【完結】The elder scrolls V’ skyrim ハウリングソウル   作:cadet

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という訳で、久しぶりの更新です。
今回は、本編の続きになります。



第六話 ブラックリーチ

 ブラックリーチ。

 その場所にたどり着いたとき、リータ達は目の前に広がる光景に思わず言葉を失った。

 彼らの目の前に現れたのは、オブリビオンまで続いているのではと思えるほどの大空洞。

 本来、暗闇に包まれているはずの空洞内は、岩や劣化して罅割れたタイルの隙間から生えたコケやキノコから発せられる燐光に照らされ、岩石に覆われた天井は、まるで星空を見上げたかのように輝いている。

 そして空洞内には霧が立ち込め、自家発光するキノコの光を照り返し、廃墟と化した巨大都市をさらに幻想的なものへと変えていた。

 実際、この大空洞の大きさは一つのホールドに匹敵するほどの広さがある。

 ブラックリーチはこの世界でも随一の技術力を持っていた種族、ドゥーマーが作り上げた地下都市であり、主たるドゥーマーが姿を消して数千年経った今でも、その優れた建造物は時の風化に抗い続けている。

 それでも長年の浸食による劣化は避けられず、巨大都市にかつて建っていた多くの建造物は倒壊し、泥やコケに覆われ、その全盛期の姿を確かめる事は出来なかった。

 それでも、かつてのドゥーマー最大の都市が放っていた威容は、わずかに残った建造物からでも感じ取れるほど荘厳で、幻想的な地下世界の光明と相まって、見る者を圧倒する。

 そんな巨大都市の遺跡の中、リータ達は比較的原形を留めていた小屋を拠点に、この大空洞の探索を続けていた。

 リータ達が拠点とした小屋には最近まで人が生活していた形跡があり、生活に必要なものだけでなく、薬などを作るための錬金器具も一通りそろっていた。

 小屋の中には住人と思われる人物の遺体もあり、傍に残されていた本や日記などから、この小屋に住んでいた住人が、シンデリオンという名のエルフであることが分かった。

 また、大空洞の中には地底湖や川も存在しており、大空洞に来るまでに調査隊が残していた保存食などもあったため、リータ達四人はこの地下空間にそれなりの期間、留まることができていた。

 ブラックリーチの探索を始めてから二週間。

 アルフタンド周辺の探索を終えたリータ達は、次はどこに探索の足を延ばすかを話し合い、結果として彼らは拠点としていた小屋を離れ、西を目指すことにした。

 

「西を目指すと決めたはいいが、なんだか嫌な予感がしやがる……」

 

 シンデリオンの小屋が建つ丘の上から、西の方角を眺めながら、ドルマはそう呟いた。

 彼の言葉に同意するように、隣に立つリータが小さく頷く。

 

「でも、あんな特徴的な塔がある以上、何か手掛かりがあるかもしれない」

 

 彼女がドルマの意見に頷いた理由。それは彼らが見つめる西の方向に、このブラックリーチの中でも特に特徴的な塔が存在するからだ。

 ちょうど、このブラックリーチの中央に建てられた、巨大な建造物。

 その建造物を他と際立たせているのが、中央に吊り下げられた巨大なランタンだった。

 蝋燭や油を燃やした時とは違う、常に一定の光量を放ち続けるランタン。

 健人がそれを見れば、地球にある巨大な電飾灯を思い返すであろう代物だ。

 

「あの塔、何かありそう……」

 

「ああ、あの建物は特に目立つし、巨大な光球に何かあるかもしれない」

 

