約七年ぶりの投稿になります。
色々と諸事情によって七年も放置していました。
これおからは少しづつ不定期ですがと横行していきます。
Ferr Side
アーシアの処遇について話し終わったオカルト研究部を待っていたのは大公からの「はぐれ悪魔討伐依頼」であった。
大公からの命を受けたリアス達は「はぐれ悪魔バイザー」が潜伏している廃工場へと出向いたのだった。
因みにテッカもこの討伐依頼に同行している。
「……ねぇテッカ。何で貴方も来たの? この件は私達に任されているはずよ」
「あー、念のためだ。はぐれが悪霊になったら対処できるのはイッセーだけじゃ無理だからな」
「はぐれ悪魔が悪霊になることってあるのかい?」
「希だけど、この霊燐の量じゃ確実になるかもしれないなぁ」
イッセーの言葉にリアス達が周りを見るとモヤのようなものが多く漂っていた。
「確かに漂っているわね……」
「……生臭いです……」
「ほい、小猫ちゃん。匂い防止のマスク」
「ありがとうございます」
霊燐の匂いを嗅いだ所為か、小猫は鼻を押さえていたが、テッカが持参したマスクを子猫に渡す。
「小猫、もう少し我慢して。じゃあイッセー、これを機に悪魔としての戦い方を学びなさい。勿論、魔法律家としての戦い方をしないでよ」
「え、使っちゃダメなんすか?」
「いや、使っちゃダメだろ? お前只でさえ悪魔としての戦闘能力はゴミ以下なんだし」
「ホントにゴミ以下って言わないでくださいよ!? これでも木場とかに訓練とか頼んでんすから」
「ホントか? 木場」
「うん、兵藤君に頼まれたんだ。土下座までして頼まれたから断るに断れなくって」
木場の言葉に鉄火は感心する。イッセーのような性欲の高い馬鹿は木場のようなイケメンを敵視している事があるからである。
「へぇ~、熱心だな。じゃあ、悪魔の駒の特性も分かるか?」
「はい。えっと、木場の『騎士』の特性はスピードで子猫ちゃんの『戦車』は馬鹿げた攻撃力と屈強な防御力、『僧侶』は魔力に特化していて、『女王』は『騎士』『戦車』『僧侶』『兵士』の全ての力を兼ね備えた駒…ですよね?」
「正解と言いたいけど、一つ忘れてるわよ。イッセー、貴方の駒である『兵士』の特性は?」
「えっと、『兵士』は……」
「勉強会は終了だ。ほ~ら、お出でなさった……」
鉄火の言葉に身構えるリアス達。その時、廃工場の奥から何かが現れた。
「不味そうな匂いがするぞ? でも美味そうな匂いもするぞ? 甘いのかな? 苦いのかな?」
そう言って現れたのは、上半身が女性で下半身が獣のような姿をした怪物。この怪物こそが討伐対象である「はぐれ悪魔バイザー」である。
「はぐれ悪魔バイザー。あなたを消滅しにきたわ」
臆することなく凛と言い放つリアス。しかし、その言葉をバイザーは嘲笑った。
「お前達が? 私を? 愚かな悪魔達だ。その紅の髪のように、お前の身を鮮血で染め上げてやるわぁぁぁぁ!」
バイザーが吠え、リアス達に向かってきた。
「雑魚ほど洒落た台詞を吐くものね。祐斗!」
バッ!
近くにいた木場がリアスの命を受けて飛び出す。
一誠は目で追ったが、木場の動きが徐々に速さを増していき、ついには目で追えなくなっていた。
「最初は騎士の木場なんですね?」
「そうよ。でも、祐斗の武器はスピードだけじゃないのよ。祐斗の最大の武器は剣よ」
リアスの言葉通り木場の手には西洋剣が握られており、鞘から抜くと抜き身の剣が露わなる。
スッ!
