問題児たちが異世界から来るそうですよ? 召喚士の軌跡   作:ブレイアッ

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15話 チカイですよ?

十六夜達がサウザンドアイズ2105380外門支店へと行っている間のお話

 

:::

 

  修也は耀の手を借りて再び工房にあるベッドの前へとたどり着いた

 

「あーわりい、春日部」

 

「ううん、修也がこうなったのは私のせいだから当然」

 

「いや、そういう意味じゃなくて…」

 

  その時、修也の体から力が抜ける

 

「え? わわわ」

 

  急にもたれ掛かってきた修也を支えきれなくなり

 

ドサ

 

  ベッドに押し倒されるようにして倒れた

 

「ちょ…修也!?」

 

  耀は顔を赤くさせながら言う

 

「わりい、血流しすぎて貧血だわ」

 

  そう言って修也は気絶した

 

  血を流しすぎた。この言葉に耀の脳裏に地だまりの中に倒れていた修也の姿が浮かぶ

 

  思い返せば修也は耀を庇って傷を負い、耀たちのもとにガルドを行かせまいとして左腕を失った

 

その全ての元凶が自分であると耀は思う

 

耀は傷にさわらないようにとゆっくりと

修也から抜け出し、修也をベッドに寝かせる

 

:::

 

翌朝

 

「あれ…ここは」

 

「お、眠り姫のお目覚めだ」

 

  頭上から聞こえた修也の声にガバッと耀は起きる

その時、ハラリと毛布が落ちた

 

「え…これって」

 

「あー、俺が起きたときにお前がそばで寝てたから毛布をかけさせてもらった」

 

「もしかして…見た?」

 

  耀は修也に向かって若干顔を赤らめながら聞く

 

「何を?」

 

「私の寝顔」

 

「ご馳走様でした」

 

  刹那、耀の平手が修也の左頬に命中した

 

「グボオ!」

 

  修也は顔面からベッドの上に叩きつけられる。床に叩きつけなかったのは耀なりの優しさだ

 

「ちょ…怪我人にビンタはきついだろ」

 

  修也はまだキスのことを根に持っているのかと思いながら右手で左頬を押さえながら涙目で訴える

耀はつんとそっぽを向く。心なしか頬が赤くなっている

  その時、ドアをノックする音が聞こえた

 

「春日部さん、入っていいかしら」

 

  声の主は飛鳥だ

耀は「どうぞ」と言う

 

「おお、飛鳥か」

 

  飛鳥は包帯を持って工房の中に入る

 

「具合はどう? あら、きれいなかえでね」 

 

  飛鳥はクスクスと笑いながら言う

 

「ほっとけ」

 

「黒ウサギから包帯を預かってきたんだけど」

 

「私がやる」

 

  聞くや否や耀が飛鳥の元に駆け寄り、その手から包帯を掠め取り、修也を見据えて言う

 

「修也、包帯かえるから服脱いで」

 

「いや、片手しかないから無理だから、絶対傷に触るから」

 

「じゃあ、脱がす」

 

  耀はそう宣言して修也の服を脱がしにかかる

 

「ちょ…っ春日部! って痛い痛い痛い!」

 

「じっとして  脱がせにくい」

 

「じゃあ、お邪魔のようだからお暇させてもらいましょうか」

 

  そう言って飛鳥はドアのほうへと歩いていく

 

「飛鳥、助けて…!」

 

  修也が飛鳥に助けを求めるが飛鳥はニコッと修也に向かって笑みを浮かべると

 

「修也君はしばらく絶対安静だそうだからしばらく動きを止めなさい(・・・・・・・・)

 

ギフトで拘束した

 

「じゃあね」

 

バタン

 

  そう言って飛鳥は工房の外へと出た

その後、屋敷全体に修也の悲鳴が響いたとか

 

:::

 

Side 修也

 

  時は過ぎ、昼下がり

 

  ぼんやりと空を見上げてた俺にいきなり耀が話しかけてきた

 

「ねえ、修也。聞きたいことがあるんだけど」

 

「ん?」

 

「修也ってさ、昔、私と会ったことってある?」

 

「なに言ってんだ? 会ったことがあるはずないだろ?」

 

  気付かれてはいけない、俺はこの世界で初めて出会った人を演じる

 

「嘘ついたらダメだよ、シュウ」

 

「……………なんでそう思う?」

 

「女の勘」

 

  即答、どうも俺は女の勘に引っ掛かりやすいらしい。前の世界でもイクスやオリヴィエに何か隠し事をするとすぐに女の勘(・・・)とやらで見破られた。

クラウスやリッドは見破られるようなことは無かったらしいけど

  だからと言って素直に認めるわけにはいかない。耀は(兵器)と関わっていい人間ではない

 

「残念ながら俺はシュウとやらでは無い。確かに俺の名前は修也でそのシュウと名前が似ているがそれだけだ」

 

「そっか……」

 

「そう言うこと、悪いけど水を持ってきてくれないか?  少し喉が渇いた」

 

「分かった。今度から名前で呼んでくれるのなら持ってきてあげる」

 

「え、何で?」

 

「十六夜や飛鳥は名前で呼んでるのに私だけ“耀”じゃなくて“春日部”だから」

 

名前か………

 

「分かった、少し喉が渇いたから水を持ってきてくれないか?  “耀”」

 

「うん、分かった」

 

  バタン、と言う音と共に耀は部屋の外に出る。ここに残ったのは俺と三毛猫だけだ

 

『久しぶりやな、シュウ』

 

「あぁ、久しぶりだ」

 

『ほんまやったらお嬢に隠し事する大馬鹿野郎の首を引っ掻くところやねんけど……シュウは事情が事情やからな』

 

  三毛猫には俺が兵器として造られたことを既に話している。どうして俺が耀の元から姿を消したのかも

 

『それに………シュウもワシと同じで先は長くないやろ?』

 

  やっぱり気付いてたか。流石は動物、死の臭いに敏感だな

 

「あぁ、後半年も生きれるか分からない。もしかしたら明日には死んでるかもな」

 

『半年か………予想以上に短いな』

 

「あぁ、短い。だからこそ、俺は“残りの人生”を“耀を守るため”に使う」

 

『………それがシュウの覚悟か?』

 

「そうだ」

 

  俺は後半年も生きれるかどうか分からない、明日には死んでるかも知れない身、ならば、残りの人生を耀を守ることに使う。それが俺の耀に対する詫びであり、兵器としての最後の仕事だ

 

「修也、お水持ってきたよ」

 

「あぁ、ありがと」

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