【完結】The elder scrolls V’ skyrim ハウリングソウル   作:cadet

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第十話 掴んだ尾、新たな約束

 ブラックリーチを通り抜けた更なる奥。セプティマスがムザークの塔と呼んだ場所に、リータ達は辿りついた。

 塔の奥へと進んだ彼女達が見たのは、あまりにも巨大な球状の装置だった。

 直径数十メートルほどのドーム状の部屋の中は巨大な球形の装置が鎮座しており、その装置を上ると、これまた見たこともない制御装置が設置されている。

部屋の大部分を占める球状装置には多数のレンズが取り付けてあり、また部屋の天井の彼方此方にも、緑色のレンズと金色のアームを持つ装置が無数に取り付けられている。

 制御装置には星座を模した盤面が設置されており、横には四角い何かをはめ込むための窪みがあった。

 その窪みに、セプティマスから渡された四角いキューブをはめ込む。

 すると、数千年間放置されていた装置が、音を立てて動き出した。

 装置の各所に出現するボタン。それらを出現した順番に押すたびに、球状装置や天井の装置が複雑に動いていく。

 その動きはまるで、星の動きを模しているようにも見える。

 やがて制御装置の最後のボタンを押すと、天井装置が開くように展開し、翠色のガラスのような材質で出来た、巨大な楕円球が現れた。

 そして、天井装置によってガラス球は二つに分けられ、中から荘厳な気配を放つ、黄金の巻物が姿を現す。

 

「あったわね」

 

「これが……エルダースクロール」

 

 エルダースクロール。星霜の書とも呼ばれる、この世界で最も神秘的な巻物。

 この書は神ですら理解が及ばない代物で、時の流れの中で唐突に数を増やしたり、合体したりする。

 その為、星霜の書は歴史上複数存在しているのだが、リータには一目で、これが求めている書であることが理解できた。

 

「これで目的は達したわ。世界のノドに戻りましょう」

 

 星霜の書を手に取ったリータは、背負い袋に書を入れると、大切そうに背負う。

 一方、ドルマは制御装置にはめ込まれていた四角いキューブを指さす。

 

「こいつはどうする?」

 

「ついでに持って帰りましょう。あのセプティマスが欲しがったもの。書の知識を溜め込む辞典と言っていたものよ。ここに置いておくのも問題になるかもしれないわ」

 

 そう言いながら、デルフィンはドルマから辞典を受け取り、星霜の書が入ったリータの背負い袋に一緒にいれる。

 目的のものは手に入れた。後は、世界のノドにある時の傷跡に、星霜の書を持っていくだけだ。

 

「これでやっと手にいれられる。アルドゥインを倒すための力が……」

 

 いよいよ現実味を帯びてきた、ドラゴンレンドの習得。その力を前に、リータの胸の奥から殺意と共に黒い期待が込み上げていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハイヤルマーチホールドの北部に建つ、一軒の屋敷。

 ウィンドスタッド邸。新たにモーサルの従士となった坂上健人の拠点である。

 一般的な家屋の三倍以上の広大で真新しい邸宅は、東から差す朝日の光を浴びながら、その威容を誇るように佇んでいる。

屋敷の周囲には野生動物や山賊の侵入を防ぐための石垣が築かれ、母屋とは異なる離れが二棟。さらに監視のための物見櫓も設営されている。

 石垣の北側と南側には門が設けられ、さらに海岸線には桟橋も設けられている。

 残念ながら船の類はまだないが、釣りなどをするには十分な場所となっていた。

 そんなウィンドスタッド邸の石垣に囲まれた庭で、二人の戦士が剣と盾を構えて向き合っていた。

 一人は、この屋敷の主、坂上健人。もう一人は、彼の盾術の師であるリディアだった。

 

「しっ!」

 

「ぐっ!」

 

 盾を掲げて突進してきた健人を受け止めたリディアの口から、苦悶の声が漏れる。

 彼女は腰よりも低い位置から受けた健人の体当たりに、自分の重心を掴まれそうになっていた。

 シールド・チャージ。

 盾を掲げ、勢いよく突進することで、相手を弾き飛ばす盾術の一つ。

 己の重心を健人に掴まれそうになったリディアは、シールドバッシュの要領で腕に力を籠め、すくい上げるように、健人の体を跳ね返そうとする。

 拮抗する膂力。ぶつかり合った力が反発して双方の盾を弾き、僅かな距離を作る。

 

「はあ!」

 

 リディアが気合を込めて、剣を振り下ろす。

 迫る刃を前に、健人は右手でデイドラのブレイズソードを体に引きつけ、斜めに掲げた。同時に両足を柔らかく使い、重心をリディアの剣筋からズラす。

 ブレイズソードの優美な曲線を活かした受け流し。シャリン! と涼やかな金属音が響き、リディアの剛剣は綺麗に流される。

 同時に健人は、右足をリディアの右足側に踏み込ませる。入れ替わるように二人の体が交差し、彼の体はリディアの死角に滑り込んでいく。

 

