今回は番外編です。
本来なら10月10日投稿したかったのですが、間に合わず…
それでは、気軽に読んでいってください。
番外編 誕生日
06:00
「ふぁ~ねむい」
顔を洗い、歯を磨き、髭を剃り、寝間着からEDF海軍の制服を着て身支度をしていく。
「よし、食堂に行くか」
コンコン
「はーい」
「デスピナさん、翔鶴です」
「今、行きます」
扉を開けると、翔鶴さんがにっこりと笑顔で
「おはようございます、デスピナさん」
「おはようございます、翔鶴さん」
あ~ここ最近翔鶴さんが女神にしか見えなくなってきた。あぁ…このまま天に…
「食堂に早く行かないと」
…は!ヤバいヤバい。本当に逝きかけていた。
「そうですね、行きましょうか」
06:50
食堂
「翔鶴姉―、こっちこっち!」
「おはよう、瑞鶴」
「おはよー、デスピナさん!」
今日も先に食堂に行き、席を取っておいてくれた瑞鶴。
「それでは、」
「「「いただきます」」」
「デスピナさん今日は?」
「遠征で長時間対潜警戒任務だな。そっちは?」
「私は、大鳳ちゃんと出撃。翔鶴姉は非番」
「えぇ、久しぶりに一人でごろごろしようかなって」
翔鶴さんが部屋でごろごろだ…と。
しっかり者で清楚な翔鶴さんが部屋でごろごろ。言い方だけで本当は、窓際に椅子を置き秋風を感じながら、ひざ掛けと温かい飲み物を用意し、赤いメガネをかけ純文学系の本を読むのか?メガネ翔鶴さん最高かよ!!!!!
いや、本当にごろごろするのであればベッドに寝転びながら少女漫画をよむのか?服装はゆったりとした部屋着か?
まさか、人をダメにするクッションに座り、テレビを見続けるというのも。バラエティ番組で笑う翔鶴さん…、ご飯お替り!!
いやいや、普段いる元気な瑞鶴がいないから、再びベッドに行き二度寝というのも…。だらしない寝顔も…。
しかし、ここは女神な翔鶴さんのことだ。瑞鶴に新しいマフラーをプレゼントしようと考え編みものをしたり、お菓子を作ってみんなに振る舞っていたり…。くそ、そのお菓子をぜひ俺にも!!
「デスピナさんーおーい」
「うん?どうした瑞鶴」
「いきなり固まったから、どうしたのかと思って」
「あー、大丈夫だ」
しまった。翔鶴さんのことになるとつい。
瑞鶴がニヤニヤしながら
「翔鶴姉の休みの日の想像でもしてた?」
「ぶふぉ!」
味噌汁を飲んでいた時に図星なことを言われ、むせてしまう。
「大丈夫ですか、デスピナさん」
そう言って、俺の背中をさすってくれる翔鶴さん
「え、図星?」
「げほげほ…。う、ううん。違うぞ」
「ほんとに?」
「ほんとだ」
瑞鶴が未だに疑っているような目をしながら、食事に戻る。
「違うんですね…ボソッ」
「うん?どうしました翔鶴さん」
「い、いえ。早く食べましょう」
慌てたように翔鶴さんが食事に戻る。
少し疑問に思いつつ、俺も食事に戻った。
08:34
多門丸:デスピナさんが遠征に行ったよー
HQ翔鶴:了解です。引き続き航空偵察を実施して下さい。
多聞丸:りょ
提督さん家のドラゴン:飛龍―、私たちも行くよー
クロネコヤマト:間宮さん、鳳翔さんの応援も頼めそうです
HQ翔鶴:そちらはお任せしてもよろしいですか?
クロネコヤマト:任せてください!
あさしお:飾り付け班、作戦行動に入ります!
HQ翔鶴:お願いします
Old Lady:We will start preparing them as well.
