俺とアタシの居場所《一応 完結 》   作: 紅葉 

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そんなのどうでもいいから早くして、って声が聞こえてきそうなので……、最新話いきまーす!


騒人と暇人は持ちつ持たざれつつ

 

 

 

 

 東の空に大きな太陽が登り始め、空を青紫色に染めていく。リサの家でメシを食べた時から既に5日が経過していた。相変わらず、時間を浪費させる夏休みというもの。ここまで来ると、"学校に行く"という毎日、強制させられながらする何か物事があった方がいい気がしてきた。

 

 

「8/31か……。夏休み最終日……」

 

 

 この日、つまり、夏休み最終日。この日は人によって、天国と地獄が別れる日。そして、その審判がついに下されようとしていた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──第9話:騒人と暇人は持ちつ持たざれつつ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「頼むっ!!!」

 

「おい、知夏良……。去年、全く同じ光景を見たよな……?」

 

 

 八月末のカンカン照りの太陽が降り注ぐなか、伊月家の玄関では奇妙な光景が繰り広げられていた。玄関先のコンクリートに頭を垂れるものと、扉をほんの数cmほど開け、目だけを出す者。

 

 そして、お察しの通り、頭を垂れるのは数日前、俺にメッセージを送り付けてきたのは知夏良、佐山 知夏良だ。こいつと言うやつはかなりいい加減ということだけ覚えておいてもらえればいい。

 

 

「そ、それは……」

 

「その時、お前、なんて言ったか覚えてるか?」

 

「お、覚えてません!!」

 

「こう言ったんだよ……。『もう来年は絶対忘れないからっ!!お願いしやす!!』えぇ?おい」

 

「…………来年は絶対忘れないから」

 

「〇ね」

 

 

 バタンと扉を閉め、ガチャリと鍵をかける。別にいじめてるわけでもなんでもないんだ。むしろこっちがストーカー被害にあって苦しんでる。そこの所、お間違いなく。

 

 俺はリビングに戻り、カーテンを閉め、窓も閉める。特にやることもないのでソファに寝っ転がり、スマホを開く。外から『入れろ!見せろ!男の友情!!』と三三七拍子的に言ってくるあいつの馬鹿な声が聞こえてくるがこんなのはガン無視だ。イヤホンをつけ俺は自分の世界に……、

 

 

〜♪!!

 

 

 タイミング悪ぃな!!いいか!?俺は今だな……!!はぁ、もういい。とりあえず、誰だよ?…………リサか。画面に表示されたのは、これまた三日前ほど前に電話がかかってきたアイツだ。

 

 

『あっ!もしもし!?今から遥都の家いっていい!?』

 

「はあっ!?」

 

『しゅ、宿題でやり忘れてたやつがあって……』

 

「だからって、なんで俺の家なんだよ!?」

 

『アタシの部屋のエアコンが壊れて、勉強どころじゃない暑さなの!!それで、Roseliaのみんなに聞いたんだけど、みんな予定合わなくて!!』

 

「知らねぇよ!!とにかく、今日、俺は……!!」

 

『じゃ、15分後にねー!!』

 

「ちょ、おいっ!!!」

 

 

 …………切りやがった。やったぞ、あの野郎、やりやがった。このタイミングで……。

 

 

「…………ふ、ざ……、けんなーーーーーー!!!」

 

 

 家の中で1人で叫ぶ俺の声は虚しく響くだけ。あ、いや、それどころじゃなくてだな。よく思い出そう。いま、なぜ、俺はこんな真昼間にカーテンを閉めた?そう、あいつがいるからだ。そして、そんな状況でリサなんてやつが来たりでもしたら……。俺にとって不利益なことしか起こらないのは目に見えてる。

 

 ここで、俺に与えられた選択肢は2つだろう。まぁ、どちらを選んでも嫌なものにはなるんだが。

 

①知夏良を入れて、リサには友達が来てるからと帰ってもらう

 

②知夏良を友達が来るからどこかに追いやり、リサを入れる

 

 この2つだ。家を出て、2人と合わないという手段もあるのだが……、あいにく、今日は俺がネットで注文したあるものが届く。それは親にも秘密で買ったやつなので、今日、受け取れず、後日配送で親にバレるということを避けたいのだ。しかも、結構大きなものでセットに時間もかかるしな。夏休み最終日にやっておきたい。

 

