要塞空母デスピナ出撃す。第2篇   作:まはまは

14 / 15
作者のまはまはです。

本当に申し訳ありませんでした。
前回、早めの投稿と言っておきながら、かなり時間が空いてしまいました。有言実行が出来てないですね。

というわけで、まだもうちっとネタのようなお話しが続きます。

夏イベが始まる中、小説も大規模作戦に突入します。
読者の皆様、これからもこの作品をよろしくお願いします。


第47話 初めての提督生活4 シュラバヤならず

第47話 初めての提督生活4 シュラバヤならず

 

09:42

司令補佐執務室

 

執務室に戻ると、ほのかやゴーヤをはじめとした特務艦隊のメンバーが全員揃っていた。

「全員揃って、どうした?」

問いかけながら、デスクチェアに座る。

すると、ほのかが1枚のA2サイズ(新聞紙サイズ)の紙を執務机におく。

俺は、それを手に取る。同時に目に入った大見出しのタイトルに思考が停止する。

「今朝、艦娘の部屋に配られた鎮守府新聞の号外。内容は…」

 

『号外!T督の正体が早くも判明!?』

『激写!T督の素顔』

 

ほのかが記事の一部を読み上げる。

「今朝06:42に鎮守府庁舎第1号館の給湯室前にて、T字状の被り物を持った、要塞空母デスピナをカメラに納めることに成功した」

新聞にはT督の被り物をした状態で給湯室に入るものと、T督の被り物を外して手に持った状態のもの2枚が掲載されていた。

「Sさんによると、要塞空母デスピナは特別任務に従事しているとの情報があった。しかし、この情報は正体を怪しまれないための欺瞞情報である可能性が高い」

「また、司令補佐執務室には一部の艦娘のみ出入りしており、該当艦娘と要塞空母デスピナの関係性も注目される」

「てーとく、特務艦隊の情報が漏洩するかもでち」

ゴーヤが関係性の部分から、秘匿されている特務艦隊の情報が漏洩する可能性を示唆する。

「今朝から、複数の艦娘からT督のことや関係も聞かれたのね。一応、はぐらかしてはいるけど、早めに手を打つべきなの」

イクが今朝起きたことを話し、裕一に対応策を求める。

このように特務艦隊のメンバーが焦るなか、裕一はというと。

「……ショーカクサンニキラワレタ。……ゼッタイニキラワレタ。……ショーカクサンユルシテクダサイ」

頭を抱えブツブツと呟き、なんかよく分からない状態になっていた。

彼の思考を説明すると、

1、 T督として正体を隠している

2、 正体がバレた←ここが現在の状況

3、 翔鶴が今朝、見つめていた。

4、 その視線が自分を侮蔑するものだと考える

5、 侮蔑≒嫌い

6、 翔鶴に嫌われた ←ここが今の思考

……バカですね。

同時に翔鶴のことがどれだけ好きか分かりますね。それなら、早々にくっつきやがれ。

T督だって正体を隠して俺カッコイイとかクソだろう。堂々とやりやがれ。いざって時に責任逃れするつもりだろ。

「やめて……」

だいたい、なんなんだてめぇ。いきとっんのか、ああん?

「わたしのライフはゼロよ……」

裕一が白旗を挙げた。今回はこれくらいにしよう。もっと文句は言いたかったが。

「兄ちゃん、何してるの?」

「いや、すまん。考え事してた」

「傍から見たら、絶望していたようにしか見えなかったんですが」

エピメテウスが冷静なツッコミを入れる。

「ううん。さて、対策だがまず、特務艦隊の情報だけは漏洩することのないように注意せよ。俺の事に関しては、お茶を濁せ。必要ならば俺の口から発表する」

「つまり、私達は何も話すなってことね」

ほのかが要約して確認してくる。

「まぁ、そういうことだ。T督の正体は別にバレても特段問題ないからな。……ただ、少し動きにくくなるがな(小声)」

「お兄ちゃん、なんか言った?」

「なんにも。あ、そうだ。ついでに伝えておこうか」

俺は、1枚の書類を執務机におく。

「これは、先日の紀伊水道での戦闘後の補給資材の量が書かれたものだ」

ほのかが書類を見て、目を見開く。

「あれ?硫黄島の時の数倍なんだけど。桁間違えてない?」

ゴーヤ達も書類を覗き込み、同じく驚く。

「ライオニックⅡ1発=弾薬100だそうだ。前回100発以上撃ったから…ね……」

俺は、遠くを見つめる。1回の出撃で資材が枯渇寸前になってしまった。これでは、緊急時に補給が出来なくなってしまう。

「特務艦隊は、独立部隊のため補給も自分たちで管理しなきゃいけない」

「あ……」

イムヤが何かを察する。

「明日より俺含め、特務艦隊全員で資材集めを行う。今日が最後の休暇だ。存分に満喫しておけ」

「「「りょ、了解……」」」

全員の目が死んでいた。さぁ、ブラック鎮守府(潜水艦酷使)のはじまりだーー。

 

