少し色々立て込んでて、なかなか時間が、取れないんですよ……
こんな、物語の方もいい所なのに、何をしてくれてるだ!って言うね……、
あ、そんな間にお気に入りが300を優に超え出ました。ありがとうございます!!
「遥都はね、あの時……、『俺は友希那とはできるだけ関わらねぇ』そう言ったんだよ……?」
完全に繋がった。あの夜のことを全て思い出した。そうだ、俺はあいつに電話でそう怒鳴った。けど、それでなんで友希那が……??そもそも、あいつ自体、俺と関わらない方がいいと思ってるはずだぞ?だって、俺は当時"暴力的な残虐な男の子"、これが俺に貼られたレッテルなのだから。
一方で、他の3人が少し青ざめた様子に一変する。とても、先程まで仲良さげに会話を楽しんでいた人とは思えない。これは一体……??
「その時の友希那の気持ち、わかる……?」
「…………」
──第16話:暇人は知らなかった
「その時の友希那の気持ち、わかる……?」
俺はリサの質問に答えることが出来なかった。何パターンも考えた。
『関わらないでくれて嬉しい』は?それは無いだろう。もしそうなら、そもそもトラブル自体起きてないのだから。
『久しぶりに俺と会って、不快だった』それなら、リサがわざわざ、喋った言葉までリピートする必要はないなずだ。俺と会った事実だけを伝えればいい。
なら、なぜだ……?なぜ、そんなことを聞く?頭を抱えたまま俺は頭を必死に巡らせる。
「出ないようだし、答えを言うね……。"辛い"んだよ……。」
「え…………?」
最も予測していなかった答えがリサの口から出てきた。"辛い"…………?な、んで……?俺はあいつのためを思って……。
「遥都は友希那が遥都のことをどう思ってたか知らないと思うけど……、友希那はね、遥都に対して、"私に音楽を続けさせてくれた大切な人"って程、思ってるの。」
どういう……!?なんで!?俺がいたから、あいつは……!!それなのに、どうして俺が感謝をされる!?違う……、これは、何かの間違いだ!!
そんな俺の葛藤を他所にリサは続ける。
「でも、友希那は口下手だし、プライドも高いから、お礼の一つも言わなかったみたいだけどね……。けど、友希那自身も変わってきてる。あの子はあの夜、ずっと、言えなかった、"ありがとう"を言おうとしてたんだよ?そんな相手に跳ね除けられたら……!!」
リサが放つ言葉は少し嗚咽が交じる。俺が顔を上げるとリサの頬には涙があった。それでも、必死に押し殺しながら言うリサに何かを突き動かされる。だが、それでも、俺の口が開くことはなかった。それは、リサの言葉が衝撃的すぎたからか、あるいは話したくなかったからか、それは俺にもわからない。
「………………友希那のこと、助けてあげて」
しばらくあった沈黙。その後に、リサの掠れた小さな声がポツリと聞こえる。それは、紛れもなく、リサが今、最も叶えたいこと、
「俺が……、そんな、こと……、したら……」
「アタシはあの事、少しだけだけど、後から聞いた!けど、それは全然、遥都のせいじゃない!!むしろ、遥都のおかげで友希那が完全にダメにならずにすんだんだよ!?」
あの事、リサは知っていたのか!?なら、尚更!!俺はようやく開いた口をさらに動かす。知られているなら尚更、俺は湊さんと関わるべきじゃないんだよ!!
「そんなことないから……!」
「そんなことある!!遥都がやってくれないと……、いや、遥都じゃないとダメなの!!」
「でも……」
「『でも』じゃない!!しっかり、"今"を見て!!アタシも友希那も、遥都に嫌な気持ちなんてこれっぽっちも持ってない!」
「"今"、を……?」
「そうだよ!!言ってるでしょ?当の本人の友希那がそう言ってる!!その親友のアタシもそう言ってる!!アタシと友希那、両方とも、遥都に対して感謝の気持ちしかないの!!!ずっと、ずっと……、言いたかった……!!『遥都がいてくれてよかった!!ありがとう』って言いたかった!!」
ガチャン……!!!
