あ、前回言おうと思っていたんですけど、お気に入りが、250も突破しました!ありがとうございます!!
「あ、二人とも話し終わった?」
氷川さんとの話が終わり、リビングに戻る俺達。そこには、ゲームにも飽き、そこら辺の雑誌すら飽き、冷蔵庫の前に立っていたリサがいた。
「お前、人の話聞いてたか……?冷蔵庫漁るなって言ったよな?」
「アハ、アハハ……」
溜息をつきながら俺は元々座っていた位置にもどる。氷川さんはと言うと、自分のカバンを握り、帰り支度を始めていた。
「ねぇ、遥都。紗夜のこと、どう思った?」
「なんだよ、いきなり…………」
──第12話:暇人は気づいてしまう
「だ〜か〜ら〜、紗夜のこと、どう思ったのかを聞いてんの!!」
リサの気まぐれか、俺はなぜかいきなりリサに問い詰められていた。しかも内容がかなり答えにくいもの。理由としては、抽象的であるということもあるのだが、何よりも、本人が目の前にいることだ。本人が目の前にいるのにそんなこと言えるか?
「二人きりで話してしたんでしょ?そしたら、少しはなんか思うところあるでしょ〜!?だって、二人きりで話してきたんだから!」
「あのな〜…………」
「ちょっと、今井さん!!」
顔を赤くして怒る氷川さん。そりゃそうだろう、いきなり俺が嫌な態度を取られたんだからそんなこと聞きたくもないだろうしな。
ちなみに言うと、あの冷たい態度はわざとだ。昔からよくとっていた態度のひとつなんだが、明らかにいつもと違う雰囲気を醸し出すと、相手は動揺してそれ以上踏み入れてはならないって思い込んでくれるのだ。そうすると、俺自身も話さなくて済むし、相手も聞いてこない。まぁ、たまに例外的なのもいるのだが……。
まぁ、そんな理由もありあんな態度をとったわけだが、そんな態度をとった上で『どうだった?』と聞かれてもな……。正直答えにくいこと、この上ないな。
「もう!!じゃあ、紗夜の後に言ってもらうからね!?ということで、紗夜!遥都と実際に会って喋って、遥都のことどう思った?」
「わ、私ですか……?そうですね………。正直、まだ分からないという方が正しいですね。けれど、今井さんがバンドの時と同じくらい、あるいはそれ以上にはしゃいでいる所を見るとそれなりにいい人なのかもしれませんね。」
「た、楽しそうって……!!」
「えぇ、非常に楽しそうですよ?」
淡々と答える彼女は落ち着いていて、どこか吹っ切れたような表情へと変わっていた。さっきの怖い氷川さんはどこへ行ったのやら……。それともなにか考え直してくれたのか?
「な〜るほど……、なら、遥都は?」
「仕方ねぇな……。氷川さんのことだろ?そうだな、とても落ち着いた人だと思った。それでいて、いろんな意味で賢いし、芯がある。しっかりとした人だなと感じたかな」
リサや本人の手前、好印象の部分のみを上げてやり過ごそうとする。氷川さんとお互い探り探りといった感じだが、まぁ、こんなものだろう。
「ふ〜ん、なら良かった!お互い、少しはいい印象持てたみたいだし!」
「お、お互い……?どういうことですか?今井さん」
「紗夜はね?もし、今日、遥都に会わなかったら、遥都の中で紗夜は鬼教官というレッテルが貼られたまんまだったんだから〜」
笑いを堪えながら言うリサに対し、ワナワナと震えている氷川さん。あれ……?これ、リサが爆弾を投げた気がする。
「ど、どういうことですか?今井さん……」
「いや、だからさ?あこがこの間宿題を教えて貰った時ね?紗夜に怒られる〜って連呼してたから、遥都の中で紗夜は完全に怖い人扱いになったってこと」
「〜っ!!?」
ジロリとこっちを睨む氷川さん……。やば、これは怖い……。というか、俺、悪くなくね!?いや、だって、あんな話聞けばそうなるから!!
「はぁ……、どうしてそんなに誤解が生じるのでしょうか……」
「友希那もそうだもんね〜」
え?今、ゆきなって……。ちょっと待て、それって……。けど、リサが言うゆきなってのは……!!いや、ゆきなって名前くらいどこにでもいるだろう。まさか、同一人物なわけが……。
「伊月さん、どうかしました?表情が一気に曇りましたが……」
「ホントだ!遥都、大丈夫?」
「い、いや、なんでもない……」
「なら、いいんだけど……。それでさ、友希那も紗夜も最初は誤解されやすいからね〜。ホントはいい子なのに!」
「やめてください!確かに私も湊さんと初対面の時はそう思いましたけど……!!今は同じバンドメンバーとしてこれ以上ないくらい敬意の念を持ってますよ!?」
っ!!!???