15:42

 

司令補佐執務室

 

パキポキバキバキバキ

午前中の書類仕事が終わり、背中を逸らすと、音が鳴った。今日は、音が多かったな。

「はい、お兄ちゃんの」

本日の秘書艦であるガラテナこと妹のほのかが、栄養ドリンクを俺のおでこに載せてくる。

「サンキュー」

栄養ドリンクがおでこから落ちる前に、受け取る。

ほのかも疲れたのか、応対用のソファーに座り込み、栄養ドリンクを飲んでいる。

俺もキャップを開け、おなじみのリポビタンAを飲む。

くっ~、疲れた体に栄養ドリンクの独特の風味が染み渡る。

「それにしても、凄い仕事量だよね」

ほのかが、処理の終わった書類のタワーを見る。

「一応、もうすぐパソコンで処理できるようにシステムが導入されるから、今だけだな」

「そうしてもらわなきゃ、書類仕事に殺されちゃうよー」

と言って、でろーんと崩れる。

「お前は今日だけだが、俺はまだこれをやらなきゃならないからな?」

「おつー」

ほのかが配給用のスマホを取り出し、赤い鳥のSNS『ツマッター』を開く。

俺も、少しの休憩としてスマホを取り出して、『ツマッター』を開く。

見る専なのでフォローしている人達のタイムラインを見ていると、面白いツイートを見つける。

「ほのかこのツイートを見てくれ」

「うん?」

ほのかにスマホを渡し、そのツイートを見せる。しばらく見たあと、合掌してからスマホを返してくる。

「……ごちそうさまです」

ツイートは軽いBLのマンガであった。普通の男性と可愛いおとこの娘である。

「うん、その次のツイートを見てくれ。その絵師さんと妹さんのラ〇ンのトーク画面の画像あるんだが」

「ぷぷぷ…すごいね」

「素晴らしい煽り方だよなー」

絵師さんの軽いBL漫画のツイートを妹が〇インで煽っているトーク画面であった。

 

そして、俺はふと思ったことを言う。

「そういえば、ほのかはあんまり煽らないよなー」

すると、ほのかがニマニマしながら聞いてくる。

「え?なに?煽ってほしいの?」

突然何言ってんだと思いつつ、否定する。

「いや、ぜんぜん」

「そういうやつ?フラグですか?ん??」

「おい、ちょっと待て」

だんだんとほのかがウキウキとしながら煽り始める。

「え?ほらほらー、本音言ってみー、ほらー」

俺も、だんだんとイラついてくる

「こいつ……」

「煽って欲しいなぁーって、いじめて欲しいなーって(笑)」

「調子乗るなよ?てめぇ……」

ほのかを見るとすごく腹が立つ顔をしていた。

思わず、握りこぶしに力が入る。

「その顔、腹立つな!」

「え?だって自分からやって欲しいみたいな感じで、見せてきたんでしょ??」

「前フリじゃねぇよ!!」

「えー」

ほのかが、面白くないと言わんばかりの顔をする。

「ちゃうわ」

「やって欲しかったんでしょ(笑)。ほらー言ってみー、ごめんなさいって。自分から言いましたって、煽って欲しいって」

イラつくので、少しふざけることにする。

「ごーめーんーなーさーいーー(棒)」

「はぁ?」

「じーぶーんーかーらーいーいーまーしーたーー」

「ちゃんと謝れや」

「あーーーーーーおってほしいって」

「ざまぁー!!!」

「てめぇ、ぬっ〇してやらー!!」

「おんおんおんおん、やんのか?」

互いにメンチを切りながら、宣戦を布告する。

「「よろしい、戦争(クリーク)だ」」

 

「――――!」

ソファーや執務机などが部屋の隅に追いやられた執務室内の空気を一瞬で呑み込む気合いと共に、相手の頭を叩きに行く。

使用している竹刀は、3尺6寸≒108cm、重さ380gと軽めのもの。今回は防具が無いため、3尺7寸以上は危ないのでこうなった。執務室の高さは3m程なので充分に、竹刀を振れる。