「くっ!」

 

 リディアは咄嗟に体を回転させながら、体を丸めるように剣と盾を引き戻す。

 さらに彼女は、見失わないように視界の端に健人の動きを捉えつつ、剣を引き戻した勢いを活かしながら振り返る。体を盾と剣で自分の体を隠すようにしながら、健人の攻撃に備えていた。

 上体が流れそうになりながらもしっかりと最適な防御行動につなげる辺りが、彼女の技量の高さを物語っている。

 しかし、健人はさらにその上を行った。

 

「え?」

 

 リディアの視界の端に映っていた健人の姿が突如として消失する。次の瞬間、両足に衝撃が走った。

 彼女の両足が跳ね上げり、上体が後ろに倒れながら宙に浮く。リディアの面前で両足の力を抜いて体を落した健人が、振り向きざまに盾の縁でリディアの両足を刈り取ったのだ。

 さらに健人の攻勢は続く。

 

「せい!」

 

「ぐぅう!」

 

 正拳突きの要領で突き出された健人の盾が、リディアの左手を捉えた。強烈な衝撃を受け、リディアは思わず盾を取り落としてしまう。

 ディスアーム・バッシュ。

 さらに健人は盾を引き戻しながらリディアの右腕を掴み上げ、彼女の防御手段を完全に奪い去ると、最後に残雪が残る雪の上に倒れた彼女にブレイズソードの切っ先を突き付ける。

 

「終わり、です」

 

「はい、その様ですね」

 

 健人は突き付けた刃を退け、倒れたリディアを起こす。

 彼女は抜いていた武器を納めつつ、弟分であり弟子であった青年の成長に、満足げにほほ笑んでいた。

 

「お強くなれられましたね、ケント様。まさか、僅か三手で負けるとは思いませんでした」

 

 盾とブレイズソードによる的確な受けと、相手の視界を左右に振る体捌き、一動作で相手の二つの得物を無効化する無駄のない攻勢。

 あらゆる意味で高次の、攻防を兼ね備えた健人の動き。リディアは胸に湧きあがる万感の想いに体を震わせていた。

 

「色々ありましたから。でも、俺一人じゃ、まだまだですよ。正直、問題も色々抱えていますから」

 

 謙遜とも取れるような苦笑を浮かべる健人だが、その顔にはどこか、隠しきれない不安の色があった。

 

「従士様……義姉上様の事が気になりますか?」

 

「気にならないと言えば嘘になります。かなり時間が経ちましたけど、まだ情報が入ってきませんし……」

 

 ウィンドスタッド邸を建設してから一か月。その間、健人はリータに関する情報を待ち続けたが、未だにリータの足取りはつかめていない。

 その為、健人はここしばらく、何とも言えない消化不良の日々を過ごすことになっていた。

 

「リディアさん、先に屋敷に戻っていてください。俺はもう少し、鍛練をしてから戻ります」

 

「……分かりました。どうか、ご無理をなさらぬよう」

 

 一礼して屋敷に戻っていくリディアを見送ると、健人は一度深呼吸をして、気持ちを切り替える。

 

「ふう……」

 

 春の風を全身に感じながら瞑目し、健人は己の内側に意識を向ける。

 ざわざわと耳に響く風の嘶き、打ち寄せる波の音。それらが、徐々に小さくなっていく。代わりに、キィーン……という耳鳴りのような音が、耳の奥から響いてくる。

 健人がやっている事は、瞑想。己の魂と向き合い、呼吸を整え、心を落ち着けながら、彼は思索の海に沈んでいく。

 考えるのは、アルドゥインとドラゴンについて。

ヌエヴギルドラールの言葉を思い返しながら、健人は深く、より深く、ドラゴンについて思案していく。

 

(アルドゥインの復活を始めとした、一連の災禍。古代の竜戦争。そしてその竜戦争の原因はドラゴンの苛烈な支配。まずここがおかしい) 

 

 支配とは、闘争のコントロールといえる。そして支配体制とは、対立する二者の間を取り持ち、必要以上の被害が出ないようにするための機能。

 この対立する二者とは、定命の者同士。つまり本来、支配体制が正常なら、ドラゴンというコントロール機能そのものが攻撃の対象となることは無かったはずなのだ。

 しかし、現実はコントロール機能であるドラゴンの暴走により、竜戦争という支配基盤の崩壊が起こった。

 

(そもそもドラゴンがそのように支配欲に振り回される理由がよく分からない。自身の支配欲が強くとも、それをコントロールできるなら問題は起こらなかったはずだ)

 

 ドラゴンが持つ根本的な欠陥。強烈な支配欲をもち、それを制御できないこと。それらがそもそもの原因。

 ならば、何故ドラゴンなその様な欲を持つに至ったのだろうか?

