ガンガンオルシャルしていきたいので初投稿です。だがしかし──他のカップリングと青春も忘れずにね
彼等は学生だ。学生には学生の過ごし方がある
ラブコメダインスレイヴ隊──放て!!
「さぁて、いただきますするかぁ!」
「「「「「「「いただきます!」」」」」」」
俺達鉄華団、そんで隣のクラスのリンも連れて、親睦を深めるって名目で屋上で弁当を広げて顔を合わせてかっ食らうことにした。大勢で食った方が旨いし、会話も弾むってんで良いことづくめだからな。やらない手はねぇ。座り方は、シノにイチカ、向かいにリン。セシリアとミカ。んで・・・
「い、いいのかな。僕が本当に、同席しても・・・」
転入してきたばかりのシャルルが、俺の傍にちょこんと座ってやがる。なんだよ奥ゆかしいじゃねぇか。ガンガン行っていいんだぜ?ま、そういう繊細な男ってのは中々珍しいからよ。無理に俺らのスタンスを押し付けるのも良かねぇな。俺ら鉄華団は一枚岩を目指してるんであって、体育会系や上下社会を作りたい訳じゃねぇ。対等に、仲間として。きっちりと過ごしていきてぇだけなんだからよ
「いいか、シャルル。この学園に来て、俺らと同じクラスになった以上は・・・お前は同じ鉄華団。家族みてぇなもんなんだ。だから、離れちゃいけねぇんだ」
「でも、ほら・・・団員として考えると、僕、初日から迷惑かけてばっかりだし・・・見棄てられちゃってもおかしくないかなって・・・」
あぁ?ったく、繊細なヤツだなシャルルはよ。んなもん気にする必要なんざねぇ。生きて一緒に暮らすってんなら、迷惑掛け合うのは当たり前だろうが。言ってやるか。団長としてメンタルケアは大事だからな
「バーカ。見捨てるとか見捨てないとかじゃねぇよ。一度仲間になったんなら、仲間にするって決めたんなら絶対に筋は通す。お前の不安もなんもかんも、俺らが一緒に背負ってやる。だから遠慮すんな。男が無理すんのは当たり前だ」
・・・それに、気持ちが分かるのかもしれねぇな。シャルルは転入生、慣れ親んだ場所から無理矢理引っ張り出されて、誰も知り合いのいない世界に放り込まれて。一人で戦っていかなきゃなんねぇ筈だったんだ。そいつぁ、此処じゃねぇ世界からやってきた俺やミカと、似たようなもんだ。違うのは──シャルルにはミカがいねぇ。支えてくれるような相棒なんて贅沢なもんは、持ち合わせちゃいねぇんだ。ISはあるんだろうが、そいつはケツを叩いたり、辛いときに踏ん張ったりはしてくれねぇ
だから・・・こいつぁ俺自身のお節介なんだろうさ。お前は一人じゃねぇ。鉄華団なら、俺は絶対に見捨てねぇ。連れてってやりてぇ。一生の想い出になるような学園生活を、味わわせてやりてぇんだ
何処だろうと、俺は俺だ。団員の笑顔を護るのは、俺の仕事なんだからよ。ってな訳で──シャルルの笑った顔が見たいってのはそういう訳で、ホモな訳じゃねぇんだからな!
「・・・ありがとう・・・こんなに気を遣ってもらえて、本当に嬉しいよ。オルガって、本当に優しいね・・・」
「お・・・おぉ・・・」
・・・ったく、そんな可愛く笑うなっての。ホモだとマジで勘違いされるだろうが。俺は、団長として、やるべき事を・・・
「なーに照れてんのよ。男の顔見てニヤニヤして、気持ち悪いわね」
「お、俺は別に・・・」
ニヤニヤなんかしてねぇよ!これは、あれだ。表情筋のトレーニングだ、表情筋のトレーニング!
「ふふっ・・・」
「なーににやついてやがんだミカ」
「ううん、別に」
ミカのヤツまでおかしくなりやがった・・・引き続き茶化しやがるリンに、俺は上手く言い返せないもどかしさにまごつく中、リンのヤツの弁当が開かれ、そん中には・・・
「おおっ・・・!酢豚だ!」
「いいんじゃねぇの?」
みっちりと酢豚が詰められてやがった。きっちりと作られ、美味そうに光ってやがるそいつぁ、傍目からしても美味そうだ。こりゃあいい、食欲が湧くってもんだぜ
「そ。今朝作ったのよ。食べたいって言ってたでしょ?イチカ」
「む・・・」
そのリンの攻勢に片眉を上げるシノ。ライバルが強く出たぜ。胃袋を抑えた方が勝つって言うし、まごまごしてたらイチカが取られちまうぞ?
