DQ8 オーブと罪びとの旅   作:ぽんぽんペイン

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DQⅧの三人(二人と一匹)の罪びとが、女神の命によってお使いの旅に出ました。ゴルドからボロい小舟を漕いでようやく陸地にたどり着きました。


旅の始まり

「マルチェロの旦那ぁ、これからどうするんです?」

「黙れ」

 

「兄さん、夜まで待ちましょう。とりあえず、安全そうな草原に案内します」

「うむ」

 

「旦那ぁ……俺ぁ腹が減って腹が減って……」

「道化師! 我慢しろ! ガウッ!」

「いてっ! バカ犬め、何しやがる!」

「いい加減にしろドルマゲス! レオパルド、ほうっておけ!」

「アイサー」

 

 

二人と一匹のパーティーが、ゴルドから小舟を漕いで、大きな毒沼がある土地へ流れ着きました。

 

「兄さん、ここへ……」

黒い大きな犬、レオパルドは、盲目の主マルチェロを柔らかそうな草の上に誘導します。

 

「お前は優秀な盲導犬だな」

「何をおっしゃる……それより俺なんかを信じて下さってありがとうございます」

見えない目を空へ向け、マルチェロは傍らの犬の背を撫でました。レオパルドはうっとりしています。マルチェロとレオパルドは、すっかり主従関係が成り立っているようです。無能な付き人ドルマゲスは、その二人の側でだらしなく寝そべりました。

 

「旦那ぁ、俺ぁ腹が減って腹が減って……」

「貴様っ! 同じことばかりうるさいぞ、ガウッ!」

レオパルドはドルマゲスを片足で踏みつけ、牙を剥きます。

 

「レオ、ほうっておけ。食料の調達はドルマゲスしかできないのだ。役には立つ」

「アイサー」

レオパルドは忌々しげに蹴りをお見舞いし、再びマルチェロの傍らに伏せました。

「む……どうした、レオ? どこか痛むのか?」

マルチェロは、レオパルドの様子がおかしいことに気づきました。

 

「いえ……」

「おい、犬、足がいてえんだろ? 旦那、こいつ左後ろ足の肉球をずっと舐めてますぜ」

「何だと……。レオ、ちゃんと言え。夜になったら……月が昇ったら治療してやる。お前は私の目なのだ。大事にしてくれ」

「兄さん……。かたじけない」

 

杖のせいとは言え、暗黒神ラプソーンの封印をとき、ゴルドを崩壊させてしまったマルチェロ。ラプソーン討伐隊を陰でサポートし、女神の秘宝を届けるという特命を言い渡されたのです。

マルチェロは、月明かりの下でしか目が見えないという試練も加えられ、案内人に杖の力を我が物にしようとした愚かな道化師ドルマゲスと、習性によって落ちた棒を拾っただけなのに杖に翻弄されてしまった犬レオパルドを伴に、その旅に出たのでした。

 

「俺ぁ疲れました。宿に泊まりてぇ」

「犬を入れてくれる宿などない。それに、ゴールドもない。それに、ここがどこなのか皆目見当がつかん。ドルマゲス、お前は一体どこを目指して舟を漕いでいたのだ?」

「えー? そんなのわかりませんよ……潮の流れに乗って漕いでただけですから」

ドルマゲスの無責任な発言に、マルチェロは深いため息をつきました。

 

ゴルドを出てからずっとドルマゲスはこの調子で、足が痛いの腹が減ったの文句ばかり言っているのです。

 

「宿がだめなら、せめて飯だけでも……」

「兄さん、俺なら大丈夫です。町の外で待ってますから。とりあえず魔物でも倒して宿代かせぎましょう」

「この犬! いいこと言うな!」

「俺に触るなっ! ガウッ!」

レオパルドは、気安く背を叩いてきたドルマゲスの右手を思い切り咬みました。

 

「痛てぇー! 何しやがる、バカ犬!」

「いい加減にしろ! ……全く……なぜオディロ院長のかたきと共に旅をしなければならないのだ……院長様はこんな男に殺されたのか……」

「旦那ぁ……その節はすみませんでした。俺が妙な考え起こさなけりゃ……」

しゅんとするドルマゲスにレオパルドが言います。

 

「ドルマゲス、仕方ねえよ。あの杖は暗黒神。支配されたんだ……。俺だってチェルスや婆さんを……」

「レオパルドぉ……でもよ、俺はあの力を利用しようとしたんだ。暗黒神の杖なんて知らなかったけど、とてつもない力が手に入るかもってよぉ……」

ドルマゲスは肩を小刻みに震わせ、必死で涙をこらえています。哀れをさそうその姿には、闇の遺跡で見せた荒々しい第二形態の面影はみじんもありません。同じ罪を犯してしまったマルチェロもレオパルドも、胸が痛くなりました。

