俺とアタシの居場所《一応 完結 》   作: 紅葉 

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世の中、お盆シーズン、思えば去年のこの頃も投稿していた気がします。さて、前回の友希那ちゃん母、個人的にはこの物語の中で一番好きなキャラかも知れませんwww

では、どーぞ!



歌姫の支柱

 

 

 

 

 翌日、遥都はいつも通り、知夏良と学校へ登校し、授業を受けていた。だが、今までとちょっと違っていたのは、普通の国語や算数の時間で、遥都がボーッとしていたことだ。先生に当てられてもどこか変だ。

 

 

「それでは……、伊月くん、わかる?」

 

「……」

 

「伊月くん?」

 

「え……?あ、す、すいません。」

 

「お、おい……?遥都く〜ん?その役は、自分の役だと思うんだけど?そこのところ……、」

 

 

 あまりの腑抜けさに知夏良がツッコミを入れる始末。後ろの席に座っていたリサも少し心配そうに「大丈夫〜?」と声をかける。だが、決まって、遥都は「え?あぁ……」とだけ返す。そんな遥都の様子を見て、知夏良とリサは目を合わせて首を捻っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──第24話:歌姫の支柱

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 授業が終わり、騒がしい休み時間。いつもなら、知夏良を煙たがる遥都の声とそれを笑う周りの声が聞こえてくるのだが、今日は聞こえてこなかった。遥都の机には、なにかのメモ書きのようなものが机いっぱいに書かれていて、それらのワードのほとんどに上からバツ印が殴り書きされている。そう出ないものの、黒く塗りつぶされていたりと、どうやら納得が行くものではなかったらしいのがよく分かる。

 

 

「は、遥都く〜ん?」

 

「知夏良か……。なんだよ?」

 

「い、いや、何してるのかな、と。見てもいいか?」

 

「別にいいよ」

 

 

 知夏良が机の上を覗き込む。元々、知夏良と違い、字が綺麗な遥都だ。いくら殴り書きと言っても、読めない程ではないし、字自体が読みにいくいことはなかった。だが、シャーペンで机の濃い茶色の上に、ましてや、上からバツ印が打ってあるものが含まれるとどうしても、読みにくいものがある。

 

 

「ええっと……、寄せ、がき……?って、もう!!読みにくいな、おい!!んで、結局なんなのこれ?」

 

「友希那のことだよ。頼まれたからねー」

 

 

 その瞬間だった、周りの空気が変わったのだ。グッと周りの女子から放たれる嫌悪感。それは、吉田さんが中心となり、その周辺までも巻き込んでいく。一瞬ではあるが、以前に比べてその圧力は遥かに強力なものになってみえる。

 前にも同じようなことを受けているとはいえ、決して慣れることは無い、この感覚。お世辞にも気持ちのいいものとは言えないだろう。

 遥都はそれらの不快感を押し殺すように、一度目を瞑り気を落ち着かせると、知夏良の方を向きなおした。

 

 

「……はぁ。そーいや、知夏良。なぁ、お前は何がいいと思う?」

 

「プレゼントか?」

 

「いや、プレゼントって言うよりも、こう、なんか、友希那の気持ちを立て直させるというか、自信をつけ直させるというか……」

 

「ん〜、なんだろな〜……。自分は遥都に比べて、あの人のことよく知らないからな。でも、多分、"しんせいてきしちゅー"ってのが崩れたんだろ?なら、それの凄さを証明するのが一番だと思う、かな?」

 

「"しんせいてきしちゅー"……?あぁ、精神的支柱のことね……」

 

「それそれ!!」

 

「確かに……。色々考えては見たものの、それが一番か」

 

「そそっ!だから、友希那ちゃんが頑張ってたし、合唱コンクールで1位をとるとか!そーいうことしたらいいんじゃない?」

 

「なるほどね……」

 

 

 遥都は手の平に乗せていた顎をスっと上げながら、そう答えた。知夏良はそれが少し以外だったのか、驚いたような顔を見せたが、腕を組んでウンウンと首を縦に振り妙に満足気な表情を浮かべていた。

 しかし、一方で遥都は何か引っかかりを覚えていた。

 

 

(あれ……?結局、友希那の支えって、なんなの……?歌とか、そーいうのなのは分かるけど……。)

 

 

 遥都は知夏良が言う、友希那の精神的支柱の本質というものな不確定に思えたのだ。だから、遥都はそれが分かりそうな人物が居ないか、周りをぐるりと見た。さらに言うと、友希那に対して、吉田さんほど嫌悪感を抱いていない人でないとならない。しかも、遥都が喋れるとなると必然的に絞られていた。

