【完結】The elder scrolls V’ skyrim ハウリングソウル 作:cadet
ドーンガード編がかなり長くなったので、分割することにしました。
突如として現れた巨大な蝙蝠。
通常の蝙蝠と比べ、二、三倍はあると思われる大きさを誇り、牙や爪はまるで研ぎたてのナイフのように鋭い。
何より特徴的なのは、胸元に埋め込まれた、まるで血を固めたかのような深紅の結晶だ。
やがて巨大な蝙蝠はその結晶だけを残して、形を闇へと解けさせ、2メートル近い人型の黒い影を形成。そこから、羽を生やした異形が姿を現す。
ヴォルキハル城にいるはずのハルコンだった。
「は、ハルコン、様……」
『まさか、貴様が来るとはな』
既に吸血鬼の王としての姿となった彼は、異形の翼で静かに浮いたまま、ミラークを睥睨する。
「お前がミラークだな。史上最初のドラゴンボーン。話は聞いている」
『ふん……』
「な、なぜ、ハルコン卿がここに……」
「私がガランに命じていたところは見ていただろう。その目で見たもの聞いたものを、そのまま私に伝えよとな。その為に我の肉体から生み出した使い魔を一体、後を追わせていたのだが……本当に、使えぬ者達だ」
冷たい失望の言葉に、ヴィンガルモの顔が青ざめる。
「ヴィンガルモ、オースユルフ、お前たちが互いに権力闘争に明け暮れながらも、あわよくば王の座に就きたいと思っていたことは知っていた。まあ、これまではそれでもよかった。王たるもの、そのような腹に一物抱えた者を使いこなすのも器量というものだからな」
ヴィンガルモに続いて、オースユルフの顔色も真っ青になった。
どうやらこの二人、互いに政敵を蹴落とすだけでなく、ハルコンの地位すらも欲していたらしい。
王座の簒奪を考えた者がどうなるかなど、古今東西変わらない。
可能な限りの懲罰を加えたうえで、むごたらしく処刑されるのみだ。
今回の失態のことを考えれば、ヴィンガルモにもオースユルフにも、殺されるだけの十分すぎる理由があった。
「とはいえ、これ以上戦力を削られるのはさすがに面倒なのでな。連れ帰らせてもらうぞ」
直後、穿たれたトンネルから、身の丈二メートルほどの翼を持つ者達が飛び込んでくる。
蝙蝠と人間を掛け合わせたかのような外見。蹄行性の足に、鋭い爪を持つ長い手足もつ異形。
『ガーゴイルか……!』
ガーゴイル。
意志を持つ石像であり、作成者の命に従うゴーレムのような存在だ。
泉の間に飛び込んできたガーゴイルたちは、生き残っている吸血鬼達を手早く回収し、飛び去ろうとする。
『逃がすか……』
当然、ミラークは逃がすまいと、ガーゴイルの群れに魔力を収束させた右手を掲げる。
直後、ハルコンもまた示し合わせたように、左手を突き出した。
二人の魔法が同時に発動。ミラークは腕ほどの雷を、ハルコンは真紅のエネルギー流を放つ。
激突する紫と紅の奔流。
数秒、拮抗しあった互いの魔法は、やがて耳を突くような炸裂音と共に霧散した。
『血の魔法か……』
血の魔法は、吸血鬼の王が操る特殊な魔法だ。
他者の生命力を直接吸い取り、また吸収した力を直接ぶつけたりする術。
魔法というよりは、吸血鬼の王が持つ特殊能力とも呼べるもので、通常の魔法などに必要な詠唱が存在しない。
二人の魔法が拮抗している間に、生き残っていた吸血鬼達はガーゴイルたちの手によって、洞窟の外へと運ばれていく。
唯一、残ったガーゴイルは二体。どちらもハルコンの背後で何かを待つように控えている。
「さて、とりあえず部下達はこれでよい。それから、娘と星霜の書も返してもらおうか」
そして、ミラークの魔法を相殺したハルコンは、続いて泉の間の端にいる娘に目を向け、左の指を静かに掲げた。
「きゃあ!」
「セラーナ!?」
直後、セラーナの体が浮き上がった。
吸血鬼の手。吸血鬼の王であるハルコンが持つ能力であり、あらゆる物体を触れずに動かす力である。