 支配の為というのなら、むしろ強すぎる欲というのは邪魔になる。コントロールできないならなおさらだ。

 人や動物の間で戦いが無くならないのも、全ては欲があるためだ。少しでもいい未来を入れたい。そして、それを次代に繋ぎたい。残したい。

 それこそが、欲の本質であり、人の本能……否、命ある存在が持つ業といえる。その欲を制御しきれない者が戦いを起こすのだ。

 

(ミラーク達なら、知っているのだろうか?)

 

 健人は一度思索を止め、己の内側にいる別の存在の気配を探る。

 ポゥ……と胸に灯る複数の熱源。取り込んだドラゴンソウル達に、なぜドラゴンはこれほど強い欲を持ち、そして制御できなくなったのかを尋ねてみる。

 しかし、ドラゴンソウル達の反応は芳しくない。

 沈黙の耳鳴りは、いつの間にかざわめきのような音に代わっていた。言葉はなくとも、ドラゴンたちの動揺が手に取るようにわかる。

 そして次の瞬間には、ドラゴンソウル達は呆けたように何の反応も示さなくなった。あのミラークの魂ですら、他のドラゴンと同じように沈黙してしまっている。

 まるで、同じ質問をした時のヴィントゥルースのように。

 

「参ったな。これじゃあ、結局、何もわからないままだ……」

 

 沈黙してしまったドラゴンソウルを前に、健人は頭を抱える。

 ドラゴンが何故、自ら足を踏み外していったのか。その秘密を知らない限り、ドラゴンと人、双方の間に折り合いをつけることは出来ない。

 だが、同時に抱いていた違和感がより強くなっていく。どのドラゴンも、力こそすべてと宣っているが、なぜ自分達がそのような思想に至ったのかを覚えていない。

 健人の胸に、言いようのないもどかしさが湧き上がる。

 その時、健人の脳裏に、ある出来事が思い起こされた。

 

「そうだ、もしかしたら……」

 

 彼が思い出したのは、ソルスセイムで乗り越えた戦いの一つ。ミラークとも因縁深かったドラゴンプリーストとの戦いだ。

 

「モタード……」

 

 健人はおもむろに、ハウリングソウルのシャウトを一節だけ唱える。

 直後、“共鳴”のスゥームが、健人とドラゴンソウルたちの同調を一気に高めた。

 彼は自らの内にあるドラゴンソウルとのシンクロを深めることで、今ドラゴンソウル達が何を思い出しているのか。その片鱗だけでも知ろうとしたのだ。

 黒い瞼の裏が、虹色に染まる。恐らく体からも、虹色のドラゴンソウルの光が溢れ出していることだろう。

 共鳴のスゥームが健人とドラゴン達の魂を震わせ、その境界を曖昧にしていく。

 そして虹色の視界は、まるで動画のコマ送りのように、次々と奇妙な光景を健人に見せていく。

 幻の中から、泡のように出ては消えていく言葉。

 輝く日と、傘のように広がる魔力の奔流。

 まるで不定形生物のように歪んだ魂。

 そして、主の背中を守る防人。

 全てのドラゴンソウルが、まったく違う光景を見ていた。しかも、あまりにも抽象的で、要領を得ない。共通項が全くないのだ。

 これでは何も分からない。健人は思わず、ミラークの枷を外してさらにハウリングソウルを重ね掛けしようとする。

 だがその時、すべての映像の中から何かが浮かび上がってきた。

 幻の中から、輝く日の光の中から、歪んだ魂の中から、そして、防人と主の後ろから。

 それは、細長い円柱の形をしていた。

 金色に輝く外装と、繊細な彫刻。そしてなにより、この世のものとは思えない荘厳で神秘的な輝きを放っている。

 

「あれは、巻物?」

 

 その巻物を見た瞬間、健人の全身に電撃が走ったような気がした。

 そして、脳裏に言葉が浮かぶ。

 

“エルダースクロール”

 

 星霜の書と呼ばれ、ヌエヴギルドラールが“創造のかけら”と呼んだ、この世界の神秘における頂点に座す聖遺物だった。

 次の瞬間、弾けるような光と共に、同調が解ける。

 遠くなっていくドラゴンソウル。目を開ければ、虹色の燐光の残滓が、白い息と共に空中に溶けていた。

 

「エルダースクロール……。星霜の書。それに何か秘密があるのか?」

 

 溢れるように口すさんだその言葉は、春の風と波の音に消えていく。

 その時、健人の後ろから声が掛けられた。

 

「従士様、お手紙が届いておりました」

 

「手紙?」

 

「差出人はありません。その点を考えますと、おそらく送り主は……」

 

「ウルフリックか……」

 