「いいだろう、ならイチカが食べる前に私が毒味してやろう」
「なんであんたに食べさせなきゃなんないのよ。というか毒味ってなによ毒味って!!」
「酢豚しか弁当に詰めてこない輩の舌など信用できるか!」
言い争いになる幼馴染み二人。そいつを見て、イチカはキッパリと言い切る
「団欒の場で喧嘩はするな。そう言うのは空気が悪くなるし、メシも不味くなる。筋が通らない真似は嫌いだって、俺達はいつも言ってるだろ」
「イチカ・・・」
「だって・・・」
「一緒に食おう。そうすれば解決だ。喧嘩をするくらいなら、俺が一人で全部食べるぞ」
ナイスな選択じゃねぇかイチカ!そいつなら、面倒な喧嘩も無しで一緒に飯が食えるってもんだ!
「わ、解った。・・・命拾いしたな」
「こっちの台詞だから!」
何だかんだで、イチカがオカズを交換したり、酢豚を口にして無邪気にはしゃぎながら感想を言ってるのを見て、二人も落ち着いたみてぇだ。へへっ、たく。日に日に立派になりやがって・・・
「こほん、三日月さん。いつも頑張っている三日月さんの為に、こう言うものを用意してみましたの!」
そういってセシリアはミカに、バスケットを見せパカッと蓋を開ける。其処には・・・大量の・・・
「・・・サンドイッチ?」
三日月にそう告げられたセシリアは顔を輝かせ、自慢げに胸を張る。・・・なんか生のニンジンとか挟まってねぇか?ミニトマトとか切れてねぇぞ・・・?大丈夫なのかよソレ・・・
「イギリスにも、美味しいものがあると納得していただけませんとね?私から頑張っていらっしゃる三日月さんへの、細やかな気持ちですわ!」
「・・・美味そう」
良かったな、ミカ。きっちりしっかりファンが出来てるじゃねぇか。・・・こう言うの、名瀬の兄貴は何て言ってたか・・・現地妻、だったか?やったなミカ。アトラのヤツも喜ぶんじゃねぇのかぁ?赤ちゃん作ろうなんていうかもな?
「ありがとう、セシリア。いただきます」
「はいっ!三日月さん、どうぞ召し上がりくださいませ!」
三日月は一つ受け取り、黙々と口に運んでいく。その顔に、あんまり変化は見られねぇな。ただ無言で黙々と、口にサンドイッチを放り込んでいく。・・・なんだよ、何か言えよミカ。旨いか不味いか、どうなんだよ・・・?
「旨いかぁ?それ」
「・・・・・・・・・」
ミカのヤツが無言でサンドイッチを渡してくる。おぉ、なんかわりぃな。催促するつもりは無かったんだがよ。どれ、幸せ料理のおこぼれに──
「──ヴっ!!!」
口にした瞬間、俺の内臓やら、色々臓器器官とかがブッ飛んでぶっ壊れて、口ん中にダインスレイヴをブチ込まれたような衝撃が広がり、ケツまで貫通したような悪寒が駆け巡る。目眩や動悸が酷くなり、血へどと一緒にサンドイッチをぶちまけ、そして──
「・・・食べ物は命を頂くってことだからよ・・・粗末にすんじゃねぇぞ・・・」
俺は屋上の中心で・・・団長命令を発信してワンオフアビリティの厄介になっちまった・・・イギリスはこれだからメシマズ大国だなんて言われんだよ・・・
「・・・これ、味見した?」
「へっ?い、いえ。真っ先に食べていただきたくて・・・」
「ありがとう。気持ちは嬉しいしありがたいけど・・・不味いよ、これ」
「えぇっ!?そ、そんな!?」
バッサリと切り捨てるミカに、衝撃を受けるセシリア。・・・味見をしてもねぇもんを他人に食わせるんじゃねぇぞ・・・テロみてーなもんじゃねぇか・・・
「気持ちだけでご飯は美味しくならない。基本を抑えて、味見をして、美味しいと自分で納得してからだれかに渡さないと、喧嘩になる」
「は・・・、はい・・・その通り、ですわ・・・」
「・・・次は頑張って。俺、必ず食べるから」
「!三日月さん・・・!!」
「次不味かったら許さない」
「ひぃっ!?は、はい!味見、基本!さしすせそ!完璧にマスターしてみせますわ!!」
割りと真面目に不味かったみてぇだな・・・黙々と食ってる手が震えてやがるぞミカ・・・だが、差し出されたもんは全部食う。お前は間違いなく、男だぜ、ミカ・・・!