 さて、どちらを選ぶかだが……、もう決めている。①だ。なぜ?リサの方が居座られる可能性が高いからだ。本気で夏休み最終週ぐらいゆっくりしたい。そして、知夏良の方がそれは最適なのだ。だって、知夏良は答えさえ渡せば、写して帰るだけなのだから。

 

 

「おい、知夏良」

 

「えぇっ!?やらせてくれるのか!?」

 

「いいから、早く入れ」

 

「ま、まじか……。あの、遥都が……!!」

 

 

 扉をあけ、いそいそと迎え入れ、リビングに通してやる。「ここに座っていろ」とだけ言い残し、俺は自分の部屋にいき、宿題を取ってきてやる。全てはこの後、休むためなんだ、我慢しろ、俺!そう言い聞かせ、階段を上る。

 

 

ピンポーン

 

 

 そう言い聞かせているうちにリサがくる。よし、このまま居留守を使えばいい。最悪、友達が来ているからといえば……

 

 

「あれ?今井さんっ!?」

 

「あれ〜!?佐山じゃん!?」

 

「何してるの?あー、良かったら入って、入って!」

 

「イェーイ!!ありがとっ!!」

 

 

 …………終わった。あのクソガキ、人の客をサッと対応して、中に入れやがった。1階から聞こえてくるその声に俺は絶望を隠せないでいた。

 

 とはいえ、このまま2階に居たって、二人の滞在を長引かせるだけだ。俺は重い足を引きずりながらも1階に降りた。

 

 

「お、遥都!!持ってきてくれた?」

 

「お邪魔してま〜す!」

 

「…………ほれ」

 

「おぉー!!遥都、サンキュ!!…………なんで、そんなローテンションなんだ?」

 

「お前らのせいだろがぁ!!!」

 

 

 こいつらキライ!!人の家、溜まり場にするんじゃないよ!!

 

 

「……というか、知夏良って、そんなリサと仲良かったか?」

 

「んー、どーなんだろ?少なくともお前よりは仲良くないよ?」

 

「なら、なんでよ?よく覚えてたな?」

 

「そりゃね〜、Roseliaの名前くらい、ギターやってたら聞くし?ここら辺で急速に成長してる5組のガールズバンドの一角。しかもその中でもぶっちぎりの実力を持っているとなれば、ね?」

 

 

 そーいや、こいつ、ギターしてたわ。何気に弾き語りとかをサラッとやるのがムカつく。高一の頃は「音合わせしよーぜ!」とか、うるさかったな……。

 

 にしても、Roseliaはそんなにだったのか……、いつか聞いてみたくもなってくる。とは言っても!!今回のこととは無関係だ!今はとにかくだな、勉強を!!

 

 

「えー!!アタシ達のこと知ってたんだ!!」

 

「そーそー!自分は1回、ライブも見に行ったことあるよ?」

 

「えっ!?いつ!!??」

 

 

 ……このコミュ力お化け達め!!勉強をしろ!宿題を終わらせてくれー!!!俺は今日、ゆっくりしたいんだ!!俺はジロリと2人を睨めつけ、その上で大きく咳払いをする。

 

 

「わぁったよ!!やるよ!!」

 

「次、騒いだら、ぶっ飛ばすからな?」

 

「へいへーい」

 

 

 知夏良はテキトーな返事をして、渋々答えを写し出す。リサはリサでようやく、やってなかったであろう、教科書とかを取り出した。そーいや、リサの宿題ってなんだったんだ……?

 

 

「リサの宿題ってなんのことだったんだ?」

 

「あ、それはね。これだよ、これ!」

 

「なんだそれ?」

 

 

 これは、あれだな、うん。スケッチブックだ。つ・ま・り……、美術か……?

 

 

「身近な人の絵を書いてくる!!」

 

「はぁっ!?」

 

「お母さんとお父さんは今日、仕事だから夜まで帰ってこないし……、友希那もどっかいっちゃったし〜、頼めるの遥都しかいないかなあ〜って!!」

 

 

 ヘラっとした口調でそんなことを言うリサ。なぜだ!?なぜ、俺を書く!?