 多くの建造物が倒壊しているブラックリーチだが、巨大な建造物は遠目から見ても、比較的保存状態も良好のように見えた。

 また、このブラックリーチにはホワイトランのドラゴンズリーチに匹敵するような建造物も多く、それが同時に、リータ達の探索を悩ませる元凶にもなっていた。

 どれがムザークの塔なのか、外観だけでは判断が付かないのである。

“塔”という言葉から、それに類するような外見の建造物を見渡してみたこともあるが、塔と思えるような建造物は複数残っている。

 ブラックリーチに来てからしばらくは拠点とした小屋近くの建造物を確認したが、どれも目的としていたムザークの塔ではなかった。

 もう一つ、リータ達の探索の障害となったのが、ドゥーマーの遺物であるオートマトンと、ファルメルと呼ばれる異形の存在である。

 ファルメルは元々、ファルマーと呼ばれるエルフ種の一種であり、ノルドがタムリエルに来る以前からスカイリムに住んでいた種族である。

 初めは移住してきたノルドと共生していたファルマーだったが、爆発的に数を増やす人間種に脅威を感じ、やがてそれは種族間戦争へと発展。

 結果としてファルマーはノルドに敗れ、同じエルフ種であるドゥーマーを頼り、彼らの元に身を寄せることになる。

 しかし、ファルマーに襲い掛かる不運はそれだけでは終わらず、同種であるはずのドゥーマーから奴隷として扱われ、視力や知性を奪われてしまう。

 そして、主であるドゥーマーが姿を消したことで、押し止める枷を無くした彼らは、理性を失い、狂暴化したまま地下世界へと広がった。

 知性を失ったファルメル達に会話は通用しない。

 同族以外を見つければ、容赦なく襲い掛かってくる。

 彼らは主に剣や弓など、地上でもごく一般的に普及しているような武器を使うが、その武器に毒を塗布していることが多い。

 おまけに彼らは元々エルフ種であることもあり、魔法を使える個体も存在する。

 この巨大な地下空間を探索しなければならないリータ達にとっては、頭の痛い存在だった。

 当然ながら、ブラックリーチも彼らの支配領域の中である。

 おまけにこの遺跡の中には、ドゥーマー名物のオートマトンも徘徊している。

 ファルメルとオートマトンは数千年に渡る地下生活の中で、互いに協定というか、ある種の住み分けがされている事が二週間の探索で分かっていた。

 だが、その住み分けも曖昧なものなのか、探索中にファルメルとオートマトンの小競り合いに何度か遭遇していた。

 リータ達が拠点とした小屋は、まさに両者の勢力が均衡する境界付近に建っていたものである。

それが、彼女達がこの大空洞に滞在している間、十分な休息を取れていた理由であった。

 

「少し時間をかけ過ぎた。早くしないと……」

 

 一刻も早くドラゴンレンドを手に入れたい彼女は、目の前に広がる大空間を睨みつけながら、そんな言葉を呟く。

 ここしばらく、ブラックリーチで足止めを食らっていたことが、リータに焦燥を抱かせていた。

 

「また、あの色白の目無しと絡繰り人形を相手にすることになるな……」

 

そんな言葉を呟きながらも、ドルマはチラリと、隣にいる想い人の様子を覗き見る。

黒檀の兜の奥から覗く想い人の蒼の瞳に、思わず意識が吸い込まれそうになった。

 

「っ……」

 

 リータに見惚れていたことに気付き、ドルマはハッと視線を逸らす。

幸い、リータはずっと霧の奥で輝く光球を眺めていたようで、彼の視線には気付いていない。

見惚れていたという気恥ずかしさと同時に、罪悪感が一気に込み上げる。

素直に自分の感情を口にするには、彼はあまりにも捻くれ、頑なで、同時に色々なものを抱えすぎていた。

 

「準備が出来たわ、ドラゴンボーン。行きましょう」

 

 シンデリオンの小屋から、デルフィンとエズバーンが出てくる。

 リータはデルフィン達を一瞥して頷くと、再び霧にそびえる塔に視線を映した。

 

「ここしばらく周辺の調査をしたが、ムザークの塔は見つからなかった。おそらくだが、あの巨大なランタンが掲げられた塔、もしくは、そのさらに奥にあるのかもしれん」

 

 リータの視線に促されるようにエズバーンが己の予想を口にする。

 彼らが今まで調査できたのは、ブラックリーチの北東部のみ。そこでムザークの塔が見つからなかった以上、探索範囲を広げなければならない。

 

