今回は少し短めで物足りなさがあるかもしれません。
申し訳ありません。少しテンポを早めるためこのようなものになってしまいました。
2019/3/17 若干編集しました
第41話 コード105 「極秘強襲殲滅戦」
10月10日 14:24
文月との戦闘、国防海軍軍令部での戦闘からだいたい2ヶ月経った。
せっかく久しぶりに良い夢を見ていたというのに、また妹に散らされた。朝から荒廃した東京を舞台に実弾演習という名の兄妹喧嘩を終え、今は軍令部の食堂で遅めの昼飯を食べていた。
「お兄ちゃん、これ食べて機嫌直して?」
向かいに座る妹からチョコケーキが差し出される。ケーキには申し訳程度のロウソクが1本。まぁ、妹なりのお詫びとお祝いなのだろう。
「別に気にしてない。夢ではなく現実にしてみせるよ」
「うん、その調子。その時は、出歯亀は任せてね」
パチリとウインクを決めて、茶々いれする気満々である事を表すほのか。
つっこむのもめんどくさいのでスルーしておく。
「それで高野総長からこの後呼び出されているから遅れるなよ」
演習(喧嘩)が終わった後、軍令部に戻って来たら国防省の職員が教えてくれた。
「えっと、高野総長の執務室だっけ?」
「そうそう、演習でやりすぎだって怒られるかもな」
と、冗談めかして言ってみたがスルーされた。
「……多分、例の作戦の事だよね」
ほのかが少し表情を暗くする。
「あぁ、そうだろうな」
17:55
軍令部第1庁舎 第2会議室
部屋に15分前に入る。参加するのは俺だけでほのかは別でお仕事をしてもらっている。待っていると、続々と作戦部、情報部、戦務部、法務部などの将官、佐官クラスの人達がやってきた。
そして、18:00ちょうどに高野総長が入り会議が始まった。
内容は、2週間後にアメリカ軍が事実上占領している横須賀鎮守府を奪回する作戦であった。
過程は、
1、 制空権の確保
2、 デスピナ、ガラテナと海軍が保有する部隊で海と陸の同時強襲。
3、 艦娘の保護
4、 駐留アメリカ軍の殲滅
だいたいこの流れに沿って行われる。
俺とほのかの役割は、出てきた艦娘の対処。つまり海上封鎖である。
「――以上が作戦の内容になります。質問などございますか?」
「いくつか聞きたいことがあります」
手を挙げ質問する。司会の人からOKを貰えたので続ける。
「現在、横須賀鎮守府は合法的にアメリカ軍の占領下にあります。今回の作戦は、政府の決定を無視するようなものですが、これは文民統制の意思に反する事になりませんか?」
答えてくれたのは、法務部長であった。
「統合参謀本部もこの作戦を認可したのと同時に国防大臣からもGOサインが出ている。ここであらかじめ言っておくがまもなく内閣が変わり、アメリカとの同盟破棄の通告が行われる。これにより、横須賀鎮守府へのアメリカ軍の保護も破棄され奪還が可能になるので問題ない」
どうやら、政府の方針が180度転換されるみたいだ。
「アメリカ軍の殲滅とありましたが、外交問題、最悪アメリカとの戦争に繋がりかねないと思われますが?」
答えたのは高野総長であった。
「それについてだが、アメリカとの戦争状態突入の可能性は低い。現状アメリカは我が国への攻撃手段はミサイルによる攻撃しかない。海上、航空は深海棲艦によって封じられているからだ」
確かに、アメリカは横須賀鎮守府のアメリカ軍しか日本への攻撃部隊は無さそうだ。
だが、衛星兵器とか持ってそうだよな……。まぁ、攻撃される前にグングニルでたたき落とすけど。
「艦娘の保護ですが、先日の文月のような場合だった時はどうしますか?」
これも高野総長が答えた。
「……前回と同様に処理してくれ」
「質問は以上ですが、提案も幾つかさせてください」