 健人はヴァルディマーから手紙を受け取り、中身を確認する。

手紙にはこう書かれていた。

「ウィンターホールドにて、竜の片割れあり。南へと向かう」

 それは、ムザークの塔を脱出したリータの足取りだった。ついに健人は、彼女達の手がかりを掴んだのだ。

 健人は「ようやくか……」と呟きながら大きく息を吐くと、手紙を懐に入れて屋敷の中へと戻る。

 食堂を兼ねたホールでは、ソフィ、リディア、カシトが食事の用意をしていた。

 

「お帰りなさい、お兄ちゃん。すぐに朝ごはんできるから、待っててね!」

 

「帰りなさいませ、ケント様」

 

「お帰り。もう少し遅かったら、健人の分も食べちゃってたよ?」

 

「ピュイピュイ!」

 

 食卓には既に料理が並べられている。

 端には空の鍋の中に草を敷き詰めた巣が置かれ、健人とソフィが拾った鷹の雛が、戻って来た健人を見て鳴いていた。

 ちなみに、この鷹の雛に付けられた名前はヴィーヘン。命名したのはソフィで、白い鷹という意味である。

 健人がヴィーヘンに手を差し伸べると、真っ白な鷹の雛はじゃれつくように甘えてくる。

 拾ってから一か月。多少体は大きくなったが、それでもまだまだ小さい。成長速度は、かなり遅いように思える。

 とはいえ、甘え盛り、食べ盛りの時期である事には変わらない。

 

「ふふ、やっぱりヴィーヘンもまだパパに甘えたいみたいだね」

 

 シチューの入った鍋を運んできたソフィが、鍋をテーブルに置いてヴィーヘンを抱き上げる。

 ソフィに抱き上げられると、ヴィーヘンは「グッ、グッ、グッ……」と、喉の奥から響くような短い声で鳴き始めた。

 地鳴きと呼ばれる、鳥にとっては一般的な鳴き方の一つであり、このような鳴き方は安心している時によくする鳴き方だ。

 ヴィーヘンにとって、ソフィは親であり、そして最も身近な家族なのだ。

 

「パパねぇ……。一時期は怖がられていたんだけどな~~」

 

 ちなみに、怖がられていた理由はただ一つ。ヴィントゥルースの襲撃である。

 頻度は減ったが、それでもあのドラゴンは健人を倒すのを諦めていない。このウィンドスタッド邸を建設している間も、しばしば挑戦状を叩きつけてきた。

 もちろん、他に被害が出ないように、建設現場から離れたところで戦ったが、それでも爆音を響かせるドラゴンが二匹も大暴れしていれば、ヴィーヘンが怯えるのも無理はない。

 それでも、最終的にはこうして慣れてくれたから御の字といえる。

 

「食事の前に、少し話をさせてくれ。リータの足取りを掴んだ」

 

「本当ですか!?」

 

 話を聞いたリディアが、驚きの声を上げる。

 彼女にとっても、リータは主だ。居場所がわからない状況にヤキモキしていたのは、健人と同じである。

 

「ああ、ウィンターホールドから南に向かったらしい」

 

 健人はウルフリックから送られてきた手紙を、リディアに手渡す。

 彼女は素早くその手紙に目を通して、顔をしかめた。

 

「確かに、従士様はウィンターホールドから南に向かわれたようですね。しかし、どこを目指しているのか……」

 

「そこまでの情報はウルフリックからの手紙にはなかった。いったいどこに……」

 

 問題は、肝心の目的地が記されていないこと。

 いっそリフテンやウィンドヘルムに戻り、情報を洗うのもありだが、それではまた後手に回ることになる。

 できるなら目的地を絞り込み、先回りしたいというのが健人とリディアの思いだった。

 そんな時、しわがれた声が、ホールに響く。

 

「世界のノドさ」

 

「イドグロット首長……」

 

 健人達が玄関へと続く扉に目を向けると、怪しい笑みを浮かべた老女が佇んでいた。

 このハイヤルマーチホールドの首長、イドグロッド・レイブンクローンである。

 

「悪いね、勝手に上がらせてもらっているよ。うん、うまい! お嬢ちゃんが作ったのかい?」

 

「は、はい。お兄ちゃんのレシピ通りに作っただけですけど……」

 

 手近にあったシチューの皿から一口つまみ食いをしながら、飄々とした笑みを浮かべる首長。相も変わらずマイペースで、掴みどころがない。

 

「それでも大したもんだ。将来はいいお嫁さんになるだろうね」

 

「お、お嫁さん……」

 

 好々婆といった様子で、顔を赤くしてモジモジし始めたソフィの頭を優しくなでるイドグロッド。はたから見ても完全に祖母と孫である。

 

「首長、どうしてここに?」

 

「あんたの姉についての情報さ。もう一人のドラゴンボーンの方だが、今ついている従者が、新しい武具を注文したらしい」

 

「武具?」

 

「ああ、相当特別なものみたいだ。なにせ、あのエオルンド・グレイメーンに制作を依頼したらしいからね」

 