そのまま彼女は、ハルコンの背後に控えていたガーゴイル達の方へと引き寄せられていく。
『ち……!』
連れ去られそうになるセラーナに、ミラークもまた左手を突き出して『念動力』の変性魔法を発動した。
「くううう……!」
正反対の方向から強大な力で引っ張られ、空中で固まるセラーナ。
全身を引きちぎられるような感覚に、苦悶の声が漏れる。
「離したらどうだ?」
『そちらこそ』
苦しむセラーナを横に、挑発しあうミラークとハルコン。
直後、両者は再び空いている片手を突き出した。
再度激突する雷と血の魔法。
せめぎ合うエネルギーの奔流が、泉の間を閃光で照らしていく。
『星霜の書で何をしようとしている。このような強大な力を持つ遺物を貴様らが使うとなれば、碌なことではないだろう?』
「亡霊のお前には関係あるまい。所詮、泡沫のような存在。今更この世に何の未練がある」
『ならば、いきなり来て早々帰ることもないだろう。何をそんなに急いでいる。まるで、
このまま拮抗するのは自分には不利であるかのようではないか』
ミラークの言葉に、ハルコンの眉が僅かに動く。
『やはりその体、本体ではないのだな。おそらくはガーゴイルか使い魔を強化し、己の写し身としているのだろう。さらに言えば、使える力にも限界があると見える』
「そういう貴様こそ、全力を行使できるわけではあるまい。喉の傷、再び開いているようだな」
『…………』
今度は、ミラークの口元が僅かに引き締まった。
ハルコンの言葉通り、ミラーク……正確には健人の喉の黒く変色した肌の縁から、赤い血がしたたり落ちている。シャウトの反動だ。
ドク、ドクと流れる血は止めどなく、いつの間にか首元から彼の鎧を赤く染め始めていた。
今すぐ危険となるわけではないが、無視できない出血量である。
「あ、く、ううぅうううううう!」
そうこうしている間にも、拮抗するミラークの念動力とハルコンの吸血鬼の手が、セラーナを容赦なく締め付けていく。
華奢な肢体からミシミシと骨がきしむ音が響く。
体が頑丈な吸血鬼であるから保っているが、既に二人がかけている力は、人間をたやすく真っ二つにするほどになっている。
『そろそろ緩めねば娘が死ぬぞ。別に私は構わん。貴様が何を企んでいるかは知らんが、私は主と違い、そこまで優しくはないからな』
ミラークにとってセラーナの命はそれほど重要ではない。
それよりも彼が重要視するのは、星霜の書だ。
タムリエルにおける、最上位のアーティファクト。ハルコンの狙いが不明とはいえ、それがろくなことに使われないであろうことは、容易に想像できる。
「ち……!」
ミラークの指摘が的を得ていたのだろう。
ハルコンは苦々しげに舌打ちすると、放っていた血の魔法を中断しつつ、空いた手を一閃させた。
直後、ハルコンの爪が一瞬にして数メートル以上伸びる。
吸血鬼の爪はそれ自体が凶器であるが、吸血鬼の王の爪は一味も二味も違う。
非常に硬く、それでいて柔軟。伸縮自在で黒檀製の防具ですら紙のように切り裂くことが可能である。
事実、斬り上げるように振られたハルコンの爪はセラーナの服の一部を切り飛ばしただけでなく、岩の地面に深い傷跡を四つ刻み込んでいた。
切られた服の端から、彼女の持っていた星霜の書がこぼれ落ちる。
直後にミラークの雷が吸血鬼の王の半身に命中。雷がはじける轟音が響き、拮抗から解放されたセラーナはそのままソリーヌたちのところまで吹き飛ばされた。
「げほごほ、ごほ、ごほ……!」
『ふん……』
地面にしたたかに体を打ち付け、せき込むセラーナを一瞥し、ミラークは再び視線をハルコンへと戻す。
『無様だな……』
ハルコンは雷を受けた片腕から脇腹までが完全に吹き飛んでいた。
血は流れず、赤い断面だけの傷跡が、今のハルコンが写し身であるというミラークの予想が正しかったことを示している。
しかし、セラーナの星霜の書は、ハルコンの手に中にしっかりと納まっていた。