俺は、この作戦の変更を提案した。
1、制空権の確保は行わない
2、海軍の部隊ではなく、EDFの妖精さんたちを陸上戦力とすること
3、作戦を強襲殲滅戦にすること
この3つを提案した。俺が提案したのは、艦娘もろとも横須賀を圧倒的火力で殲滅する単純なものだった。実行は、5日後とした。
提案後、作戦部長の中将が意見を言ってくる。
「これでは、艦娘は皆殺しにするつもりか!」
「作戦部長、はっきり申し上げます。横須賀に所属している艦娘は、もはや敵勢力に取り込まれたものとして見るべきです。今回の作戦では、時間が命と思いますが?」
前回、アメリカ軍が文月を使って軍令部のデータベースから情報を盗もうとしていた。このことから、アメリカ軍の殲滅が作戦の主目標になる。
「作戦部としては、到底受け入れられない!」
俺も、少しイラつきながら言う。
「閣下。状況は深刻なのです。横須賀の奪還し、西の攻勢計画を急がねばなりません。それとも、作戦に時間を掛ける理由があるのですか?」
「そんなものはない!別に、作戦部の立案したものでよかろう!」
「ダメだから、別の案を出しているだろ!」
声を荒げてしまい、互いにヒートアップし始める。
この会議のトップである高野総長は何も言わない。いや、言わないのだ。
「総長!このような若造は必要ありません!!我々だけで対処できます!!」
「ほぉ…、言ったな?じゃあ、見せてもらうわ」
そう言って、席を立ち会議室を出る。ほのかを連れてこなくて正解だった。
その後、横須賀鎮守府強襲殲滅作戦の内容が決まった。
1、 作戦部主導で鎮守府に侵入、艦娘の保護を行う
2、 保護の後、デスピナ、ガラテナによる殲滅を行う。
3、 1が遂行不可能になった時点で、艦娘も含めデスピナ、ガラテナによる殲滅戦に切り替える。
このようになった。
そして、再び高野総長の執務室にいた。
「高野総長ありがとうございました」
「なに、気にしなくていい。これで、作戦部は黒であることは分かった」
高野総長は会議前に俺が渡した資料を手に取る。資料には、軍令部内の内通者に関する報告が書かれていた。
さて、ここらで状況を整理しよう。
まず、ほのかが文月の仕掛けた装置を解除していた時に、たまたま横須賀鎮守府と作戦部のやり取りが書かれたファイルを見つけた。
どうやら、アメリカ軍はそれらの証拠も消すためにあの事件を起こしたのだろう。
また、資料には横須賀鎮守府が何をしているのか少しだが分かった。
艦娘による性的な接待。人体実験。薬物の売買。政府高官の買収などなどであった。
俺はこれを見て、胸糞悪くなり出し惜しみなしの圧倒的な破壊をするべきだと考える。
次に、高野総長に18:00の会議前に見つけた資料を提出し裏の作戦を提案。
続いて、会議で作戦部の提案を批判して表の作戦日時を前倒しにする。
で、今に至る。
「では、2日後にコード105を発令する方向でいきます」
「準備の方は間に合うのかね?」
「問題ありません。作戦開始5時間前までに配置に付けるように動いていますので」
コード105「極秘強襲殲滅作戦」
・10月12日 03:00に開始
・陸上戦力
ブラッカーSPC 80両から成る1個戦車連隊
タイタンM2 10両から成る1個特殊戦車部隊
ネグリングD1 30両、ニクスバスターキャノン 50機
2個中砲兵大隊(迫撃砲)
1個重砲兵大隊(榴弾砲)
・海上戦力
デスピナ
ガラテナ
・航空戦力
デスピナ所属機
ガラテナ所属機
・目標
横須賀を占領している在日アメリカ軍の殲滅
横須賀鎮守府所属艦娘の保護もしくは処理
横須賀鎮守府における情報収集
以上が本当の作戦内容である。
「では、君の働きに負けぬように私も準備を始めよう」