「問題があるとしたら、あの辺りは完全にファルメルの支配下ってことくらいね。それから、人間もいるみたいよ」

 

「人間? どうしてこんな地下深くに……」

 

 このブラックリーチは、ウインターホールドからペイルホールドにかけての地下深くに存在する。

 当然、地上に住んでいる人間が簡単に辿り着けるような場所ではない。

 だが、デルフィンの話では、相当な数の人間種が、あの塔付近にいるらしい。

 

「ファルメルの奴隷ね。地上から攫って来てきたのか、それともここで繁殖させたのかは分からないけど」

 

 ファルメルは人の言葉を解さない一方、社会性動物として一定の文化を形成しており、シャウラスと呼ばれる巨大な昆虫に似た生物を家畜として育て、その殻などから様々な道具を作り出している。

 それは、かつて彼らがファルマー、スノーエルフと呼ばれていた頃の名残なのか、はたまた光を失った世界で彼らが習得してきた知恵なのかは分からない。

 だが、彼らが社会性動物として一定の水準に達していることは間違いなく、家畜がいる以上、奴隷という存在がいてもおかしくはない。

 

「戦える? ドラゴンボーン」

 

 人間がいると言う事で、デルフィンがリータに窺うような視線を向ける。

 

「問題ない。邪魔をするなら皆殺しにする」

 

「そう、なら問題ないわね」

 

 だが、そんなデルフィンの視線を受けたリータの返答は、淡々としたものだった。

 既にリータは、ドラゴンを殲滅するためなら、同族を殺す事も厭わなくなっていた。

 この一年ばかりの旅の中で、彼女が戦ったのはドラゴンだけではない。

 ドラウグルなどのアンデッドから、クマやフロストバイトスパイダーのような怪物達。さらには、山賊やならず者なども人間種にも数多手に掛けてきた。

 内乱で治安の悪化したスカイリムでは、少し町から離れただけで襲われることもあった。

 戦いに次ぐ戦い、血で血を洗うような闘争の連続。

 無数の命を刈り取ってきたリータは、既に他者の命を奪う事を完全に割り切っている。

 そうでなければ……心が死んでしまうから。

 冷たい黒檀の兜のバイザーから覗く蒼色の瞳が、隣に立つドルマに向けられる。

 何かを訴えるような、求めるような視線。

 そんな目を向けられたドルマだが、健人についての秘密と、彼に対して自らが行おうとしている行為を隠している罪悪感から、反射的に目を逸らしてしまった。

 リータの青い瞳に、深い悲しみと落胆の色が浮かぶ。

 

「ねえ、ドルマ」

 

「なんだ?」

 

「何か、隠してること、無い?」

 

 唐突に突き付けられた言葉に、ドルマは思わず目を見開いた。

 

「何の話だよ」

 

 努めて冷静さを装うドルマだが、問い詰めるようなリータの視線は変わらない。

 睨み付けているのではと思えるその瞳に、ドルマは思わず唾を飲む。

その仕草に、リータの疑惑の視線がますます強くなった。

 

「隠している事はあるわ」

 

 そんな二人の間に、なんとデルフィンが、隠し事をしていると宣言しながら割って入ってきた。

 

「お、おい! デルフィン!」

 

 彼女の思わぬ行動に、ドルマは思わず声を荒げる。

 健人がドラゴンボーンとなった事を口にするのかと、強い視線でデルフィンに訴えるが、彼女はそよ風のようにドルマの視線を受け流すと、淡々とした足取りでリータに歩み寄った。

 問い詰めるようなリータの視線が、ドルマからデルフィンへと移る。

 何を隠しているのか、この場で話せ。

 そう語ってくるリータの視線を正面から受け止めながら、デルフィンはゆっくりと口を開いた。

 

「パーサーナックスの事よ」

 

「パーサーナックス?」

 