「忌々しい奴だ……」
写し身の半身を失ったことにハルコンは顔をゆがめながらも、取り返した星霜の書を後ろで控えていたガーゴイルに投げ渡す。
ガーゴイルは星霜の書を受け取ると、踵を返して泉の間から飛び去って行く。
ハルコンは健人の姿をしたミラークを忌々しげに睨みつけながらも、改めて彼の首元を見て、その表情を愉快そうなものへと戻す。
「だが、まあいい。主神の魂縛はまだ有効のようだな。デイドラロードの魂縛。いかに貴様とはいえ、抵抗できても完全に打ち消すことはできなかったようだ」
『ち……』
今度はミラークが、忌々しげに舌打ちを漏らす。
シャウトの反動で血に濡れた首。そこには、黒い斑点が規則的な間隔で、輪のように一周しており、各々の斑点は紫色の光を僅かに帯びていた。
砕けた嘆きの首輪の棘による傷跡。
ミラークは再度『大回復』を使用する。しかし、シャウトの反動による出血は止まったが、首輪の傷跡は癒えない。それが、ハルコンの言葉が真実であることを如実に語っていた。
嘆きの首輪はモラグ・バルが生み出した特別な呪具。その呪縛は、簡単に解除できるものではない。
「苦痛を直接与えることはできなくなったが、まあいい。他にも手はある。後はゆっくりと、貴様の主の魂を狩る時を待つとしよう。後は……」
ハルコンは残った片腕を掲げる。
手のひらからボコりと血塊が浮き出し、二つの物体が姿を現す。
一つはハルコンの愛刀『神血の魔剣』だ。
もう一つは、赤い液体を納めた小さな小瓶。
それを見た瞬間、ミラークの顔が一気に引きつった。
「本来ならもう少し様子を見てから試すつもりだったのだが、ちょうどいい……」
小瓶のふたが自然と開き、中身が宙を舞いながら神血の魔剣へと注がれていく。
魔剣の刀身が、ドクン、ドクン! と心臓の鼓動のように明滅を始めた。同時に、レッド・ウォーターの洞窟全体が、まるで地震が起きたかのように振動を始める。
神血の魔剣は、吸った血で力を増す特別な剣。だが、それを考慮したとしても、大地を揺らすほどともなれば、異常ともいえるだけのエネルギー量だろう。
事実、この剣を知るはずのセラーナも顔面を蒼白にしていた。
「むん!」
途方もない力の胎動。その中心となっている邪神の剣を、ハルコンは放り投げた。弧を描いて落ちた剣は、レッド・ウォーターの源泉に突き刺さる。
瞬間、激震が洞窟全体を襲った。
「うわ!」
「な、なに? 何が起きているの!?」
『これは……貴様、まさか!?』
まるで大地震の震源地直上にいるかのような揺れに、カシト達は一様に足を取られ、思わず膝をつく。
彼らが動揺を顕わにする中、ミラークだけが何かに気づいたかのように声を荒げていた。
「ふむ、やはりか。ではな、亡霊よ。精々、次元の狭間に落ちぬよう抗うのだな」
ハルコンの写し身は胎動する愛剣を前に何か納得したような表情を浮かべると、片腕のまま、泉の間から飛び去って行く。
「あ、逃げた! こら~~~~!」
「ほっとけ! それより、これはやばいぞ!」
「あ、足、た、立てない……」
そうしている間にも、揺れはますます大きくなっていた。
既にカシト達はまともに立っていることすらできないほど。
原因であろう魔剣はさらに強大な魔力を放ち始め、湧き上がっていたはずの泉の水が、まるで時間を巻き戻すかのように源泉へと吸い込まれていく。
そして、何かが破れるような音と共に魔剣が着き立つ地面に小さな、小さな裂け目が生み出された。
漆黒の光を放つ奇妙な傷跡。まるで、空間そのものが避けたかのような穴だった。
『アカトシュの障壁を貫いて空間に穴が開いたか……!』
「ちょ、ちょっと! 今度は何よ……」
「うおおぉぉぉお!」
直後に、強烈な風と共に、あらゆるものが傷跡めがけて吸い込まれ始めた。
ガンマー達はとっさに地面にへばりつき、吸い込もうとしてくる力に抗う。
「ちょ、オイラのしっぽを掴むな~~!」
