俺とアタシの居場所《一応 完結 》   作: 紅葉 

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Roseliaのライブ良かったですね!
個人的にはwasserの方が好きな曲が多かったんですよね!でも、1日目は陽だまりやってくれたのがあったので……!!ううん!よい!
ちなみにREBIRTHの衣装が一番好き!それか軍服かな?
まぁ、というわけでおつかれさまでした。


暇人は歌姫のために

 

 

 

「こうして、遥都くんと喋るのも何年ぶりかな〜?見ない間に大きくなっちゃって!」

 

「……ありがとうございます」

 

「それに比べて、私は、老けていく一方だからな〜。割に合わない!!」

 

 

 この人は昔からそうだった。基本、友希那とは似ても似つかない、明るい性格で、どうやったら友希那があんなに大人しい性格になるのかは理解に苦しむ。だが、今の遥都らそんな明るい性格について行けるほど、タフではない。俯きながら、生返事を繰り返していた。

 だが、下手に励ましの言葉がない分、遥都には楽だったのかもしれない。自分がミスをした時、遥都のように責任感が強いタイプなら尚更、周りの優しさが逆に辛いのだ。

 それを知ってか知らずか、友希那のお母さんは、1度も励ますことをしなかった。そして、そのまま、病室の前に辿りつく。その瞬間、一瞬立ち止る遥都に、友希那の母親は遥都の頭をポンッと叩いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──第23話:暇人は歌姫のために

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 話し声が聞こえていた。別に意識していたわけではない。だが、遥都と友希那の周りにはそれを遮るものがなかったのだ。

 

 

……で、……ことが、……はい

 

……惑を……、しました。もう……ません。

 

 

 友希那の母親と遥都が病室に戻ると間もなくして、先生と友希那の母親の大人の話が始まった。遥都は、母親の希望で友希那のそばにつきそった。

 

 だが、遥都は下を向くことしかできなかった。友希那のためにと思って買ったはずのイチゴオレすらもまだポケットに入ったまま。ただ、廊下で話す二人の会話が途切れ途切れに聞こえるだけだった。

 

 病室には、無機質に時計の秒針の音が響く。その間隔が遥都には妙に遅く感じた。

 

 

「あの、友希那……」

 

「…………なに?」

 

「その……、ごめん……」

 

 

 そんな言葉じゃない。今、友希那にかけるべき言葉はそんなものじゃない。そんなこと分かっていた。だが、いざ、本人を目の前にして言うとなると、上手く言葉が出てこない。

 

 

「どうしてあなたが謝るのよ…?むしろ、私の方があなたに迷惑かけてしまっただけだから……」

 

「そんなことは……」

 

「ありがとう。でも、気は遣わなくていいのよ?私が一番分かってるから」

 

 

 何も言えなくなる自分が辛かった。遥都は歯ぎしりをする。そして、友希那は続ける。

 

 

「男子のパート、すごい出来がよかった。私もきちんとは聞けてないから細かいところは分からないけど、まっすぐで伸びのある歌声。表現力の高さ、そして、ハモる所の息の揃い様は素晴らしかったわ」

 

「え……」

 

「けど、女子のパートはバラバラ……。男子に見合うだけのものを作ろうと何度も何度もやっては見るものの、バラバラなまま。むしろ悪くなる一方。声量は少なくなるし、美しさがまるでなかった。あれじゃ……」

 

 

 徐々に声は小さくなり、途切れてしまった。自身の手の平を見ていた、友希那はとても弱々しく、小さく見えた。

 

 

「みんなにも嫌われて、いない方がいいっていわれた。練習も重ねれば重ねるほど、バラバラで収集がつかなくなっていった。結果として、私はクラスに悪い影響しか残していないもの。そして、何より、私の行動で父さんのことを馬鹿にされてしまった……!!