高野総長は俺達が持ち帰ってくるであろう不正の証拠などを野党に流すようだ。
先程、内閣が変わると言っていた。どうやら党全体が今回の件に関わっているようなので、高野総長は艦娘をこれからも守っていく為に政権交代を実現させようと野党に情報を流すようだ。
だが、軍部がこのような事を画策してしまうのは法的にやばいのでは? いや、これは地獄の沙汰ということにしておこう。触らぬ神に祟りなしだね。
総長執務室を出て、地下にある秘密ドックへ向かった。
22:16
地下ドック
入ると、既に完成しているEDF4、4.1時代のギガンテスとさほど変わらないEDF5に出てくるというブラッカー、見た目は変わらないタイタンとネグリングが並んでいた。ちなみにタイタン10両だけでドックの1/5の場所を取っていた。ドックの大きさに驚くべきなのかタイタンが大きいことに驚くべきなのか…もう訳わかめ。
そして現在ドックの壁から出ている小型クレーンやアームがEDF4、4.1時代のベガルタよりスタイリッシュな外見をしたニクスを製造していた。
タブレットと睨めっこしている大妖精の許に行き声をかける。
「後、どれくらいかかる?」
「あ、裕一さん。残りがニクスと砲兵隊の装備なので…明日のお昼には全部終わりますよ」
それなら何とかなりそうだな。
「了解、引き続き頼むよ。あ、あとこれ差し入れ」
大妖精の頭の上に栄養ドリンクを置く。
「あ、ありがとうございます。ふふっ、やっぱり裕一さんはいい人ですね」
「おい、いつもは悪い人みたいな言い方はなんだよ」
「自分がやったことを考えてみてください」
…そういえば、大妖精に対する扱いが雑だったけ?
「ま、頼むよー」
俺は戦略的撤退を選ぶぜ!
10月11日 10:00
軍令部第1庁舎 第3会議室
盗聴などの対策を終えて、会議を始める。
「ではこれより会議を始める」
会議室には俺とほのか、作戦参加の妖精たちがいる。
「本作戦は、作戦コード105、極秘強襲殲滅作戦となる。目標はアメリカ軍が占拠する横須賀鎮守府である」
スクリーンに横須賀鎮守府周辺の地図を出す。
作戦の流れは、
本日18:00に軍令部を出発し、空路で葉山町へ。
その後、日付変更までに砲兵隊は葉山町のゴルフ場跡地に展開。ニクス、ネグリングの部隊は横須賀インター近くに展開。1個戦車大隊と特殊戦車部隊は逗子市にて待機。1個戦車大隊は横須賀インター近くにて待機。
俺とほのかは相模湾で待機し、日付変更までに浦賀水道に展開。
02:30からほのか、ガラテナによる横須賀鎮守府とアメリカ軍基地への情報システムに侵入して情報を速やかに盗む。
03:00にデスピナ所属の
同時刻に、砲兵隊とネグリング、ニクス隊も攻撃開始。戦車部隊は鎮守府及びアメリカ軍基地へと進撃を開始。俺とほのかは、浦賀水道を通過し海上からミサイルと主砲による地上攻撃を開始。
鎮守府及びアメリカ軍基地の地上施設を完全に破壊後、歩兵部隊が上陸。ニクス隊と戦車隊も突入。
歩兵部隊が地下施設の制圧を開始。
その間に、艦娘が出てきた場合これを迎撃した後俺とほのかも上陸して地下施設の制圧に向かう。
制圧が完了後、大妖精と高野総長に連絡し事後処理。
以上が作戦の流れとなる。
「本作戦の終了時刻は06:00。3時間で片をつける。迅速かつ大胆に任務を遂行してもらいたい。では解散」
18:00
裕一とほのかを乗せたHU04 ブルートが離陸する。
18:45
レーダーに引っ掛からないように飛行し、予定地点に到着。
一度、艤装を展開し地上部隊を出す。その後、相模湾へ移動。
19:25
砲兵隊が予定地点に到着。
20:25
ネグリング、ニクス隊が予定地点に到着。
20:27
横須賀鎮守府方面の1個戦車大隊と特殊戦車部隊が予定地点に到着。