鉄の枷が冷たい音を立てて崩れる。冷ややかな鉄の感触から温もりへと変わる。それは、人に必要とされる喜び、人に感謝をされる喜び……、俺が永らく忘れていた、いや、自ら捨ててきたものだった。
今度は俺の頬に涙が伝う。それは無意識。感情よりも先にでてきたその涙は止まることを知らない。初めのうちは、一粒、二粒と。だが、気がつくと留めなく流れていた。
「遥都の涙、久しぶりに見た……!!やっと、遥都の本音が聞ける……!!」
リサが涙を拭いながら、笑顔を作りそう言った。俺もいつも通り言い返そうとはしてみるものの、上手くいかない。なぜなら、約5年、その間、流してきたはず涙が一度に溢れてきているのだ。止めろというのが無理な話だった。
あれから何分たっただろうか。外はもう完全に日が沈み、ネオンが煌めき出している。店内も晩御飯として食べに来ていたお客さんはほとんど消えていた。
「遥都、少しは落ち着いた……?」
「リサもな……」
ようやく、落ち着きいつもの感じに戻ることが出来た二人。涙を流したせいもあり、目は赤く腫れていた。だが、その表情はどこかスッキリしていて、迷いや重荷、そういったものが消えていた。
「あの、遥都。アタシからもう1つだけお願いしてもいい?」
「ん?」
「ここにいるアタシ達に"あの事"について話してあげてほしいの。今回、こういうことが起きたわけだし、友希那と同じバンドにいる限り、無関係じゃないと思うから」
「リサはどこまで知ってるんだ……?」
「友希那から聞いただけだから本当に一部だけ……。でも、遥都のあの頃の変わり様とか、傷の増え方とか見てたらもっと大きなものだってことぐらいわかるから!真実のことを聞きたいの!…………ずっと、ずっと、遥都の力に、なりたかったんだよ」
一瞬、顔が強ばる。リサが知っていたという事実、それなら今までどうして隠してきたのだろうか、そう思う自分もいたが、それ以上にリサに気を使って欲しくなかったのだ。そう思い、俺はリサには無理をしてでも隠そうとしてきた。
だが、リサの想いは違ったらしい。俺は迷惑をかけたくない一心だった。けど、リサはどうやらそうじゃなかった。"俺の力に"それが彼女の願いだったらしい。それがわかった途端、強ばりは消えていた。今の俺の周りにあるのは"温もり"。表情をそのまま凍らせてしまうような冷たさではない。迷いはしたものの、答えはすぐに出た。
「…………わかった」
「ホ、ホント!?」
「けど、条件がある……。友希那の前で言わせてくれないか?これでもう、あの件にケリを付けたい」
「い、いいの……?むしろ、こっちからお願いしたいくらいなんだけど……」
「あぁ」
暖かな大きな暖かさに包み込まれ、俺は勇気を得る。長らく体験したことが無かった、この温もり、人に助けられた、助けてあげる、必要とされるこの温もり。そして、それに呼応するかのように、『俺はここにいるぞと』主張するかのように体の中で灯る、小さな灯火。
その暖かな朱色は、下部の白色の蝋を照らしだし、灯り続ける。いくら冷たい空気に晒されようと、大きな風を与えようと、消えることは無かった。
それを見て、今なら確信できる……!一度は消されたものの、今なら灯し続けられる。今度は、リサも隣にいてくれてる……!!あの頃みたいに誰一人として俺の周りに残ってくれない、あの時とは……!!幸い、今まで冷たいところにいたんだ、蝋だけは全くと言っていいほど減っていない。
どれだけだって燃え続けていられる。どこか安心出来る、そんな温もりの中で、俺は力強く、答えた。
*** ***
「もう、こんな時間なのね……」