ほのかは俺の打ち込みは受け止めきらずに流し、返し技でこちらの胴体を狙ってくる。

俺は返し技を急ぎ、戻した竹刀で受け、一足一刀の間合いと呼ばれる距離から離れる。

「うん?うん?どうした、怖気付いたのかな?かなかな?」

「チッ、相変わらず、防御だけは一流だな」

「ふ、兄ちゃんの攻撃が分かりやすいだけだよ」

「……、〇ね」

ほのかに踏み込みの瞬間を悟らせず、俺は自らの間合いに入る。

ほのかには、あまり見せたことがなかったため驚く。ほのかは、とっさに防御に入る。

竹刀の剣先を右下に下げ、持ち手を上に上げ、面と右篭手、右胴を隠す。

その防御は、剣道における最強の防御。ちなみに試合では長くやりすぎると反則を取られる。

「だが」

俺が、がら空きの左篭手に打ち込む。ほのかの表情が自分の失態を後悔するものになる。

「コテ!!!!」

痛くないように、力は加えず手首のスナップのみで打ち込まれた左篭手は、パーンと軽くよく響く音を出した。すぐに、左後方へと残心をとって距離を取る。

「痛い!!!」

しかし、素手にコテを打ち込んだので、痛さのあまり叫ぶほのか。

ほのかは、左腕を押さえ込みながらうずくまる。

「1本、勝負ありだな」

俺は構えを解き、デスピナの軍医妖精支給の鎮痛剤のスプレーを持ってほのかに近づく。

「――!!」

言葉にならない声で、ほのかは俺の足を殴りつける。痛さは知っているのでそれを甘んじて受け、左腕に鎮痛剤のスプレーを吹きかけてやる。

軍医妖精の支給品なので、即効性が高い。1分程でほのかの顔をあげる、痛みがひき、表情は和らいでいた。

「チッ、172戦86勝86敗か。お前に負けるのなら悔いはないさ…」

「また、勝数が並んだな。腕は動かせるか?」

「うん。骨に異常もないし、そのスプレーのおかげで筋肉にも問題ないよ」

そう言って、ほのかが立ち上がる。

「さて、少しスッキリしたし、部屋を元に戻そうか。午後の書類が来ちゃう」

「お、そうだな」

竹刀を片付けて、俺とほのかで執務室を元に戻していく。

「それよりも、お兄ちゃん。あんなに暴れて大丈夫だったの?お隣に迷惑かかってないよね?」

今さらながら、あれだけうるさくしたのに全く苦情が来なかったことに心配になったほのか。

「大丈夫だ、問題ない。部屋は防音対策をしっかりしてるからね」

「へー、つまり何をしてもバレないんだ」

「ほのか、その言い方はダメだろ。内緒話にもってこいにしてくれ」

先までの戦いから一変、和気あいあいと片付けをする。

 

 

司令補佐執務室の扉の前に、演習を終えた翔鶴が報告書を持って立っていた。

コンコン

執務室内で片付け中の裕一とほのかは、ノックの音に気づかない。

「いらっしゃらないのかしら?」

確認のため、再びノックをしてみる。

コンコン

しかし、ノックの音に2人は気づかない。

「留守なのかしら?」

そう思い、引き返そうとする翔鶴。そこに、裕一とほのか2人の様子を見に来た、エピメテウスがやってくる。

「あなたはたしか…エピメテウスさん」

「あ、翔鶴さん。こんにちは、どうされましたか?」

「演習の報告書を出しに来たのですが、ノックをしても反応がなかったので、引き返そうとしていたところです」

「あれ?多分いるはずなんですが……」

首をかしげながら、エピメテウスは執務室の扉を開ける。

「失礼します、提督」

「うん?エピメテウスか、どうした」

「……何してるんですか?」

執務室の片付けをしている2人を見て、訝しげにエピメテウスは理由を聞く。

「いや、ほのかと戦争(クリーク)していた。その後片付けの真っ最中」

「何してるんですか……」

エピメテウスが呆れたように、ため息を吐く。

エピメテウスの後ろから、翔鶴が顔を出す。

「すみません、演習の報告書を持ってきたのです……が……」

翔鶴の手元から報告書が落ちる。裕一と翔鶴の視線が合う。

「あ」

裕一が慌てて、T督の被り物を探す。しかし、見つからない。

「デ、デスピナ…さん…?」

「あ、はははは、お久しぶりです、翔鶴さん」

翔鶴が裕一のもとに駆け寄り抱きつく。残念ながら、裕一と翔鶴の身長がだいたい同じのため、胸元に顔をうずめることは出来なかった模様。

「…デスピナさん、いえ、裕一さん。ずっと…ずっと、お会いしたかったです」

裕一の耳元から聞こえてくるその声には、ようやく会えたことへの嬉しさ、安心感があった。翔鶴は、裕一の存在を確かめるため、強く抱きつく。

裕一は、抱きつかれたことで両手を挙げていたが、その言葉を聞き両手を翔鶴の身体へと持っていき、翔鶴を痛くない程度に強く抱きしめる。

裕一の心は、翔鶴が自分を思い、心配していたことに申し訳なさではなく、ただ感謝の念。そして、翔鶴を愛する気持ちで占められていた。

「自分も会いたかったです。いきなりいなくなって、すみません」

翔鶴は顔を裕一の目の前に持っていき、見つめ合う。

「ホントですよ…あの時は、死のうとさえ思ったんですからね」

「……。そ、そうだったんですか?」

いきなり重たいものがきて、言葉に詰まる裕一。

「えぇ、今度は絶対に突然いなくならないでくださいね」

「は、はい」

裕一はこの時初めて、あれ?翔鶴さん病んでる??

 

 

今更である。

 

 


 ▲ページの一番上に飛ぶ
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。