20:45
アメリカ軍基地方面よ1個戦車大隊の展開完了。
22:00
デスピナ、ガラテナ浦賀水道に向けて移動開始。
23:49
デスピナ、ガラテナ浦賀水道前に到着。金田湾で待機。
10月12日
00:00
日付変更と同時に各自、第3種戦闘準備に入る。
(第3種戦闘…艦娘、人間を相手にした戦闘)
02:25
デスピナから高野総長宛に暗号でコード105を予定通り行うことを報告。
02:28
高野総長からコード105の承認と健闘を祈る暗号を受信。
02:30
「デスピナよりガラテナに通達。情報収集を開始せよ」
「ガラテナりょーかい。イーグルアイシステム起動!」
ほのかを中心にデータ環が複数展開され、演算式が羅列される。
「横須賀鎮守府ネットワークに接続…完了。ネットワーク防衛システムに侵入を開始…」
俺は、ワダツミシステムのデータリンク機能で進捗を見る。
ほのかは、ネットワークを仮想化してハッキングしている。防衛システムと思われるパックマンをほのかがミサイルでたたき落としていく。進捗率を表すグラフでは既に、横須賀鎮守府のネットワーク防衛システムの半分が無効化されていた。
「うーん…手応えが無さすぎ」
ほのかがそう呟く。確かに、順調すぎて気味が悪い。
「データベースへのアクセスに成功。ハッキング完了まで72秒」
「順調過ぎたな…、このままレーダ施設へハッキングして無力化までやっておいてくれ」
開始時刻の変更を求めるため高野総長に連絡を取る。
「高野総長、デスピナです。現在、ハッキングは順調に進んでおり、5分以内にそちらにデータを遅れると思います」
『了解した』
「それで、作戦開始時刻の繰り上げを行いたいのですが…」
『何かあったのかね?』
「はい。あまりにも順調すぎるのです。すごく嫌な予感がしてなりません」
『ふむ…、攻撃準備は整っているのだな』
「はい」
『作戦開始時刻を02:50に繰り上げ。直ちに攻撃準備に入れ』
「了解しました」
高野総長との通信を切り、作戦参加部隊に無線で開始時刻の繰り上げを通達する。
「総員、戦闘配置!」
視界に、エヴァのロゴの様な”第3種戦闘配備”という文字が表示され、艤装の飛行甲板にカロンとミッドナイトが発艦準備を開始し始めた。
「
『『『了解!』』』
「
『『『分かりました』』』
そこに、上空で偵察中のヘクター隊から通信が入る。
『こちらヘクター1。目標に動きなし』
「了解、ヘクター隊は目標上空から一時退避せよ」
飛行甲板から全爆撃隊が発艦を終えた頃、開始まで残り1分となった。
視界に、全部隊の配置が完了したことが表示された。
戦術マップを展開し、砲兵隊や戦車、航空機の位置をリアルタイムで表示する。
「開始1分前、砲兵隊砲撃準備。ライオニックⅡ目標座標入力」
『10秒前…8、7、6、5…』
「さぁ、蹂躙の始まりだ」
02:50
「目標確認!フォーメーション”ノーザンクロス”音楽を流せ!」
マク○スでお馴染みの銀河の妖精の曲が流れ始める。
前奏が終わる前に1番目の空爆部隊が侵入路に入る。
「空爆開始!」
まず、横須賀鎮守府のレーダー施設が爆撃され跡形もなく吹き飛ぶ
ーーー♪旅のはじまりはもう思い出せない
ーーー♪気づいたら ここにいた
「第2隊突入!」
第1隊のあとすかさず第2隊が突入する。
ーーー♪季節が破けて 未発見赤外線
ーーー♪感じる眼が迷子になる
その後、ランサーとアーチャーの全16隊がクロス爆撃を行った。既に、基点となった執務室などのある庁舎は跡形もなく吹き飛んでいた。
そこに、さらに追撃を行う。レーヴァテインがなるべく高度を落とした状態で絨毯爆撃を行い、徹底的に地上施設を破壊していった。