 

 

…………私、間違っていたの?」

 

 

 掠れた声で言う友希那の目には、涙が浮かんでいた。遥都はそれを聞き、なお一層、自分が不甲斐なく思えた。クラスの雰囲気に"同調"することがそんなに大事だったのか?幼馴染がこんなになってでも、する必要があったのか……?どちらも、否。それなのに、そんな行動をしてしまった。結果として、遥都は友希那が"間違っている"と証明される後押しをしてしまっていたのだ。だからこそ、それが分かっているからこそ、遥都は言えなかった。

 

 

『間違っていない』

 

 

 その一言が。

 

 

 

 

 

*** ***

 

 

 

 

 

 

 間もなくして、廊下から先生と友希那の母が戻ってきた。それから、先生と友希那の母に告げられ、帰りは友希那の母の車で送って貰うこととなった。

 

 窓の外には街灯が等間隔に流れていく。湊さんが運転する車の助手席に座り、揺られていた遥都は、無機質に流れる窓の外の景色を見る。流れてくる音楽も遥都の耳には届かなかった。

 

 

「遥都君、ありがとうね。友希那も多分、喜んでるよ?」

 

 

 湊さんが不意にそう言った。だが、遥都の頭の中はそれを素直に取れるほど、落ち着いてはいない。友希那は青あざが痛々しい腕を片手で掴み、震えを抑えていた姿が一瞬でフラッシュバックした。クラスメイトからの非難、失われた父の尊厳、自分の全てに対する否定。それら全てから追われ、囲まれていたのだ。"もしも、あの時"、そんな言葉が遥都の頭の中でひたすらに繰り返される。そんな酔狂な世界は存在しない、そんなこと、遥都には分かっていた。だが、願わずにはいられない。どんなに関わりが薄れていこうとも、相手が冷たくても、一緒に育った仲なのだ。そんな子が自分が気づかなかったことで、心と体に大きな怪我を負った。何も感じないはずがないのだ。

 

 

ギュ……!

 

 

 何も言わず、脚の上で握る拳に力が入る。もしも、女子と友希那との間の溝にいち早く気づけていれば……。もしも、クラスで亀裂がはっきりとした時、周りに同調せずに仲介役を買って出ていれば……。もしも、今日、コンビニでシャンプを買わずに一直線に教室に向かえていたら……。挙げ始めたらキリがなかった。

 その様子が見えていたのか、湊さん道路沿いにあったコンビニの駐車場に車を止めた。

 

 

「アイス、かってあげよっか?」

 

「え……?」

 

「いいから!今日、お見舞い来てくれたお礼!遥都くんは車で待ってて」

 

 

 それだけ言い残し湊さんは車から降りていった。エンジン音やラジオの音が無くなり、急に静まり返った車内。

 

 

「……くそ」

 

 

 脚の上に行儀よく置かれた手が動き、遥都の頭へと移動する。放課後になってから初めて1人になったのだ、今までの不満が爆発した。

 

 

「……の、頭は……!!この、頭は!!あの時、一体、何を考えてたんだよ!!!いつもいつもいつもそうだ!!肝心な時にこそ、使えない!!!お前はいつも何がしたいんだよ!?なぁ、答えろよ!?」

 

 

 自身の頭を掴み、そう声を押し殺し、叫んでしまっていた。それが己の体を傷つけることだと分かっていても、ぶつけようのない自分自身への怒りを無理やりぶつけていた。そうするしか、遥都には出来なかったのだろう。

 

 

 

 

 

その直後だった。

 

 

 

 

 

 頭の上にある遥都の手ををそっと包み込むと、語りかけるような、女性特有の優しい声がする。

 

 

「……やっぱり。遥都くんは昔から変わんないね」

 

 

 湊さんだった。片手にコンビニの袋。そして、車のドアを開けて、遥都の手に手を重ねた。

 

 

「遥都くんが後悔するのは分かるよ?けどね?それは少々、エゴなんじゃないかな〜?私は遥都くんがパートリーダーでよかったんじゃないかなと思ってるよ?多分、友希那もそうだと思うし、先生もそう思ってるから。友希那ってね、あんまり男の子、というか、人と喋ることが得意じゃないの。だから、私ともあんまり話さないし、私自身、不安なところもあったのよ。でも、遥都くんだったから、いくらか楽だったみたい。友希那、言ってたわ。ここ暫く、会話があったとしても、友達の名前なんて出てこなかったけど、最近は遥都くんの名前がよく聞けるようになった。少しずつではあるけど、身分相応(小6らしい)の顔するようになったなぁ、って。」

