バトルスピリッツ スターティング・ゼロ   作:謙虚なハペロット

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遅くなりました。(常習犯の常套句)
その上会話のみ、短い、バトル無しと一切見所皆無なので読み飛ばしていただいても構いません。


祭の前・それぞれ次に向けて

◆ 赤と黄の場合

 

「さてさて♪ 私の勝ちですねお姉様♪」

「これ彩音が知ったらまた再特訓だろうな…」

 

 桜との対戦は私が毒刃を知らなかったのと、桜が意外と強いのもあって敗北となった。…こんなんで大丈夫だろうか、色々と。

 

「では、約束のお願い事ですけど…」

「お、お手柔らかにな…」

 

 何をお願いするかニコニコ悩むのはいいが、祐依が笑ってないからなるべく大事にならないよう頼みたい。

 

「…決めました♪」

「………」

「お姉様に関わることだと祐依さんがうるさいので…」

「あ?」

「まぁまぁ祐依」

「ふふっ♪ そこで、今日祐依さんが何故機嫌が悪かったのか。お姉様から聞き出してください♪」

 

 あぁ…、成る程な。たしかにそれは私も聞きたかった。

 

「ふむ…。いいか?祐依」

「……あまり話すような内容じゃないです。それでよければ」

「私は構わない。桜もいいな?」

「はい♪」

「……わかりました」

 

 渋々とだが、帰宅したときに祐依の機嫌が悪かった理由を話し始めた。

 

 

 

——今朝・祐依視点——

 

 今日は待ちに待ったアルティメットバトル05の発売日。

事前調査によって黄色が覚醒している事は既に確認済み。勿論、ショップ縁にて箱で予約済みでもあります。今から楽しみで仕方ありません。

 

「……」

「はいおまちどおさま。アイスティーだよ」

「ありがとうございます」

 

 現在朝の七時過ぎ。こんな朝早く私は家を出て電車に乗りお隣りの友人宅のカフェに来ています。

勿論早朝のためお客さんは疎ら。軽めの朝食を取りお店を出る方がちらほら。休日でもお疲れ様です。

 さて、何故私がここに来ているのか。お姉ちゃんと一緒に買いに行くという何よりも大事な大事な用事を断ってまで。

それは、昨日琥珀から来た一本の電話のせいです。

 

「………」

 

 

『祐依さん事件です!! 果たし状が届きました!!』

 

 

 耳がおかしくなるのかと思うほどの声で琥珀が伝えてきたのは、時代錯誤もいいところだと笑えないものでした。…今時果たし状って。しかも何故琥珀に渡したんでしょう? 果たし状というんですから本人に叩き付けるなり何なりあると思うのですが。

 

「祐依ちゃん」

「あ、はい」

「琥珀叩き起こしてくるから、いつもの部屋で待っといてね」

「解りました」

「飲み物とかは後で新しく琥珀に持ってかせるからね」

 

 …これは琥珀、許されませんね。

そういう事でいつもの別室へ移動。私を呼んだ琥珀本人が早起きできないのに朝から〜なんて言うから…。

 

「…果たし状、か」

 

 すると上からズシン…ズドンという鈍い音がします。それ程大きい音ではありませんでしたが、あちらのお店の方に音はしません。そこは琥珀のお母様です。

 

 

 

「お…おまちどおさまでしたぁ…」

「おはよう琥珀」

 

 それから少しして、少々くたびれた琥珀が飲み物を持って現れました。

 

「て、手厳しくてコハク…二つに畳まれちゃう…」

「それはそうでしょうね。はい、琥珀」

「っ! わーい♪」

 

 髪がぐしゃぐしゃなのでいつものように琥珀を呼び、髪を梳かす。…琥珀と知り合ってからこれがクセになりつつありますね。

 

「——はい。完了です」

「ありがとござまーす♪」

 

 さて、琥珀の髪も整え終わりましたので本題。

 

「で、琥珀。話してた果たし状って?」

「あ!そうそう。これ!」

 

 …前世は子犬ですかねやはり。垂れた犬耳のような髪が例のものを渡すときにヒョコヒョコ動きます。

 と、渡されたのはよくアニメや漫画とかでしか見たことがない“果たし状”そのもの。達筆で書かれた文字………

 

「……んふっ」

「?」

「失礼」

(この果たし状、状の犬の点が足りてない…)

 

 とりあえず今は気にせず中身の確認が先。何が書かれているのやら…って長い。

 

「……はぁ…」

「なんて?」

「称号戦で“熾天”の名を賭けて勝負だってさ」

「は?」

 

 くだらなさすぎて途中で読む気が失せ流し読み。

 

「え?え?ど、どういうこと?」

「だらだら書かれてますけど、ようは私が熾天の名を取ったのが気に入らないから、私が勝ったら寄越せ。ですって」

「はあ…」

 

 まさかこんな大袈裟なもののためにわざわざ…。許されざれますよ。

 

 

「どうやら読んだみたいだね!」

 

 

「っ!?」

「………」

 

 突然この部屋の扉をけたたましく開け侵入してきた誰か。…まぁ今の発言でこれの送り主だというのは解りました。まさかとは思いますが扉の前でスタンバってたんですか?