「あのエオルンド・グレイメーンがですが!?」

 

 エオルンドの名前を聞いたリディアが驚きの声を上げる。

 部屋の隅に寄っていたヴァルディマーも、驚きの表情を浮かべていた。

 エオルンド・グレイメーンは、その卓越した鍛冶の腕から、スカイリム中に名が知られている鍛冶師である。

 同胞団の本拠地、ジョルバスクルの上に存在するスカイフォージと呼ばれる炉。はるかな太古、それこそ、イスグラモルが活躍していたメレシック時代には既に存在していたらしく、その炉で鍛えた武具は、並の炉で鍛えたものとは比較にならないほど強力になるらしい。

 

「スカイリム一の鍛冶師も、故郷の脅威に立ち向かうドラゴンボーンのためなら、喜んで武器を打つだろうね。で、その武具の送り先が、イヴァルステッドだったのさ」

 

 そんな事を口にしながら、イドグロット首長は勝手に席に座って食事を始めた。改めて顔を綻ばせながら、次々に食事を腹に納めていく。

 

「世界のノド……そうか、パーサーナックスに会いに行ったのか」

 

 パーサーナックス。かつてアルドゥインの副官でありながら、竜戦争で人間側についたドラゴン。

 そして、人間にシャウトをもたらしたドラゴンでもある。

 

「ケント様、パーサーナックスとは……」

 

「世界のノドの頂上で瞑想しているドラゴンですよ。ヌエヴギルドラールの話では、竜戦争でキナレスに説得され、ドラゴンを裏切って人間に味方したそうです。あのドラゴンなら、アルドゥインを落すシャウト“ドラゴンレンド”も知っている……」

 

 元々健人は拠点を手に入れたら、一度は世界のノドに登るつもりだった。

 リータと再会することを除いたとしても、アルドゥインと戦うためには、竜戦争を知るパーサーナックスと話すことは必要だと思っていたからだ。

 そして今、こうしてリータの足取りもつかめた。となれば、彼の次の行動はきまぅている。

 

「よし、世界のノドに向かおう。そこにリータも来るはずだ」

 

「おやおや、もう行くのかい? もう少しゆっくりしても……」

 

 食事もせずに旅の準備を始めそうな健人の様子に、イドグロッドが少し不満げな声を漏らす。

 彼女としては、もう少し健人にモーサルに残って欲しかったのかもしれない。

 

「すみません、イドグロット首長。急いだほうがよさそうですので」

 

 とはいえ、健人としては一刻も早く出発したかった。

 リータ達が既にウィンターホールドを出発していたとして、手紙が送られてくるまでの時間を考慮すれば、彼女たちが世界のノドに到着するまで、時間はそう残されていないだろう。

 

「ヴァルディマーは悪いけど、屋敷に残ってくれ。誰もいない状態というのもよくない」

 

「承りました。主様が留守の間、屋敷の守りを務めさせていただきます」

 

「それからイドグロッド首長。不躾なお願いなのですが、私が不在の間、ソフィをお願いできますか?」

 

「……え?」

 

 それは、健人の気遣いでもあった。

 健人たちが再び旅に出れば、このウィンドスタッド邸にいるのはソフィだけ。

 ヴァルディマーが残ってくれているとはいえ、二人の接点はまだそれほどない。この辺境で寂しい思いをするよりは、モーサルにいたほうが幾分か気分はまぎれるだろうと思ってのことだった。

 

「待って、お兄ちゃん。私を……置いていくの?」

 

 しかし、信じられないというようなソフィの表情に、健人は「やはりダメか……」と、心の内で落胆した。

 ソフィを置いていくことで健人が一つだけ気がかりだったのが、彼女が健人から離れることに耐えられるかどうか。

 モーサルに来るまでもソフィは健人のそばを離れようとしなかった。それほどまでに、この孤独に心と体を苛まれた少女は、健人に依存していたと言える。

 

「あ、ああ。元々危険な旅だから、ソフィはモーサルで待っていて……」

 

「……やだ。やだやだやだ! 私も一緒に行く!」

 

「ソフィ、だけどとても危険なんだ。全部終わったらちゃんと戻ってくるから……」

 

「お父さんもそう言って帰ってこなかった!」

 

 帰ってこなかった。甲高い、悲鳴にも似た叫びに、健人は二の句が告げられなくなる。

 ソフィの父親はストームクロークの兵士で、家に彼女を一人残して、戦場で散った。

 

「一人で待って、ずっとずっと不安で……それでも信じて待ったけど、帰ってこなかった!」

 

「ソフィ……」

 

