遊撃部隊ストーム、鎮守府に着任す   作:あわちゃ

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第十一話

ガガガガガ・・・・

 

ストーム1「うおっ!?」

 

銃撃をすんでのところで躱し、ベガルタの後ろに逃げ込む。

 

俺を撃った艦戦は追撃することなく、敵艦隊の方へ戻っていった。

 

ストーム1「ふぅ~・・・今ので何回目の空襲だよ・・・。」

 

正直、正規空母を甘く見ていた。四百は下らない、圧倒的な艦載機量に押し負けたのだ。

 

確かに、ネグリングは百発百中、撃てば撃つだけ落とすことができたんだが・・・ネグリングの欠点がでてしまったと言うべきか。

 

大戦中もこの問題に悩まされていた。設計上の問題で、ネグリングはミサイルを百発までしか搭載出来ない。

 

ネグリングでアウトレンジしても、敵は倒しきれない。かといって二台目を要請しても、くるまでには確実に囲まれている・・・そんな時が何回かあったもんだ。

 

今俺が隠れているベガルタも、酸どころかヘクトルの迫撃砲や粒子ガトリング砲にも負けない装甲のお陰で、壊されてはいないのだが・・・。

 

ストーム1「やっぱそっちはきついか・・・。」

 

度重なる攻撃で、電磁城壁はそろそろ限界だ。

 

レンジャー妖精2「落ちろぉ!落ちろぉぉ!」

 

レンジャー妖精4「俺たちは負けるわけにはいかない!撃って撃って撃ちまくれ!」

 

一応、ちょこまかと走り回るレンジャー妖精達が、MLRA-30で狙ってはいるが、射程距離の短さ故か、艦載機の速度故か、命中精度はお世辞にはいいとは言えない。

 

ストーム1「もうちょっと頑張ってくれ!そしたらこいつであいつらを撃破する!」

 

レンジャー妖精s「「「「了解!」」」」

 

そう、勝機がないわけではない。

 

俺が今回「念の為」持ってきた兵器・・・・こいつの誘導方法はいつも使ってるリムペット型じゃない。レーザー式だ。

 

つまり、射程距離は無限ーーー理論的には、俺はいつでも相手空母を狙うことができるわけだ。

 

だが、流石にそういうわけにはいかない。しっかり相手にレーザーを照射しなきゃいけないんだからな。普段の戦いなら、敵空母を直接こいつで攻撃するなんてことは出来ない。

 

だが・・・・今回は違う。

 

こっちに来てから、駆逐艦達を重巡が座学を学ばせるための授業に、ちょくちょく参加していた。

 

そこで習ったのが、「空母はいち早く艦載機を収容するため、攻撃した方向に進む」というものだ。

 

その授業通り、あいつらは近づいて来ている。

 

もう少し引きつけたかったんだが・・・・そろそろ電磁城壁も持たないし、俺を撃った艦戦が場所を報告しているころだろう。集中砲火を受ければ、ベガルタといえどタダでは済まない。

 

ストーム1「ふぅ~・・・よし。・・・やるしかないな。」

 

見つからないよう、地面に伏せ、匍匐前進でベガルタの影から出て、敵を見据える。

 

距離は・・・バイザーと誘導装置のズーム機能をあわせて使っても、米粒ほどにしか見えない程度には離れている。

 

ストーム1「すぅー・・・はぁー・・。」

 

震える手を止めるために深呼吸をしーーー米粒大の黒い点に照準を合わせる。

 

ピン・・・・ピン・・・・ピン・・・・

 

ロックオン時の音の感覚が・・・まるで、百倍に引き伸ばされたような感覚になる。

 

ピン・・・・ピン・・・・ピン・・・・ピン!

 

よし!

 

「・・・喰らえ!ライオニック20だぁぁ!」

 

 

~~~~海上~~~~

 

赤城「ふぅ。これなら勝てそうね。」

 

第六次攻撃隊を収容し、補給の間に加賀さんにそう声をかける。

 

加賀「そうね。これで・・・あの子達も救われる・・・。」

 

加賀さんが感慨深そうに頷くが、それもそうだ。

 

今回私達が勝てば、駆逐艦の子達の待遇改善を報酬として提督にお願いするつもりでいる。

 

駆逐艦は使い捨てだと、提督が昔言っていたのを聞いたことがある。

 

事実、新しく着任した駆逐艦の一部はサーモン海に出撃させられ・・・二度と戻っては来なかった。

 

睦月「赤城さん、私、出撃が決まったにゃしぃ!まだ練度は低いけど、頑張ってくるね!」

 

そう言って帰ってこなかった睦月の笑顔は、今でも忘れられない。

 

でもそれもーーー今日で終わりだ。

 

そう言おうと加賀さんを見ると・・・一点を凝視して固まっていた。

 

視線の先には私。そしてそこには、スナイパーのレーザーのような赤い点。

 

加賀「赤城さんっ!避けッ・・・・」

 

加賀が何かを叫ぶのと、私が意識を刈り取られたのは、ほとんど同時だった。

 

 

