大方の予想はつくかもしれませんが……、大きな謎が解けますよ。
そして、私が密かに好きなあのキャラ、全推しです
「なんで、お前こんなとこにいるんだよ……?」
「別になんでもいいですよね?それより、君らが揃いも揃って、友希那になんかようですか……?」
乱れる息を無理にでも整えながら、遥都は虚勢を張る。正面にいるのは、吉田さんや川瀬、計6人。男子が川瀬も含め4人に女子が吉田さんともう1人だ。
「別にあなたに用って訳でもないわよ」
「そりゃそうですよね。友希那に用があるんだから。ほら、その吉田さんが大事そうに持っている紙袋、見せてくださいよ。やましいものが何も無いなら見せれますよね?」
「ぐっ……」
遥都は一連の態度を見て、自分の嫌な予感が当たったことを確信し、吉田さんらを言葉で追い詰める。トップがゆらげば、組織全体が揺らぐ。これはいかに小さな組織でも変わらない。吉田さんのたじろぎと共に、後ろにいた数名の顔が歪んだ。
「ほら、別に川瀬みたいにボコボコと殴るとか言ってないんです。早く白状して、見せちゃった方が楽ですよ?」
──第34話:英雄の最後
人気のない路地に嫌な空気が立ちこめる。時折、吹き抜ける風が不気味に服を靡かせ、汗を嫌に冷やしていく。
傍からみれば、一人対六人で圧倒的に吉田さんらが有利なはずだ。だが、その時の空気は完全に遥都が支配しているように見える。
「……いいぜ、見せてやる。吉田、それ、貸して」
その雰囲気を切り裂く、川瀬の声。ハッとするように吉田さんは川瀬に紙袋を託す。川瀬はそれを受け取るとニヤリと笑いながら、こちらへ近づく。
「ほら、これ、受け取れよ。お前が望んでたもんだろ?」
グッと紙袋を持つ手を突き出し、遥都の体ほんの70cm程のところへ持っていく。遥都はそれを受けるしかなかった。
「ありがっ…………!!」
痛烈な痛みが脇腹から全身へ広がる。紙袋は大きく飛ばされ、路肩へ転がる。遥都自身の体も、右側へ大きく崩される。
流石の遥都も油断している状態ではまともにダメージを受けてしまう。川瀬の蹴りはこんなタイミングで仕掛けてくると踏んでいない遥都にとって、それは致命傷だった。
「テメェ……!!」
「流石にお前も調子乗りすぎだ。おい、お前らもやるよなぁ!?」
立ち上がろうとする遥都だったが、右側の肋に異様な程の痛みを感じる。痛みにより、再びよろける遥都。その瞬間を川瀬が見逃すはずがなかった。川瀬が後ろで呆然としている男子を促す。我に返ったように男子は背負っていた荷物を下ろすと、嫌な笑顔を浮かべこちらへ近づいてくる。
「ほら、スクラップの俺らがお前を本当のスクラップにしてやるよ!」
その掛け声と同時に男子4人が一斉に掴みかかった。蹴り、かかと落とし、殴り、肘打ち。あらゆる手段を使って遥都の体に次々にアザを作る。
「そういや、お前、全然反抗してこなかったよなぁ!?なんだ、お前こそヘタレのゴミ野郎じゃねぇか!!」
物理的な暴力に留まらず、罵詈雑言も飛び交う。その内、見て笑うだけだった女子も手に持っていた傘を武器に使い参加し始める。
「遥都くんさ〜、何したいの?」
「それな!吉田の言う通りだよ、全く。なんかしゃしゃり出てきたと思ったらボコられるとか。意味わかんなくね?」
「元パートリーダーと
「吉田、上手すぎな!ほら、言ってみろよ、『
プツリと遥都の中で何かが切れた。吉田さんが振り下ろした傘を右手で掴み取る。その瞬間、吉田さんを睨みつけた。氷のような目、それを通り越した、形容し難いその威圧感。そして、その威圧感は先程まであった目の奥の炎すらも凍りつかせる。
「
次の瞬間、遥都が変わった。掴んでいた傘を奪い取り、川瀬の溝に突き立てる。そのまま、蹴り。もう1人の女子からも傘を奪うと、それをも使い、瞬く間に男子4人を突き飛ばす。
「ついでだから教えてやる。俺がお前らに反抗しなかったのは合唱コンクール前にそんなトラブルを起こして、悪印象だったり、クラスで話し合いとかをしたくなかっただけだ。それを心配する必要がなくなった今、分かるよな?」
突き刺すような目線と共に傘の先端を川瀬に向ける。青ざめる川瀬、吉田。後ろの男子のうちの一人が散らすように逃げようとするが、遥都が許すはずがない。
「勝手に逃げんなよ……」
一瞬のうちに追いつくと、襟を掴んで、地面に押さえつけると、膝裏の筋を思いっきり踏みつけ捻じる。切り裂くような悲鳴とともにその子はその場にばたついた。そして、トドメと言わんばかりに顔面に蹴りを入れる。
「伊月!やりすぎだぞ!!」
「あぁ?お前らが今まで俺にやった事に比べればこれくらい普通じゃねぇか?という訳で、次、川瀬、お前な……」
「ヒッ……!!」
「だから、逃げんなって……」
