俺とアタシの居場所《一応 完結 》   作: 紅葉 

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まず、ご報告!
総合評価が1000を超えましたー!!1000を超えたのはいつぶりでしょうか……??嬉しい限りです!!ありがとうございます!!

そして、今回からは過去編!!いよいよ、大きくな扉が開きますよ〜!

そーいや、バンドリのRTキャンペーン、当たりました!!




"あの"過去
歌姫と暇人に向けて引かれる引き金


 

 

 

 

「「「お、おじゃましま〜す……」」」

 

「邪魔するなら帰って〜」

 

「はいよ〜…………ってなるかー!!」

 

 

 家の玄関をつけ、どこかの新喜劇のネタを軽くやったら通じてしまった……。と、まぁ、冗談は置いておいて、Roseliaメンバーの無茶ぶりにより、会議場所が俺の家になったのだ。

 

 

「伊月さんは、こんな大きな家に一人暮らしなんですか?」

 

「まさか……。いまは、いないだけ。二人とも仕事でもしてるんじゃないの?親いるって分かってるなら、確認のため電話するよ?」

 

「そうなんですか」

 

 

 会話通り、親は仕事に行ってて、今はいない。母親は高校の教師で、今は高3を受け持ってるから11時ぐらいになるだろうし、父親はどこかに商談をしに行っているから、そもそも今日は帰ってこないはずだ。

 

 改めてそんなことを思っていると、暗い廊下にパッと明かりがつき、誰もいない家の中に光を与えていくのが、妙に寂しく感じた。首を振るい、それをかき消すと、5人をとりあえずリビングまで案内する。食卓となっているテーブルに案内してもよかったのだが、生憎、席が4つしかないので、詰め込んだら5人座れるソファの方へ案内した。その後、冷蔵庫にあった冷えた麦茶をみんなの前に置く。

 

 

「それじゃ……、始めようか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──第20話:歌姫と暇人に向けて引かれる引き金

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺の一言により、空気がピシリと引き締まる。麦茶を飲んでいた、白金さんも一度グラスを置いて、話を聞く体勢へと切り替えた。リサは皆の様子を見てから、一度、唾を飲み込んで、友希那は少し息を吐いて、こう始めた。

 

 

「これは、Roseliaがあるもう1つの理由。そして、アタシが友希那を、友希那が音楽にこだわるもう1つの理由。」

 

「みんなにも聞いておいて欲しい。私達の音楽を形作っているもう1つの物語を……」

 

 

 

 

 

*** ***

 

 

 

 

 時は小学校の6年生の10月中旬だった。カエデやイチョウの紅葉が色鮮やかになり始め、校庭が華やかになろうと季節。小学生は運動会が終わって、ひと段落、という訳には行かないのだ。この時期、全国の小学校はある行事に備え、慌ただしさが増す。そう、文化祭。それは、遥都や友希那、リサが通う小学校と例外ではなかった。6限目、遥都達3人が揃うクラスでもそのための授業が行われる。

 

 

「では、みなさん!もうすぐ、皆さんが楽しみにしている文化祭です!そして、今年も行われる、合唱コンクール。6年生の課題曲は『COSMOS』!優勝目指して頑張りましょう!!」

 

 

 教壇に立つ若い女性の先生が皆にそう言った。しかし、学年は既に6年生。生徒の中には面倒くさがるものも少なからずいた。「いやだ」「だるい」そんな言葉があちらこちらで聞こえる中、先生は一瞬、気まずそうな顔を見せるが、すぐに笑顔に戻し話を続ける。

 

 

「COSMOSの二部合唱……、えっと、女子がソプラノパート、男子がアルトパートを歌ってもらうんですけど、皆さんには、それぞれのパートでパートリーダーを作ってもらいたいと思います!お仕事の内容は、練習の時にみんなをまとめてあげたり、CDを取りに来たりと簡単なお仕事です!誰かやってくれる人はいませんか?」

 

 

