【完結】The elder scrolls V’ skyrim ハウリングソウル 作:cadet
健人達が突然登場した見知らぬ女性を訝しんでいる一方、乱入してきた女性に心当たりがあるようなサルモール高官は、興奮したまま罵詈雑言を捲し立てている。
「地に這いずり回るブレイズの残党風情が。まだ生きていたのか!」
「ブレイズ?」
ブレイズ。
健人は知らないが、それはかつて、帝国の皇帝に仕えていた、身辺警護および諜報を行う部隊の名前だった。
先の大戦でほぼ全滅したが、その諜報能力と特殊部隊としての練度は、大陸では右に出る者はいなかったとされる精鋭部隊である。
「ちょうどいい、ここであのノルドの女もろとも、殺してくれる!」
「できるかしら?」
「ほざけ!」
サルモール高官が素早くマジ力を練り上げ、両手に生み出したエクスプロージョンを、デルフィンと呼ばれた女性に放った。
デルフィンに向かって爆炎弾が高速で殺到する。
だが爆炎弾がデルフィンの体に直撃すると思われたその瞬間、サルモール高官の視界から、突然彼女の姿が消えた。
デルフィンを見失ったサルモール高官の動きが、呆けたような顔と共に硬直する。
もちろんデルフィンが煙のように消えたわけではない。消えたように見えただけだ。
実際、遠くから見ていたリータ達には、その様子がよく分かった。
デルフィンは地を這うほど腰を低く落とし、爆炎弾の下をすり抜けるように回避。同時に体の落下エネルギーを踵から前方へと爆発させ、一気に距離を詰めていた。
リータの旋風の疾走とは違う、古武術を思わせる移動法。
一瞬でサルモール高官の足元に踏み込んだデルフィンは、前方に進む移動エネルギーを再び踵で、上方向に変換。
腰に差したその特徴的な刃を抜きながら一閃させ、サルモール高官の体を逆袈裟に斬り裂いた。
「……がっ!」
「ふっ!」
デルフィンを見失い、茫然としていたサルモール高官の体が崩れ落ちる。
さらに、隣にいたサルモール兵士の首筋を一閃。兜と鎧の隙間から、相手の頸動脈を斬り裂く。
続いて、最後の兵士の眼前まで距離を詰めると、相手の膝に足をかけて跳躍し、大上段から一気に刃を振り下ろす。
振り下ろされたデルフィンの鋭い刃は、最後の兵士の肩口から脇腹までを、鎧ごと袈裟がけに両断してしまった。
「高尚なハイエルフ様には、すこし手荒なご挨拶だったかしら? 生憎と、貴方のような輩にこの命をくれてやる気はないわよ」
デルフィンが刃に着いた血をぬぐい、ゆっくりと鞘に納める姿を呆然と眺めながら、リータ達は彼女の技の冴えに驚嘆していた。
サルモール兵士が身に着けていた鎧は、どれも鋼鉄よりも性能がよく、丈夫な逸品だった。
リータ達ですら力で叩き潰すしかなかったその鎧を、このブレイズの女性は一刀両断してしまっている。
それは、純粋な技が成した絶技。
生まれつき戦士として才があるノルドだからこそ、デルフィンの戦闘能力がどれほどの高みにあるかを感じ取っていた。
「そちらは大丈夫かしら、ドラゴンボーン」
デルフィンの声に、呆然としていたリータが我に返る。
「っ、みんな!?」
「大丈夫です、従士様。皆、生きています」
「いちち……。あの人参野郎のおかげで、髭がチリチリだ」
「俺も大丈……ぐっ!?」
リディア、ドルマがのそりと身を起こす一方、健人は体を起こそうと手を地面についた瞬間、あまりの痛みにその場に崩れ落ちてしまった。
健人の腕は破壊された盾の破片があちこちに突き刺さり、酷い有様だった。
革製の小手にはめ込まれていた金属板がめくれ、突き刺さった破片から血が滴り落ちている。
魔法で治そうにも、健人のマジ力はサルモール高官の魔法を防いだ際に尽きており、流れ落ちる血を止める手段がない状態だった。
「これを使いなさい」
「あ、ありがとうございます……」