湊……、友希那……。決まってしまった……。あいつじゃねぇか……。こういう時、物事は転んで欲しくない方へ転ぶ。そんなことはわかってはいたが……。心臓の鼓動が早くなる。まるで、タイムリミットを数えているように……、バクバクとなる鼓動に俺の身体に嫌な熱が籠る。
「な、なぁ……、リサ。もう一度確認させてくれ……。Roseliaだったっけ?リサのバンドの最後の一人って……、」
「…………そう、友希那。湊友希那だよ」
数秒前までとは打って変わった、落ち着いた声でそう答えたリサ。氷川さんさんは何が起きたのか分からないような表情でこちらを見ている。でも、俺の雰囲気が変わったのは感じ取ってくれたらしい。ここは話に入ってはいけない所と察したのか、口を挟まない。
俺も喋ることはしなかった。時を計ったように降り出した夕立の音だけがリビングの中に響く。湊さんか……、あの人、まだ、音楽を続けてくれたんだな……。安堵を憶える一方で、二度と関わってはいけない人間だと思っていた人がかなり近くまで来ていることへの動揺が隠せない。そんな雨音が響く中、リサがようやく口を開いた。
「遥都はまだ友希那のこと、苦手なの?」
過去、もっと詳しく言うとあの事件以来、俺は湊さんとまともに関わっていない。その理由をリサにはこう話した。俺が湊さんと話さないのは湊さんと関わりたくないからだ、と……。これは事実と言えば事実だ。リサはこれを俺が湊さんのことを苦手と取ったのかそういう訪ね方をするようになった。
「…………まぁな」
「でも、友希那は、!!…………ううん、やっぱりなんでもない。……アタシ達、帰るね」
リサは何かを言いかけたが、口を噤んでしまう。そして、そのまま帰る用意を始めてしまっていた。俺自身、何か、リサに問いたいわけではない。だが、最後のリサの態度によって何かしらの引っかかりが俺の中で生まれてしまった。湊さんが俺に対して……?
「あ、そうだ。遥都、今度また日程は連絡するけど……、土日って基本暇だよね?私達のライブ見にこない?別にこっそりでいいから」
「え……?Roseliaのライブ?」
「そう。遥都も見たいんじゃない?」
「そう……、だな……。考えとくよ」
返事を少し渋りながらもせっかくのおさそいなんだから、とそう答えてしまった。正直に言うと、あまり気は進まない。別にバンド音楽が嫌いとかリサのことが嫌いとか、そういう訳じゃない。リサが湊さんと同じバンドだと分かってしまった以上、俺自身が湊さんと関わることを避けたいのだ。湊さんと関わりが近いリサとも避けたい所ではあるが……、ある程度の距離感でいい。
「…………もう。遥都は相変わらずだね〜……」
「なんだそれ……」
「物事をハッキリと言わないところ、悩んでることを他人に相談しないこと、独りよがりなとこ、相手の期待に答えてくれないところ、まだまだあるけど聞きたい?」
「遠慮しとくよ……」
笑顔で嫌味ったらしくそういうリサは靴紐を結ぶ。リサが結び終えると、紗夜がスピーディーに靴を履き、カバンから折りたたみ傘を取り出した。そのまま、リサと紗夜は玄関から挨拶だけして出ていった。
ドアを開けたことにより、一瞬だけ大きく聞こえる雨音。少し寂しげに感じたりもするが俺は気にしないようにリビング別に引き返そうとした。そんな俺の脳に急に何かを感じ取る。
『なんてことしてくれたの!?』
『お前は何を考えていたんだ……』
『申し訳ないですけど……、教師側としても……』
『お宅の息子さんはなんなのですか!?』
クソっ…………。不意に頭の中に流れ込んでくるその声と目に映るその映像。レトロな映画のようにノイズも入ってはいるが、鮮明に覚えている。
この玄関で帰ってきたと同時に親に怒鳴られた。やっと解放されたと思ったら帰ってきた父親にリビングに呼び出され正座をさせられた。そして、最後には粗品を持って病院にいる、あいつらの所へ謝りに行った。あの悪夢のような一日。呆れて涙すら出なかった。ただただ周りを恨んだ。あの日、俺は周りへの優しさというものを捨てる。俺の周りにはそういう人しか集まらないのだから、いくら、心を開いても無駄だ。だから、心を閉ざすと決めたんだ。
そう言えば、あの時もこんな雨だった気がした……。家での俺の居場所を奪ったあの日、学校での俺の居場所を奪ったあの日、中学校での居場所すら奪ったあの日。
「久しぶりにこれ、思い出したな……」
話としてはひと段落といった所でしょうか!!
最初は30話位で終わらす予定だったこの俺とアタシの居場所、どうやらもう少し長くなりそうな予感……!!ということでお付き合いお願い致します!!
前書きで書いた感動した作品というもの、感想か何かで訪ねてくれた方にはお答えしますので良かったら是非!!
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