バトルスピリッツ スターティング・ゼロ   作:謙虚なハペロット

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※注意!※
この話で不快なプレイの仕方が描写されます。
本当に不快に思われたのでしたら、申し訳ありませんが、この話が終わるまで我慢いただけたらと思います。



イチについたら・・・? Aパート

 私はバトルスピリッツ初心者であり、周囲の練習相手は強い親友と強いゴスロリ娘の二人のみ。その二人を相手に胸を借りる勢いでぶつかり稽古ですよ。

そりゃあもう負ける負ける。ただの一度も勝てた試しが無い。勿論負けから学んであの手この手をしかけるが案の定…ね。

 その私がだ。

 

 

 

「……………」

 

「うぅ…、まさかひっくり返されるとは思わなかったのですよぉ…!お姉ちゃ〜ん…!」

「あらあら〜、よしよ〜し。惜しかったわね〜真桜(まお)ちゃん」

 

 

 ……勝ったんだよ。嘘だと思うだろ? 本当なんだマジなんだ。私が勝ったんだよ…!この眼鏡っ娘に!

 

 

悠姫(ゆき)ちゃんも凄かったわ〜。素晴らしい逆転勝ちだったわ〜」

 

 真桜のお姉さんからの言葉に……思わず目頭が熱くなった。

 

「………」

「っ!? あわわっ、お姉さん泣いちゃったのですよ!」

「あ、あらあら…。ちょっと調子に乗りすぎたかしら、ご、ごめんなさいね?」

 

 あっ、いやこれはその…嬉し涙であって別に何かされたからという訳ではないですよ。やっと、やっと勝てた。やっと掴めた初勝利になんかもう色々と。私ってこんな泣きやすかったか?

 

 

「お姉さ————ひっ!?」

「? あら〜」

 

 目元を服の袖でぐしぐしやってたら真桜の悲鳴が。…視線は私の後ろを見ているが誰か来たのか? ちょっと滲む視界で振り向く。

 

「? ……うおっ!?」

 

 するとそこには、開かない自動ドアの前で半泣きべそかきながら額を密着させてドアをバンバン叩く璃恵(りえ)の姿が。その隣には彩音(あやね)さんの姿も。こちらが見つけたのに気付いたのか軽く手を振ってくれた。しかし璃恵が怖い。

 

「あらあら〜」

「あいつ何やってんだ…」

 

 

 

「ゆ゛ぅ〜〜〜き゛ぃ〜〜〜〜!!」

「だぁ!? 泣きながら抱き着いてくるなって!」

 

真桜のお姉さんが扉を開いて二人を招き入れた途端綺麗な顔がぐしゃぐしゃになるぐらい大泣きして抱き着いてきた璃恵。おい馬鹿やめろ服が、服が!

 

「ひとつ聞いていい?」

「あ、はい? …だぁもう璃恵はいい加減泣き止め!」

「だ…だっでぇ゛ぇ゛…ぐずっ゛」

「……で、悠姫は何で開店前のお店に?」

「あぁ、それはですね…」

 

 説.

 

 明.

 

 中.

 

「ソワソワしててジッとしてられず、気まぐれでお店に来たらバトルしていた、と」

「大体そんな感じです」

「でさァ、そのバトルしてた娘は?」

「え?そこに…」

 

 …いない。今対面にいたのにいつの間に。

 

「あらあら、真桜ちゃんったら〜」

「………」

「あっ、いた」

 

 そんな捜さずともすぐ見つかった。真桜のお姉さんの背後に隠れていた。どうしてんなところにいるんだ?