 彼女は耐えた。耐えて耐えて耐えて、待って待って、待ち続けて。こみ上げる不安と恐怖を必死に押し殺して、パパは大丈夫だと自分に言い聞かせて……。

 しかし現実は、そんな彼女の幼く、健気な思いを汲んではくれなかった。 

 彼女に届けられたのは、父親の戦死の知らせ。そして孤独な、ストリートチルドレンとしての日々の始まり。

 身も心も文字通り凍り付く寒さ。全身を打ち付けてくる風と雪。すべてを失った絶望。その時のトラウマは、簡単に乗り越えられるものではない。

 

「私、頑張るから、邪魔にはならないから、お願い、置いて行かないで……。一人は、やだ……」

 

「……ごめん」

 

「っ!」

 

 ソフィの瞳から、ぶわっと涙があふれだした。

 ヴィーヘンを抱いたまま、彼女は屋敷の外へと飛び出していく。

 

「ケント様、ここは私に任せてください」

 

 健人が追いかけようする前に、リディアが先んじて、ソフィを追って外へと駆け出して行った。出鼻をくじかれた健人は、力なく、近くにあった椅子に腰を下ろす。

 下を向いて唇をかみしめる健人に、イドグロッドが声をかけた。

 

「大変だね」

 

「すみません、イドグロット首長」

 

「いいよ。あの子の境遇を考えれば、難しい問題だからね」

 

 先ほどの心が重くなるような喧嘩を見せられても、イドグロッドの落ち着いた声色は変わらない。その頼もしさが、今の健人にはありがたかった。

 

「……正直な話、俺にはソフィを無理矢理置いていく資格は無いです。俺も、リータの旅に無理矢理ついて行った人間ですから」

 

 ソフィと同じように、健人もまた、止めようとした姉の言葉に逆らって、アルドゥイン討伐の旅に同行した人間だ。

 だからこそ、彼は内心では、自分にソフィを止める資格はないと思っている。

 

「……どうするんだい?」

 

「ソフィが本気でついてきたいというのなら、止めません。ただ、鍛練はつけます」

 

 だが、ついてくるなら、最低限の力は身につけなくてはならない。

 ウィンドヘルムからモーサルまでは傍で健人が守れていたが、これから先はどうなるかわからない。

 

「剣、盾、魔法、弓、あらゆる事を覚えてもらいます。そして弱音を吐くなら、その時点で無理矢理家に帰します。ソフィは初めて旅をした時の俺よりも弱い。弱音を吐く時間すらありません」

 

 重く、威厳のある声で、健人はそう述べた。同じ部屋にいたヴァルディマーとカシトが、思わず息をのむほどの威圧感。

 健人も自分で言っていて、無理だと思う条件だ。

 確かに、言っていることは厳しく、ほぼ不可能だと思えるもの。ソフィのような幼い子供が到底こなせるはずもない。初めから同道を諦めさせるための方便だと思えるような条件だ。

 それでも、健人はこの場では心を鬼にしなくてはいけない。

 ここは命の保証が最低限された現代日本ではない。常に死が隣り合わせにある、非情で厳しい世界なのだ。

 そして、健人の旅もなあなあでついて来ていいなどと、判断できるものではない。

 

「で、最終的なアンタの答えは?」

 

 そんな健人の様子を、イドグロッドは静かに、そして優しく見つめていた。

 老獪な首長は、厳しい声の裏側に隠れた、彼の想いもちゃんと理解している。

 

「……最後は、ソフィの意思を重んじてあげたいです」

 

「そうかい、良い兄だね」

 

「なら、いいのですが……」

 

 それを最後に、イドグロッドは食事に戻る。

 健人も一度大きく息を吐くと、顔を上げて、外へと向かう。

 自分の話を聞いて、ソフィがどうするかは分からないが、それでもきちんと話をしたいと思ったのだ。

 

「二人はいいのかい? 放っておいて」

 

「私よりも、健人様のほうが妹様のことはご存じです。わが主は妹様をとても大事に想っていらっしゃいますし、それを伝えようともしておられます。何も問題ありません」

 

「あの姉と違って、健人はきちんと自分の気持ちを話そうとしているし、ソフィの気持ちも聞こうとしているからね。多分大丈夫だよ」

 

 ヴァルディマーもカシトも、特に心配はしていなかった。

 今はすれ違ってしまっているが、相手を想い、言葉で意思を伝えようとしている限り、落ち着くべきところに落ち着くと思っているのだ。

 二人の答えを聞いたイドグロッドは、満足そうに頷くと、朝食に戻る。健人が立ち去った後のホールには、しばしの間、パチパチと薪が爆ぜる音だけが響いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ウィンドスタッド邸を飛び出したソフィは、そのまま屋敷北にある桟橋まで来ていた。

 ザザーン、と波が浜に打ち付ける音が、北の強風とともに響いている。

 ソフィはストンと桟橋に座り込むと、そのまま膝を抱きかかえてしまう。

 

「ピュイ?」

 