再びその場から消えた木場。次の瞬間、バイザーの両腕が斬られ、悲鳴が木霊する。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁああああああっ!」
あまりの痛みに悶え苦しむバイザー。斬られた両腕からは血が噴き出す。
「これが祐斗の力よ。『騎士』の特性と達人級の剣さばきの二つが合わさることで、あの子は最速のナイトになるのよ」
「確かに速いが、アイツはまだまだのびるな……」
「へ~、そうなん……って、小猫ちゃんが!?」
感心しているイッセーを余所にバイザーは次の標的を小猫に移し、前足で踏みつぶそうとしていた。
「死ねぇぇぇえええ! 小娘ぇぇぇぇ!!」
バイザーは前足で小猫を踏みつぶした……かに思えた。
「無駄よ。小猫は私の自慢の『戦車』よ? あなたの踏みつけで小猫は潰せないわ」
『戦車』の特性は馬鹿げた怪力と屈強な防御力。バイザーの前足を徐々にあげていく子猫。
「さすが小猫ちゃん。戦車だけのことはある……。怒らせないようにしよ……」
「そういえば、森沢さん。小猫ちゃんにお姫様抱っこされたって言ってたなぁ」
二人の決意を余所にバイザーの前足を持ちあげてどかす小猫。
「……ふっ飛べ」
小猫は空高くジャンプし、バイザーのどてっ腹に拳を鋭く打ち込むと、バイザーは後方へ大きく吹っ飛んでいった。
「……怪力って、レベルじゃねぇぞ。あれ……」
「小猫ちゃんもそうだけど、それに惚れる森沢さんも凄いな……」
二人の呟きを余所にリアスの『女王』姫島朱乃が前に出る。
「では、最後は私ですわね」
「ええ、任せたわよ。朱乃」
朱乃は笑いながら子猫の一撃で倒れ込んだバイザーのもとへ歩み出す。
「えっと、朱乃さんは『女王』で部長の次に強いんですよね?」
「そうよ。『兵士』『騎士』『僧侶』『戦車』、全ての力を兼ね備えた無敵の副部長なのよ」
リアスが説明している中、雷がバイザー目掛けて落ちていった。
「グギャギャギャッッ!!」
「あらあら。まだまだ元気そうね? まだまだいけそうね?」
そう言うと朱乃はバイザーに向けて雷を落とした。しかも、一発二発だけでなく何発も落としている。
「お、おいおい……。やりすぎなんじゃねぇか?」
「あ、あのー、部長? もしかして朱乃さんって……」
「ええ、イッセーの想像通りよ。朱乃は敵に対してのみ究極のSになるのよ」
「究極のSって……、ありゃぁ、サディスティック星人みてぇじゃねぇか!?」
「うわぁ、朱乃さん。俺、怖いっス」
「大丈夫よ。朱乃は身内には優しいんだから。今度甘えてお上げなさい。やさしく抱きしめてくれるわよ?」
リアスの言葉に鉄火は「ちと無理……」と呟き、イッセーは「甘える自信ねぇ……」と呟くのだった。
その間、朱乃の攻撃は数分間にも及び、バイザーの身体は某狩猟ゲームよろしく「こんがり上手に焼けましたー!」状態になっていた。
ただいま、朱乃さんの攻撃中。しばらくお待ち下さい。
朱乃が一息つく頃、リアスがそれの確認し頷き、完全に戦意を失ったバイザーのもとに、リアスが近づいた。
「最後に何か言い残すことは無いかしら?」
リアスの言葉に問いかけるが、肝心のバイザーはというと、
「……………………」
無言のままであった。
「……言い残す力も残ってないのね。いいわ、安らかに眠りなさい」
そう言い、リアスの手には魔力が集まり放出しようとしていた……その時だった。
「グ……グギャァァァァァァァァ!!!!」
バイザーは奇声を上げ、木場に斬られたはずのバイザーの腕から白い触手のようなものが生え、リアスに襲いかかろうとしていた。
(しまっ!?)
突然の攻撃に驚いたリアスは完全に避けるタイミングを失ったが、リアス達には心強い“眷属”と“幼馴染み”がいる。
「一誠!!」
「了解! 『霊化防壁の術』!!」
鉄火の一声でイッセーは悪霊の攻撃を防ぐ『霊化防壁の術』でリアスを護ったのである。
「あ、ありがとうイッセー」
「いえいえ。主である部長を護るのは当然じゃないですか」
「やっぱり来て正解だったな。次来るぞ」
鉄火の言葉に全員が構えるが、悪霊化したバイザーは一向に向かってこず、うずくまって唸りだす。
「ううぅぅぅぅ……」
様子がおかしいバイザーに対してリアス達は勿論、鉄火とイッセーもバイザーの次の行動に警戒するが、バイザーの身体が変化し始めた。腕から生えた触手からは歪な口が現れ、身体中から無数の口が浮かび上がってきた。
「喰…わ…せろ……喰わ…せ…ろ……」
譫言のように呟き続けるバイザー。その姿は最早人を喰らう悪霊と化し、その証拠にバイザーの眼は悪魔だった頃の眼ではなく、完全に悪霊に堕ちた眼の色だった。
「完全に悪霊化したな。お前等も見とけ、これが悪霊化した悪魔のなれの果てだ」
鉄火の言葉がリアス達の胸に刺さる。もし、はぐれにでもなったら、自分達もこのようになるのだと戦慄した。
「それじゃあ、お見せしますか。俺の魔法律を」