 

「真桜ちゃんはね〜、恥ずかしがり屋なのよね〜」

「えっ」

 

 恥ずかしがり屋…? あんな積極的に私をお店に入れてバトルまで申し込んできて、派手に召喚口上まで言っておいて今更恥ずかしがり屋、なのか。どう反応したらいいものやら。

 

 

「あ!そうだヨ悠姫ィ、何で泣かされてたのさ!」

「いや、まぁ、その、何だ」

「悠姫ちゃんが初勝利して感極まったのよね〜」

「うェッ!? 勝ッたの!?」

 

 何だその驚きようは。驚いてるのは私の方だよ。意外そうだったので、まだ片付けてなかった盤面を見せる。

 

「滅龍帝…? これいつ手に入れたの?」

「ランダムパックから出てきたんです」

「マオちャん…だッけ?この感じからして【分身】デッキだよね?…一体何があッてこうなッたの?」

「見ただけじゃどう勝ったのか訳がわからないわね」

 

 

 

 そんなこんなくっちゃべり初勝利の味を噛み締める余韻なぞ何処へやら。あっという間にお店の開店時刻となった。勿論お店は盛況。新弾を買い求めに多くのお客がお店に入ってきていた。

 …璃恵と彩音さんはレジに並んではいない。何故か。既に予約して取り置きして貰っているかららしい。常連の余裕というようだ。

じゃあ、私も並ばなきゃな。これで買い損ねたとか何の為に来たんだか意味が分からなくなる。

 そう思い席を立とうとしたら、いつの間にかまた姿を消していた真桜が何かを持ってこちらにやってきた。

 

「ん? どうした?」

「これ、どうぞなのです」

 

 贈呈されたのは新弾・アルティメットバトル01、一箱。

 

「えっと…」

「はじめての白星と、ボクに勝った記念品なのです」

「…いいの?」

「はいなのです。…それとお願いもひとつ…」

 

 箱を受け取り、もじもじしながら真桜にお願いをされる。何だろうか。可愛らしいからもう少し見ていたいけど。

 

 

「……友達に、なってほしいのです」

「…そんなんでいいのか?」

「そんなことでも、ボクには厳しくて難しい話なのですよ…」

 

 まぁ、人それぞれ難しいなり厳しいなり理由はあるだろう。だから私は簡単だとは言わない。私自身もなかなか友人が出来にくいタイプだし、作るのが難しいのは知っている。

 

「なら遠慮なんかいらない。こちらこそ喜んで」

「…! ありがとうなのですよ!」

「そこはありがとうじゃなくて、これからよろしく。だろ?」

「はい!よろしくお願いしますです!悠姫お姉さん」

「こちらもよろしくな。…真桜でいいかな?」

「勿論なのです!

 ボクは“翠乃 真桜(みどりの まお)”。うちのお姉ちゃんともども、よろしくお願いしますのです♪」

 

 

 して、しばらく四人で雑談しながらレジが落ち着くのを待った。真桜に貰ったのは別として、自分のお金で購入することに。そのために来たんだから。

 

「ふむふむ、ワタシらはそろそろかな?」

「そうね。やっと少なくなってきたし」

 

 どうやら購入どきだそうだ。…そういえば、二人はいくつ買うつもりなんだろうか。

 

「ワタシは5箱予約したヨ♪」

「私は1ダース。12箱ね。知り合いに頼まれてる分もあるし、私個人は、新弾1弾だから6箱かしら」

「………は?」

 

 え?5箱?6箱?ダース?規模が違うんだが。 わ、私はどうするか…。だがあまり悩んではいられない。悩んでる間に売り切れてしまったら意味がない。手持ちとにらめっこして決めるしかない。

 

「……真桜はどうするの?」

「ボクは4箱買ってるのですよ。あ、ちゃんとお金は払ってますですよ? いくらボクでもタダじゃダメなのです」

「そうか…」

 

 しっかりしてるなぁ。4箱も買ってるけど。てことはあの緑のデッキは買って当てたやつを組み込んだのか。いや、それよりどのぐらい買うか参考にならなかった。

 

 

「ハ〜イ♪買ッてきたよ〜♪」

「お待たせ。悠姫さんはどうするの?」

「えっ、…う〜ん」

 

 購入を済ませた二人が戻ってきた。彩音さんの1ダースのやつはダンボールに積め、後でその頼んだ人が取りに来るとか。

 

「とりあえずサ、真桜ちャんから貰ったのに合わせて買うのは2箱でイイんじャない?」

「…そうね。3箱でもいいけど、箱買いは初めてだろうし、2箱が妥当かしら」

「2箱か…」

 

 真桜の方をちらりと見ると、二人に同意してコクコクと頷く。…なら上級者様方の意見を参考に、2箱にしますか。

 

 

「すみません」

「は〜い。いくつにする?」

「2箱で…」

「は〜い、2箱ね〜。2つで〜、これくらいね〜」

「はい。……ん?」

 

 …あれ、何か安くないか?