いくら空手をやっていたとしても、心が折られていた川瀬はもはや並以下だった。傘のU字になっている所を股下から潜らせ、容赦なく引っ張り続ける。泣きわめく川瀬だったが、これも遥都が顔面にもう一方の傘で殴りつけることて黙らせた。
「おい、残ってる4人、お前らもだからな……」
吉田さんを中心に路肩で震え上がる4人を遥都はまた睨みつける。完全に腰が抜けてしまっている残りの男子2人はもう簡単だった。傷口を傘や足で抉り、急所や顔面に次々に蹴りや突きを食らわす。骨は男子4人で何本折れているだろうか?それだけではない。人によっては前歯がおられていた。あるものは足があらぬ方向へ曲がり、あるものは傘の先端を突き刺され、白い服の一部が赤黒く染まっている。
「さて……、残りは女子のお二人さん。どうして欲しい?」
遥都が不敵な笑みを浮かべ遥都は一歩、また一歩と二人に近づく。そこら中がアザや傷だらけなのにも関わらずその目は死んでおらず、爛々と怪しげに輝く。
「ちょ、ちょっと、もう、私達なにも、しないから……」
「ごめんなさい……!だから、もう……!」
「謝れば済むとでも思ってるの?……済むわけないじゃん」
冷徹な目で二人を見下ろし、そして、遥都は両手に持った傘を振りかざす。
「バイバイ」
冷ややかな笑顔と共に遥都は全力で両手に持った凶器を振り下ろす。下の二人は泣きわめき、必死に謝り続ける。だが、遥都の手が止まることはない。
ガキッ…………
辺りに鈍い音が響いた。
「…………何してるんだよ?知夏良」
「腐ってても、女子だぞ」
二人を覆い被さるように自身の腕で傘を止める、知夏良がいた。痛みに顔を歪ませながらも、その目は真っ直ぐに遥都を見る。
「男が女子に手を上げたらダメだろ?そんなことしたら、アイツらよりクズだと自分は思うぞ」
純粋で真っ直ぐな気持ちというのは人を簡単に変える力を持っている。普段から裏表のない知夏良が言うとその力は何倍にもなる。その力は見えずとも確かに存在し、遥都の目を覚まさせた。そして、ハッとするように力が抜け、目の色がスっと消えた。我を忘れ、狂気のままに動いた自分が怖かった。
「………………」
「とにかく、倒れてるやつ何とかして、今日は帰るぞ。もう時間も時間だから」
「………………」
無言のままその場に立ち尽くす遥都。知夏良はそれを見て、小さなため息をつくと、遥都の頭を軽く叩き、肩を組むように遥都を前へと進ませた。知夏良に引きずられるように遥都は歩く。
何度も蹴りつけた足は痛みを発し、不自然な歩きをする。頭からは血が垂れて、顔に真っ赤な線を刻む。何ヶ所も腫れ上がった腕、顔。それら全てが遥都が空気から受けたもの。横を歩く知夏良もその姿を見て、何かを声をかけようとするも、かける言葉が見つからず唇を噛み締める。
薄暗いオレンジだった頭上の空、今はもう暗く、夜の近づきを表す。東の空には今にも消えてしまいそうな、一番星。もう、役目を終えたかのように虚ろに光っていた。
*** ***
家に帰ると、友人に連れられて傷だらけでもどってきた我が子に親は驚愕し、急いで病院に連れていかれ、整形外科でレントゲンを取った。何があったか詳しく聞かれたが、コケたと誤魔化し続けた。親も嘘をついていると分かっていただろうが、それ以上は聞いてこなかった。
痛みに揺れる頭でその日のやるべきことをやっとの思いで終えると直ぐにベッドに横になった。うつ伏せで枕に顔を埋め、痛む体にグッと力を入れる。何度も何度も頭の中に蘇る、アイツらの嘲笑う顔、その映像が止まることはなかった。その映像が流れる度に、アザがズキズキと痛む。
「……っ!!!」
その日はひたすらにそれの繰り返しだった。痛みに耐え、それが終わればまたあの映像と痛みと戦う。時計の針とは裏腹に全く変わることない映像と痛みが繰り返された。
そして、気づいた頃には、東の空がゆっくりと明るくなっていく。日をまたぎ、翌日の朝がすぐそこに来ていた。ムクリとベッドから起き上がり、クマが目立つ目を擦りながら、洗面所に立つ。鏡に写る遥都の姿は昨日とは全くの別物だった。顔も含めそこらじゅうに貼り付けられたガーゼや絆創膏、赤黒いアザ。それを見てまた苛立ちが込上げる。
「クソが……っ!!!」
その場で壁を殴る。それでも収まることの無いムシャクシャとした気持ち。遥都は玄関へ走り、まだ日も昇っていない外へと飛び出した。ただひたすらに、この苛立ちを、復讐心を何とかしたくて、
「あぁーーーーーーーーーっ!!!!」
まだ薄暗い町。その中に遥都の叫び声だけが大きく響いた。
「紅葉から真面目な話があるそうです」
「今後、一日に2話投稿なども有り得るかもしれません。話数に注意しながらご覧下さい!」
「続いてはお天気です!ソラシロー??」
とまぁ、ホントのことです!話が繋がらなかったら目次を確認してみてくださいね!
評価してくれた、リメイルさんありがとうございます!!
終盤ですがまだまだ募集中です!