 

 

「なぁ、リ……。なんだ、誰かと喋ってるのか」

 

 

 低学年からの付き合いだった今井リサ。彼女が目に入った。彼女ならば、友希那のことをより詳しく知っていそうなきがしたのだ。そして、彼女に声をかけようとしたのだが、残念ながら、リサはお取り込み中のようで、遥都は話しかけるのをはばかった。

 そして、1つ息を吐き、机上に大量に書かれた、自分のメモを消し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

*** ***

 

 

 

 

 

 

 

 そんな2人の様子をある人がずっとチラチラと気にしていたのはリサ。

 

 

「……サ!!ねぇ、リサってば!!聞いてる!?」

 

「えっ!?あ、あぁ~、ゴメン、ゴメン!!それで、なんだっけ?」

 

「だーかーらー!!あの雑誌にも乗ってたけど、リピピの服、超よくなかった!?って話!」

 

「あー!!あれね!!アタシはあれよりもう少し暗めの赤の方が好きかな〜!!」

 

「え〜!!?なるほどね〜!やっぱ、リサはオシャレだね〜、ファッションモデルにすらケチをつけるんだから!」

 

「そ、そんなことないよ!!」

 

「ジョーダンよっ!」

 

「もうっ!!」

 

 

 友達に話しかけられ瞬時に表情を作り直し、会話が終わればまた元の少し寂しげな表情に戻る。その後、一緒に会話していた友達同士で会話が始まるとその表情はより顕著に見えた。

 

 

(アタシもやった方が……)

 

 

「ほら!!リサも行こ!!」

 

 

 何かを考えていたのだが、強く引っ張られる右手に釣られ、一瞬でどこかに押し出されてしまった。そして、彼女は引かれるがままに廊下に連れられていった。

 

 だが、その直後……

 

 

「なぁ……、リ……」

 

 

 誰かに呼ばれた気がしたのだ。気になり、フッと振り向き、周りを見渡しては見るものの、誰か分からない。少し首を傾げながらもリサは手を引く友達の方へと向き直った。

 

 

(誰だったんだろ?まぁ、用があるなら話しかけてくるよね?それに、遥都の方も、また今度の機会にでも……)

 

 

 そんなことを思い、気持ちを違う友達へと切り替える。得意の笑顔を作り、「待ってよ」と楽しげに小走りし始めた。

 

 

 

 

 

 

*** ***

 

 

 

 

 

 

 結局一人でなにも思いつかない遥都。考え始めた日から既に2日が経過しようとしていた。この2日間、机の上のメモは増えるばかり。書いては決して、書いては消しての繰り返しだった。心做しか、消しゴムも真っ黒に、そして小さくなっている気がした。

 

 そんな遥都はベッドに仰向けになり悶々と頭をひねらせていた。なんだかんだ悩んではみたものの、結局、友希那の精神的支柱の本質が掴めなかったのだ。そうして、今もこうして考えているわけなのだが……。

 

 

「あーーー、ホント、わっかんねぇ……。知夏良の言う通りにしてみるのもありかもしれないけど……、なんか違う気がしないでもないんだよな〜……」

 

 

 ムクリと起き上がり、頭を掻きながらそう言う、少し無愛想な顔。どこからが疲れが垣間見える。少し、腕を伸ばし伸びをして、疲れと一緒に大きく息を吐き出した。

 

 

「とりあえず、コンクールは下手な成績取れないよな……。もし、悪かったら吉田さん達、友希那がいなかったらとか言い出しそうだし」

 

 

 そう言い、ランドセルの方を見やった。それから何かを探すかのように部屋の中をぐるりと見渡し、また息をつく。

 

 

「何が1番いいのやら……」

 

 

 いい加減、出ない答えに呆れながらも遥都はベッドを降りる。重い頭をゆったりと動かし、机に向かいそこに座ってはまた、頭を落とす。机に触れる頬に伝わる、冷ややかな感触を少し心地よく感じながら、ボーッと目線の先にある本棚を見ている。

 

 

「あれ……?あんなのあったっけ?」

 

 

 頭を起こし、本棚に椅子ごと近寄ってみる。そこにあったのは、自分で買った覚えのない何かの雑誌。友達が遊びに来た時に置いていったのだろうか?首をかしげながら、ベットから出てそれを手に取る。

 

