俺とアタシの居場所《一応 完結 》   作: 紅葉 

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前回は大ふざけを決め込んでましたwww
急にこんな真面目な文を書くとなると中々上手くいかないもんですね!そう言えば9月です。学生のみなさん、ちゃんと宿題は出しましょうね!


英雄の友と歌姫の友

 

 

 

 一夜明け、学園祭前日となった。この日は前日準備も重なり、多くのクラスが最終段階の用意へと進める。6年生は最高学年とだけあり、やはり、体育館の準備を行わされる。緑のマットをフロアへ敷き、ピアノを男子で移動させる。その後は他学年が作ってくれた花の紙飾りやチェーン状の紙飾りを綺麗に壁に貼り付けていく。その中には遥都の姿も見受けられた。

 

 

「じゃ、じゃあ、遥都くんは、これ!!よろしくね!」

 

 

 季節に似合わず、長丈のジーンズに、薄い七分丈っぽいパーカーを来ている遥都は脚立を使い壁の高い部分へ貼り付けを行っている。脚立の足付近にいる女の子から飾りをもらい、もう一人の女の子からテープをもらい貼り付けるのを協力しながら行うのだ。だが、到底、協力関係には見えなかった。足付近にいる女子の2人は怯えたような声で無理やり作った笑顔で対応し、遥都は返事もせずにこの前の氷の目から変わらないままだった。

 

 その様子を見ていた、リサや知夏良は心配そうな目を向ける。何かしてやりたい心配する気持ちと何をしたらいいのか分からないどうしようもない気持ちが混ざり、行動が起こせない。

 

 

「遥都……」

 

「はぁ……、あの野郎、どうなってんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──第27話:英雄の友と歌姫の友

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 前日準備も一段落し、後は当日の朝、全校生徒が会場入りするだけとなった。その頃には、日も傾き始め、その日の帰りのホームルーム。先生による応援の言葉が終わる。

 

 

「それじゃ、パートリーダーを代表して、遥都くん。何か一言言ってくれる?」

 

「はい」

 

 

 表情一つ変えずに前に進みでる遥都。その様子に教室に緊張が走る。前の方に座る遥都もその様子を息を飲みながら見守る。

 

 

「一言だけ。とりあえず、誰がなんと言おうと、どんな邪魔をされようと俺は合唱コンクールに出て、最優秀賞を取ります。これは確定事項です。なので、明日、全力で行ってください。以上です」

 

 

 氷の目をクラス全体に届かす遥都。背中に感じる悪寒、緊張感、それらを飲み込み、クラスメイトの大半は息を詰まらせる。その中を裂くように席に戻る遥都は相変わらずの雰囲気だ。

 良くも悪くも引き締まった教室。そして、そのまま、先生の言葉も終わり、放課後となってしまった。顔に不安の色が現れているものが多い中、皆が俯き気味で帰りの用意を始める。その中にはリサの姿もあり、近くにいた知夏良に話しかける。

 

 

「ねぇ〜、知夏良。遥都、やっぱり、大丈b……」

 

「ちょっと、俺、遥都のとこ行ってくる!」

 

「えっ!?ちょっと!ねぇってば!!遥都!?」

 

 

 話しかけられた知夏良は血相を変えて遥都の方へ駆け寄っていった。置いてかれたリサはただ、呆然として、「変なの」と呟く。知夏良は何かを遥都にアピールをしていて、遥都も何かを察したのか知夏良の手を引き、教室外へと出ていってしまった。結局、取り残されたリサはしぶしぶ一人で帰りの用意をし始めた。

 

 

(帰り、どうしようかな……?)

