに、ケガが無くて良かった。ただ、少し表情がかたいな。やっぱり、Warspiteさんが中破したからか…。責任は俺にあるのに……。

 

扉が閉まり、部屋の前から翔鶴さんがいなくなってから、T督の被り物を脱ぐ。

そのタイミングで執務室にほのかが、入ってくる。

俺は慌てて、T督の被り物を被り直そうとしてしまった。

「ノックしろ」

「あー、ごめんごめん」

ほのかは軽く謝り、ソファーに座る。

「それで、お兄ちゃん。海域解放組の被害はどれくらいだったの?」

「Warspiteが中破。摩耶、谷風、時雨が小破。妙高、那智、矢矧に軽微の損傷って感じだな」

「うーん、練度50でその被害なら問題ないかな」

 

(横須賀鎮守府の艦娘は訓練施設のお蔭で練度はLv50である)

(ちなみに誰も、一次改装はやっていないぞ)

 

「で、ここに積み上がった書類が報告書?」

執務机に建てられた高さ約2mの書類ツインタワー。崩れると危ないので、支えるものを付けている。

「そうだ。まだ、ネットワークやら電子化の準備が終わっていないそうだ」

例の計画のために、急ピッチで軍令部は準備を進めている。

「めんどくさそうだね。じゃぁ、頑張って」

「待て、手伝え」

「え?なんで。私の仕事じゃないし、アバヨーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

「あ、こら!…ちっ」

そそくさと、執務室から出ていったほのか。やつを捕まえようと立ち上がったが、再び椅子に腰をおろす。そして、積み上がった書類を見よう…っと、やっぱりやめた。

「…副長」

「どうしましたか?」

「デスピナの処理能力で書類片付けるから、バックアップよろしく」

仮想世界でも、フル活用したデスピナの処理能力。書類仕事の時は、艦息であることにほんとに感謝する。

「いつものですね、了解です」

 

この後、滅茶苦茶書類仕事した。

 

 

日本時間20:42 現地時間07:42

アメリカ合衆国 首都ワシントン ホワイトハウス

 

急な来客とのことで慌てて、準備したアメリカ合衆国大統領。

執務室に黒づくめの男たちが入ってくる。大統領は、彼らを見て絶句した。

「き、君たちは!?」

「大統領、()()からの勅命です。現時刻をもって全権を委譲してください」

「陛下が…」

大統領は悟り、崩れるように椅子にもたれかかる。少しの間、執務室は沈黙に支配される。

「……分かりました…」

大統領の了承を聞き、黒づくめの男たちは銃を向ける。

「さよなら、大統領」

二回銃声がホワイトハウスに響く。大統領が頭と胸から血を流し、椅子ごと倒れる。

「宰相閣下に連絡を」

 

この日、アメリカ合衆国史に、二人目の暗殺された大統領がきざまれた

 

 

 




二日目をむかえた提督業
積みあがる、書類の高層建築
事務仕事から逃げる高野提督
裕一は、無事に次の日を迎えれるのか

次回 はじめての提督生活3

次回もー、サービスサービス♪

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