 思わぬ名前が出たことに、リータは首を傾げた。

 一方、ドルマはデルフィンが何を言おうとしているのか分からず、当惑した表情を浮かべている。

 だが、デルフィンの言葉に集中しているリータは、ドルマが戸惑いの表情を浮かべていることに気付かない。

 

「ええ、あのドラゴンを、殺す事……」

 

「っ!」

 

 パーサーナックスを殺す。

 その言葉を耳にした瞬間、リータは全身を強張らせた。

 

「不思議かしら? あのドラゴンの過去は話したでしょう? 人に対して最も苛烈な統治を施し、多くの命を殺し尽くした残虐な君主。例え今は大人しくても、彼もまた、シャウトで定められた己の名と運命には逆らえない」

 

 畳みかけるように、デルフィンは言葉を続ける。

 ドラゴンはドラゴンボーンに殺されない限り死ぬことは無く、永遠の時間の前には、たとえドラゴンの強靭な精神も儚いもの。

 いつの日か、パーサーナックスは時の流れの中で己の欲に負け、再びその残虐性を露にすると。

 

「その前に殺してあげる事が、せめてもの救いになるわ。それとも、迷っているの? ドラゴンを殺し尽くすことを決めたのに?」

 

「…………」

 

 唇を噛みしめながら、リータはデルフィンを睨み付ける。

 否定も肯定も出来ないその様子が、彼女の懊悩を如実に示していた。

 しばしの間、視線を交わす両者。

やがてリータは視線を逸らすと、おもむろに西に向けて歩き始めた。

 

「……行くわ」

 

「まあ、今はアルドゥインを倒すことが最優先。その為にもドラゴンレンドの習得を優先することに否は無いわ。でも貴方は、人類の希望。今言った事には、必ず向き合うことになる。弟の為にも、自分が何をすべきなのかを考えなさい」

 

 逃げるように歩を進めるリータが脇を通り過ぎる中、デルフィンがあからさまな大声でリータに忠告する。

 その忠告を背中で受けながらも、リータは足を止めることなく、薄暗い霧の奥へと足を進めていく。

 

「おい、お前……」

 

 パーサーナックスの殺害という、予想外の事を口にしたデルフィンにドルマが詰め寄ろうとするが、彼の気勢は射殺すようなデルフィンの眼光に止められた。

 デルフィンがパーサーナックスの殺害を仄めかせたのは、それが彼らの目的であり、いつかドラゴンボーンに提案する事であった事もそうだが、リータに詰め寄られたドルマが、健人について口を割ってしまうことを防ぐ意味合いもあった。

 鋭い視線で、デルフィンはこう告げている。

 一体何をしているのか。健人の事が彼女に知られたら、リータが戦う根幹にどれほど深刻な影響を及ぼしていたのかと。

 リータが今ドラゴン殲滅の為に動いている全ての理由は、義弟の為である。

 戦う力の無かった彼を危険な目に遭わせないためにも、彼女はあえて彼の意志を折り、ホワイトランへと返した。

 そんな彼女の精神を今支えているドルマが、リータに不信を抱かれるような様子を見せたこと、デルフィンは咎めていた。

 とはいえ、ドルマは元々、健人とは違う方向で、隠し事が得意なタイプではない。

 このような事が起こりえるから、デルフィンとしてはドルマにも健人がドラゴンボーンであり、ドラゴン殲滅を邪魔してくる可能性がある事を話したくはなかった。

 一方、健人がデイドラロードに魅入られたと思っているドルマは、荒れ狂う自分の心を抑え込むのに手一杯だった。

 健人と相対する覚悟は決めたはずだった。

デルフィンは健人が敵対しなければ手を出さないと言っているが、デイドラロードに魅入られた以上、ドルマは既に健人が、以前とは別人になってしまったと確信してしまっている。