 

 

 それから、5分くらいだろうか、周りの友達に話しかけながらもダラダラと帰りの用意をするリサ。話していた友達も用があるのだろうか、帰ってしまい、珍しく一人になっていた。

 

 

「あれ?まだ帰ってなかったの!?」

 

「知夏良!?遥都と一緒に帰ったんじゃないの!?」

 

「え……、あ、あぁ、遥都は習い事かなんかあるみたいで先どっかいっちゃった!」

 

「へぇ〜、そっかぁ」

 

 

 少し慌てているようにも見えるその落ち着きのない違和感がある受け答えにリサは首を傾げる。だが、そんな疑問はすぐに廊下から聞こえる楽しそうな声にかき消される。リサは背負いかけたランドセルをもう一度背負い直した。

 

 

「リサ、湊さんのお見舞い行かない?」

 

「え?」

 

「だ〜か〜ら〜、湊さんのお見舞い!明日本番だし、最近の遥都の様子でも伝えに行こうよ」

 

 

 少しポカンとするリサに知夏良は「いくよね?」と言わんばかりの目線を送り続ける。この後予定も入っておらず、いつも一緒に帰っていた友達や友希那もいない。大した用事もないリサにとったら断る理由はなかった。むしろ、習い事や友達との遊びによって今まで一度しか行けていないから、行きたいという方が強かった。二つ返事で返すと、知夏良の後ろをついていく。

 

 

「でも、なんで急に?」

 

「ん?あー、ちょっと湊さんに聞きたいことがあって」

 

 

 

 

 

*** ***

 

 

 

 

 

 

「友希那〜!!」

 

「リサ……」

 

 

 病室に着くとリサは友希那を見つけるなり、飛びつく。大声を出したからか、周りの患者さんや看護師さんからジロリと睨まれるものの、全く気づいていない。代わりに知夏良が謝罪するようにぺこりと頭を下げていた。

 

 

「友希那、大丈夫〜!?」

 

「リサ……」

 

「おいこら、リサ!ここ病院だからな!?俺が睨まれてんだぞ、さっきから!」

 

「アハハ……。ゴメンゴメン!」

 

 

 顔の前に片手を持ってきてウインクしながら謝るリサに知夏良も何も言い返せず、「まぁいいけど」と顔をそらせてしまう。

 

 

「久しぶりね、リサ」

 

「そーだね!ゴメンね〜、アタシ、あんまお見舞い来れなくて」

 

「仕方ないわよ、習い事とか忙しいでしょ?」

 

 

 そう言うと、友希那はリサから目線を逸らしてしまう。以前より一層淡々と返す友希那に流石のリサも困惑していた。いや、淡々とと言うよりは、意識がここにないような、そんなイメージだった。眉を下げ、少し残念そうな表情をするリサ。助けてとアイコンタクトを知夏良の方へ送り、それを見て、知夏良は友希那の方へ歩み寄っていく。

 

 

「湊さーん、怪我の方はもういいの?」

 

「あなた、確か佐山という名前だったわよね。遥都とよく一緒にいる……」

 

「ごめいとー!佐山知夏良です。よく覚えてて貰えてたな……、自分で言うのも変だけど」

 

 

 苦笑いしながら答える知夏良とそれを見て、笑いを堪えているリサ。何がおかしいのか分からない友希那は、少し疑うような目で二人を見ていた。そして、ある程度笑って気が済んだのか、ブツブツとリサへ恨みの言葉を吐く知夏良を他所にリサは友希那に聞く。

 

 

「それで怪我の方はどうなの?」

 

「そうだったわね。車とぶつかったわりにはだいぶ軽い方で助かったね、と言われたわ。もう二、三日で退院出来るかもしれないと言われているわ」

 

「えっ!?ホントっ!?よかったー!!」

 

「だな。とりあえず、大事じゃなくて、よかったよ。」

 

 

 リサまでとは行かないものの、ひと安心したのか、顔が少し緩む知夏良。その後はリサと友希那が何かを喋ってるところを傍から聞いていた。だが、話がひと段落した所で知夏良が切り出す。

 

 

「それでさ、湊さん。ちょっと聞きたいことあるんだけどいい?」

 

「なにかしら?」

 

「遥都って何回かここに来てくれてるの?」

 

「えぇ。よく、というか、ほぼ毎日来てくれるわ。勉強のことや大事な連絡とかを話していくのよ」

 

「そこでさ、何か遥都の様子が変だったこととかない?」

 

「……??言ってる意味が分からないわ」

 

「そ、そっか!ならいいんだけど……」

 