そう疑問に思っていたら、お姉さんが耳打ちしてきた。…が、お姉さん妙に色っぽいからちょっとドキッとしてしまった。

 

「真桜ちゃんに勝った記念に、ね〜」

「…い、いいんですか? タダで貰っちゃったのもあるのに」

「いいのよ〜。真桜ちゃん、すごく嬉しそうだったし〜」

 

 おおう…、オマケまでして貰って申し訳ないです。

 

「はい、購入特典カードで〜す」

「購入特典?」

「そうよ〜。千円以上買ってくれると、オマケの“プロモーションカード”が付いてくるの〜」

「へぇ、お得なんですね。…しかもこれ、片方はアルティメットのカードか」

 

 

(…実は、そうでもなかったりするよネ)

(一々あっちこっちに買いに走らせるとかあったり煩わしいったらなかったわ…。ここは素晴らしいから贔屓させてもらってるけど)

 

 

「ただいま」

「オカエリ〜♪ さァさァ♪お楽しみの開封Timeですヨ〜♪」

「はぁ?帰ってからにしろ」

「いいじゃない。1箱だけよ」

「…彩音さんがそう言うなら」

「悠姫…、ワタシのときのリアクション、最近冷たくないデスカ…?」

 

 そしてお客が少なくなってきたのを見計らい、隅のスペースで1箱限定の開封式をやることになった。勿論私も。開けるのは自分で買ったやつね。真桜に貰ったのは家に戻って丁寧に開封させてもらうとする。で、真桜は既に開封済みの為私の手伝いをするとのこと。一緒に開けるのではなく、カード効果の説明とか。

 

 

◇白鐘 璃恵の場合

 

「〜♪〜♪〜♪〜」

 

 上機嫌でパックを剥いていく璃恵。流石上級者、剥いて見て仕分けるのが早い早い。

 

「〜♪ ………!? フゥオアアァァァッッハアアァァアアッッ!!!」

「っ!?」

 

 突然奇声を発し1枚のカードを天高く掲げて天を仰ぐような大袈裟な感じでガッツポーズした璃恵。奇行は今に始まった話じゃないが、周りの目が痛いから喜ぶ?にしてももう少しいい喜び方ってもんがあるだろ。女であるこどガン無視で奇声を上げるとか無いわ。

 

「《究極巨神アルティメット・トール》キタコレェェッッ!!」

「…Xレアか?」

「今弾の白のアルティメットXレアなのですよ」

「…ふ〜ん」

「イェス!イェス!!」

「ビールを飲んだときのような喜び方しないの五月蝿いわね!」

 

 

◇澪紫 彩音の場合

 

「…ふむ。やっぱり紫は優秀ね。しかも今回は<呪鬼(じゅき)>推し。ふふふっ、捗るわ」

「じゅき…、ですか?」

「バトルスピリッツ最初期からある系統のひとつよ。第7弾以降姿を消していたのだけど…これは素晴らしいわ」

 

 へぇ。彩音さんがこれだけニヤニヤしてるってことは相当なんだろうな。…この《ワンアイドデーモン》なんかはアルティメットのサポートするカードで、こっちの《メズデーモン》ってのは【連鎖】持ってるのか。

 

「それに赤の【連鎖】よ。やっぱり赤と一番相性が良いのは紫…………!?