 

「とにかく、私は月の光の中でしか魔物を倒せない。ゴールド稼ぎは……誰だっ!」

マルチェロが不意に辺りを警戒します。

 

「ひいっ、誰だよぅ……せっかく休んでるのに!」

「兄さん、魔物です」

すっくと立ち上がったレオパルドが少し離れたところを見て言いました。

 

「ななな……なんだってぇ?」

ドルマゲスは情けない声を上げ、腰を抜かしてしまいました。

 

「兄さん、女が魔物に襲われています!」

やめろ! 放せ! という真に迫った声がマルチェロの耳にも入ってきました。

 

「レオ、行けるか?」

「もちろんです」

レオパルドは声のする方へ華麗に走って行きました。

 

「だだだ……旦那ぁ、レオパルドがいないと俺たち……」

「心配するな。じきに月が出る……」

マルチェロの言う通り、うっすらと白い月が姿を見せ始めました。マルチェロはカッと緑の目を見開き、レオパルドの助っ人に走ります。ドルマゲスも、一人取り残されてはたまらんと、必死でマルチェロを追いました。

 

「はやぶさ切りっ!」

マルチェロは電光石火の勢いで、2体の魔物を倒しました。

 

襲われていたのは女で、ゆっくり立ちあがると、服の汚れをはたいて言いました。

「誰だか知らないが、助かったよ。恩に着る……あたしはゲルダって、しがない盗賊さ」

「何? 盗賊……って、ちょっとあんた血がっ! 俺ぁ血ぃ駄目だ……」

ドルマゲスがふらつく横で、ゲルダが腕からだらだらと血を流していました。

 

「大丈夫だ、このくらい……」

気丈に答える女に、レオパルドも心配そうにしています。

「ホイミをかけてやろう」

マルチェロが手をかざすと、みるみる血が止まり、傷口もきれいに消えてしまいました。

 

「ちょっと、何だい? 兄さん、魔法使いかい? ……いや、本当に助かったよ。……ところで、兄さんたちは旅の人かい?」

「そうだ」

「……この辺は物騒だ。良かったら今晩うちへ来な。すぐ近くなんだよ。馬小屋でよきゃ泊めてやるよ。干し草のベッドがある。見張りの者もいるし、安全だ」

 

 

そんなわけで、一行は女盗賊ゲルダの家に厄介になることになりました。

 

 

「へえ、勇者様を探しにねぇ。そりゃあ難儀なこった……」

ゲルダにこってりした夕食を振る舞われ、マルチェロは事情を適当に語りました。

……自分は、宙に浮かぶ暗黒神の呪いのせいで目が見えなくなった。暗黒神を倒そうとしている勇者様に激励の言葉をかけたいのだと。

 

「……勇者様ってのは4人組で、小僧とチビデブとチャラ男と小娘だって? 妙というか胡散臭いというか……頼りになりそうにない奴らだね……あたしじゃ申し訳ないけど、そいつらのことはわからない。まあ、今日はゆっくり休んで行きな」

二人と一匹は馬小屋でゆっくり夜を明かしました。

 

翌朝、ゲルダにこってりした朝ご飯を振る舞われ、意外とこの旅はうまくいきそうだと少し思い始めたマルチェロ。ドルマゲスも朝からこってり料理をおかわりし、嬉しそうです。さっさと朝ご飯を済ませたレオパルドは、外で見張りのマッチョと仲良くじゃれあっていました。

 

「……ここから一番近い町はパルミドだ。北へどんどん上がっていけばいい。途中、教会があるから休めるよ。命を助けてもらったのに、あんまり力になれなくて悪かったね」

「何の。一飯の恩、決して忘れはしますまい」

「そうかい……そうだ、いい物やるよ……キメラの翼だ。珍しい物じゃないが、たくさんあるから……」

「それはかたじけな……っ!」

「ちょいと! どうしたんだい?」

マルチェロは突然眉間を押さえました。

 

「ゲルダ殿、世話になった……」

マルチェロは差し出されたキメラの翼を震える手で受けとり、家を出た瞬間、高く投げました。

 

あっけにとられるゲルダの目に、会いたいんだか会いたくないんだか微妙な関係の男の姿が見えてきました。もちろんその後ろをいつもと同じメンツがぞろぞろ着いてきます。そういえばヤツの旅の仲間は、今しがた聞いた勇者一行と同じ構成だとゲルダは思いました。

 




こんな感じでドタバタしながら旅が続きます。次はパルミドに行きます。
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