「ご、ごめんなさい……!」
カシト達が必死に床石にしがみつく中、黒点から放たれる漆黒の光は激しく明滅を繰り返す。
やがて、その感覚は短くなり、黒い閃光もより強くなっていっていく。
『ちい……!』
まるで、極大の火山が今にも爆発するかのようなエネルギーの奔流。
ミラークがマジカを振り絞り、いざという時のために常に準備していた魔法を発動する。
転移魔法。
空間を飛び越える、古の時代にも使い手がほとんどいなかった超高位魔法である。
彼らの体を淡いマジカの光球が包み込み、激しく空間が胎動する泉の間から強制的に転移させる。
直後、漆黒の閃光が炸裂し、レッド・ウォーターの洞窟は周囲の空間もろとも、虚無の中へと消えていった。
耳を突くような轟音が闇夜の空に響き渡った。
眠りについていた鳥たちが泡を食ったように飛び立つ中、ハルコンは崖上に立つ写し身の目で、先ほどまでレッド・ウォーターの泉があった場所を見下ろしていた。
泉は遺跡ごと消滅し、直径数百メートルはあるであろうクレーターとなっている。
洞窟周囲を覆っていた木々も衝撃波で倒れ、まるで巨大な嵐が過ぎ去ったかのような様相だった。
「ふむ、やはり開闢のドラゴンボーン達も生き延びたようだな。しかし、予想以上の効果だ……」
そんな光景を少し離れた崖から見下ろしながら、ハルコンは静かに頷く。
彼の背後には、救出されたヴィンガルモ達と、彼らを運んできたガーゴイルの群れが控えていた。
「これは、いったい何が……」
眼下の光景を前に、ヴィンガルモ達は膝をついたまま、唖然としている。
「ギュルルル……」
そんな中、クレーターの方から一体の異形が飛んできた。ハルコンが従えているガーゴイルの一体だ。
飛んできたガーゴイルの手には、ハルコンの愛剣「神血の魔剣」が握られている。
毒々しい血色を帯びた刀身には解放した力の残滓がこびり付いているのか、僅かに明滅を繰り返している。
やがてその明滅も消え、神血の魔剣は沈黙するも、ハルコンしばしの間、元に戻った愛剣を満足そうに眺めていた。
そしてヴィンガルモ達の疑問に答えることなく、彼らに振り返る。その目はつい先ほど、愛剣を観察していた時のような喜びはなく、冷淡な失望の光を湛えていた。
「さて、実験は終わった。後は、お前たちの処遇だな……」
視線を向けられたヴィンガルモとオースユルフが、恐怖に体を震わせる。
「は、ハルコン様、わた、私は……」
「貴様らの邪な考えに、私が気づかぬと思ったのか? 任務には失敗、それに王権の簒奪を企むなど、相談役はおろか、ヴォルキハルに属する者としてもふさわしくはないな」
「そ、そんな……!」
ヴィンガルモが情けなくも悲痛な声を上げる。オースユルフに至っては、震えるだけで言葉を発することすらできない様子だった。
実のところ、ヴィンガルモもオースユルフも、その有り余る野心から、王権の簒奪を考えていたのは事実だった。
今まで大人しく従っていたのは、ハルコンとの隔絶した力の差を認識していたからである。
当然、彼らができたことは部下を増やし、ヴォルキハル城内に自分の勢力を増やすだけであり、実際にハルコンを害する行動に移せたことはない。
「我が娘に色目を使っていたのも、いずれ簒奪した己の王権を正当化するためであろう。到底、許すわけにはいかぬ」
セリフ自体は怒り隠さぬものである一方、ハルコンの声色は何故か淡々としている。
そこでヴィンガルモは、ハルコンの本当の目的に気づいた。
彼は、初めからヴィンガルモとオースユルフを更迭するつもりだったのだ。自分の権力基盤を盤石なものにするために。
野心のある腹心など、ハルコンからすればこれから大事を行う上で目障りでしかない。
「本来なら、即座に処断するところだが……生憎と私は慈悲深い。故に、その命、この場で奪うことはしないでおいてやろう」