デルフィンが持っていた治癒薬を投げ渡す。
リータがお礼を言うが、デルフィンは気にするなと言うように手を振っていた。
健人はリータの手を借りながら、刺さっていた盾の破片を抜き、完全に壊れた小手を外して、もらった治癒薬を腕に振りかける。
ジュクジュクと傷が塞がっていく感覚に顔をしかめるが、ほどなくして健人の傷は完全に癒え、リータは安堵の息を漏らした。
健人の傷が癒えたことを確認したリータは、改めてデルフィンと向き合う。
「それで、私がウステングラブに残した手紙は見てくれたかしら?」
「貴方が、この手紙の送り主?」
「ええ、ブレイズのデルフィンよ。よろしくね」
差し出された手を、リータはおずおずと握り返す。
一方、デルフィンが渡してくれた薬で、一通りの治療を終えた健人だが、彼の眼はデルフィンの腰に差してある剣に注がれていた。
両手でも扱えるような長い柄と、特徴的な緩やかな反りを施された刀身。
斬る事、突く事に特化したその剣は、今はもう戻れなくなった、故郷の剣にあまりに酷似していた。
「日本刀……?」
思わず、故郷の刀の名を呟いてしまう健人。
デルフィンは聞きなれない剣の名前に、怪訝な顔を浮かべる。
「ニホントウ? これはブレイズソードよ」
「いや、えっと……。何となく見覚えがあるような気がして……」
「本当に? これは私たちブレイズしか使わない特殊な剣よ」
ブレイズソードは、元々デルフィンが所属していた部隊であるブレイズでしか運用されていない武具だ。
その製法も特殊で、扱い方もこの大陸で主流の剣術とは異なっている。
そして、元々ブレイズは諜報などを行う特殊部隊。
当然ながら、普通の一般人がブレイズソードについて知ることはほとんどない。
「い。いや、俺は記憶喪失で、昔の事はよく覚えていないんですよ……でも、何となく過去に見たような気がして……」
「……そう」
一方、異世界出身であるということを、記憶喪失という話で隠している健人は、デルフィンの訝しむような視線に冷や汗を流していた。
彼としては、故郷を思わせる剣につい言葉を漏らしてしまっただけなのだが、サルモールに追われる立場のデルフィンとしては、健人の存在に警戒心を抱いている様子だった。
無理のない反応である。
「こいつの事はどうでもいいだろう。それより、お前が俺達と接触してきた理由は何だ?」
「ブレイズは、かつての皇帝直属の身辺警護部隊だったはずですが、全滅したはずでは?」
健人を庇うように前に出てきたドルマとリディアに、デルフィンもこれ以上追及することは難しいと判断したのか、さっさと諦めて本題に入る。
「全滅はしていないわ。私がいるもの。私は私達の使命を果たすため、貴方に会いに来たのよ、ドラゴンボーン」
ドラゴンボーン。
つまり、彼女の目的もリータだという事だ。
つい先ほどサルモールに襲われたという事もあり、ドルマとリディアの警戒心が一段と高まる。
ドルマとリディアの警戒心を感じ取ったのか、デルフィンは肩を竦めた。
「私はあなたの敵じゃないわ。むしろ、協力できる立場よ」
「どうだろうな……」
「疑り深いわね」
デルフィンとしては今直接会うのは時期尚早と考え、出来るなら陰の協力者としてある程度の信用を得てから接触したかったが、仕方ないと思い直し、とりあえず要件を話すことにした。
「貴方たちは、ドラゴンがどこから来たのか知っているの?」
とりあえずデルフィンは、自分の有用性をドラゴンボーンに見せ、協力を仰ぐことにしたらしい。
一方、リータ達にとっても、デルフィンの言葉は琴線に触れるものだった。
ドラゴンがこの時期に突然出現したことについては、リータ達も内心気にはなっていたからだ。
「ドラゴンはどこかに隠れていたわけじゃないわ。元々死んでいたのよ」
