問題児たちが異世界から来るそうですよ? 召喚士の軌跡   作:ブレイアッ

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第10話 虎退治ですよ?【後編】

「ギャオオオオオン」

 

その咆哮は門の外にいる黒ウサギ達にも届いた

 

「今度はなんですか!」

 

「竜に変身した修也だな」

 

「そんなはず無いでしょうが!このお馬鹿様!」

 

バシーンと気持ちの良い音が響く

十六夜の冗談が事実だったのは後で分かることだった

 

:::

 

「ギャオオオオオン」

 

「何ですか! 今の声は!」

 

その咆哮は森の中にいた飛鳥達にも届いていた

 

「もしガルドだとしたら春日部さんたちは大丈夫かしら」

 

飛鳥はガルドと戦っているであろう耀たちの心配をする

 

ガサッと言う音と共に茂みが揺れた

 

「誰!?」

 

「……私」

 

茂みから出てきたのは、血でぬれた耀だった。

右手に十字剣を持っている

 

「か、春日部さん! 大丈夫!?」

 

「私は大丈夫。でも、修也が…修也が…!」

 

耀は言葉に飛鳥は修也の身に何かが起こったことを悟る

 

「春日部さん! 落ち着いて! 修也くんの身に何が起こったの!?」

 

「修也が…私をかばって…どうしよう! 修也が死んじゃうよ!」

 

耀は頭を抱えてうずくまる

 

「そう、分かったわ」

 

飛鳥は剣を手に取り立ち上がる

 

「ジンくん、春日部さんのこと、よろしく」

 

「わかりました」

 

飛鳥は耀をジンに任せ、1人、屋敷の方へと向かうのだった

 

:::

 

残されたジンは耀の傷の具合を見る

 

「これは…」

 

しかし、耀には怪我など一つも無かった

それが意味しているのはただ一つ

誰かの血、つまりは修也の血である

 

「修也さん…飛鳥さん…」

 

ジンは空を見上げて同士の無事を祈るのだった

 

:::

 

「まだ、この中にいるのね」

 

飛鳥は館を見上げる

そこからは何の音もしない

それは修也がどこかへ逃げて隠れているか

ガルドに殺されたか

どちらかを意味する

 

飛鳥は前者である事を祈りながら館に火をつけ、中に入る

 

「ガウ!」

 

館の中に煙が立ちこめ、ガルドが扉を破って出てくる

その口は赤く、血に染まっていた

飛鳥は一瞬、修也が死んだという可能性が頭をよぎるが

ガルドに気付かれまいと気丈に振舞う

 

「ごめんなさい。せっかくの屋敷を、でも、貴方には地位も名誉もなにも残ってないんでしょう

ならせめて、森の王者として戦うべきじゃなくて?」

 

「グルルル…ガウ!」

 

ガルドは2階から飛鳥へと飛び掛る

しかし

 

「ギャオオオン!」

 

「なに?!」

 

屋敷の壁を突き破って左腕のもげた

鋼の竜人がガルドに突撃し、横へと飛ばす

 

「まさか…あなた、修也くんなの?」

 

鋼の竜人は飛鳥のほうを見、咆哮をあげる

壁へと吹き飛ばされたガルドは火の粉を振り払いながら

鋼の竜人へと飛び掛る

鋼の竜人はガルドを正面から体で受け止め、残っている右腕で拘束する

 

「ギャウ」

 

鋼の竜人は飛鳥の方を向き、鳴く

確信は無いが「今のうちにやれ」と言っているように聞こえた

飛鳥は剣を正面に構え力を発揮する

 

「剣よ…力を!」

 

飛鳥の言霊に剣が赤く輝く

 

「はあああ!」

 

飛鳥はそのまま剣をガルドの眉間に突き刺す

すると、ガルドの体は剣の刺さった部分を中心に全身が黒くなり

灰となって消えた

 

拘束するものがいなくなった鋼の竜人は背中の翼を羽ばたかせ、天井を破り、空へと上がる

飛鳥はソレを見届けて呟く

 

「…ゲーム、終了ね」

 

その言葉が引き金となったのか周りの風景が一変する

木々に飲み込まれていた建物から、木々が消え、燃えていた屋敷からは炎が消えた 

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