失踪に定評のある作者のRTAモノなので、失踪の可能性が割とあります。では、宜しくです。
【計測開始】
深い、深い微睡みから目が覚めた。意識がちゃんと醒めない為に今の状況が上手く確認出来ない。
私が完全に覚醒したのは五分も経ってからだ。いい加減この寝起きの悪さも治したいものだがこればっかりは治す事は出来ないし、叶わない。少なくとも今は。
「そっか、また『ここ』からだったっけ」
今いる所が何処なのか分かった。なら、やる事はもう決まっている。
私は突っかかること無く、今いる私の席から立ち上がる。前に立つのでは無く横に立つと次の移動がスムーズになる。細かい事ではあるが、『RTA』等では結構重要な事なのだ。次に真っ直ぐ前に進み教壇の前でサッと曲がり教室を出て右に進む。ここまでを完全に起きてから六秒以内に出来ると、違和感を持たれる事なく、今日の自由に出来る時間が二十秒程増える。違和感を持たれると後々の自由行動フェイズの時に使える時間が場合によっては五分以上減りかねない。そうなった場合は『再走 』も考えないと。
さて、ここは真っ直ぐ階段までダッシュだ。派手に音を立て無いのが前提である。階段に着いたら三段飛ばしで上る。後ろに無視された感を出しているめぐねぇ(霊)がいるのはきっと、いや当然気の所為である。
めぐねえ(´・ω・`)/
階段を上がり終えたら歩きにシフトする。ここは止まらずシフトが理想的だ。こちらにはある部屋がある為、後に必要なアイテムが無いかを外からサッと確認する。
「無いね」
このアイテムは、その部屋にある場合は必ずその窓から見える所にある。前に中にあるんじゃないかと何回かロス覚悟で探したのだが、外から見える所に無かった時にはその部屋に存在しなかった。
これはパターンが決まってる。例外は無く四パターンだ。
・一つ目はこの部屋から見える所にある。
最高タイムがたたき出せる。
・二つ目はくるみちゃんが持っている。
・三つ目はリーさんが持っている。
この二つのパターンだと、そのアイテムを使う事の出来るタイミングが限られてしまい、大幅な記録更新は出来ない。
・四つ目のパターンはそのアイテムが二つ存在するというものだ。
これは二人のうちどちらかが持っている場合にのみ出てくるパターンで、大体三割の確率で発生する。しかし、そのアイテムがあるのは鍵の掛かった戸棚であり、その鍵は地下前のシャッターの下に挟まっている机の下にあり、通常時間にほぼ装備無しであのアイテムを取りに行くのは致死率八十五%を超える高難度のミッションだ。しかも、挑んで成功しても、失敗してギリギリ生還してもロスでしかない為正直やる価値はそこまで無い。
実はロス無しに挑める機会が一度あるのだが、これは後々に説明しよう。多分このクソッタレな現実を遠くから観てる観測者様達に。
さて、部屋の前辺りに着くとそこからはわざと足音を立てる。この事により、部屋の中にいるくるみちゃんに『ん、ゆきが戻って来たか?』と認識させることができ、万が一のロスが起きる可能性を無くせる。
さてと、ドアを開けますか。
「やっほー、くるみちゃん!」
「おう、やっぱゆきか」
ここは痛恨のミスである。万が一の大幅なロス『突然音なく現れてびっくりするくるみちゃん』を防いだのはいいが、代わりに『やっぱ』の言葉が増えてしまった。通常はここは『おう、ゆきか』だけなのだ。
「座っていい?」
「ああ、いいぜ」
「ありがとっ!」
「おう」
ここから腕の見せ所だ。さっきの失敗を取り返す。
「そうだ、今日危なかったんだぁ」
「はあ、どうしたんだ?」
「部活忘れて家に帰るとこだった☆」
「危ねぇな!」
フォロー完了。これで通常のやり取りよりかなり最適化された結果がだせた。パターンは幾つかあけど、今の所はこれが多分一番速いと思います。
「めぐねぇに言われて気付いたよ」
「めぐねぇ様様だな。学園生活部が家帰っちゃしょうがねぇよ」
そう言いながらくるみちゃんは机の上に置かれていたカンパンを咥える。カワイイ。
「あ、カンパンだ!」
「食う?」
「貰う!」
一枚取ってすぐ食べる。食べたら間を空けずに。
「りーさんは?」
「部長は屋上、園芸部の手伝い」
「私達もいこ!」
「いいぜ」
『りーさんは?』が此処での移動フラグになっている。部室(生徒会室)に入ったらこの言葉を如何に違和感及びロス無く早く言えるかが短縮の鍵だ。
後は、屋上に行くまではくるみちゃんのペースに合わせて歩きながら適当に駄弁るだけなので、屋上のドアを開けた所までカット(意識)
さて、開けて一言!