既に、この時点で横須賀鎮守府の地上施設は8割以上が消失した。
「撃てー!」
150mm、200mmの巨大榴弾砲の轟音が現場指揮官の妖精の合図と共に鳴り響く。
「次弾装填急げ!」
「だんちゃーく、今!」
横須賀鎮守府、アメリカ軍の基地へと榴弾が降り注ぐ。
爆発により空爆によってできた残骸も破壊し尽くされる。
着弾後、直ぐに次の攻撃が始まる。
ネグリングから誘導ミサイルが発射される。暗闇から突如として表れ空へと上がっていく数多の光。誘導は、上空にいるDF-02Dで編成されたヘクター隊が行う。
目標は、横須賀鎮守府の地下から地上に出る秘密の出入口5ヶ所
「レーダー照射、着弾まで3、2、1、今」
入り口に複数の誘導ミサイルが着弾し入り口を塞ぐ。
さらに、
「主砲撃てー!」
戦車部隊からも遠距離砲撃が行われ鎮守府の地面を穴だらけにしていく。
「ライオニックⅡオールファイア!」
艤装から立て続けにライオニックⅡが打ち上げられ、横須賀鎮守府とアメリカ軍基地に向かっていく。
「マークインターセプト」
再び、鎮守府とアメリカ軍基地に大きな爆炎があがる。
裕一とほのかが歩兵部隊の揚陸まで砲兵隊や戦車による攻撃は続いた。
03:19
歩兵部隊が上陸用舟艇を使い、工廠近くに上陸した。
そこに簡易の拠点を設置していた時、
横須賀鎮守府の警備部隊が襲撃してきた。
「敵襲!」
見張りのレンジャーが障害物に隠れながら叫ぶ。暗闇の向こうから発砲され、チカチカと光る。
レンジャー部隊は、AF-99で制圧射撃をしつつスナイパーライフルで1人1人確実に始末していく。
ライサンダーFを使用しているため、頭部に当たれば首から上が消し飛び、上半身に当たれば大きな穴が身体に空き、下半身に当たれば足が吹き飛ぶ。
わずか、3分で襲撃部隊は全滅した。
ホッとするの暇もなく、今度はアメリカの主力戦車M1エイブラムスが横に展開してやってくる。
「こちら、レンジャー!砲撃を要請、戦車が来てる!」
『こちら砲兵隊、攻撃を開始する。ファイアー!』
空を見上げると、明るい流れ星が戦車目掛けて降ってくる。
『だんちゃーく、今!』
巨大榴弾砲がエイブラムスへと直撃し、4両破壊、残りは、履帯が切れたのか動きを止めた。
そして、タイミング良くやつが到着した。
『重戦車の力、見せてやるぜぇ!』
タイタンがエイブラムスに向けてレクレエム砲をぶっぱなす。
弾速が改善されたレクレエム砲は、エイブラムスに反撃されることなく全て爆発で吹き飛ばした。
03:30
横須賀鎮守府、アメリカ軍基地 地上部を確保。
「これより、地下へと突入する。遭遇戦に注意せよ!では、出撃」
レンジャー部隊が、敵の奇襲部隊が出てきた場所から順次地下へと入っていく。
「ほのか、お前はここで逃げる敵を見つけたらタイタンとか使って潰せ」
「了解だよー」
B型艤装を解除し、妖精さんに手伝ってもらって防弾チョッキなどの装備を身につけていく。
そして、青く光るプロテクターケースを開く。そこには、普通の銃と違い銃口が存在しない巨大な拳銃が。これを知ったものが見たらこう言うだろう。”ドミネーター”と。
そう、艤装などが使いにくい狭い場所で戦うため裕一が新しく開発してもらった”L型特殊装備”。銃の名前は元ネタをそのままパクって”ドミネーター”。
ドミネーターは、G型装備のグングニルを携帯型の銃として使える様ダウングレードしたものである。
性能は、元ネタのノンリーサルモード(非殺傷型)とデストロイモード(分子分解型)の2つ。
犯罪係数は測定できない。
充電型。
フル充電でノンリーサルのパラライザーは30発、デストロイのデコンポーザーは3発撃てる。
ちゃんと、銃もモードによって変形する。
ケースからドミネーターを出すと、