だが、リータの前に出ると、どうしてもその覚悟が揺れ動いてしまう。

もしかしたら、健人はかつての自分が知る彼のままなのではないか。そんなありもしない希望が、頭をよぎってしまう。

かつての己の行いを恥じ、さらに傍から見ても卑怯ともいえる行為を成そうとしている罪悪感を抱えているからこそ。さらにはこの世界における常識を知り、その世界しか知らないからこそ、ドルマは己の堅く狭い檻に囚われ、懊悩を抱えることになっている。

 

「先へ進むわよ」

 

「ああ、分かってるさ……」

 

 振り切ったつもりだった懊悩。

 己が何も割り切れていないことを突き付けられたドルマは、唇を噛みしめたまま、デルフィン達の後に続く。

 悲しみと落胆、そして迷いを抱えたまま、それでも一行は星霜の書があると語られたムザークの塔を探し求めて、ブラックリーチの未調査エリアを進み始める。

 ひんやりと冷たい空気に満ちた大空洞。霧に覆いつくされた道が、彼らの行く末を暗示しているようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここだ、この奥に……」

 

 氷に囲まれた洞窟を、黒いローブを被った老人が行く。

 所々で視界の端に入ってくる遺跡に目を奪われながらも、老人はしっかりとした足取りで、奥へ奥へと進んでいく。

 

「ああ、我が神よ。もうすぐ、もうすぐ啓示を成せますぞ。その暁には……」

 

「ギャウ、ギャウ!」

 

「カァァアアァ……!」

 

 ブツブツと独り言をつぶやいていた老人の前に、唸り声を上げながら、二体の異形が姿を現す。

 病的なまでに真っ白の肌と、サルのように曲がった背骨。

両眼は先天的に潰れ、瞼もほぼ肌と一体化し、こけた頬には、かつての高貴な貴族の面影は微塵も感じられない。

 ファルメル。

 スカイリムにかつて住んでいたスノーエルフの末裔。

 ドゥーマーに騙され、両目の光を失い、奴隷に落とされた哀れな種族。

 同族以外は容赦なく襲い、その血肉を食らう獰猛なファルメルを前に、ローブの男は侮蔑と哀れみの視線を向けると、まるで演説をする政治家のように、大きく手を広げて天井を仰いだ。

 

「おお、蒙昧な罪人。彼らの英知を理解しない奴隷と、その奴隷どもの末裔……。偉大なる遺産に汚らしい泥と糞を塗り付ける事しかできない者達。哀れだ、哀れに過ぎる。せめてこのセプティマスが偉大なる御方の力の一端を見せて、その白痴に染まった頭に知識の一片を注ぎ込んでやろう」

 

 そう言いながら、ローブの男、セプティマス・シグナスは、右手を掲げてマジカを集めると、魔法を発動した。

 セプティマスの右手から放たれた赤い光が、ファルメル達を包み込む。

 すると、ファルメルは突然害意を納め、うな垂れるようにその場に佇んだ。

 

「やはり脆弱だ。知識無き力しか持たぬ者を操る事の、なんと容易い事か」

 

セプティマスが使ったのは、幻惑魔法に属する魅了の魔法。

 熟練者クラスに属する、極めて高位の魔法は、ファルメル達の精神を乗っ取ると、被害者を術者に忠実な人形へと変える。

 セプティマスは手駒になったファルメルの姿に満足そうに頷くと、そっと己の胸元に手を当てた。

 ボロボロになったローブの胸元に隠されているのは、主神からの贈り物。

 偉大なる御方から与えられた至宝、オグマ・インフィニウムが納められている。

 

「ククク……。後少し、後少しで、偉大なる御方より知識を賜れる。後少し、後少し……」

 

 秘宝の感触を手の平に感じながらも、セプティマスは口元にゾッとする笑みを浮かべ、支配下に置いたファルメルを伴って、洞窟の奥底へと向かっていく。

 やがて、ブラックリーチにたどり着いた彼らの目の前には、巨大な球形のランタンを掲げた塔が聳え立っていた。

 




という訳で、リータ編のブラックリーチでした。
そして、リータとドルマの間に、ついに罅が入り始めました。

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