低ランク勇者がヌベスコだらけの世界に転移!? 〜この過酷な世界で今度こそ生き延びてやります〜   作:白黒 赤青

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3.疲労を超えて

「ンヒWWWンッヒヒWWWヌベヂョンヌWWW」

 

 その疲労しきった肉体に、これ程までに動く力など到底無いに等しいが、それでも振り絞った力の僅かな残りを、既に勝ちを確信している奴にぶつけた。

 

「イッヒッヒWWWそんなものナリか?」

 

 ジェルベスコの触手の束が、腹に直撃する。そして、俺の身は空中に投げ出された。

 

 そして地面に勢い良く叩きつけられる。生々しい音だ。あの時よりも痛々しい。

 

「ンニョルプWWWンヒョWWW……ンヒョ?」

 

「痛い……イヒー」

 

 脳が……ぐちゃぐちゃにされているようだ。だが、さっきまでとは違い、疲労を感じない。

 

「ルレウス!?」

 

「イヒヒヒ」

 

 痛い……が……これなら戦える!!

 

「イッヒャヒャヒャヒャ」

 

 全身が制御の効かない力に押さえつけられているようだ。だが、それでも疲労は感じることが無くなり、俺の身体は機械的にも奇妙に動いている。

 

「ンニュ!? 貴様……ニンゲンだったはずボギョ!? 何故……」

 

「ヌベ……ヌゾジョンヌ……」

 

 何かに操られる様な感覚だけが、今、俺に残っている。

 

 何に操られているのか、分かるわけもないまま、ただひたすらに斬っているのが感じられた。

 誰かに声をひたすらかけられているような気もするが、そんなことはお構い無しだった。

 ただ斬って、叫んで、暴れて。本当にそれだけだったと思う。

 

 

「ン……ヒィ……さよおならWWW」

 

 最後の断末魔が聞こえた辺りで、淡い幻の様な感覚から目が覚め、気を失うように倒れ込む。

 その僅かな瞬間に確認出来たのはリーミアの金色の髪色と涙ぐんだ翡翠色の瞳だった。

 

「―――ス。――ウス」

 

 耳元で確かに声がする。足や腕はまるで何か固く冷たいものに触れているようで、それでも頭は少しだけ高い位置にあるのが分かり、そして暖かく、何より柔らかい。

 

「ルレウス!? ルレウス!!」

 

 目を覚ますとすぐそこには帽子も深くかぶっていない、あの瞬間に見たような金髪で涙ぐんだ翡翠色の目のリーミアだった。

 

「よかった、本当によかったよ……」

 

 未だ、疲労が取れていないのか身体は起き上がれない。

 だが、それでも今リーミアが左手を握ってくれているのは暖かさで感じることが出来る。

 

「でも……うぅん。生きていてよかった」

 

 何か言いたそうにしているが、言わないように堪えているようだった。

 

「此処は避難所。と言っても今は私とルレウスしかいないけど」

 

「……そうなんだな」

 

 確かに天井があり、それなりに広い部屋のようだ。

 

「なぁ、不思議なことを言うようだが、俺は元々この世界には居ない存在な筈なんだよ。気付いたらこんな訳の分からない世界に居たんだ」

 

「……うん。それはなんとなく分かる。私もそうだから」

 

 まさか俺以外にもそういう事例があったのか。今思えばさっきまでリーミアが着けていた装備、俺の元いた世界じゃ見ることが無かったからな。

 

「そういえば、彼処は火事になってたと思うが」

 

 俺が最初、ヌベスコと戦ったあの場所。

 

「ヌベスコが火遊びをしたんじゃない?」

 

 そんなことあるのか……。

 

「大丈夫。此処は彼処とは相当離れているから。それに私達がいる此処は地下だしね。よっぽどのことが無い限り、此処に居れば安全なはずだよ」

 

「なるほど。というか飯はあるのか?」

 

「コンビニエンスストアっていうところからなるべく多く拝借してきた。多分食べれるものばかりだよ」

 

 コンビニってなんなんだ? 食料を置いてあることからこの世界における店のようなものか?

 

「もうどうせ人が来れるような場所じゃないし別に問題無いと思うんだけど、どうだろう」

 

「そうだな。今は生きることが優先的だ」

 

「不安点をあげるとするなら腐ったら食べられないことぐらいかな。あと、床が硬いから寝ずらそうでもあるし」

 

 そういえばさっきから気になっていたが、すぐ真上にリーミアの顔があることから察するに、今俺は男として凄く幸運なことになっているんじゃないのか?

 

「ねぇ、どうしようか、私達」

 

「流石に分かんないよ。そもそもヌベスコっていう生物自体、なんなのか分からないんだし」

 

 不気味すぎるんだよ。夜道にヌベヂョンとか言って現れたら確実に漏らす自身がある程不気味だし。

 

「とりあえず俺らは生きていかないとな」

 

 当たり前と言えば当たり前な返しのような気もするが、こんな世界に何故俺らが生きることになったのかさえ分からないんだ。つまり分からないことだらけだ。

 今は生きよう。

 

「そうだね。あ、ねぇ、膝枕どう?」

 

「……凄く心地が良いです」

 

「よかった。こんな硬い床に疲労者を横にするなんて可愛そうだから」

 

 こんなにも優しくて可愛いとは……こんな酷い世界に生きられて良かったかもれない!! それにこの角度だったら胸が半端じゃない大きさで見える。ヤバい、下の俺が反応してしまったらこれ以降に顔を合わせるのが気まずくなりうる。

 

「本当にカッコよかったから……さ。助けてくれたお陰もあるかな。普通、こういうのはしないから私」

 

 ヤバい、普通に死にそう。我慢が出来なそう……。

 

「……こっち見ないでよ……恥ずかしいんだけど」

 

 リーミアが頬を赤らめている!? ヤバい、死ぬかも。

 

「ルレウス!? ルレウスゥ!?」

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