「強いて言うなら……、音楽の話を良くするようになったことかしら?あとは、そうね……。アザが少し増えたことぐらいじゃない?何か、体育でぶつけたとか言っていたけど」

 

「っ!!!あの野郎、やっぱり……!!」

 

 

 明らかに顔色が変わる知夏良に友希那も驚きが隠せない。知夏良の横にいたリサも、声を漏らす。

 

 

「ちょ、知夏良!?どうかしたの?」

 

「え、あー、うん、なんでもない。2人にはあんまり関係ないことだから、気にしないで?」

 

「な、ならいいんだけど……」

 

 

 リサに話しかけられ、知夏良は表情を戻す。そして、知夏良はすぐに次の行動を起こした。

 

 

「ちょっと、自分、用事思い出したから帰るわ!リサはもうちょっとゆっくりしていって!!それじゃ!!」

 

 

 病室のベッドに立てかけてあったランドセルを乱雑に掴むと、走って病室を飛び出した。あまりの様子にポカンとする友希那とリサ。知夏良は病院の廊下を走り、階段を3階から1階まで走り下りる。途中、バランスを崩し、転びそうになるものの、知夏良は前しか見ていなかった。そのままに走り続け、病院を飛び出していった。

 

 

(遥都、あの野郎、勝手に突っ走りやがって……!!)

 

 

 

 

 

 

*** ***

 

 

 

 

 

 

 そして、遂に合唱コンクール当日を迎えた。以前から回復しない天気。今日も厚い雲が上空を覆っていた。確か予報ではこの後、天気は崩れるらしく、東の方には更に厚く、灰色の雲が見える。だが、小学校では対照的に飾り付けがされた廊下や各教室、体育館に多くの人が色めきだっている。あちらこちらで華やかな会話や笑顔が見られた。

 

 そんな小学校の校門の前ではいつもより少し派手な髪飾りを付けたリサが後ろから知夏良に話しかけようとしていた。

 

 

「おはよ!知夏良!やっと、当日だね!」

 

「おはよ。って、リサか」

 

「ちょっとぉ〜!?テンション低くない!?っていうか、昨日あの後どこ行っちゃったの?アタシ、もしかしたら戻ってくるのかもって思って待ってたんだけど!?」

 

「それはごめん。でも、ちょっと、行かなきゃいけないとこがあってさ……」

 

「ふ〜ん。てか、ホントどうしたの?昨日からいつものアホな知夏良じゃないじゃん!悪いもんでも食べたの?」

 

「失礼なやつだな!アホで悪かったよ!……でも、ちょっとワケありでさ……」

 

「……そっか。それじゃ、アタシはもう行くね!」

 

 

 何かを察したのか、これ以上触れてこないリサ。そんなリサはそのまま前の方にいる同じクラスの女子の輪へと入っていった。だが、実際、リサの感じた通りだったのだ。周りの色めいた雰囲気とは真逆の真剣な色を放つ知夏良。その後、喋りかけた友達も、何かおかしいと口々に言っており、いつもの明るい、良くも悪くもおちゃらけた雰囲気は微塵も見られなかった。

 

 その数十メートル後ろには遥都がいた。こちらも俯きながら、されど、目つきは以前の氷のようなもののまま歩いている。前髪の隙間から垣間見えるその顔には、どこか危なっかしく、だが、逞しくもみえた。そこには強く固い決意のようなものが伺える。

 

 

「ようやく、今日か……。最後くらい締めないと……」

 

 

 それぞれの抱く想いが交差する中、合唱コンクールの幕は上がろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──合唱コンクールまであと0日

 

 

 

 

 

 




「知夏良くん、大丈夫か……?」
「紅葉さんも人のこと言えませんよね……?頭にそんな包帯巻いて……」
「いや、あの二人、怒らせると怖いね」
「ホントですよ。あの人ら、限度ってもんを知らないですもん」
「「怖いわぁ〜」」


というわけで前回の終わりのことですね。割と、想像できるとは思いますがwww
ゴメゴメさん(☆9) ありがとうございます! 感想と合わせてお待ちしてます!
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