(こちらも準備を始めるわね)
HQ翔鶴:OK
LINEのグループで報告を見終え、各グループが動き出したことを確認した翔鶴は支給品のスマホをとじる。
そして、自分のやるべきことを行うために支度を始めるのであった。
12:38
利島、北西15km沖
「いないな」
「いませんねー」
と、阿武隈。
「いないねー」
と、リベッチオ。
「いない…」
と、霰。
「いねーなー」
と、朝霜。
対潜哨戒中の遠征艦隊。ソナーやらを使い調べるも潜水艦が1隻も見当たらない。いや、いないことは素晴らしいのだがソナーを常に監視しなければならないので、暇なのだ。
一応、蒼龍、飛龍の彩雲が応援で来てくれている。
妖精さんに少しの間ソナーの監視を任せて休憩する。
「それにしても…」
レーダーを開き上空にいるであろう監視機の様子を見る。
「なんで二式大艇がずっと俺たちの周辺を飛んでいるんだ?」
はるか1万m上空を飛ぶ、二式大艇では
「艦隊異常ありません」
「よし、秋津洲に定期連絡を入れておけ」
「機長、HQからです。第2段階に入れとの事です」
「了解した。針路を大湊警備府に」
13:24
食堂
「壁の飾り付け終わったわよ」
「流石ね、霞。あそこの班を手伝って貰っていい?」
「分かったわ」
朝潮の指揮の元、食堂は飾り付けの真っ最中。
「朝潮ちゃーん!」(ビターンッ)
と、向こうから飾りの入った箱を持って来た五月雨。そしてその先に何故かあるバナナの皮
「あ」
バナナの皮を踏んで滑り空中で回転する五月雨。そのまま重力に従い落下する。
「五月雨ちゃん!?大丈夫?」
「いたたた、大丈夫。大丈夫」
「でも、一体誰がこんなところにバナナの皮を」
と、バナナの皮を拾う時雨。
「私だよ」
と自白する響。
「ダメじゃない響。そんなところにバナナの皮を捨てちゃ!」
「ノープロブレムだよ。画面の前のお兄さん達が[五月雨ちゃんマジ天使]と喜ぶよ」
「何言っているのよ…」
甘味処間宮
「~」
4段に積み上がったスポンジケーキに生クリームを塗っていく大和。
「伊良湖ちゃんー、フルーツ持ってきて」
チョコレートにホワイトチョコで名前を書く間宮が大和の作業状況を判断し伊良湖にお願いする。
「はーい」
伊良湖が砂糖菓子を作る手を止め冷蔵庫にケーキ用のフルーツを取りに行く。
「大和さんここに置いておきますね」
「ありがとうございます、伊良湖さん」
鼻歌を歌いながら、クリームを塗っていく大和であった。
再び食堂に戻り調理場では、戦場となっていた。
仕込みが始まり、鳳翔の指揮のもと妖精さんをはじめ料理自慢の艦娘も集まり作業にあたる。
鳳翔さんも素早く作業を行っていく。誰も言葉を発せず黙々と手を動かす。
調理場は戦場となっていた。
14:25
横浜市内
「うーん…デスピナに何をあげれば…」
デパートの売り場を見て回りながら呟くウォースパイト。
「ねぇねぇ、これなんてどう?」
ジャービスが持ってきたのは、クラウンが散りばめられた青いネクタイ。
「Jervis、こっちの方がいいのでは?」
と、アークロイヤルが別のネクタイを選んでくる。
「こっちがいいわよ」
とリシュリューが別のネクタイを持って来た。
「Richelieu.なんでここに?」
「Hi、ladyお買い物?」
とアイオワも参加する。
「Iowaあなたも?」
「ladyがデスピナのプレゼントを買いに行くって聞いたから」
「はぁ…、邪魔しないでね」
15:42
横須賀鎮守府 執務室
中村提督は突然の来客に対応していた。
「本日はどのようなご用件で」
「なに今日ここで、面白そうな事があると聞いてな」
その客の答えに中村提督は、両手を挙げる。
「全く、いいお耳をお持ちで高野総長」
「ははは、私が参加しても構わんだろ?」
言外に来客の対応も予定しているだろう?と。
中村提督は、隠しもせず言う。
「大湊警備府の高野提督や艦娘達にも参加して貰いますので、問題ありません」
「ほう、綾香も来るのか。これは楽しみだ。では、」
そう言ってカバンから書類を出す高野総長。
「…準備がいいですね」
「ほれ、君も残りの仕事を片付けなさい。ここで見ていてあげるからな」
「…頑張ります」
16:52
出撃ドック
「あー、疲れたー」
遠征任務を終え、鎮守府に帰投した。これから提督に報告だ。
「それにしても…静かだな」
いつもなら誰かしらいる埠頭も今日は誰もいない。
阿武隈達もすぐに入渠へ行ってしまったし…。
そういえば、航空哨戒も二航戦の2人だったが普通、対潜哨戒ならば軽空母を向かわせるべきだ。
あと、深海棲艦が全くいなかった。大抵は何隻か忍び込んでいるのだが…。
今日は色々とおかしいな。
そんなことを考えつつ、執務室に到着。
コンコン
「デスピナであります」
「入れ」
「失礼します」
扉を開くと、中村提督と…高野総長?