「は! 死んでいたのなら、俺達を襲ってきたドラゴンは何だ? 幻だってのか? ふざけるのは大概にしろよ」
自分達の生活を壊され、ティグナ夫妻という恩人を殺されたドルマが、憤りを含んだ声とともにデルフィンを睨みつける。
一方のデルフィンは、睨みつけてくるドルマの視線を無視し、懐から一枚の地図を取り出して、リータ達に見せた。
「これを見て」
彼女が見せたのはスカイリムの地図だった。
地図上に黒いインクで書かれたスカイリムの所々に、赤いインクで何かを示す印が付けてある。
「これは、ドラゴンの埋葬塚の位置を記した地図。ドラゴンズリーチの宮廷魔術師である、ファレンガーが作ったものよ」
「ファレンガーさんが?」
ファレンガーについては、リータ達も知っている。
先のホワイトランのドラゴン襲撃後に、話す機会があったからだ。
ドラゴンズリーチで話したとき、健人たちが抱いたファレンガーの印象は、鼻に付くような口調の、魔法使いらしい魔法使いというものだった。
しかし、リータがドラゴンボーンであることを聞くと、どうか実験に協力してほしいと懇願された。
なんでも、ドラゴンの研究において、ドラゴンボーンの存在は極めて重要らしい。
ファレンガーはドラゴン研究に命を懸けているのか、首長が止めるのも聞かず、シャウトを使った時や、ドラゴンの魂を吸収した時の印象を尋ねてきた。
さらには、血を小壺三つ分提供してくれと、ナイフ片手に詰め寄ってくる始末。
あまりにも不躾で遠慮がなかったため、首長が一喝してその場は収まったが、以降、リータはファレンガーに苦手意識を覚えたのか、一切彼には近づかなくなっていた。
「ええ。だから、この地図については信用できるわ。彼、ドラゴンマニアだから」
「ああ……」
ドラゴンマニアというデルフィンの言葉に、リータは目を血走らせて詰めよってくるファレンガーの姿を思い出したのか、げんなりとしている。
「それで、私はこの埋葬塚を調べてみたの。案の定、埋葬塚には何もなかったわ。空っぽよ」
「誰かが掘り起こしたってことですか?」
「それも、つい最近ね。しかも、塚が掘り起こされた時期は、ヘルゲンが襲われた頃。掘り起こされた塚の順番から考えて、次はおそらくカイネスグローブだけど……心当たりはない?」
「あの黒いドラゴン……」
「あいつか……」
ヘルゲンを生き延びたリータ達の脳裏に、漆黒のドラゴンが浮かぶ。
燃やされた故郷と殺された両親を思い出し、リータとドルマは唇を噛み締めた。
「あれは……今だから感じるけど、普通のドラゴンとは思えなかった。使っていたスゥームも、鱗の強靭さも、ホワイトランを襲ったドラゴンと同じドラゴンとは思えなかった」
実際にドラゴンを見て、戦った経験があるからこそ、リータはヘルゲンを襲った漆黒のドラゴンと、ミルムルニルの能力差を敏感に感じ取っていた。
健人たちと違い、ドラゴンボーンとして覚醒し、ドラゴンの力であるシャウトを行使できるようになった彼女だからこそ、その感覚は正確だ。
ホワイトランを襲ったミルムルニルも確かに強大な存在だったが、ヘルゲンを襲ったドラゴンは天から隕石を召喚するなど、ミルムルニルと比べても比較にならない強大な力を持っていた。
リータは同じような姿形でも、実際の力は犬とドラゴン並みに差があると感じていた。
その時、健人が思い出したかのように呟いた。
「そういえば、ホワイトランを襲ったドラゴンが、奇妙な名前を言っていたよね。たしか、アルドゥインの命令で俺達を粛正するとかなんとか……」
アルドゥイン。
ノルドだけでなく、世界中の伝説にその名を残すドラゴン。
ミルムルニルの言葉を思い出した健人の一言に、その場にいた全員が硬直した。
「アルドゥイン……」
「おい、マジだってのか……」
「あ、あの、アルドゥインって何ですか?」