 …ホアアァア゛アァ゛ア!!?」

「っ!?」

「…ふ……ふふふっ!あっはははーッ!! これで、私も“紫苑の究極使い”にぃ!!」

 

 突然彩音さんのテンションが振り切れた。あんな絶叫、見た目からは絶対聞けないだろうな。

 

「《アルティメット・デスペラード》様…! なんと荘厳なお姿に…!」

 

 何故こうも女性プレイヤーはテンションの落差が激しいのか。

 さて、私はっと…。

 

「…お、《リューマン・フェニック》? 光ってるしカッコイイなこれ」

 

赤 スピリット

《リューマン・フェニック》

コスト3 軽減赤2 <竜人>

<1> Lv1 BP2000

<3> Lv2 BP5000

<6> Lv3 BP6000

シンボル:赤

Lv1・Lv2・Lv3

自分のスピリットが2体以下の間、このスピリットはLv3として扱う。

Lv2・Lv3『このスピリットのアタック時』

自分はデッキから1枚ドローする。

 

「良いのが出たのですよ〜」

「良いの?」

「このレベル3として扱うっていうのは、始めからBP6000のスピリットが居座るから除去されにくいし、ドローも出来て、このコスト帯で《ワン・ケンゴー》に次ぐ便利さなのですよ」

「へぇ…」

「コストも3なので、赤としてじゃなくても他の色が赤をお供にするなら入れるのも一考ですよ」

「なるほど」

 

 となるとデッキの入れ替えするのは決まったな。上手い扱い方は今だ興奮状態の璃恵や彩音さんに聞くより真桜に聞いた方が良いだろう。

 

 

 

「あ、いらっしゃいませ〜」

「お久しぶり、“(すみれ)”さん」

「ええお久しぶり。ご注文の品は取ってあるからね〜」

 

 

 

 最後の1パック……っお!

 

「《リューマン・ブレイド》!」

「わぁ!M(マスター)レアなのですよ!今回の赤の筆頭株なのですよ〜!」

「マジか。…うん、しかもアルティメットがいるとコストが軽くなるのか」

 

 もうコイツは投入決定だろう!強い!カッコイイ!

 

「レベル3BPが10000なのがちょっとネックなのですが、そこはブレイヴと一緒にカバーするのですよ」

 

赤 スピリット

《リューマン・ブレイド》

コスト8 軽減赤4 <竜人・剣使>

<1> Lv1 BP5000

<3> Lv2 BP7000

<5> Lv3 BP10000

シンボル:赤

自分のアルティメットがいる間、手札にあるこのスピリットカードをコスト5にする。

Lv1・Lv2・Lv3『???』

???

Lv3『???』

???

 

 いやぁ良い買い物した。また私のデッキが強化されたなこれは。さらに頂いたプロモーションカードもあるし、少しは勝率も上がるだろう。

 

「……あ」

「ん? どうしました?」

 

 全員開封が終わったので片付けしていたら、彩音さんが携帯を見て声を上げた。

 

「いえ、ちょっとね。……白銀(しろがね)の、ちょっと来なさい」

「ふェ?」

「いいから。あなたと私に依頼よ」

「え〜?」

「いいから。来なさい」

「ほ〜い。あ、悠姫、真桜ちャん。ちョ〜ッと席外すネ〜♪」

 

 そう言って璃恵と彩音さんが席を離れ、真桜のお姉さんに一言二言断ってお店の奥に消えて行った。…聞かれるとちょっとまずいことなんだろう。

 

「真桜ちゃ〜ん、ちょっと手伝って〜」

「は〜い! お姉さん、ボクもちょっとお姉ちゃんを手伝ってくるのですよ」

「あいよ」

 

 次に真桜がお姉さんに呼ばれてレジ裏に引っ込んで行った。残った私は…そうだな、少しデッキを弄るとするか。入れ替え程度だからそんな時間はかからないだろうし、暇つぶしにはなる。

 

「はてさて、何処を入れ替えようかな?」

 

 

「ねぇねぇ、ちょっといいかな?」

 

「……? は、はい?」

 

 

 …突然見知らぬ男性に声を掛けられた。

見た感じ大学生っぽいような見た目だが、わ、私に何か用事だろうか。

 