「高野総長?」
「やぁ、久しぶりだな」
「お、お久しぶりです」
その場で急ぎ敬礼する。
「中村提督、出直した方がいいですか?」
「構わないよ、報告を聞こう」
「艦隊、長時間対潜警戒任務が完了しました。こちらが報告書です」
「うん。……潜水艦が1隻もいなかったのか?」
報告書を見ながら中村提督が戦闘がなかったことを疑問に入れておきます思い質問してくる。
「ソナーに全く反応がありませんでした。隠密性の非常に高い新型の潜水艦の線は低いですね。念の為、水中にアルマゲドンを爆雷として使用し音の反響で海底の地形と称号しながら捜査しましたが、いませんでした」
「君は突拍子にすごいことするね?多分、一緒に吹き飛んだじゃないの??…まぁ、ご苦労だった。入渠して汗を流してこい」
「では、失礼します」
さ、お風呂♪お風呂♪
「ハッハッハー、意外と大胆だな彼は」
裕一が執務室を出た後、高野総長が笑い出す。
「たまに恐ろしいことをするので冷や冷やしますがね」
「いや、あれくらいぶっ飛んでいるのもいいぞ。懐かしいな、彼らは元気にしているだろうか…」
「総長がおしゃっていた、デスピナと同等かそれ以上の強さを持つ艦娘でしたっけ?」
「そうだ。今はどうしているんだろうな」
高野総長はわずかな期間だが共に戦った彼らを思い浮かべる。そして思い出す100cm砲。あれをどこで保管していたか思い出せない。老いを感じた高野総長であった。
17:54
空母寮 自室
「さてと、そろそろ飯でも食べに行くか」
赤本を閉じ、椅子から立ち上がる。時間を見るといつもなら声をかけに来る、翔鶴さんがまだ来ていないことに気づく。
今日は偶然、都合が悪いのだと考え、一人で食堂へ向かった。
食堂へ向かう途中も人影が無く不気味で、その食堂も明かりは無く、こちらも静かであった。
食堂の扉を開け中に入ると…
パパッン!!
明かりが点き、突発音が鳴り驚きのあまり動けなくなる。
「「「「デスピナさん、お誕生日おめでとう!!」」」」
「へ?」
頭がまだついていけてない。そんな俺をニコニコの笑顔をした大和さんが俺の腕をとって連れていく。
奥には、横断幕でHAPYYBIRTHDAYと大きく書かれていた。
あ、そうか。今日は10月10日だったな。
司会進行の霧島がマイクを持ち
「では、さっそくプレゼントを渡しちゃいましょう!まずは駆逐艦から」
駆逐艦娘の中から、色紙を持った朝潮が出てきた。
「デ、デスピナさん!お、お誕生日おめでっ…」
盛大に噛んでしまった朝潮が顔を真っ赤にして色紙を差し出してくる。
可愛すぎて、鼻血ブハッするところである。そこをこらえて
「駆逐艦のみんなありがとな。朝潮よく頑張った」
朝潮を抱き寄せ抱きしめてあげ、おまけに頬に軽くキスしておく。
「あら~あらあら~」
「ちっ」
「あ…」
「ほほう」
「ドン!」「ドン!」「ドン!」
数か所、具体的に3か所から大きな音が聞こえたが気にしないでおこうと思う。
別の意味で再び真っ赤になった朝潮を霞が連れていく。
「我々はすごいものを見てしまいました。さ、さて続いては戦艦娘から」
「ううぅぅ…///」
戦艦からは大和さんであった。滅茶苦茶、恥ずかしがっている。
「こ、これを…」
綺麗にラッピングされた長方形の箱と、正方形の箱。まず、長方形の箱のリボンを解くと、
「これは、ネクタイか」