 腕の中のヴィーヘンが、心配そうな声で鳴く。

 鷹の雛を抱えていたソフィの腕に、ぎゅっと力が入る。

 春とはいえ、この日は波が高かった。荒れる海の様子は、まるで今の彼女の心を示すように、激しい白波を立てていた。

 

「ここにいましたか」

 

「リディアお姉ちゃん……」

 

 安堵と落胆が、ソフィの胸に湧き上がる。本当は、兄に追いかけてきて欲しかった。

 そんなソフィの内心を知ってか知らずか、リディアはソフィの隣に腰を下ろす。

 しばしの間、流れる沈黙。先に口を開いたのは、リディアの方だった。

 

「ケント様でなくてすみませんね。」

 

「べ、別に気にしてないもん……」

 

 どうやらリディアは、しっかりとソフィの心の内を察していたらしい。恥ずかしそうに顔をそむける少女の姿に、含み笑いを漏らしている。

 荒れていたソフィの心の波が、ゆっくりと凪いでいく。

 

「それで、ソフィはどうするのですか?」

 

 改めて来た質問に、ソフィは沈黙した。

 離れたくないと言ったが、同時に兄がそのように提案した理由も、彼女はしっかりと理解している。なにせ同じ理由から、彼女はかつてのウィンドヘルムの家で、一人父親の帰りを待っていたのだから。

 

「ケント様はああ言っていましたが、貴方が本気でついてくる気なら、止めはしないでしょう。ケント様も貴方と同じ孤独を抱え、そして弱かった時に無理矢理従士様の旅について行った方ですから」

 

「……え?」

 

 健人が弱かったというリディアの言葉も信じられなかったソフィだが、同時に健人が自分と同じだという言葉にも、彼女は衝撃を受けていた。

 

「ウィンドヘルムからのケント様しか知らない貴方なら、驚くのも無理はないでしょう。ケント様は記憶を失った状態で私の主様に保護されました。肉親や知り合いの記憶も一切失い、天涯孤独の身となっていたのです。そして私が出会ったばかりのケント様は、戦士と呼ぶにはあまりにも力量が無さすぎました」

 

 一瞬信じられなかったソフィだが、はっきりと断定するリディアの口調に、彼女の言葉が真実であると、少しずつ受け入れ始める。

 もっとも、記憶喪失の話は健人が真実を話していないために残っているのだが、孤独を抱えている人間ということは変わらない。

 彼はもう、故郷には戻れなくなっているのだから。

 

「しかし、ケント様は強くなるために、貪欲に学びました。戦う術だけでなく、魔法や錬金術、自分に出来るあらゆる事を試し、そして伸ばそうと努力なさいました」

 

 そう言って、リディアは一緒にいたころの健人の様子を、ソフィに話していく。

 朝早くからリディアと鍛錬し、少しでも姉の役に立とうと魔法を覚え、夜は本を開いて研鑽を欠かさなかった。

 

「ですが、その結果は報われませんでした。私の主様はケント様を想うが故に、それだけ努力したケント様を否定し、家に帰るよう言い含めて拒絶しました」

 

 しかし、それほど努力を重ねても、最後は姉とすれ違い、拒絶された。

 それは健人の気質がドラゴン殲滅というリータの旅の目的に合っていなかったこともあるが、何より彼女の主が、なんとしても健人を安全な場所にいさせたいと思ったからでもある。

 

「しかし、主様の行動は裏目に出ました。ケント様は失意の内に姿を消し、一人でソルスセイム島へと渡りました。そこでデイドラロードが関わる災厄に巻き込まれ、死すら生ぬるい試練に向き合わなくてはならなくなりました」

 

 健人が聞いたら、よく自分生きているなと、改めて遠い目をしそうな内容。

 ソフィも目を見開いて驚いており、ショックを受けている様子だった。それはリディアの話を信じたがゆえに受けている衝撃なのだが、信じてもらえても、もらえなくても、刺激の強すぎる話だとリディアは改めて思う。

 実際、この話を初めて聞いた時は、彼女も酷い醜態をさらしてしまっている。

 

「正直、ソルスセイム島でケント様と相対した敵は、ウィンドヘルムを襲ったドラゴンなどまるで相手にならない存在です。その試練を乗り越えたからこそ、今の健人様があります」

 

 ソフィは健人を英雄視しているところがある。

 それは別に悪いことではないが、これから家族として一緒にいたいというのなら、その特別視は、むしろ邪魔になる可能性が高い。だからリディアは、健人の昔話をこの少女に聞かせた。

 彼を英雄としてではなく、一人の人間として彼を見て、想ってほしい。それが、リディアの願いだった。

 

「独りは嫌だという貴方の気持ちも、ケント様は十分理解してくれます。あのように言いはしましたが、それでも最後は、貴方の意思を尊重してくれるはずです。彼は本気で述べた想いを否定するような方ではありません。なにせ、貴方の兄なのですから」

 

「……うん」

 