「園芸部の皆さんお世話になってます!」
「(この間は三秒が理想)」
「はい、任せて下さい!」
「うす、お世話になります」
「(此処は一秒程で問題無し)」
ここで空中に手を翳し決めポーズ!
まるで前に人がいてハイタッチしてる様に見えていれば百点満点だ。
「あら?きてたの?」
後ろから声を掛けられる。『あら?』の段階で声を掛けられた方に体を向ける、『きてたの?』で飛び掛る。
ポフッ
タイムは縮れられてもこの差は縮められず。この状況含めてもやはり世の中は理不尽だ。
「りーさんだ!」
「ゆきちゃんいい子にしてた?」
「うん!してたよ!」
ここでくるみちゃんが割ってくる。
「うそつけ、リーさんこいつさー」
「あっ、だめ」
「今日、授業終わって家帰りそうなったって」
「え?そうなの?」
「ご、ごめんなさい」
「めっ!」
謝ったのに指でデコを弾かれる。痛い。
まぁ、こんな中で家に帰ろうとするとか正気の沙汰じゃないからね。いや、『設定』的に正気じゃないから正しいっちゃ正しいんだけども。
「合宿なんだからみんな揃ってないとね」
頷いておく。
「だよねー」
「学園生活部第一条!」
ここからはちょっと楽しくて好きなとこだ。
「第一条っ!学園生活部とは学園での合宿生活によって授業だけでは触れられない学園の様々な部署に親しむと共に自主独立の精神を育み皆の模範となるべし!」
「むっ、速い」
「宜しい。じゃ、園芸部のお手伝い終わらしましょ」
「「はーい」」
ここから畑の作業タイム。りーさんは収穫、くるみちゃんは畑の耕し、私は水やりだ。何度やってもこの作業は楽しい。最近水のやり方によっても植物の育ち方が違うと言う事を理解した。何を重点的に育てるかとか、全部の植物をどれだけ均等に育てられるかとか、色々と楽しい事が多いから屋上は素晴らしいです。日当たりもいいから身体も焼けるね!まぁ、後に学校自体が焼けるんですけどね初見さん。
「お、野球部頑張ってるのぅ。おーい」
「ねぇ、くるみちゃんみて!手振ってくれた!」
グラウンドにいる野球部(亡)に向かって声を掛けます。手を振ってくれてますね。近づいたら死にます。
後ろから音なく近づいてるくるみちゃんには気が付かないフリをします。
「サボってんじゃ、ねぇ!」
少し離れてるとはいえ、本気で突くのは危ないってくるみちゃん。それ『奴ら』なら首落ちてるからね?
「わっ!シャベルは反則!」
「峰打ちじゃ」
峰打ちでも凄い痛いと思うんですがそれは。
「それなら、こうだよっ!」
「うわっ!」
予め持っていた柄杓でバケツから水を汲みくるみちゃん狙ってかける。ここは掛けても掛からなくても過程の変化は無いが、大きく外すと馬鹿にするセリフが増える為顔辺りを狙うのがポイント。
「やったな〜」
くるみちゃんがバケツを手に取る、容赦ない。
「二人共お手伝いはー?」
「あっ!」
リーさんに気を取られくるみちゃんからの攻撃に当たる。これで『水に濡れて着替えに行く序に宿題忘れたから教室に取りに行く』のフラグ確定。後はリーさんに声を掛けると移動する事が出来る。なお、『水に濡れて』があるかどうでタイムに変化が生じる。
「濡れちゃった、りーさん!くるみちゃんが酷い!」
「ちょっ、先やってきたのお前だろ!」
「びしょ濡れね。風邪ひく前に着替えてらっしゃい」
「はーい!」
ドアの前まで走って行き、立ち止まる。(重要)
「ん、どうした?」
「忘れ物?」
「そうじゃなくて、あの、みんな好きだよ!」
そこで振り返り言った。
「へ?」
「何じゃそりゃ?」
「合宿、忘れて帰りそうになったけど別に皆のこと忘れた訳じゃないんだよって」
「ふふ、わかってるわよ」
「そっか、それだけ。じゃ、また!」
言い終わればドアを開け、階段を飛ばし飛ばし降りていく。目的地は着替えでは無く、私の宿題が机の中にある為それを『ついで』に取りに行くから二階の三-Bに向かう。さて、その間にさっきの行為の幾つかについておさらいも含め説明しよう。