~~~~鎮守府~~~~

 

提督「ストーム、よくやってくれた。これで大将の鎮守府にも査察が入るだろう。そっちの妖精さんたちも、ありがとう。」

 

ストーム1「ほんとだぜ提督・・・あの時は負けるかと思った・・・。」

 

俺たちは労いの品として、執務室で『間宮の羊羹 特選』と、高そうな緑茶を食べていたのだが、大将を見送った提督が帰ってきた。

 

レンジャー妖精1「あのぐらいは余裕だ。」

 

レンジャー妖精4「光栄です、提督殿。」

 

と、口では言いながらも、もぐもぐと羊羹を食べる手を休めない妖精を見ながら、提督は安心したような表情を浮かべていた。

 

ストーム1「まあ、これで尊い命が救えるんだもんな。そう思えば、苦労したかいがあるってもんだ。」

 

 

提督「ああ。あ、後少し頼みたいことがあるんだが・・・」

 

ストーム1「・・・あれっ・・はぁ・・・何だ?」

 

いつの間にかなくなっていた俺の分の羊羹は諦め、提督に向き直った。

 

 

~~~~大将の鎮守府~~~~

 

瑞鶴「やめてください!失敗したのは私達です!罰は私達が受けるべきなんです!」

 

大将「黙れ。お前らに対する罰は、これが一番効果的だからな・・・。」

 

そういうと大将は、檻に閉じ込められた私達から、吊るされた駆逐艦の暁、朝潮、卯月に向き直り、残忍な笑みを浮かべる。

 

私も瑞鶴のように抵抗したいが・・・体が動かない。

 

というか、動けるのは瑞鶴だけだ。私を含む、他の5人は一時的に艦娘を無力化する薬を打たれている。

 

提督は、瑞鶴だけに「わざと」薬を打っていない。・・・性格をよく知っているからこそ、できることだ。

 

暁「ひっ・・・やめてくださ」

 

大将「オラァ!」

 

暁「ぎゃああああああッ!あ・・ッ・・・ッ・・・!」

 

大将「まだ一本じゃないか。気絶するなよ?レディーだろう?」

 

くっ・・・こいつ・・・・

 

駆逐艦の暁が、まるで獣のような悲鳴を上げるが、無理もない。足の指をハンマーで潰されたのだ。

 

加賀「かっ・・・はっ・・・」

 

加賀が怒りの形相で何かを言おうとしているが、喉からはそんな声が絞り出されるだけで、言葉にならない。

 

そしてそんな顔をしているのは、私も同じだろう。

 

瑞鶴「こんのおっ・・・・壊れろッ!壊れろおッ!」

 

大将「それをいくら殴りつけても無駄だってわかってるんだろう?無駄なことはやめるんだな。」

 

瑞鶴が人を殺しそうな目で睨むが、それを提督は鼻で笑い、次は朝潮に向き直る。

 

大将「さて、朝潮。お前はどこがいい?小指か?人差し指か?」

 

朝潮は返事をすることもなく、ガクガク震え、絶望に満ちた目で提督を見つめるだけだ。

 

大将「なんだ、選べないのか?なら両方・・・なんだ?」

 

憲兵「提督殿。あなたに急用がございまして・・・。」

 

大将「今は忙しい。後にしろ。」

 

憲兵が入ってきた・・が、この鎮守府は憲兵ですらも腐っている。

 

が、私は違和感を感じた。こんな喋り方をする堅苦しい憲兵は、もういないはずだ。

 

憲兵「そう言われましても・・・元帥からの電文ですので。」

 

大将「はぁ・・・わかった。見せてみろ。」

 

憲兵「こちらです。」

 

大将「ふむふむ・・・なっ!?貴様、まさか・・・!?」

 

と、電文を読み進めた大将の顔が青くなり、憲兵と電文を見比べている。

 

憲兵「そうだ。私たちは元帥直属の憲兵団。大将殿、あなたを捕縛させてもらおう。」

 

大将「待て!そ、そうだ金ならやろう!だから・・・」

 

最後まで言い終えないうちに、提督がスタンガンで気絶させられる。

 

憲兵「よし、運べ!それからここにいる艦娘達を急ぎドック入りさせろ!」

 

瑞鶴「え・・・?え・・・?」

 

先程まで猛り狂っていた瑞鶴ですら、困惑していた。

 

だが、一つだけわかったことがある。

 

私達は救われたーーーーー。

 




今回はちょっと長めです。あと、暁ちゃんをひどい目に合わせてしまいました。推している提督方、申し訳ありません。


後、出して欲しい艦娘なんかを募集中です。感想送っていただければ、登場する・・・かも。
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