放課後、閉館の時間まで図書室で本を読んでいた私はチャイムの音に反応し、ようやく時間の進みを確認した。手元にあった本をパタンととじ、元あった場所へと返す。
「あら……。この本、どんな内容だったかしら……」
夕日が誰一人として利用者のいない図書室に差し込む。そんな図書室で私は、読んでいた本を本棚に戻しながらそんなことを思う。今、読んでいたはずなのに、内容すら覚えていなかったのだ。それほどに私は虚ろになっていた。そんな自分に嫌気がさす。それもこれも、全ての始まりはあの日……。
『俺もあいつとはできるだけ関わらねぇ!!』
あの日、誰もいない夜の街に放たれたあの人の言葉が、溜め込まれた私の何かを一瞬で壊していった。私自身も昔は1人で、色々とやっていたから、何か影口を叩かれることは多かったが、気にせず、受け流すことは出来た。
しかし、あの人の場合は違う。私に音楽を続けさせてくれて、尚且つ、今、リサや友希那、あこに燐子、つまりはRoseliaとして居られる礎を作ってくれた人なのだから……。私が大切に想ってきたRoseliaだからこそ、その感情は余計に強く感じられた。
"彼にいつかお礼を言いたい。そして、私の答えを見て欲しい"
けれど、それは虚しくも打ち壊された。それ以来、大切に想ってきたRoseliaすらも、なぜにやっているのか分からなくなってしまった。もちろん、FWFに出て私の音楽を認めさせる、という目標もある。だが、もっと根本的な話、その目標を立てるきっかけをくれた人に拒否をされてしまったら…………。
「どうしていいかわからないじゃない……」
図書室の扉を背中越しに締めながら、私はそう呟いた。そのまま誰もいない廊下を一人歩く。自分の足音が反響し、廊下に響く。それが、何者かに後ろから追いかけられているように聞こえる。それが嫌で少し早歩きをしてみるが、当然のごとく、足音は付きまとう。
「なんなの、かしら……」
遂に、嫌気がさして私は立ち止まって、壁にもたれる。そこは音楽室の前、隣の音楽準備室の窓から、少し中を除くと、吹奏楽部の楽器ケースが見えた。その奥には高さが様々な譜面台がホコリをかぶっているように見えた。
「譜面台、ね……」
『あの子いると、やりずらいよね〜』
『友希那ちゃん、暑苦しいよ……』
『友希那ちゃんができるからみんなできるってことはないんだよ!?』
『いい加減にして!!その上から目線ムカつく!!』
『いっそ、友希那ちゃんがいない方が私たち上手くいくよ!』
…………ハァ。嫌なことを思い出してしまった。遥都のことといい、今のことといい、今日は嫌なことばかり思い出す。これじゃダメ…………。これ以上、私がRoseliaに迷惑をかける訳にはいかないから。私は振り払うようにその場を後にする。
それから、下を向き、早歩きで廊下を突き進んだ後、階段を降りて、私は昇降口に向かった。下駄箱から靴を手に取り、校内用の上履きをしまう。その後、靴を履くために、手に持っていた靴を下に落とす。
「あら……?」
不意に携帯がなった。落ちた拍子に乱れた靴を整えようとする手の目的地を、ポケットへと変える。画面の表示には、
『着信:今井リサ』
「あ、丸山さん、久しぶり〜、ここでバイトしてたんだねー」
「いらっしゃいませ〜……、って、紅葉さん?」
「お久しぶりです」
「そう言えば、この間、Roseliaの皆さんとあと男の人が来てて、すごい剣幕で話してて、声もおっきかったんでビックリしたんですよー」
「…………伊月くんと今井さん、か。お店の迷惑だったって伝えとくよ……」
「い、いえ……、そこまでは……」
評価してくれた
高坂睦月 さん(☆10)
ありがとうございます
お久しぶりの評価、超嬉しいです!!
一言欄なしにしたんで気軽にしてみてくださいね〜