皆さん、課題は終わらせましたか?くれぐれも知夏良くんみたいにならないように!!
(ちなみにある有名な作家さんは知夏良くんが大好きみたいですwww!ジブンはそんなことを言って褒めてくれるその作家さんが大好きですよ)
※活動報告の方に少し思うところがあったので書かせていただきました。かなり真面目な内容ですので、読んでもいいよって方は紅葉のマイページからよろしくお願いします。(作者名をクリックして頂ければ紅葉のマイページへと行けます)
「な、なに?遥都くん」
「あの、遠回しな探りとかナシで行くけど、真面目に練習やってた?」
徐々に人数が減り、数えられるくらいとなった所で遥都はそう行った。人気が少ない教室でそう言われた吉田さんは何を言われてるのか一瞬理解できないそう言われた吉田さんの表情はさらに焦りの色が伺える。しかし、容赦なく遥都は責め立てた。
「本当にちゃんとみんなのためになることしてた?言ったよね?最優秀賞とるって」
吉田さんは黙り込んでしまい、無言の時間が流れる。この場合、沈黙は肯定と取れる。それは目線を合わせないことからも読み取れるし、遥都はその他のところからも簡単に見抜けていた。遥都が元々言おうとしていたこととその返答が一致しすぎていたこともあり、遥都は呆れるような顔を見せる。それから、数十秒後、ようやく吉田さんによって沈黙が破られた。
「…………あるの?」
「え?なんて言った?」
「意味があるの?って言ってるの!」
──第26話:英雄の氷
「あるわけないじゃない!?っていうか考えてもみなさいよ?今まで、音楽の授業すらまともに聞いてないのよ?そもそも私、湊さんと違って音楽も好きじゃないし!だいたい、ただの学校のコンクールよ?楽しければそれでいいじゃない!?適当にやって、みんなで笑顔でやれたら!」
嘲笑するような口調で周りを威圧しながら言う吉田さんに、教室に残っていた人の視線が落ちる。それを感じ、この教室から離れようとするものや、足を止めてしまう人、反応は様々だったが、教室の雰囲気がガラリと変わり、何かの線が切れたような感覚があった。その中でも格段に変わったのは、遥都だった。だが、変化の方向は真逆。それは周りと"同調"した萎縮ではなく反旗。明らかに目付きが急変した。瞳孔は開き、鋭く、刃のような目に。
「……おい、いい加減にしろよ?」
「なに?なんか文句あんの?」
「文句しかねぇよ。お前、チヤホヤされてるからなんでも許されるとでも思ってんのか?音楽のこと知らなくてもリーダーがきちんとやらないと、下がどうしていいのか分からなくなることがどうしてわかんねぇの?というか、そもそも出来ないからふざけるってダサすぎ。ただの見栄っ張りじゃん。それに、最後を笑顔でって、お前、そんなの出来るわけねぇだろ?現にお前が確実に1人を笑顔にさせてないじゃねーか。それなのに、よくもまぁ、そんなご高説が口にできたもんだ。一回、頭の病院行った方がいいんじゃねぇの?このアバズレクソ女」
あまりの口の悪さに教室が凍りつく。放つアイスブルーのオーラに泣き出す吉田さん。それに釣られてか、遥都に対する恐怖からか、見ていただけだったが泣き出す女子さえいた。だが、遥都は喉元をかき切るかの如く続ける。
「お前、もう来なくていいよ。俺があとやっとく。お前がいたら、上手くなるものも上手くならねぇ。ギャーギャーと不快な音させやがって。マジで、何してたんだよって感じだし。何の役にも立ちゃしねぇ。それどころか足を引っ張るとか……。これなら、友希那の方がよっぽどマシだったかもな。というわけで、もう来なくていいよ。
スクラップ」
スクラップ、英語で書くと"scrap"。意味は新聞紙の切り取りなどのこと、そしてもうひとつの意味が、鉄くずなどのゴミ類、使えないものを集めた鉄くず山。遥都は吉田さんに『お前は役不足だ。』と言い放ったと同義であった。その場で意思表示を凍りつかされ、膝をつき、ガクガクと震えながら崩れ落ちる吉田さん。あまりの恐怖からか、声も上手く出ていない。
一方の遥都は何か、今まで見てきた雰囲気ではなかった。明らかに目が冷たい。元々無気力だったから火とかそんなものは見えなかった。だが、決して冷たい訳ではなく、色で言うところの黄色や明るい緑に近い。だが今は、深い蒼に近い。深く濃く氷のような色だった。
差し込む夕日とは対照的に淡い澄んだ蒼色の空気が差し込む教室。そんな歪な空間で遥都は立ち尽くしていた。明らかに異形な雰囲気を放つ遥都はゆっくりとその場を離れる。皆、遥都の行先を開けるように、いや、避けるように道を開ける。あの知夏良まで、恐れの色が出ている。
「お、おい……。遥都」
「……なに?知夏良」
「え……」
なんとか声を出した知夏良だったが、自身に向けられた氷の刃に知夏良はその場に凍りつく。思考までもが止まり、へたり込むことしか出来ない。
用がないと判断してか、遥都はそのまま教室の外へ出ていってしまう。その瞬間、張り詰めた氷が砕け、教室では知夏良や吉田さんの元へ数人が駆け寄り、大丈夫かと声をかける。
「ちょ、知良夏、大丈夫〜?」
「今井さんか……。男子に嫉妬されるからあんま近づくなよ!主に遥都に!」
「そんな、冗談言ってる場合じゃないでしょ!?」
