低ランク勇者がヌベスコだらけの世界に転移!? 〜この過酷な世界で今度こそ生き延びてやります〜   作:白黒 赤青

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2.失敗を繰り返さないよう

 あれから、かなりの数のヌベスコを見掛けるようになったが、特に襲ってくる素振りは見せていなかった。もしかするとかなり穏便なのかもしれない、とも考えたりする。

 

「な、なぁ」 

 

「何? 私達はただの生存者同士。それ以上でもそれ以下でも無いの。この場所で大きな声を出すのは辞めて。奴らヌベスコに勘づかれてしまう」 

 

「す、すまない……」

 

 かなり冷たいな……いや、この場合かなり緊張しているとも言えるのか。こんなよく分からない生物らが跋扈している世界で少女一人で生存者見つけだなんて。

 

「凄いんだな。君は」

 

「……そういうものよ。生存者同士助け合わないと生きていけないし。これ以降の無駄話は避難所で話してあげる」

 

 今はそれより。と端切れの悪い言葉で締めくくると、リーミアの周りに多くの魔法陣が現れる。

 

 すぐ目の前には蠢く謎の白い巨大な物体があった。

 

「もう一度聞く、戦える!?」

 

 横顔から伺うにかなり切羽詰った様子だった。

 

「お、おう!!」

 

 俺は剣を引き抜き、構える。

 

 声に反応したのか、蠢く巨大なスライムの様な物体は、ゆっくりと、のっしりと動き、顔と思わしき物をこちら側へ向ける。

 

「ンダバジャドボケゴベンソンゴババババWWW」

 

 人型の種とは明らかに違う点として、無駄に大きく、液状化している。ただ、顔と思わしきパーツは一切崩れることは無く、謎の黄金比の様な物で白いそれにくっついている。

 

「メガジェルベスコ……」

 

「なんだそれ」

 

「ヌベスコの変異種よ。小さい個体をミニジェルベスコ。人型種と同じぐらいの大きさの個体はジェルベスコ。それ以上に大きい個体はメガジェルベスコ。わかった?」

 

 そんな種類が居てたまるか。とツッコミたくなるが、実際いるんだからツッコむものも何も無い。

 

「わかった。で、俺は何をすればいい?」

 

「周りのヌベスコの殲滅をお願いしてもいい? 咆哮を聞きつけたヌベスコが集まってくるから」

 

 メガジェルベスコが謎の咆哮を上げた後、確かに多くのヌベスコが集まってきたような。

 

「わかった」

 

「危なくなったら何時でも言って」

 

 俺だってこう見えて勇者なんだ。落ちこぼれの低ランクではあるけど。出来る限りのことは、やってやるさ。

 

「良い目をしてる。生きてやるっていう目」

 

「まぁな。二度と失敗は繰り返したく無いんだ」

 

 何故、今確かに死んだ俺が生きているのか、分からないことだらけだが、それでも自分に出来ることがあるなら、二度と失敗を繰り返さないように。

 

「……そう。深くは詮索しないわ。今は戦闘に集中して」

 

 今一度、覚悟を決め剣を握る。

 

「ヌベヂョンヌWWW」

 

 俺はただ一直線にヌベスコ目掛けて走り出した。

 

「ンヒィWWWさよおならWWW」

 

 まずは一体!! コイツらのさよおならは最後の断末魔の様なものだと認識して良さそうだな。

 

「ヌビョWWWあいつニンゲンWWW」

 

「許さないンビョWWW」

 

 よし、上手いことヘイトを集められている。この調子で行けば!!

 

「ンギャアWWWさよおならWWW」 

 

「さよおならばいばいWWW俺はモゲロンボョと旅に出るWWWヌベッチューWWW」

 

 最後の瞬間にもその狂った感性はどうにもならないのか。それはそうとリーミアも魔法をメガジェルベスコに的中させれているようだ。

 だがそれでも如何せんダメージは入っていないように見受けられる。

 

 俺は周りにいるヌベスコを排除していっては何処からともなく増えるそれを作業のように排除していく。それはある一種の快感さえ得られる程に気分がよかった。弱かった自分が此処まで戦えるという事実に酔いそうなぐらいだ。

 

「はぁ……はぁ……そっちはどうだ?」

 

 粗方、人型ヌベスコの処理は終わり、残りはそのメガフェルベスコだけとなった。

 

 ただやはり、俺の身体はそこまで強いとは言えず、披露も激しい。

 

「うっ……厳しい……かも」

 

 メガジェルベスコは最初に見た時よりは格段に小さくなっているのが見て取れる。が、しかし体力勝負となると女性であるリーミアには厳しいところがあるか。何せ魔法は魔力も使う上に、気力や体力も持っていかれる。厳しくない訳が無い。

 

「ンニュル? ンヒヒWWWヌベの触手でヌベヌベ犯してやるンニュWWW」

 

 人型種と同じ程の大きさになったメガジェルベスコは無数の触手を体内から生成し始める。

 

 これではリーミアが……。

 

 疲労が積み重なった肉体はどうにも動かなく、俺は無双する快感からそれは絶望へと変わった。

 

 あの失敗が……フラッシュバックして……

 

「ンニュルニュルWWWヌベの高貴なる血を引いた赤さんを潔く孕むンニュルWWW」

 

「いやだ……いやだ……助けて……」

 

「ンヒヒWWWヌベを沢山虐めた罪を償ってモゲロンボョWWW」

 

 ただ、俺は這いつくばったまま……こんな……。

 

 俺の勇者という肩書きは一体なんだったんだ……? 何のための勇者なんだ……? 飾りの肩書きなのか……? そんなのじゃなかった。確かにそうだ。そんなのじゃない。俺は確かな思いを持って勇者になったんだ。

 

「来ないで!! 来ないでよ!!」

 

 

「ンヒョヒョWWW今すぐンギモチィくしてあげるんボョWWW」

 

 二度と失敗を……繰り返さないように……? いや、違う。勇者になった時……いや、それよりずっと前だ、勇者に憧れていたあの頃から……。 

 

 そうだ、俺はあの時から、もう既に決めていたんだ。

 

「おい、ジェルベスコ……」

 

 失敗を恐れるぐらいなら、無茶をしてでも行動に移せと!!

 

「ンニュルポ?」 

 

「底辺人間の底力、舐めんなよ……?」 

 

 披露なんて関係ない。今は無茶のしどきじゃないか!! さっきよりも暴れてやる……暴れに暴れて……守り抜いてやる!!

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