「いい子です。では、後は自分で伝えなさい」

 

 そう言ってリディアはスッと立ち上がる。気が付けば、桟橋の袂には健人が立っていた。

 リディアは去り際に健人に一礼すると、そのまま屋敷へと戻っていく。

 

「ソフィ……」

 

「お兄ちゃん、私……」

 

 一度、大きく深呼吸して、心を整える。

 顔を上げた彼女の表情には、先ほどまで浮かんでいた暗い影はもうなくなっていた。

 

「私は、ここに残る。お兄ちゃんが返ってくるのを、待ってるから……」

 

 静かに告げた、ここに残るという意思。その短い言葉に込められた想いに、健人は改めて胸が熱くなり、目の前の小さな妹を抱きしめた。

 

「……ごめんな、一緒に連れていってあげられなくて」

 

 すまないという健人の言葉をソフィは静かに首を振って否定する。

 兄の隣に立つには、まだまだ自分では役者不足だと、彼女が一番わかっていた。

 

「その代わり、お願いがあるの」

 

「お願い?」

 

「全部終わってお兄ちゃんが帰ってきたら、今度は私と一緒に旅をしてほしいの。お兄ちゃんが返ってくるまでに、私も頑張るから」

 

 今は一緒には行けない。でもいつか、隣に立って旅をしてみたい。

 いや、旅でなくてもいい。一緒に食事をして、一緒に寝るだけでもいい。少しでも長く、一緒の時を過ごしたい。

 そのために、今は我慢しよう。いつか、自分の想い人の隣に立てるようになるために。

 

「分かった」

 

「約束だよ?」

 

「ああ、約束だ」

 

 交わされた約束に、少女は満面の笑みを浮かべる。

 少しのすれ違いを乗り越え、少年と少女はまた少し、成長していた。

 

「じゃあ、朝ごはん食べよ! お腹すいちゃった!」

 

「ピュイピュイ!」

 

「大丈夫、ヴィーヘンのことも忘れてないよ」

 

 子供の鷹を胸に抱き、兄の手を引きながら、少女はウィンドスタッド邸へと戻っていく。

 

(いつか、お兄ちゃんのお嫁さんになるんだ……)

 

 その胸に、秘めた想いを抱きながら。

 

 

 

 

 

 

「あ、ごめん。ケント達の分も食べちゃった」

 

「いや~、話が長そうだったからね。冷めると悪いから片付けておいたよ。腹の中に」

 

「首長……」

 

 ちなみに、朝食はイドグロッドとカシトにすべて食べられていた。

 この後、激怒したソフィが猫と老婆を追いかけまわし、屋敷中がめちゃくちゃになったのは余談である。

 

 

 

 

 

 

・さらなる余談

 

「イドグロッド首長、マーラのアミュレットって、買えるの?」

 

「おや、お嬢ちゃんはもう結婚相手を決めたのかい?」

 

「はい。私、お兄ちゃんと結婚します! ですので、花嫁修業とかしたいんですけど……」

 

「料理はお嬢ちゃん得意みたいだし、後は裁縫とか刺繍とか……」

 

「お兄ちゃん、剣も喧嘩もすごく強いので、破壊魔法とか変性魔法とか覚えたら役に立つかなと思うんですよ! 後は幻惑魔法とか錬金術とか召喚魔法とか……。死霊術はさすがにちょっとどうかと思いますけど……」

 

「……お嬢ちゃんは花嫁修業を何だと思っているんだい?」

 

 ついでに、ソフィの「お兄ちゃん攻略作戦」が首長を巻き込んで、健人本人の知らない所で秘かに始まっていたりもした。

 そのあまりにガチっぶりに、最初は意気揚々と参加していた首長も途中で微妙な顔をするようになったのだが、それもはなはだ余談である。

 

 

 

 

 




・ウィンドスタッド邸
 健人の拠点となった邸宅。基本的に人が訪れることを想定していないので、内装は研究のための図書館室や錬金術実験室、付呪師の塔などで構成されている。
 暖炉を挟んでホールと反対側の作業場は台所となっており、作業場自体は地下に移設されている。
 また、別棟に温室も設置されており、錬金術に使う素材だけでなく、温室でしか育てられない野菜も育てている。

 しかし、最も大切なのは地下の隠し倉庫。
 健人だけが入れるように細工を施しており、壊れた黒の書などの危険なアーティファクトを保管する……予定だったのだが、工期が足りず、まだ未完成。


・ソフィ・サカガミ
 憧れだったお兄ちゃんのお嫁さんになることを決め、ついに動き出したダークホース。
 隣に立つと決めた相手が相手なだけに、イドグロッドもドン引きする研鑽を行うようになる。
 彼女の研鑽の対象は、武、学、美、全てに及び、結果、モーサルに全てを万事こなせるスーパーウーマンが爆誕するきっかけとなった。
 

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