「あのさ、君が当てたレア類と俺の持ってるやつ、トレードしない?」

「…え?」

「例えばこのリューマン・ブレイドと、俺の《烈の覇王セイリュービ》とかさ。Xレアだよ」

 

 ……何か胡散臭いな。いきなり話し掛けてきたと思ったら交換申し込んでくるなんて。相手にしないようにしよ。

 

「いえ、結構です…」

「あー、なら他にもいっぱいあげるからさ。いいだろう?」

「結構です」

「そこを何とかさぁ」

「結構です」

 

 なかなか引き下がらないな。…どうするか。

 

 

「……お前、初心者だろ?」

「え?」

「お前みたいなやつがそんなの持ってたって宝の持ち腐れだって言ってんだよ」

「なっ…」

「だから寄越せよ。な? 俺が優しく言ってるうちによ」

 

 な、何だよこの人…! いきなり態度変えやがったぞ!? 何か恐いし、周りに聞こえないぐらいの声で言ってるから周囲は気付かないし迫ってくるし、ど、どうする!?

 

 

「そこら辺で止めないか」

 

「…あ?」

 

 

 今度は言い寄ってくる男の背後から声が。だ、誰だ? 璃恵か?彩音さんか?

 

「何だよあんた」

「見えてないとでも思っていたのかな?」

「…俺この子にトレード申し込んでただけなんだけど?」

「その子の表情からしてとてもそうには見えないけど?」

 

 その人は見知らぬ女性だった。一瞬とんでもないイケメンホストの男性かと思ったけど、あれだ。男装の麗人ってのがしっくりくる。黒いスーツに切れ長の目、凜とした声に思わず見取れる。

 

「とにかくその子から離れたまえ。下手して変質者として捕まりたくはないだろう?」

「…ふん」

「よしよし。キミ、大丈夫かい?」

「あ、はい…」

 

 か、格好良い…。出来る大人の女性ってこんな格好良いのか。何か出来るのかは知らないけれど。

 

「あーあーどうしてくれんスかねぇ。折角のトレード潰してくれちゃって」

「君のような人ならネットオークションでいくらでも確保できるだろう。ここまで来てやることじゃない」

「ふん、ならどーしてくれんだよ?あ? 俺がこんなところまで出向いた手間賃ぐらいはあんたがトレードしてくれんのか?」

 

 何か険悪な雰囲気になってきた…。明らかに男の態度が最悪だ。質の悪いやつってのはどの世界にもいるんだな。

 

「ふむ、ではこうしよう。私とバトルしないか?」

「はぁ?」

「君が勝ったら、この私の“デッキ”を差し上げよう。後は自由にしたまえ」

「なっ、えっ!?」

 

 賭け事って…!何か大事(おおごと)になってきたぞ。

 

「へぇ…。俺が負けたら?」

「トレードを諦め、二度と彼女に近付かないこと。そして、二度とこの店に来ないこと。いいね?」

「…まぁいい、乗った」

 

 

 

「あ、あの…」

 

 お互い準備している間小声でイケメン女性に話し掛ける。元はと言えば私が絡まれてしまったが故、こんなことになるなんて申し訳なくてしょうがない。

 

「大丈夫だよ、安心したまえ」

「でも…」

「私は負けるつもりは無いよ」

「いえ、そうじゃなくて…」

「おや、私の勝利を信じてやまないか。そうかそうか。キミみたいな可愛い娘に信じてもらえるなら、私の勝利は更に揺るがないよ」

 

 か、可愛いとか…!そういう問題でもなくてですね…!ああもう!この人マジでどこのホストだよ!