「オルガ!オルガ!大丈夫!?しっかり、しっかりしてよ!」
ん?何を焦ってやがんだ、シャルル。俺なら問題ねぇよ。一回死んだだけじゃねぇか。そんなに切羽詰まった声出さなくてもよ・・・
「良かった・・・死んで大丈夫とか、言わないでよ。・・・心配になるじゃないか・・・」
・・・・・・
「もっと自分を大切にして?僕、もっともっとオルガに頼りたいんだ。死んだりして、何かの間違いでいなくなったりしないでね?約束だよ・・・?」
・・・へへっ。心配される日が来るとはよ。だが、そいつはいらねぇ心配ってもんだぜ?
「・・・何て声、出してやがる。シャルル。俺は鉄華団団長、オルガ・イツカだぞ?俺が俺である限り・・・」
一度決めた事は曲げねぇし、裏切らねぇし、仲間は売らねぇ。マクギリスの野郎の時にやらかした我が身可愛さの馬鹿げた事は、もうしねぇと決めてんだ
「お前の笑顔は裏切らねぇよ。心配すんな。どっしり構えとけ。お前の団長を、信じやがれ!」
「──うん!オルガ!ほら、止血しなきゃ。服にもかかって、ほら・・・」
へへっ、どうやら緊張はすっかり解れたみてぇだな。何よりだぜ。身体を張った甲斐があったってもんだ!
「イチカ、こちらのお握りもうまいぞ!」
「イチカ!酢豚が一番よね!」
「酢豚お握りでどうだ!」
「・・・・・・・・・・・・」
「み、三日月さん・・・お顔が、真っ青ですわ・・・む、無理をなさらずに・・・」
「作ってくれたものを、残したくない」
「はい、これでよし。これからも頑張ってね、オルガ団長」
「サンキュな、シャルル」
こうして──穏やかな昼の時間は、仲良く穏やかに、時たまくそ不味く過ぎていった。・・・だが、それはいつまでもは続かねぇ。幸せと同じくらいの大きさで、更に──波乱が、俺達鉄華団を巻き込んでいくことになる訳だ──
翌日、クラスにて
ヤマダ「え、えっとぉ・・・今日も嬉しい御知らせがあります・・・また一人、クラスにお友達が増えました」
オルガ「・・・は?」
「ドイツから来た、ラウラ・ボーデヴィッヒさんです・・・」
三日月「・・・ガリガリ?」
セシリア「ガリガリくんですの?美味しいですわよね、あのアイス!」
シャルル「・・・オルガ、おかしくない?僕に続いて、立て続けに・・・」
「あぁ。二日連続で転入だぁ?筋が合わなくねぇか?」
ホウキ「こんな事が有り得るのか・・・?」
イチカ「・・・なんか作為的なものを感じないでもないな・・・?」
「皆さんお静かに!自己紹介が終わってませんから!」
チフユ「・・・挨拶をしろ、ラウラ」
ラウラ「はい、教官」
イチカ(教官?てことは、チフユねぇがドイツにいた頃の・・・)
ラウラ「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」
三日月「ガリガリ?」
「ミカン味がお勧めですわ!」
オルガ「俺はぁ!鉄華団団長ォ・・・オルガ・イツカだぞぉ・・・!」
「ぼ、僕は・・・しゃ、シャルル・デュノアだぞぉ・・・!」
チフユ「静かにしろ!」
「「すみませんでした」」
ラウラ「・・・貴様が・・・」
イチカ「ん?」
オルガ「あぁ・・・?」
三日月「・・・!」
ラウラと呼ばれる少女は、イチカにまっすぐ歩み寄り、真っ直ぐに手を振り上げ、憎しみのままにイチカの頬を──
ラウラ「・・・!!」
三日月「これは・・・何?」
はたくことは出来なかった。三日月が割って入り、その理不尽な暴力を妨げ、止め、阻んだのだ。風紀委員としての使命の下に。そして・・・
「俺の家族を、仲間を、友達を理由もなく叩かないで」
「っ──っ・・・。・・・今日の所は引いてやろう」
手を離され、万力のような力で捻られた手を抑えながら、憎々しげに三日月を、そして・・・イチカを睨み付ける
「私は認めない。貴様があの人の弟であるなど・・・認めるものか!」
三日月「それを決めるのは、ガリガリじゃない。チフユと、イチカの二人だ」
「・・・なんなのだ、貴様は」
「三日月・オーガス。風紀委員」
ラウラの冷酷な目線。三日月の親愛に溢れた目線。それらが静かに、火花を散らしていた──