『携帯型心理診断鎮圧執行システム、ドミネーター起動しました』
指向性の音声ガイダンスが聞こえた。なるべく、元ネタに近くするため音声ガイダンスも付けた。
心理診断なんてしないけど、正式名の方がしっくりくるためそのままパクった。
『ユーザー認証、山本裕一監視官。適正ユーザーです』
生体認証で登録した人しか使えないようになっている。うん?名前のあとについてるもの?雰囲気出すために決まってるやん。
レンジャーの1部隊を引き連れて向かうのは、地下司令室。監視カメラを手当り次第潰していく。
2つフロアを下がった頃、曲がり角で別方向から走ってくる足音が聞こえ、ハンドサインで後ろにいるレンジャー隊に攻撃準備を指示する。
だんだん近づいてくる足音、姿が見えた瞬間
「撃て」
銃声が鳴り響き、走ってきた5人の敵を皆殺しにする。周辺のクリアリングを終えすぐに、移動を開始する。
時刻は04:35残りは1時間と25分。急がなければならない。
それから20分後、ようやく重厚な扉の前にやってきた。この先に地下司令室がある。ここに来るまで敵とは極力戦闘が起きないよう迂回しつつ来たので遅くなった。
扉のセキュリティをハッキングして開ける。
素早く静かに中に入ると、地下司令室には…
誰もいなかった。
指揮官席にメモがあり、そこには日本語で『ざまぁm9(^Д^)プギャー』と書かれていた。
そのメモを握りつぶす。怒りのあまり怒鳴って
「すぐに、鎮守府周辺を捜索しろ!!」
と、レンジャー妖精達に命じた。
レンジャー妖精達が地下司令室から出て行き1人になる。
一足遅かったか…。
そう、悔しい思いと怒りが込み上げてくる。
しかし、すぐに思考を切り替える。もうひとつの目標である横須賀鎮守府所属の艦娘を探さなければならない。
そう思い、ドミネーターを強く握りしめた。
その後、鎮守府及びアメリカ軍の基地を捜索するも、警備の兵以外艦娘含めいなかった。
警備の兵を捕え、尋問するも口を割る気配がなかったため処理した。
結局、新しく開発した新装備も使うことなく作戦は、06:00に終了。
結果は、失敗であった。作戦目標の2つを遂行出来なかったのだから。しかし、鎮守府の奪還には成功しているのでこれで良しとしておく。また、監禁されていた妖精達を救出した。
作戦後、高野総長が派遣してくれた部隊に後片付けを任せた。
一緒に来た大妖精が、救出した妖精達を治療中である。特に、工廠長妖精が心身共に重症だったが、大妖精の懸命な治療ですでに回復に向かっているそうだ。何気に妖精さんってすごいなと思った。
後日、入手した情報がマスコミを通じて公開され内閣は総辞職。多くの議員や官僚が辞職した。その後、総選挙が行われ新しい与党のもと新しい内閣が成立した。
11月29日
海軍軍令部 第1庁舎 総長執務室
「以上が、横須賀鎮守府極秘強襲殲滅作戦の報告になります」
作戦から1ヶ月以上経過していた。横須賀鎮守府は現在妖精達が急ピッチで復旧し明日にも終わる。
ほんと、妖精さん様様である。
「ご苦労であった」
今作戦と前の軍令部での戦いで俺とほのかは大尉から少佐に昇進していた。
「しかし、アメリカ軍と艦娘は行方知らずか…」
「おそらく、こちらが作戦を立てる前に脱出していたのでしょう」
「まぁ、真相は闇の中、か」
「そういえば、もうすぐ訓練が終わるんでしたよね?」
気が重くなるので、話題を変える。それに高野総長ものってきてくれた。
「あぁ、もうすぐ人類は反攻に移れる。裕一君、君にも頑張ってもらわねばならない」
「はい。ご期待に添えるようこの力存分に振るいましょう」
俺は、高野総長の次の一言に驚く。
「そこでだ、裕一君。横須賀鎮守府の提督として着任しないか?」
「は?」