クラウンが散りばめられたネクタイで色も、俺好みだ。おそらくウォースパイトさんが選んだのだろう。
「こっちは、マグカップか」
クロネコの絵が描かれたマグカップであった。これは大和さんが選んだのだろう。
「ありがとう、大切にします」
「は、はい!…」
「…」
「……ぐすん」
段々大和さんの目が潤んできた。あ、さっきのをやってほしいんですね、大和さん。
しかし、身長的に届かない。仕方ないので別のもので我慢してください。
背伸びして、大和さんの頭に手を置き
「ありがとうございます」
大和さんの頭を優しく撫でる。頬を赤らめ少し恥ずかしそうにする。流石に、キスは自分でも恥ずかしいと今、思った。
その後、軽巡、重巡などからもプレゼントを貰った。
最後に空母艦娘からのプレゼントになったわけだが、渡すのが瑞鶴であった。
「デスピナさん、あまり嬉しそうじゃなさそうだけど?」
「いえ、めちゃくちゃうれしいです(棒)」
「棒読みじゃん。ま、いっか。はい、プレゼント」
そう言って渡されたプレゼント箱。包装紙を剥がすと…
「こ、これは……VF-25メサイア 早乙女ア〇トVer 1/10スケール!!!」
「ふふっ、デスピナさんの部屋に模型があったから、どーかなって思って」
「最高だ、瑞鶴。これで勝つる」
やったー!新型の機体開発の参考に!!
4段のバースデーケーキが運ばれてきた。
見た目がもはやウェディングケーキである。ロウソクの火を消すのでは無く、1人ケーキ入刀をした。違和感がハンパない。
ケーキも切り分けられた後、みんな各々に鳳翔さんや料理自慢の艦娘が中心となって作った料理を やケーキを食べながら楽しそうに過ごす。
「デスピナさん、お誕生日おめでとうございます」
「翔鶴さん!どちらにいらしたんですか?姿が見えませんでしたが」
声を掛けてきたのは翔鶴さんであった。
「少し、準備に手間取ってしまって…デスピナさん」
「はい、なんでしょう?」
翔鶴さんが袖の所を握ってきて
「…少し、来て貰えますか?」
翔鶴さんに連れられて俺は食堂を後にした。
20:21
空母寮
翔鶴さんに連れられて来たのは翔鶴さんの部屋であった。
そのまま寝室に連れ込まれベッドに押し倒される。
え?
ま?
これは?ついに??
「デスピナさん…」
「しょ、翔鶴さん?1度落ち着きましょう?ね??」
俺は何を言ってる!そこはそのまま受け入れろよ!
翔鶴さんは俺の上で馬乗りになり、顔を近づけてくる。
「こ、こういうのは順序を踏むべきだと…あの…」
バカか俺は!!!据え膳だぞ!!食えよ!!!!!
「もう、待てません」
あーー!!翔鶴さんの顔が近くに!!!!
「いい加減起きろ!」
「ぐへっ」
突如腹部に強い衝撃を受け目を覚ます。
「あれ?翔鶴さん??…なぜ、ほのか???」
「寝言がうるさいんじゃボケ!枕にちゅっちゅっするんじゃね、気持ち悪い」
と、文句を言ってくる。こちらも寝起き+いいところで起こされてしまったことで機嫌がかなり悪い。
「ちっ、せっかくいい夢だったのに」
ちくしょうあと少しで翔鶴さんとのキスだったのに!
思わず、
「余計なことをしてくれるな、カ〇野郎」
……。
「あ”?」
「あ”?」
互いにメンチを切りあい、艤装を展開する。
「「よし、ならば戦争だ。表に出ろ」」
誕生日の10月10日の朝は、ほのかとの戦争から始まった。
あの事件から1か月以上経過していた。
そして、例の作戦がまもなく始まる。