 一瞬でさらなるざわつきを見せる教室。理由は明らか。皆、パートリーダーをやりたくないのだ。この年頃から見られる、"押し付け合い"というのが、あちらこちらで始まった。そんなこと言っていると遥都もたまたま近くの女子の机へ喋りに来ていたリサから押しつけを食らう。

 

 

「遥都、やんないの〜?」

 

「なんで、俺なんだよ?リサこそやんないのか?」

 

「アタシ!?そんなの柄じゃないよ〜!」

 

 

 少し笑いを混ぜながら断っているリサは今度はリサの後ろの席の人に絡みに行く。遥都は大きなため息をつくと、周りのざわめきに呆れながら、机に突っ伏した。

 

 先生はこの様子を見て、収集がつかないと判断したのか、ある行為に出た。初めに言っておくが、先生自身、悪気があった訳では無い。これは明らかに経験の差というものなのだから仕方が無いといえば仕方が無い事だった。だが、その一言が引き金を引いてしまったのだ。

 

 

「じゃ、じゃあ〜……、友希那ちゃん、どうかな?歌、すごく上手じゃない!」

 

 

 クラス一同、友希那に視線が集まる。クラスの左後ろ、窓際の一番後ろに座っていた友希那は明らかに戸惑いの表情が見えていた。そして、それが、確認出来た刹那……

 

 

「それがいいよ!」

 

「湊さん、滅茶苦茶歌うまいし〜!」

 

 

 断れないような雰囲気がすぐさま作られてしまった。誰しもがやりたくなかった、パートリーダーという役割、それが先生の意見という、絶対的な大義名分を得られた意見。覆すという方が難しい話だった。しかも、当時から活発な女の子ではなかった友希那だ。尚更断りづらかっただろう。

 

 

「やります……」

 

 

 友希那の一言により、ソプラノパートのパートリーダーが決まる。当時、大して仲良いわけでもなかった遥都は、適当にその様子を見守り、このまま、アルトのパートリーダーが決まることを密かに願っていた。

 

 

「じゃあ、もう1人のパートリーダーなんだけど……」

 

 

 先生がそういい、男子全員の視線が下にむく。必死のやりたくないアピールだ。男子全員が理解していた。ここで名前を刺されたら間違いなく、吊し上げにあうと。だが、たった、1人、その理解が遅れた人がいた。そう、遥都だ。パートリーダーにさせられてしまった友希那の方を向いてしまっていたのだ。対応に困っていた先生が、それを見逃すはずがなかった。

 

 

「遥都くん、やってくれない?」

 

 

 しまった、そう思った時には遅かった。クラス全員による、遥都を押し上げる声が飛び交う。既に前例が出てる以上、遥都が逃れられる確率は0に等しい。ならここでグダグダしているのは意味が無い、そう判断した遥都はサラりと答えた。

 

 

「いいよ。俺がアルトパートのパートリーダーやる」

 

 

 こうして、遥都達のクラスのパートリーダー二名が決まった。友希那は俺とその場で目を合わすと、ペコりと頭を下げる。よろしくとでも言いたかったのだろう。遥都もそれに合わせ、頭を下げる。

 

 その日はそれで放課となり、皆が遊ぶ、習い事へと急ぐ中、遥都は友希那に呼び止められていた。

 

 

「遥都」

 

「友希那かぁ。さっきは災難だったな〜!それで、なに?」

 

「特に用というわけじゃないのだけど……、その、パートリーダー、お互い頑張りましょ」

 

 

 少し顔を赤く染めながら、友希那はそう言って、パッと立ち去ってしまった。遥都はポカンとして、しばらく動作を止める。その後、首を捻るが考えがまとまらなかったのか、「ま、いっか」と呟き、再び帰りの用意を始めた。

 

 

 

 

 

*** ***

 

 

 

 

 

 翌日。早速、1回目の合唱練習が始まった。初日はとりあえず、全体のお手本ということでCDを聞いてから、パートごとに別れてやるということになった。そこで、遥都と友希那が前に立ち、CDプレーヤーを動かして、みんなに聞かせる。

 