まず、急にグラウンドの野球部(亡)に向かって声を掛け、そっから作業をサボった事。これは分岐点で、ここで真面目にサッと作業を終わらすか、くるみちゃんとイチャイチャ水掛っこするかに別れる。前者を選ぶと作業に最後まで参加することになる。こうなると、抜けるのが後者より五分から七分程遅れる。これは初期ステが低い為大きく縮める事が出来ず、これが最適化されたタイムである。その為、水に濡れて着替えに行くのが最適だったりする。タイム詳細は後ほど。
次に、一度ドア前で止まり、わざわざくるみちゃん達に言い訳をした事。この行為はどちらの場合でも必須だったりする。この行動をしなかった場合、くるみちゃんが『やっぱ不安だからゆきについてく』と言った感じにくるみちゃんが着いてきてしまい自由行動フェイズが無くなるのだ。まぁ、ここが無くなっても他で出来るから問題無いっちゃ無いのだけど、これが無くなると実は『乱数』に対して影響がでたりする。教室では実はあるアイテムが九割の確率で取れる。しかし、『一日目』の自由行動フェイズを逃すと何故かそのアイテムが何処にも無くなってしまうのだ。このアイテムが有るのと無いのとでは、かなり効率が変わり、『再走』も面倒になる。同系統のアイテムは後に『購買』『ショッピングモール』でも手に入るが、『ショッピングモール』に行く前にしかそれを確実に活かせるチャンスが来ないっというのと、『購買』はまずそのアイテムが無いと行くのが難しい。
「とうちゃーく!」
話してるうちに教室に着いた。現在の時刻は五時四十六分。たくさんある様に思えて、実は思ったより無い自由行動フェイズの最初が今から始まる。
まずは、最も発見率が高いある不良生徒の机の中と鞄から見ていく。ここで見当たらない場合は、今までの統計から確率高い順に場所を探していく。最初の箇所は見当たらなかった。
この時間だけど当然制限がある。制限時間は六時、その時刻になるとくるみちゃんが迎えに来るのだ。恐ろしい事に毎度六時ピッタシに来る。現在の時刻は五時五十分だ。五十八分頃にはクラスメイト(妄)と話している風をださなきゃならない為、あと八分で探し終えねばならない。まぁ、最悪明日探しても良いのだけど。
「おーい。ゆきー、迎えに来たぞー」
「あ、くるみちゃん!」
「たく、濡れてるんだから早く着替えないと風邪ひいて寝込むぞ?」
「はう、それはやばい、やばい。んじゃ私もう行くね!ばいばい!」
そう言い、くるみちゃんと共に朽ち果てた教室を後にする。結果的にはアイテムは見つからなかった。まぁ、場所の目処は付けられたから問題無し。
後は更衣室で着替えて、りーさんと生徒会室で合流して、その日をあった事(七割妄想)を二人に話したりしながら、夕食を食べたりとかでその日を終えます。
では、最後に
絵日記を書いて寝ます。(意味はありません)
おやすみなさい
『丈槍由紀』
ゆきちゃん。本作走者。私立巡々丘学院高等学校の三年。マジか。学園生活部に所属。幻覚?現実しか見えねぇ。学園生活部である意味一番重要な役割を持つ娘。残念その役割は外せません。
『恵飛須沢胡桃』
くるみちゃん。六文字の多分本作最高漢字数の名前を持つ娘。私立巡々丘学院高等学校の三年。学園生活部に所属。副部長。役割は戦闘員が主、物資収集も基本は彼女が行う。恋愛ものならメインに立てたいキャラ。可愛い。由紀がいないと、、、、、。
『若狭悠里』
リーさん。胸が大きいお姉さん。私立巡々丘学院高等学校の三年。学園生活部に所属。部長。役割は部活動(生活)の維持、家事、屋上菜園の管理、部員のサポート、等多岐に渡る。彼女がいないと料理、洗濯関連はやばかった。由紀がいないorマトモだと、、、、、。
『佐倉慈』(霊)
めぐねえ。私立巡々丘学院高等学校国語教諭。学園生活部顧問。役割はりーさんと一緒、しかし分担できていたうえに部員全体の管理もしていた為に、居なくなった影響はかなり大きい。一周目をクリア難易度hard、それ以降のRTA難度がlunatic(由紀目線)になったのは彼女の所為だったりする。現エリアラスボス枠。
随所タイム 一日目 自由行動時間
一周目 五分(自覚なし)
前回 十一分二十秒(大体)
今回 十三分四十秒(教室到着時五時四十六分二十秒)
二分二十秒更新!
更新箇所、誤字脱字等の連絡がありましたら。どうぞ宜しくお願いします。
本編としての再走はありません。
失踪はありえます。
では、次回(あれば)宜しくです。