 

「久しぶり!熾天の祐依!」

「……」

 

 薄い金のエクステとパンキッシュ色全開服装、彩音さんとはまた違ったベクトルであり見た目麗奈さんに近しい女性。お洒落ではあるのですが、確実に面倒臭い部類の人です。

しかも私に久しぶりと言っていますが、私はまったく覚えがありません。それなりに記憶力はある方だと思いますが、誰かと勘違いを? でも称号を知っているなら、称号戦を争った方…?

 

「ふっ…。覚えていないのも無理はない。私は、君が称号得た大会のとき1回戦で君と当たり負けたからだ!」

「先輩ださっ」

「う、うるさいよ月宮君」

「…知り合い?」

 

 先輩ということは同じ学校なんでしょうか。変わり者が集まる学校? …あ、それはうちも同じようなものでしたね。

 

榛堂 明日歌(しんどう あすか)! 以後お見知り置きを」

「はぁ…」

 

 で、その榛堂さんが何用でしょうか?

 

「読んでもらった通りさ。君と、熾天の名を賭けて私と勝負してもらいたい!」

「そんな大袈裟な」

「いいや!私は君に憧れている!」

「憧れ…?」

「あの時、他のカードバトラー達がこぞって強カードに流れ“暗黒時代”とまで言われたあの劣悪な環境に、君は颯爽と現れ“熾天”の名を頂いた」

 

「そうだったの?」

「あんなの、私もその流されたうちの一人ですよ」

 

 あんな黄色とは名ばかりのデッキで勝ったところで嬉しくもなかったんです。それに、最大の壁になる璃恵さんも参加していませんでしたから余計…。

 

「そうだとしても…!」

「欲しければあげますよ」

「…何?」

「こんなことで絡まれるなら称号なんていりませんので」

「……」

 

 それを聞いた榛堂さんは俯いて手を震わせています。…大勢のカードバトラーの方々にも申し訳ないのですが、私には熾天の称号は璃恵さん達とは違いマトモな勝ち方をして取ったものではありません。

…マリア先輩が憧れていた璃恵さんも多分、こんな気持ちだったんでしょうか。

 

「ならば正々堂々、君から熾天の名をバトルにていただく!」

「お好きにどうぞ」

「そうさせてもらう!君に次ぐ強さを持つのは私だと自負しているからな!」

 

 私に次ぐ強さって…、璃恵さんとかが聞いたら笑われるんじゃ………次ぐ?

 

(私に次ぐ強さ

 →私の次に強い

 →姉より強い

 →姉さんを下に見ている

 →姉さん眼中に無い

 =姉を馬鹿にされた)

 

「………」

「祐依さん?」

「その傲慢な自信、打ち砕いてあげます」

「ああ!望むところさ!」

 

 姉さんを下に見たこと、後悔させてあげます。機会は称号戦までお預けですが、首を洗って待っていることです。

それに満足したのか、お店のドーナツ2個とドリンクをテイクアウトし、その時はよろしくお願いしますと一礼して帰っていきました。

 

「まったく、無礼なのか礼儀正しいのか判りませんね」

「さっき祐依さんが何を曲解したのか言おうか?」

 

 .

 

 .

 

 .

 

———回想終わり———

 

「てな訳です」

「………」

「予想外にくっそどうでもいい理由ですね。ぺっ」

 

 これには私も桜も苦笑い。桜はさすがに我慢出来なかったのか唾を吐き捨てるマネをした。

 

「何ですか桜さん!お姉ちゃんを馬鹿にされたんですよ!?」

「祐依さん学年成績トップのくせにことお姉様が絡むとドの付く阿保になりますね?」

「姉を大切に想って何が悪いんですか」

「お姉様、あんな腐れ妹より私の方が妹に相応しいのでは?」

「…ターゲット」

「勝った方が真のお姉様の妹ということで」

 

 いつの間にか罵りあいが過激になっとる。止めんか。

 

「止め止め。それ言い出すと絶対従うだろうが」

「でも…」

「いいから。桜も煽りすぎだ」

「頭を冷やします」

 