そう言い鉄火は、魔法律書を取り出した。その時バイザーも本能なのかは定かではないが、鉄火の行動に危険を感じたのか、攻撃をしようとするが、それを許さない人物がいた。
「ワリィが薪菱執行人の邪魔はさせねぇよ! 第二級書記官・兵藤一誠の名において『魔縛りの術』を施行する!」
イッセーの放った『魔縛りの術』を施した札がバイザー目掛けて張り付き、バイザーの動きを封じ込める。
「よくやったイッセー。ここからは俺の仕事だ。魔法律第946条『大量食人』及び『無断変形』の罪により『
魔法律の刑罰が決まると、辺りが静まりかえり、何処からか鈴の音が聞こえてくる。
――オオオォォォ……
――食事ニアリツケルゾォォォ……
――急ゲ急ゲ、早クシナイトナクナルゾ……
何処からともなくくぐもった声が聞こえると、地面から痩せこけた小人の大軍が現れ、そのままバイザーへと噛み付いていく。
「グ?! グァッ!?」
バイザーが必死に取り払おうとするが、小人の数が多い為、別の小人に噛み付かれる。
「無駄だ。魔法律で召喚された餓鬼共は自身の食欲を満たすまでお前を喰らい尽くす」
鉄火の言葉通り、餓鬼とは六道の一つ『餓鬼道』に住まう鬼である。餓鬼は特定の物しか口に出来ず、常に飢えに苦しんでいるが、鉄火の唱えた魔法律『餓鬼道晩餐会』で召喚された餓鬼達は制約から解放され、悪霊を貪り喰らい尽くすまで止まらない。
「グギャアアァァァァ!!! た、助け……」
痛みによって意識が覚醒したバイザーは助けを求めるが、
「お前はそうやって助けを求めた人間を一人残らず喰らってきたんだ。だから俺はお前を助けない。精々、喰われる痛みを味わって地獄に堕ちろ」
鉄火の非情の一言によって斬り捨てられた。
「罪には罰だ。俺はお前達のような身勝手な悪霊共を決して赦しはしない」
それは、バイザーに向けてなのか、または全ての悪霊に対して言っているのかは分からないが、バイザーがこれで終わりなのは間違いないのだろう。
その証拠に、巨体であったバイザーの身体は徐々に小さくなっていき、最後には綺麗さっぱりと無くなり、餓鬼達も自分の住む世界へと帰っていった。
人間を喰らい続けたはぐれ悪魔バイサー。その最後は因果応報とも呼べる最後であった。
「よーし、執行完了。これで終わりだろ?」
「ええ、これではぐれ悪魔バイザーの討伐は終了よ。みんなご苦労様」
リアスの言葉にオカルト部の面々は少々リラックスしていった。
「それにしても鉄火さんの魔法律は凄いですわね」
朱乃は鉄火の魔法律を賞賛し、
「ちょっと不気味に感じました。ついでに食欲も失せました」
鉄火の魔法律にむくれる小猫、
「それにはぐれ悪魔のなれの果てがどんな物か分かったし、良い勉強になったよ」
木場ははぐれの末路について学べたと言う。一方で肝心の主人公(一応)であるイッセーはと言うと、
「ウェェェ……」
何故か
最後はかなり締まりがないが、はぐれ悪魔討伐は幕を下ろした。
おまけ アーシアと地獄の使い魔
「ハァ~、イッセーさん達は無事なのでしょうか?」
私、アーシア・アルジェントは悪魔でもあり魔法律家でもあるイッセーさんとその上司のテッカさんに匿われています。その理由は私の神器が悪用されるかも知れないという事です。
もちろん、その事でも嬉しかったのですが、もっと嬉しかったのが、イッセーさん達とお友達になれたことです。幼少の頃から一人でしたのでとても嬉しかったです。
たとえ、イッセーさんやテッカさんが悪魔であっても……
注)本作の主人公テッカは悪魔ではありません。
……アレ? 何か聞こえましたが、気のせいでしょうか? それはともかく、
「皆さんは大丈夫なのでしょうか?」
『ダイジョーブ、ダイジョーブ。みんな無事に帰ってくるわよ』
「そうなんですか?」
『心配性ねぇ? テッカがいるから心配ないよ』
「そうですか。それは安心……」
……アレ? 私、誰とおしゃべりしてるんでしょうか?
『アハハハッ、ゴメンゴメン。姿見せるの忘れてた』
そう言って声の主は私の前に現れました。その姿は、
「妖精さん……ですか?」
『んー、妖精とはちょっと違うかな。私はククリ。魔法律家執行人薪菱鉄火と契約している使い魔よ。よろしくねアーシア』
「あ、は、初めましてククリさん」
『アハハハッ、さん付けなんてしなくていいよ普通にククリって呼んでよ』
「えっと、じゃあ、ククリ……ちゃんでいいですか?」
『フフフ、さん付けじゃなくてちゃん付けか。いいよ、それで』
なんか可愛い妖精さんですね。それでククリちゃん、どうしてここに来たんですか?
『んー、何て言うか、アーシアが寂しがってるの見てたら話し相手になってあげようって』
「あ、ありがとうございます。いっぱいお話ししましょうククリちゃん」
その後、イッセーさん達が帰ってくるまで、ククリちゃんといっぱいお話ししちゃいました。ありがとう、ククリちゃん
今作に出てきました『餓鬼道晩餐会』のアイディアはおはぎ屋さんからいただきました。
そしておはぎ屋さん七年も放置してしまい申し訳ございませんでした。