 

「さて、準備はいいかな?」

「ああ」

 

 ああ…、謝る前に準備が完了してしまった。……あの男の人、手札で何かパチパチパチパチやってるけどなんだアレ? 見た目シャッフルしてるように見えるけど…やかましい。

 

「…“シャカパチ”は止めないかい?」

「………」

「…ふむ。仕方ないな」

「先攻はやるよ」

「それはどうも。では———

 ゲートオープン・界放だ」

 

 

<??? 先攻・第一ターン>

 

「先攻かぁ…。まぁ悪くない手札だし、可愛い娘が見てる手前。張り切らせてもらうよ」

「早くしろよ」

「辛抱が無いなぁ君は。仕方ない。

 “蒼穹(そうきゅう)”のターン。スタートステップ」

(リザーブ4)

(手札4→5)

 

 そ、そうきゅう? また二つ名持ちの人だったのか。上級者ってだれもかれも二つ名持ってるんだろうか。

 

「メインステップ。まずバーストをセットしよう」

(手札5→4)

{バースト:セット中}

 

「次にネクサス《忘れられし凱旋門》を配置するよ」

(手札4→3)

(リザーブ4→0)

(トラッシュ0→4)

 

 っ! 青のカードか!

 

「あ、キミは初心者だったっけ。見るかい?」

「あ、どうも…。えっと…」

 

 差し出されたカードを受け取り確認させてもらう。なになに…

 

青 ネクサス

(わす)れられし凱旋門(がいせんもん)

コスト4 軽減青2

<0> Lv1

<1> Lv2

シンボル:青

Lv1・Lv2

相手は、相手のフィールドにあるシンボルと同じ色のマジックカードしか使用できない。

Lv2

相手は、ボイドからライフにコアを置けない。

 

 ……妨害系のネクサスかな?読んだ感じは。レベル2からのボイドからライフにコアを置けないってのは、絶甲氷盾(ぜっこうひょうじゅん)を意識してるのか?

 

「…………」

 

 おっと…、丁寧にイケメン女性にカードをそそくさと返す。それをありがとうと綺麗に一言加えて華麗にカードを配置し直す仕草はイケメンそのもの。なんだぁこのイケメンはぁ!?

 

「ターンエンド」

 

<男 後攻・第二ターン>

「………」

(リザーブ4→5)

(手札4→5)

 

「………」

(リザーブ5→0)

(手札5→2)

(トラッシュ0→5)

[颶風高原1 コア0 レベル1]

[颶風高原2 コア0 レベル1]

{バースト:セット}

 

「………」

「エンドならちゃんと宣言してほしいなぁ」

 

 ……どうやらターンエンドらしい。手をフッと何か投げるような仕草しかしかなったから分からなかった。しかも何かプレイの仕方が雑というかぶっきらぼうというか。何にも言わないから何が何だか余計混乱する。

 

「いいかいキミ。…えぇっと」

「…あ、緋立(ひだち)です」

「うん、ヒダチ君。あれは悪いプレイの仕方だから真似しちゃいけないよ?」

「は、はぁ…」

「…ッチ。どうでもいいだろ早くしろよ」

 

 何かキレられた上に舌打ちされた…。

 

「そう怯えなくていいよヒダチ君。そうそう、あの颶風高原(ぐふうこうげん)の効果はね…」

 

緑 ネクサス

颶風高原(ぐふうこうげん)

コスト3 軽減緑1

<0> Lv1

<4> Lv2

シンボル:緑

Lv1・Lv2『自分のメインステップ』

【暴風】を持つ自分のスピリットが召喚されたとき、その召喚されたスピリットの【暴風】の指定数1につき、ボイドからコア1個を召喚されたスピリットに置く。

Lv2

【暴風】を持つ自分のスピリットが、BPを比べ相手のスピリットだけを破壊したとき、【暴風】で疲労した相手のスピリットすべてを好きな順番でデッキの下に戻す。

 

「…という効果なんだ。緑のキーワード能力指定コアブーストネクサスだね」

「なるほど…」

「で、これで彼が何をしたいのか見抜いた訳だけど…」

 

 見抜いたって…、どんなデッキかもう分かったんだろうか。

 

 

「なぁに、よくある【颶風ガルード】だ。後攻を取る、高原を張る時点で大体分かってたけどさ。とは言え、型は色々あるけどね」

 




さて・・・Aパートでした。
釈明をさせていただきますと、決して颶風ガルードを使う方がこういうのが多いとかそういうのでは決してありません。タチの悪いプレイヤーはどこにでもいるから気をつけようということで、ひとつ・・・(土下座)
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