 なんだこれ?と思いながらも遥都はパラパラと雑誌のページをめくる。どうやら、音楽誌のようで、一、二年前人気だったアイドルのことやそのインタビュー記事が乗っていた。しかし、興味があるわけでもなく、さらに次へとページを進める。

 

 

「あ……」

 

 

 友希那の父親のバンドのことが書かれていた。先程のアイドルのものと比べたら小さな小さな記事。だが、赤いペンでぐるりと囲ってあり、大きく目立っていた。その右上には『ユキナのお父さん!』という小学生らしい少し乱れた文字と可愛らしいウサギのイラストが描かれている。

 

 

「思い出した。リサと友希那が家に来て自慢してたんだ……」

 

 

 遥都はここで初めて、友希那の父親がバンドをやってことを知り、リサや友希那に流されたこともあってドラムを少し触っていたのはよく覚えてる。その事もあり今も部屋の片隅にはたまに触るドラムのスティック。そして、スネアが置いてある。友希那のお父さんのバンドが4ピースバンドだったこともあり、友希那がボーカル、とギター、リサがベース、遥都がドラムと決めて遊び程度にやっていた。

 

 そんな思い出ある記事を遥都は無意識に読み始めた。そこにあったのは、友希那の父親のバンドの信念を表したような言葉だった。

 

 

『誇りを守ることが一番大切だと思います』

 

 

 はっとする遥都。それと同時に何をすべきか頭の中でハッキリとさせる。そして、小さな声で気合を入れ直す。

 

 

「友希那はお父さんの音楽に誇りを持ってた。けど、今回それが崩れたから、自分の誇りも崩れたんだろう。ってことは逆に言えば、自分の音楽が間違ってなかったら、お父さんの音楽も間違ってないって思えるんじゃ……」

 

 

 暗闇の中、答えの糸を手繰り寄せるように一個一個確かめながら、遥都は思考を巡らせる。そして、その中で道しるべを見つけては、自分のものへと変えていく。

 

 

「そういえば、アイツ、なんか言われたこととかメモしてたよな……?」

 

 

 

 

 

 

*** ***

 

 

 

 

 

 翌日の6限目。今日のこの時間は合唱練習の時間で、いつも通り、最初は男女で別れて、練習を行う。吉田さんに統率された女子はゾロゾロと音楽室へ向かう準備をする。俺達は、教室で集まり、練習の隊形へと移る。

 

 

「さてと、それじゃ、やるか」

 

 

 遥都のそういう顔はいつもと一味違っていた。声のトーンはいつもと変わらず、落ち着いた声。だが、どこか、覚悟が決まっている、そんな顔をしていた。

 その様子を見た、遥都がコソッと茶化すように声をかける。

 

 

「なになに??気合い入ってんじゃん?」

 

「うるせぇ。別にいいだろ?」

 

 

 実際のところ、少し気合が入っているのも事実だった。昨日の寝る直前に決めたことをすぐにでもと実践するのは当たり前。有言実行の大切さは、昔から学んできているつもりだった。

 そしていよいよ練習開始を迎える。遥都は女子が教室から出る前にスっと教壇に登った。

 

 

「えぇ〜と、まず、最初にちょっといいか?」

 

 

 ざわついていた教室が一斉に静まり返り、こちらに皆の視線が集まる。手には小さなメモ帳が握られており、緊張からかそれを握る手に力が入る。遥都は大きく息を吸い込み、吐き出さ。その後、ぐるりと教室を見渡し、心を落ち着かせた。左手前にはコンポを取りに来る吉田さん。左奥には、相変わらず多くの友達に囲まれたリサ。右の中央にはほかの男子と喋っていた知夏良。その奥にはこの間、机に頭をゴロゴロ押し付けていた男子。大丈夫、ちゃんと見えている。遥都は自分にしか聞こえないほどの小さな声で「よし」と呟く。

 

 

「今回のコンクールのことなんだけど……」

 

 

 

 

 

 

──合唱コンクールまで残り5日

 

 

 

 




「うわ、昔のアタシってあんな格好してたの!?信じらんない!」
「ホント、昔の格好って当時、あれがかっこいいと思ってたから不思議だよね」
「わかる!私もあんなピンクピンクしてるの……」
「ね。男子でよくあるのは謎の長袖の上に半袖着てる風Tシャツね」

黒澤桜月さん(☆9)ありがとうこざいます!

他の方でまだお済みでない方いたらぜひ!感想も必ず返しますのでよかったら!
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