無理な笑顔を作りながら冗談めかしていう知夏良にリサが目を潤ませながら言い、頭を叩く。叩かれたところを「いった……」ボソリと言いながら擦る知夏良は真剣な目付きに戻って、続けた。
「……あんなの初めてみた。あれ、相当怒ってるよ?多分。遥都は何回かケンカしてキレさせたことはあるけど、普通キレてもあそこまで言わない。ちょっと、自分でも怖い……」
それを聞いていたリサを含めクラスの数人が唾を飲む。普段おちゃらけてる知夏良が言った分、それは十分すぎるほどに伝わっていた。一筋の嫌な予感が脳裏を過り、大きな不安に包まれる。まさに遥都が意図的か無意識か、クラスの心臓に放った氷の刃。それが徐々に周囲を凍らせているように見えた。そして、その残った刃が誰しもの目線を曇らせ、俯かせた。
*** ***
翌日、遥都に話しかけれるものはいなかった。下手をすれば、昨日よりも鋭くなっているかもしれない。目つきは鋭くナイフそのもの。見たものをその場に凍りつかせた。まるで通ってきた所だけ別世界のように見える。ざわめきすらも起こさせないその覇気に周囲の人間はより一層の恐怖を抱いた。
「ねぇ、リサちゃん。遥都くん、怖い……」
「なんとか出来ないの?ほら、知夏良くんとかと協力してさ」
「したいのは山々だけど……」
朝休み、リサも友達に頼まれはしたものの、正直触れたくなかった。今までの遥都とはまるで別人。今の遥都が醸し出す雰囲気はもう昔の暖かい雰囲気は見る影もない。
「ち、知良夏はどうなのっ?アタシより仲いいじゃん!」
「自分も今井さんとそんなに大差ねぇよ。って言うか出来たら、なんとかしてるっつーの!って、あー!!もう!イライラするー!!」
「だよね……」
焦り気味で近くにいた知夏良に振るもどうにもならないと跳ね除け、頭を掻きむしる遥都。寝不足なのか知夏良の目の下にはクマが見える。リサも大方予想通りだったのか溜息をつき、そのまま知夏良の前へと腰を下ろした。その数秒後、知夏良は息を大きく吐き、無理矢理落ち着かせると続ける。
「もう一つ気になるのは、吉田さんだろ」
「あ……」
「遥都にあんなに言われたのに、顔色ひとつ変えずにここに来てるんだぞ?それどころか自分にはいきいきしてるように見える。普通、あんなこと言われたのが噂になりそうだし、それでへこんでもおかしくないでしょ?それに、ちょっとくらい遥都に恐れたっていいだろ?なのに、あんな様子だし。おかしくない?」
「言われてみれば!」
リサと知夏良が目を向けた先に見えたのは明らかに空気が違うところ。廊下側後方の吉田さんの周りの席の人だった。男子と女子が数人集まりゲラゲラと笑い声を上げている。その中心にはドヤ顔というような顔をする吉田さんも。
「なんであんな顔できるんだろ?普通、あんなにキレられたらトラウマもんだろ?」
「うん……。少なくともアタシはそうかな。あんな顔されたら、1週間は学校休むかも」
「だろ?しかも、遥都のことを少なからず好意を持ってた人だぜ?なら、尚更じゃない?そういうもんんじゃないの?リサ」
「な、なんでアタシに聞くのよ!?で、でもそうなんじゃない!?」
知夏良とリサの疑問はそのままチャイムの音でかき消されて行った。授業の始まりとともに席に戻るリサや体を起こす知夏良は無言のまま教科書を用意するいつもと変わらないはずの遥都に少しの違和感を覚えながらもノートを開いた。
その後の練習はなんら支障なく行われた。この前の教室にいたメンバーしか知らないことだが、実質、パートリーダーが1人になったため、男女別れて練習することは無くなり、日数も少ないためとにかく通しては改善点を言ってみて、また通しての繰り返しだった。遥都は言ったことや感じたを事をどんどんと手元のノートに取っていく。
「ここはもっと抑揚つけて。男子は今のボリュームで毎回出せるように。女子はそれに消されないようなボリュームを出して。それから、ここは……」
淡々とノートを見ながら指示を出す遥都は吉田さんを辞めさせたことからか、効率を上げ、1人で仕切り、リーダーの貫禄が上がっていっているように見えた。いくら目付きが変わったとはいえ、元々責任感は強いタイプで任されたことはしっかりやるタイプだ。昨日のことがあったとは思わせないような、仕切りだった。その姿にリサや知夏良は一端の安心を覚えたのと同時に、遥都の切り替えの強さに不安を覚える。
(何かを捨ててきた……?)
知夏良そんなことを思ってしまっていた。感情と言ったら大袈裟かもしれないが、正しくそんなものを二人は思っていたのだ。このままでいいのか、それとも遥都を元に戻した方がいいのか、分からないまま時間だけが過ぎていく。気づけば空には数日前よりも分厚い雲がかかっていた。
──合唱コンクールまで残り2日
「じゃーん!!かき氷!!」
「紅葉さん、今、昔の俺がちょっとやばい方に言ってるのにテンションが場違いすぎません……?」
「いや、だって、タイトルがさ?」
「そんな意味でつけたんじゃないでしょ?それをあなたがいちばんよく分かってるはず」
「いいじゃんかよー!!あ、ちなみにみぞれが一番好き」
〇わ さん(☆9)、希望光 さん(☆10)、早宵 さん(☆9)
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