キサラギカンナは■■■■である   作:佐藤ネジ

1 / 3
はじめての投稿です、よろしくお願いします


終わる世界と始まる物語

2018年、戦争は終わった、第三次世界大戦と呼ばれるであろうそれは、世界を、全てを、終わらせた。

 

はじまりはどこだったのか、今思うととても些細なことだった気がする、いや、戦争なんてそんなものか、きっかけが何であれ、始まってしまえば、人々の憎悪は膨れ上がり、憎しみが人を殺し、また憎しみが生まれる、その繰り返し。

 

戦場は拡大し、大量の新兵器が毎日投下された、もはや誰も止めるものはおらず、世界中が戦場になった、恐ろしいほどまでに殺しの進化は極限にまで進み続けた。

 

誰かが言っていた《第三次世界大戦がどのように行われるかはわからない。だが、第四次世界大戦が起こるとすれば、その時に人類が用いる武器は石とこん棒だろう》と。

実際にはそんなことはなく、第四次世界大戦など起こるはずもなかった、なぜなら。

 

人類はもう滅びの道しか進めないのだから…

 

「はあ…はあ…っ」

 

たいして歩いてもいないのに息が苦しい…。

もうすでに肺呼吸など必要のないこの体が息苦しさを感じる異常事態が、今では普通になっていた。

 

つい数年前までいた普通の人類はほとんど死んだ、今生きているのはなんらかの技術で簡単には死なない、死ねなくなった生き物と呼べるのかすらわからないヒト達である。

 

もうすでに彼らですらこの地球上で生き残れる地域はごくわずかであった、空気中には戦争で使われた化学兵器が幾重にも化学反応を起こし、全ての有機物はおろか無機物すら溶かし侵食している。

 

ワタシもこの全ての瓦礫が溶け合い混ざり合った地獄のような場所に数時間もいればたちまち活動は停止し、周りと同じく瓦礫と混ざり合い溶け落ちていくのだろう。

 

「はあ……ふう………ついた」

 

ワタシは比較的侵食が少ない建物の前に立った、ドアの横についているスイッチを押すといやな悲鳴を軋ませながらもドアは開いた、このドアももういつ使い物にならなくなってもおかしくないな、などと思いつつ建物の中に入り、階段を使い下へ降りて行く。

 

「…これで…ここも最後か…」

 

ワタシはこの建物の中で行われている計画で期待の星となっている、もはや残った者たちの最後の希望といっても過言ではないらしい、そのためワタシの《ジャンプ》は最後に回されていた。

 

できるだけワタシの成功率を上げるため150人ほどがわたしより先に《ジャンプ》を行なった。

 

この計画が始動したのは戦後すぐだった、いや、もうすでにこの世界で生き残ろる方法はないと見切りをつけていた者たちによって終戦前から考えられていたことではあったのだろう。

 

計画は最優先で行われて残ったヒト達で有能はものは全てこの計画に参加した、そのおかげで人類の滅亡よりも早くワタシの番がこれたのだろう。

 

「あ、来たわね」

 

階段を降りきり部屋に入ると、数人のヒトその中にいつのも彼女がいた、ヨレヨレの白衣にはたくさんの茶色いシミがある、それが血のシミだということをわたしは知ってる。

 

「どうですか?状況は」

 

とわたしが尋ねると彼女は

 

「彼が終われば次はあなたよ」

 

と部屋の奥をしゃくった、奥には台座と、それを囲むようにご大層にデカくメカメカしい機械が置いてある、その中心には屈強な面構えの成人男性、隣の白衣の男から最後のレクチャーを受けているようだ。

 

「あなたはもう準備はできてるの?」

「大丈夫、済ますことは全て済まして来ました」

 

そのために地獄(そと)に出ていたのだ、もうあとは、飛ぶだけだ。

 

「…そう、じゃあっちで最終検査、受けて来て、あと一応体洗っときなさい、外に居たんだし」

 

ま、あなたのその体ならそんな心配いらないでしょうけど、と付け加えると彼女は奥の台座の方へと向かっていったので、わたしも最終検査へと向かった、

 

「どうだった?外は?」

「…変わらないですね」

「…そうか……浄化部隊の痕跡は?」

「ありませんでした、おそらくもう…」

「外はもうどうしようもない、か……」

 

そんなやりとりをワタシの体を検査している男としていると突然

 

ドォォォォォォォォォォォン!!!!

 

というと音と、何かが潰れるような

 

グチャっ!

 

という、とても聞き慣れた、しかしとても嫌な音がした。

 

「また失敗か…」

 

目の前の男は落胆したようにそういった、ワタシが音のした方を見ると、台座を中心に、ヒトの残骸が撒き散らされていた、誰の残骸なのかは言わずもがな、台座の近くでコントロールパネルを操作していた彼女の白衣には新しい血のシミができていた。

 

「「「………」」」

 

誰も何も言わず、機械的にヒトだったものを掃除してゆく、この部屋ではこれが当たり前だった、初めの頃はとても怯えていたワタシの目の前の男ももう今では《ジャンプ》が失敗した落胆の表情しか見せなくなった。

 

「キミが最後だ…よろしく頼んだよ…」

 

彼はそういうと、検査モニターの電源を切った、やはり問題はなかったようで、ワタシはシャワールームに向かった。

 

ーーーーーー

 

「いい?あなたに付属できる装備、機能は全て取り付けてあります、向こうではもちろん支援物資などはありません、あなたが使えるこの時代の技術(オーバーテクノロジー)は現時点でのあなたの装備だけです」

「了解」

「向こうの時代の歴史は?」

「全て(データ)の中に」

「よろしい、本作戦の最終目標は“第三次世界大戦”の回避、そのためにあらゆる手段を尽くしなさい、これにはこの世界の存亡がかかっています、失敗は許されません」

「了解」

「……あなたが最後の希望よ、よろしくね…」

「…了解」

 

それだけ言うと、彼女は背を向け台座から降りる、ワタシは一度深呼吸をした、肺呼吸は必要ないが、呼吸の動作をしなければ向こうの人間に怪しまれる、久しぶりに呼吸を無意識に行うと言う動作をするときには苦戦したが、今では自然にできるようになった。

 

「では…………作戦開始!」

 

コントロールパネルの前に立った彼女がそう言うと、わたしの周りにあった機械が低い重低音で唸りを上げた、それに伴い、ワタシの周りの空間が歪み始める。

 

「動作安定!照射出力50%…60%……70%………80%ーーー」

 

だんだんと歪みがひどくなる、ワタシの意識が現実感をなくしていく、さっきミンチになったあの屈強な男の顔と、その後の残骸がチラッと意識を掠めたが、その後すぐに、ワタシの意識は歪みの中に溶けていったーーーー




《ジャンプ》した女の子
本作の主人公、無口、まだ謎が多い

白衣の女の人
多分いい人、戦争のせいで感性がイかれてるけど、まあいい人、今後出るのか不明

《ジャンプ》に失敗した男
かわいそう

まったくゆゆゆ要素がない一話、大丈夫かな…
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。