「古いノルドの神話に出てくる伝説の竜です。世界を飲み込むほど強力なドラゴンらしいですが……」
タムリエルの常識に疎い健人が取り残される中、深刻な表情を浮かべるタムリエル勢。
リディアが丁寧に説明してくれるが、彼女もまた、信じられないという気持ちが半分と、信じたくないという気持ちが半分といった様子だった。
「アルドゥインは、ノルドの伝説に出てくる世界を終わらせるドラゴンの名前よ。漆黒の巨躯も、同族のドラゴンを復活させられることも、伝説や書籍に残っているアルドゥインの特徴と一致するわ」
死したドラゴンの復活。
しかもドラウグルのような不完全な復活ではなく、完全な蘇生が可能であるなら、それは実質的に不滅の軍勢を手に入れたことに等しい。
しかも、その軍勢はシャウトと呼ばれる強力な魔法を操り、一体で街を焼き滅ぼすようなドラゴンの軍勢だ。
どう考えても、この世界の人間側に勝ち目はない。
「もしアルドゥインが本当に復活しているのだとしたら、これは間違いなく世界の危機よ。
ドラゴンは、かつて人間達を力と恐怖で支配していた。
そのドラゴンを復活させることが出来るアルドゥインが帰ってきたという事は、ドラゴンによる恐怖の治世が再び始まるという事……」
しかも、デルフィンの話では、ドラゴンは過去に人間達を奴隷として使役してきた歴史もあるらしい。
デルフィンの言葉に、健人もようやく事の深刻さが分かってきた。
「確かめる必要があるわね。頼みがあるのだけれど、一緒にカイネスグローブへ来てくれないかしら。
ドラゴンが復活するとしたら、あなたの力が必要よ」
デルフィンにまっすぐ見つめられ、リータは目を細める。
ドラゴンボーンである自分が、何者であるのか。そして、自分が何をできるのか。
その答えを知りたいと思っているリータにとって、ドラゴンを完全に殺すことができる 自分の力を知るには、自分と同じ血を持つドラゴンたちと向き合うことは確かに必要だ。
「貴方は、ドラゴンボーン。竜殺しとしての運命をその身に宿した人間。私達の希望よ」
「リータ、俺達はグレイビアードからの試練を受けているが、どうする?」
デルフィンの言葉に被せるように、ドルマがリータに尋ねる。
現在、リータはグレイビアードからの試練を受けている真っ最中だ。
ドラゴンの力である、シャウト。
それを学ぶには、グレイビアードの協力が必要であり、その為にはこの試練を完遂しなければならない。
しかし、同時にカイネスグローブの事も気がかりだ。
カイネスグローブには人も住んでいるし、そんな場所でアルドゥインがドラゴンを復活させれば、罪のない人達がまた無残に殺されることになる。
「グレイビアードの試練って、ウステングラブの角笛をもって来いっていうものでしょう? これを渡すから、私の頼みを引き受けてはくれないかしら?」
リータの懊悩を見透かしたかのように、デルフィンは懐から、黒く煤けた角笛を取り出した。
どうやら、これがユルゲン・ウィンドコーラーの角笛らしい。
実際、この角笛があったはずの場所に彼女の手紙があったのだから、この角笛をデルフィンが持っているのは当然だった。
「……分かりました。カイネスグローブに行きましょう。私も、あのドラゴンが何なのか、知りたいと思いますから」
リータは、デルフィンの依頼を引き受けることに決めた。
気持ちを切り替えるように大きく息を吐き、デルフィンの眼をまっすぐに見返す。
「交渉成立ね。じゃあ、カイネスグローブに行きましょう」
交渉が成立し、デルフィンは晴れやかな声で、持っていたユルゲン・ウィンドコーラーの角笛をリータに手渡す。
リータは手渡された角笛を大事そうに懐にしまうと、手早く荷物を纏め始める。
一度決めれば、あとは行動に移すだけだ。
既に太陽は西に落ち始めており、素早く荷物をまとめて、移動しなくてはならない。