 

「……っく、……そ、そんなこと……」

 

 

 咄嗟に顔を隠すように後ろを向く遥都。誤魔化すためか少し声のボリュームも上がる。そんな最中、頭にふわりと暖かみのある感触がしみ渡る。

 

 

「カッコイイじゃん。女の子を笑顔にできる男の子、これ以上ないくらいの英雄(ヒーロー)じゃない?」

 

 

 はにかむようなその眩しい笑顔は、遥都の頭を包み込む優しい温もりは、遥都に光を見せた。抑えてきたものが解き放たれたかのように、涙が溢れ出て、袖口を濡らしていく。普段から、落ち着いていて冷静だった遥都。だが、まだ小学生、まだまだ子供、遥都は湊さんの車の中で、声を上げて泣いた。そんな遥都の頭を湊さんは優しく、撫でた。その温もりは後悔で埋め尽くされた、遥都の心を包む。

 

 

「後悔ってね、誰にでもあると思う。その度に、人はもがいて、くるしんで……、それでも、上手くいかずにまた傷ついて……。そんなもんなんだよ……。だからこそ、辛いことばっかで、1人じゃどうしようも出来なくなる。そんな時こそ……、ほら、こうやって……、」

 

 

 湊さんはコンビニの袋の中からポピコを取り出した。そして、パキッと2つに割った。

 

 

「半分こ!」

 

「……あ、ありがとうございます」

 

「大丈夫。遥都くんだけじゃないから。必ず、あなたが友希那を心配するように、あなたのことを心配してくれる人もいる。必ず、力になってくれるから」

 

 

 遥都は袖で涙を何度も何度も拭いながら必死に頷いた。

 その後、遥都は泣き疲れたのか、湊さんの車の中で眠っていった。そして、遥都の家に着くころ、湊さんに頬をツンツンとされて、目を覚ます。寝顔を見られたことや、泣いてしまったことの気恥しさから、顔を真っ赤にしながら、一目散に家の玄関へと向かったが、母親に見つかり、お礼も言わず何事かとちょっと怒られていた。

 それから、湊さんと遥都の母親がお礼がてらと、コーヒーを飲みつつ喋っている間、遥都は自分の部屋に逃げ帰った。枕に顔をうずめ、自らがやってしまったミスにじたばたの足をばたつかせる。そんなことをしはじめてから数分、下から遥都を呼ぶ声がした。

 

 

「遥都くーん、それじゃ、私、帰るね?」

 

「こらっ!遥都も挨拶しなさい!!」

 

 

 恥ずかしさでに死にそうな遥都からしたら出たくはない。だが、出なかったら、礼儀には厳しい母親に何をされるか分かったものじゃないから、恐る恐る、階段の所から顔を覗かせる。

 

 

「じゃあね、遥都くん」

 

「さ、さようなら……」

 

「そんなに心配しなくても、今日のことは誰にも言わないから!」

 

「ほ、本当……?」

 

「本当だって!あ、じゃあ、遥都くん。言わない代わりに一つお願い聞いてくれる?」

 

「な、なに……?」

 

「あの子の英雄(ヒーロー)になってあげて?私も頑張るから!」

 

「……はいっ!!」

 

 

 

 

──合唱コンクールまで残り6日




「紅葉さんは富士急行ったことあるんですか?」
「うん。割とねー!絶叫系はある程度行けるし」
「でも、まえ、お化け屋s」
〜ただいま音声が流れにくくなっております〜
「あっ、こら!紅葉さん、アタシのセリフ遮らないでくださいよ!」
「作者権限!」
「前にお化け屋敷系は怖i」
〜ただいま(略)おります〜

評価ありがとうこざいます!
輝キングさん、ちまきさん、ぼるてるさん。ありがとうこざいます!
感想、評価待ってます!
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