 はぁ…。まぁとにかく、いつもの事だったってことだ。…祐依も一応称号戦に出るみたいだが。

 

「私が云々は置いといて、祐依はその称号の取り方が気に食わなかったんだろ?」

「…まぁ」

「なら文句とか言われないくらい、自分が納得する勝ち方をすれば良いんじゃないかな」

「…確かに、今の黄色なら不可能では無いです」

 

 なら話は早い。しっかり見せ付けてやればいいさ。

 

「でも優勝する前に、お姉様や私がそれを阻止するかも知れませんよ?♪」

「…ふっ」

 

 祐依は切り替えが早い。私も頭が上がらないくらいしっかりしている。

 

「お姉ちゃんならまだしも、桜さんが一応の称号持ちである“熾天”に敵うとでも?」

「あらあら♪」

 

「何であれ、称号戦では手加減しません。…お姉ちゃんも桜さんも、簡単に勝てるとは思わないでくださいね」

 

「ああ、解ってるさ。だから私も全力でぶつかりに行くからな」

 

 

◆ 青と緑が張り切る

 

 ここは悠姫達カードバトラーが日頃お世話になるカードショップ『縁』。……の、裏手。その縁を営む翠乃姉妹の実家のリビング。

 

「いやぁ夕飯ご馳走様でした」

「いいえ〜。お粗末様です〜♪」

「お茶が入りましたのですよ〜」

 

 そこにいるのは噂の麗人・青凪麗奈、縁の店長・翠乃 菫、その妹・真桜の三人。

 

「ありがとう真桜君。…こうやって一緒に食事するのも久しぶりですね」

「最近はご無沙汰ですしね〜」

 

 麗奈が夕飯を一緒にしている理由は二つ。

ひとつ目は、来る理由が出来たから。

ふたつ目は、その理由とは、同室…居候している人物に追い出される形になってしまったということ。

 

「また喧嘩したのですか?」

「喧嘩はしてないよ真桜君。私はとばっちり受けただけさ」

「いつもの癇癪ね〜」

「ははは…。従姉妹なのに、あの癇癪持ちは誰に似たんだか。

まぁこちらの話は置いて。真桜君は称号戦、出るのかい?」

「はい! 悠姫お姉さんが出るとのことなので、ボクも張り切って行くのですよ!」

「そうか。なら私も出ない訳にはいかないな」

 

「一緒に悠姫お姉さんに立ちはだかる壁となるのですよ!」

「あっはっは!それは良いね。私の青も、真桜君の緑もうってつけだ」

 

 

◆ 白と紫が立つ

 

 璃恵の実家、璃恵の自室にて。

 

「ン〜♪このエクレア美味ァ♪ 五月雨〜、これお母様と令毀、あと皆にあげといて〜♪」

「は、はいー!」

 

「……」

「いや〜悪いネ〜♪」

「いいわよ。…で、称号戦の話だけど」

「出るヨ」

「あっそ」

「悠姫が出るッてんでしョ? なら出ない理由がないサ」

「………」

「彩音は?」

「出るに決まっているでしょ。あなたとの決着と、見習い究極使いに立ちはだかる壁として」

「あッそ」

「まァ何にしても、次の称号戦は悠姫にとッて転機だと思うヨ」

 

「ええ。色々な意味で良い大会になりそうね」

 

「ウププ…♪ 悪いけど、決勝戦(ラストステージ)に立つのはワタシと悠姫で決まりだからネ♪」

 

 

---

 

 後日、バトルスピリッツの公式サイトにとある動画がアップされた。

 

 

 『 全国のカードバトラー達よ!! 』

 

 

 そう高らかに呼びかけるのは噂のカリスマ、ジャスティス立花の声。

 

『迫る決戦の日、待ち望む者も多いだろう。

 そう。待ち望む決戦とは、【称号戦】の日だ!!

 

 “称号”とは、強きカードバトラーの証。

 並み居る猛者達を越えることにより、名誉ある二つ名を頂くことができる!!

 

 さぁ、全てのカードバトラー達よ!

 己が最強たる証明、唯一無二の称号を求め決戦の地へ集え!!』

 

 




ケルベガンディ、木星北斗、ヤマトリュービ気弾無制限、ウスバシードラ。そんな時代もありましたね。二度と味わいたくありませんが。
現実には称号戦というのはありませんのでご注意を。
ただの繋ぎ回です。


※正直言いまして称号戦の内容で四苦八苦している状況です。
アニメ覇王編みたく1戦やったら身内と当たるまですっ飛ばしというカタチで行けたらいいなぁという。
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