 

 

「ほ、他にバンドメンバーとかいたろ?」

 

「あこはジッとしてくれなさそうだし〜、燐子はそもそもモデルを嫌いそう!あとは、紗夜なんだけど……、万が一宿題をやってないことがバレたりでもしたら……。ね?」

 

 

 …………また、紗夜さんね。その人はどんな鬼教官なんだよ……?一度会って話をしてみたいものである。そして、今回や前の宇田川さんのことを暴露して……、うん、よいよ、よいよ。

 

 

「というわけで、遥都よろしく〜!」

 

「断ってもやらすだろ?」

 

「モチ!!」

 

「リサもぶっ飛ばしたくなってきたよ……」

 

 

 俺は大人しくリサの言うことを聞くことにした。皮肉なことにこれが、この今井リサを追い出すのに一番いい方法なのだから……。知夏良はほっといても、そのまま丸写しなんてアホな真似はしないだろうし、いいだろう。

 

 そして、俺はリサの正面に座り固まった。そこからは、リサがなんだかんだ言ってはきたものの無の境地に達し、菩薩となった。

 

 

 

 

 

 

*** ***

 

 

 

 

 

「出来た〜!!」

 

 

 あれから30分。知夏良の宿題も写しおわり、あとはリサの絵を待つのみとなった。鉛筆による下書きから始まり、その後、絵の具で色を付けていて、被っているのがベレー帽と言うこともあり、地味に上手そうに見えたのが恨めしい。なぜ、恨めしいかというと……

 

 

「お、今井さん!遥都の絵完成したの!?」

 

「うん!ほら、見る!?」

 

「見せて、見せてー!」

 

「はいっ!ほら、遥都も!」

 

 

 おっふ…………。相変わらず、リサの絵は酷い。首がない。体がやけに小さく、頭がバカでかくみえる。知夏良も察したらしく、左頬が引きつっている。

 

 

「どうかな!?」

 

「え?あ、あぁ!!いいと思うぞ!?な、遥都!!」

 

「俺に振るなよ!!あれだろ?ほら、天才にしか見えない世界って言うか……、ほら!!ピカソとかもそうだから!」

 

「だ、だな!!」

 

 

 果たして、こいつは自分が今書いた絵で俺らが困っていることに気づいているのだろうか……?中々に酷いものだぞ?

 

 絵を描き終わったリサは、ようやく苦しみから解放されたのか、鼻歌を歌いながらうろちょろしだした。これは、このまま居座られる感じか……?

 

 

「あ、じゃあ、自分は用が済んだし帰るわ」

 

「え?お、おう。」

 

 

 こ、これは、一体……?100%帰らないと思ってた、知夏良が帰ると言い出した。何が起きて……

 

 

「ちょっ!?佐山!?何考えてるの!?」

 

「え〜?なにも〜?」

 

 

 白々しい程の棒読みでリサに返す知夏良。こいつら、一体何を考えてやがる?知夏良はいそいそと荷物をまとめて、玄関に向かう。俺は一応、見送りだけでもと、知夏良のあとをついて行く。

 

 

「ア、アタシも帰る!!」

 

「はぁっ!?」

 

 

 またもや、突然のカミングアウト。こ、こんなに願い通り物事が進んでるなんて、おかしくないか……?いいや、この後、なにかある!!そうに決まってる!!リサは知夏良のあとについて、慌てて、外に出ていく。

 

 

「なんだよ!?せっかくの機会なんだから」

 

「無理無理無理!!絶対無理だから〜!!」

 

 

 リサと知夏良が何やら小声で言い争うのが見えるが、特に気にもならないので放置。それよりも今はこいつらを追い出してさえしまえば俺の理想郷は帰ってくるのだから……!!

 

 

「じゃあな〜!!」

 

 

 俺は勢いよく、扉を閉めて1人になる喜びを噛み締める。これぞ、まさしく、俺が求めていた至高の空間。これに勝てるものは無い。ソファにダイブし、ノートパソコンとテレビを繋ぎ、大きな大画面で好きな動画を流す。そして、冷蔵庫から冷えたレモン水、これぞ夏の楽しみ方ってな。

 

 が、理想郷とは理想であるからそこまで天国なものである。そして、そんな理想というものはそう簡単にできるものでは無いから理想と呼ばれるのだ。

 

 

「ただま〜」

 

 

 玄関の扉が空いたと思ったら、何故かやつがそこにいた。そう、佐山知夏良とかいう害虫が。

 

 

 

 

 

 




「こんちわ〜!」
「おー、佐山くん!初めまして〜」
「こちらこそよろです!」
「いやぁ、君みたいな明るい人相手だと書きやすいね〜!」
「でしょっ!?だから、次回からタイトル変えましょっ!?『佐山知夏良とハーレム高校生活!』って!」


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