遊撃部隊ストーム、鎮守府に着任す   作:あわちゃ

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第十二話

俺は、隣に座る少女の顔をチラチラと見ていた。

 

その整った端正な顔立ちは、どこか委員長的な雰囲気を匂わせる。

 

カリカリと仕事をする彼女には、俺の挙動不審な行動も目に映ってないようだ。

 

それだけ集中しているということなのだろう。そんな彼女に、俺は意を決して話しかけた。

 

ストーム1「お茶でも入れようか?」

 

大淀「そうですね、濃いめのをお願いします。お茶菓子出しますね。」

 

・・・俺はそそくさと茶を入れに行った。

 

 

 

ここは執務室。そして俺が座っていたのは、まごうことなき提督の椅子だ。

 

本来ならここに入ってこれるのは、出撃メンバーや遠征の結果報告をする艦隊の旗艦、あとは提督にお菓子をねだりにくる駆逐艦や海防艦、提督を晩酌に誘う軽空母や重巡、よくここで本を読んでいる雷巡・・・うん、ここが重要なとこっていう感じが全然ないな。

 

それでも、提督の椅子に座れるのは提督のみだ。

 

そんなところになぜ俺が座っているのかというとーーーー

 

~~~3日前~~~

 

提督「話っていうのはだな・・・簡単に言うと、ストームに提督代理をしてもらいたいんだ。」

 

ストーム1「は?俺が?」

 

なんで?

 

提督「ああ。恐らく俺は明日から大本営に出張することになるだろう。だからその間、ここを頼んだ。」

 

あ~なるほどそういうこと・・・・ってえぇ!?

 

ストーム1「ち、ちょっと待ってくれ。なんで俺なんだ?おかしくないか?」

 

提督「・・・おかしくなんかないさ。俺はストームを信頼してる。少なくとも提督代理を頼めるぐらいにはな。」

 

ストーム1「いや、提督がいいとしても、だ。艦娘達や上の人たちが黙ってないんじゃないか?」

 

それこそ大将の艦隊を倒した俺がいきなり提督代理なんて、上の人になんか疑いをかけられそうだ。艦娘達も、どこからきたかわからんやつなんて代理としても提督にはなってもらいたくないだろう。

 

提督「それについては心配ない。艦娘達はストームのことを頼れる味方として、気軽に話せる仲間として、珍しい男の人として・・・個々に違いはあれど、皆仲間として認めてる。」

 

ストーム1「お~・・・そうなのか。」

 

皆が認めてくれてるってのは、素直に嬉しいな。男だから、正直距離を置かれたりするんじゃないかと思ってたが。

 

まあ、よく考えれば夕立なんかがちょくちょく俺の部屋に遊びにくるからなぁ・・・慕われてるのか。

 

提督「それに、元帥殿や他の将校には、ストームが代理をしているほうがいいだろう。」

 

ストーム1「・・?なんでだよ?」

 

俺「で」いいならともかく、俺「が」?

 

提督「大将の鎮守府の行いがバレたせいで、鎮守府全体に対する疑惑が高まってるんだ。そんな時に、たとえ俺が任命したと言えど、艦娘が提督代理になるのをよく思わないやつもいるだろう。」

 

ちょっとした疑いの心が、後々落とし穴になったりするからなぁ、と提督はつぶやき、俺を見つめる。

 

これは受けるしかなさそうだ。

 

ストーム1「ふぅ~・・・。わかった。提督代理をさせてもらう。」

 

それを聞くと、提督は安堵の表情を浮かべる。

 

提督「それを聞いて安心した。執務は大淀がやってくれるから、ストームは検印を押してくれるだけでいい。ってわけで、よろしくな。」

 

そういうと提督は、さっさと執務室から出ていった。

 

ストーム1「は!?ちょ、待てよ!」

 

俺を執務室に残して。

 

 

 

と、言うわけで、執務を大淀にしてもらってたわけなんだが、やることがなさすぎていたたまれなくなったので、お茶を入れにいったわけだ。

 

しっかりと濃い目のお茶を入れて執務室に戻ると、大淀がお煎餅を用意して座っていた。

 

それを二人でポリポリと食べていると、大淀が思い出したように、

 

大淀「あ。そういえば、明日新しい艦娘がここにくると、提督から連絡がありました。ストームさんは提督代理なので、ここに一度挨拶にくるはずです。しっかり対応してくださいね。」

 

新しい艦娘、か。隼鷹みたいなのはやめてほしいなぁ・・・。

 

~~~大本営 執務室~~~

 

提督「失礼します、元帥殿。何か俺にお話でも?」

 

元帥「ああ。ま、そこにかけてくれ。」

 

大将の処分に対する会議のあと、俺は元帥に呼び出された。

 

どんな話になるか大体予想できるのだが、とりあえず元帥に向き合うところにある椅子に座ると、元帥がこう切り出した。

 

元帥「・・・提督君はストーム1の戦力について、どう思うかね?」

 

やはりストームに関することか・・・。元帥があいつを警戒する対象としての質問なのか、心強い味方としての質問なのかは、元帥の表情からは読み取れない。

 

提督「そうですね・・・あいつは、控えめに言って普通の艦娘の連合艦隊レベルの戦力になると思います。それから、あいつには素質があるみたいで・・・。」

 

元帥「先ほど言っていた、妖精と共闘、というやつだな?確かに普通の人間には妖精は見えない。それを彼は訓練し、一端の陸軍兵士にした、と・・・。」

 

提督「はい。あいつは今のところ、俺たちに危害を加えるような素振りは見せていません。だからーーーそう、国のお偉い方に報告してもらえませんかね?」

 

俺がそう言うと、元帥が少しだけ目を見開く。

 

元帥「・・・なるほど。提督君にはお見通しのようじゃな。」

 

提督「伊達に提督やってるわけじゃないですから。」

 

今回の話、恐らくストームの情報を掴んだ国からの命令だったのだろう。なんせ、俺達提督は元帥に嘘をつくようなことは許されない。もしそれが国の危機に直結するものなら、尚更だ。

 

元帥「提督君の鎮守府に着任した、ストーム1は極めて友好的で、戦力としても申し分ない。よって現在は拘束し尋問する必要なし・・・といった趣旨で報告書を書いておこう。ワシとしても、彼を失うのは痛いからな。」

 

提督「よろしくお願いしますよ、元帥。彼のお陰で、大将を逮捕できたんですから。」

 

元帥「うむ・・・ワシがよろしく言っていたと、彼に伝えてくれ。」

 

提督「了解しました。では。」

 

椅子から立ち上がり、敬礼した後、俺は静かに執務室から出て行った。

 

元帥「・・・どう大臣を納得させようかのう・・・・」

 

元帥の声を背中に受けながら。

 

 

 

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