ハルコンのその言葉と共に、ヴィンガルモとオースユルフの耳にカチャリ……と金属が合わさる音が流れてくる。
続いて首元に冷たく、重い感覚が現れる。
反射的に二人が自分の首に手を持ってくると、そこには無数の棘がついた首輪の感触が帰ってきた。
それは、健人もつけられた『嘆きの首輪』であった。
「こ、これは……」
「そ、そんな。どうして俺達にこの首輪を……!」
「反逆を企んだ者には、相応の首輪が必要であろう? もし、その身と魂を賭して改心と忠誠を示すのであるなら、その首輪を外してやる。そうでなければ、貴様らの全て、ひとかけらも残すことなく我らの神に捧げるがよい。それが、お前達への罰である」
嘆きの首輪を付けられたヴィンガルモとオースユルフの顔が絶望に染まっていく。
まさか、自分達が生贄の立場になるとは思っていなかったのだろう。
地面に膝をついたまま体を震わせる二人を一瞥すると、ハルコンは『吸血鬼の手』でヴィンガルモが持っていたレッド・ウォーターの聖杯を取り上げる。
泉の源泉がなくなっても、聖杯は赤い水を浩々と湛えていた。
そして彼は、東の空へと目を向けた。遠くに見える山々の峰は、既に黎明に白み始めている。
「そろそろ、夜明けが近い。我らの時間はここまでだ。私はガーゴイルと共に皆を連れて一度城に戻る。特にフーラには、休息が必要だ。それからメリエルナ……」
「はい」
「聖杯の奪還、よくやった。お前にはこれから、更に期待している」
「あ、ありがとうございます……」
頭を垂れるメリエルナの姿にハルコンは静かに頷く。
普段から氷のように冷淡な吸血鬼の王であるが、彼女を見下ろすその目は、ヴォルキハル城で今回の任務を命じた時よりは、幾分か和らいでいた。
「これで、一応の予想はついたか。後は、太陽の専制だが……ガラン」
「は、はい……!」
「メリエルナと協力し、聖蚕の僧侶を探し出せ。星霜の書の解読に必要だ。私はこの写し身と共に、他の者達をヴォルキハル城へと連れ帰る。幾体か、私のガーゴイルを残していく。好きに使え。必要なら、城に残してきた部下も送ろう」
「う、承りました……」
「メリエルナも任をこなした直後で疲れているところをすまないが、続けて動いてもらうことになる。無論、今回の仕事の褒美も含め、力になりそうなものを後で送ろう。期待してよい」
「は、はい……」
ハルコンは一通り指示を出し終わると、東の空へと目を向ける。
差し込む朝日を忌々しげに睨みつけると、ガランとメリエルナ以外の吸血鬼を連れ、飛び去って行くのだった。
というわけで、いかがだったでしょうか?
ヴィンガルモとオースユルフの野心の点がちょっといきなりすぎたかな……。
必要なら、途中で追加しておこうと思います。
さて、前書きにも書きましたが、ドーンガード編が長くなることが確定しましたので、分割いたします。
一応、次でドーンガード編の第一章は終わり。続いて第二章となります。
以下、登場人物、用語説明
ミラーク
転移魔法により主の仲間たちと共に脱出。
ハルコンの行動とそれによって起きた事象を観た際の反応を見るに、何らかの心当たりがあると思われる。
ハルコン
何らかの目的をもって、己の魔剣に健人の血を取り込ませ、レッドウォーターの泉を消滅させた。
また、独断専行が目立っていた相談役二人を『王座の簒奪を考えていた』という理由で更迭。主神への贄にしている。
ヴィンガルモ、オースユルフ
主に野心を見抜かれ、更迭されて生贄となってしまった。
二人がハルコンの代わりに王座に就きたいと考えていたのはゲーム中でも指摘されており、王の執事であるガラン・マレシからその旨を聞くことができる。
健人の血
ハルコンが捕らえた再開闢の英雄から採取していたもの。
吸血鬼達にとっては極上の血であり、ともすれば依存しかねないほど美味であるが……?
レッドウォーターの泉
ハルコンの行動により消滅。
周囲数百メートルにわたって陥没し、巨大なクレーターと化した。