 曲が終わると、口々に聞いてみた感想が飛ぶ。そんな中、遥都が時間を決めて、パートに別れてやると皆を仕切る。当時、友達も少なからずいて、嫌われてもいなかった遥都の言うことはすんなりとクラスに受け入れられ、女子はピアノを弾く子もいるから音楽室。男子は視聴覚室に移動して、練習を始めた。

 

 

「それじゃ、やりますか〜」

 

「えぇー!めんどくさーい!やりたくなーい!」

 

「うるせぇぞ、知夏良。なんなら俺はお前のソロでもいいとは思うけど?お前のソロなら優勝間違いなしじゃん?」

 

「え、そ、そうか?」

 

「あ、下から数えた場合に限るけどな?」

 

「こ、このーー!!」

 

 

 男子は遥都と知夏良の馬鹿みたいなやり取りで笑いが起きたり、知夏良の音痴ぶりにゲラゲラと皆が笑ったりと、練習しつつも楽しげな雰囲気で合唱練習を行う。そんな雰囲気であるからか、遥都らの時間はとても短く感じていた。

 

 だが、音楽室はとてもそんな雰囲気とは正反対と言うしかできない酷いものだった。明らかに空気がおかしい。それの理由はすぐに分かる。

 

 

「みんな、しっかり声を出しなさいよ!!」

 

 

 ヒステリックな声が音楽室に響く。声主は、友希那。元々、推薦された理由も『歌が上手いから』だったのだ。そんな友希那の父親はバンド界の超新星と言われるバンドのボーカル。友希那の歌唱力も親譲りで、とても小学生とは思えないものだった。だが、それは裏を返せば、他の生徒と大きな実力差があるという事だ。そして、当然、それは求めるレベルにも、意識にも、大きな差が生まれる。そして、ストイックな彼女がそのレベルを下げ、皆に合わせるということが出来るわけがなかった。

 

 

「もう一度!!もっと、お腹から声を出して!」

 

 

 あまりの怖さに他の生徒は戸惑いと恐怖を隠せない。ざわめきが起き、迷いが生じる。そんな状態では、いい合唱なんて出来るわけはない。むしろ、クオリティは下がる一方だろう。そして、友希那はまたそれに怒る。この上ない負のスパイラル。それがひたすら繰り返され続けていた。

 

 パートにより、明暗がハッキリと別れた合唱練習。それがその先、2週間、良い方向に転ぶことは無かった。良い方向に転ばないだけならまだ良かった。完全に方向を謝り、悪い方向の奈落の底まで転がり落ちたのだ。パート練習のあとの男子と女子の表情にはあまりに差がありすぎていたのだ。徐々に深く大きくなって行く亀裂はもう元には戻せない。

 

 それは、この年ならではかもしれない。学年はもう6年生。誰も馬鹿正直に『湊さん、ダメだよ』なんて言う人はいない。良くも悪くも賢くなっているのだ。裏で本人にバレないように次々と糸を繋げて、1つの共有意識を持とうとする。共有意識を持てる集団を仲間と認識し、集団を作り、敵をジワリジワリと追い詰める。集団の意識というものは怖いもので、それまでなんとも思っていなくても、周りがそう思うとそれが正しく映ってしまうのだ。それ故に、今までは、友希那をなんとも思っていなかった、女子までも敵に回ってしまっていた。やがて出来上がる、クラス規模の大きな団体。そして、そんな団体から放たれるクラスの女子の意志とも言える1つの言葉。

 

 

 

 

 

『湊さん、私達はあなたにはついていけない!あなたがいない方がいい!!』

 

 

 

 

 

──合唱コンクールまで、残り1週間

 

 




「もみじさん、もみじさん!」
(だれ?この小学生……?)
「アタシはリサだよ〜?」
「昔からそのチャラさは変わらないんね……」
「しつれーー!!おとなのたしなみ、ってやつだよ!!」
「おとな、ねぇ……?」

評価して頂いてありがとうございます!
ユグドラ汁 さん(☆9)
なめりんりん (☆9)
ありがとうございます!

まだまだ感想、お気に入り、評価等お待ちしてますので、余裕がある方はぜひ!
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