「それと、ついでだからウステングラブの入り口は塞いでおきましょうか」
サルモールの部隊には先に遺跡を調べるために奥へと進んだ先遣隊がいたはずだ。
彼らの追撃を防ぐためにも、墳墓の入り口は塞いでおく必要がある。
健人たちはそこら辺にあった岩や材木などで入り口を塞ぐ。
「それから、使えなくなった装備は変えた方がいいわね。サルモールの装備なら、それなりの品質が期待できるわよ」
デルフィンの言う通り、リータ達の装備はかなり損耗していた。
特に、健人の盾はバラバラに粉砕されてしまい、小手も修復が難しいほど壊れてしまったので、代わりが必要だった。
「なんだか、盗賊みたいだ……」
「生きることは綺麗事じゃないわ。装具一つの不備が、死に直結するのよ」
「こいつらは俺達を殺そうとした奴らだ。そんな奴らにかけてやる慈悲なんて必要ないだろうが」
「分かっているよ……」
死人の持ち物を漁って奪い取るという事に、何となく嫌な気分になる健人。
他人の物。それも死者の遺留品を勝手に使うのは良くないという日本人らしい思考だが、そんな彼の考えは、デルフィンとドルマに真正面から否定される。
健人としても、この世紀末のような世界では、デルフィンやドルマたちの考えが普通であることも理解している。
それに、ただでさえ今の健人は足手まといなのだ。
使えるものは何でも使わなければ、強くなどなれない。家族を守ることなど到底不可能だろう。
そう自分に言い聞かせながら、健人はサルモールが持っていた盾を持ち上げる。
「うわ、軽い……」
エルフの盾は、大きさの割にとても軽かった。
小手の方は全体に金属が使われているために、革製の小手よりも少し重いが、盾の軽さを考えれば十分扱える。
「あれ? この盾、何だか他のと違うような……」
健人は盾を構えてみて、他の物と違う事に気付いた。
ほのかな燐光が、盾全体を覆っている。
エルフの装具はどれも真鍮を思わせる光沢を放っているが、この盾が発している光は、これは明らかに違うものだった。
「これは、魔法防御の付呪が込められていますね」
魔法防御の付呪は、装具に施す付呪の中でも、特に有用性の高いものの一つだ。
この世界では大量破壊兵器に相当する魔法の威力を、減ずることができる手段だからだ。
当然ながら、魔法防御の付呪を施した装具の値段は相応に高く、貴重な品だ。
おそらく、盾を持っていた兵士は、このサルモール高官の副官だったのだろう。
「その盾は、ケント様が使ってください」
「俺が使ってもいいんですか?」
「はい。むしろケント様が持つべきです。ケント様の装具はどれも動きやすさを重視していますので、守りは少しでもある方がいいです」
熟練の戦士であるリディアにそう言われれば、健人としても使う事に異論はなかった。
健人が新しい盾の具合を確かめている一方、リータとリディアも、刃の痛んだ剣をエルフの剣と交換していた。
ドルマは両手剣の使い手がエルフの中にいなかったため、仕方なく保留となった。
とはいえ、彼の武器は切れ味よりも重量を優先した両手剣。
軽量さが特徴的なエルフの片手剣とは、やや相性が悪いため、そのあたりを考慮した結果だった。
「準備はいいわね。それじゃあ、カイネスグローブに行きましょう」
健人達が準備を終えると、デルフィンの先導で一行は一路、カイネスグローブを目指す。
世界を食らう漆黒の翼との再会まで、あと少しだった。
当小説のデルフィンさんは、ゲームと比べても著しく強化されています。
それこそ、盗賊団や、前回襲ってきたサルモール部隊を一人で壊滅させるくらいの力量は持っています。
サルモールのブレイズ狩りを生き残ってきたのなら、その位の力量はあってしかるべきかと……。
次話はカイネスグローブ……といきたいところですが、話の流れの都合からワンクッション置く形になります。