問題児たちが異世界から来るそうですよ? 召喚士の軌跡   作:ブレイアッ

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今回は修也くん頑張ってます。あんまり役に立たなかったガルド戦での汚名返上です!


19話 オオカミですよ?

その体は雷である

その爪牙は断罪の刃である

その足は全てを駆ける

それは

雷の狼

黒い体をした

雷の黒狼である

 

「グワオオオン!」

 

  雷の黒狼へとその姿を変えた修也は咆哮を上げる

その大きさは耀の身長を軽く超え、地面から頭までの高さなら2メートルは軽く越えている

  雷の黒狼へと姿を変えた修也を見た一同は驚きの表情に染まる

 

『コッチの方が鼻が利くからな。来るぞ』

 

  耀は頷き、姿は見えないがしっかりと人の気配のする方を見る

 

  一方の不可視のギフトで姿を消していた騎士は腰を抜かしていた

  それもそのはず。刃物を刺すところを見ていなかった騎士は突然人が獣に変わったところを見たのだ。人へと姿を変えることが出来る獣と言えば幻獣か神格保持者くらいのもの、それに修也、雷の黒狼の体毛はバチバチと帯電している。電気を持つということはかなり霊格が高い証拠だ。有名なところでいくとギリシャ神話のゼウスや北欧神話のトール等だろう腰を抜かすなと言う方が彼にとっては酷だ

 

  そんな騎士は接近する耀に気づくことなく後頭部を激しく強打され、一撃で失神した。倒れた騎士から兜が落ちる。すると騎士の姿が虚空から出現した

  それを見た耀が察する

 

「この兜が不可視のギフトで間違いなさそう」

 

「ウォン」

 

修也が兜を咥え、ジンに向かって投げる

 

「わっ」

 

  ジンがあわてて受け取り、兜をかぶる。するとジンの姿が瞬く間に色を無くして姿を消した

 

「ウォンウォン」

 

「…? なに言ってんだ修也、ちゃんと人間の言葉で話せ」

 

「この姿だと人間の言葉は喋れないらしい」

 

「マジか。それじゃあ人間並みの知能を持ったただの狼じゃねえか。なんて言ってんのか通訳頼むぜ。春日部」

 

「任せて」

 

「ウォン」

 

「そろそろ次の奴らが来るから十六夜は隠れとけ。だって」

 

「おう、分かった」

 

  そう言って十六夜は柱の影に再び身を隠す。その時、ほかの騎士たちが現れた

 

「いたぞ! 名無しの娘だ!」

 

「あの狼はどうする?」

 

「構わん! まとめて捕まえろ! 人質にして残りを炙り出せ!」

 

  耀に襲い掛かる騎士

しかし

 

『耀、こいつらは俺に任せろ!』

 

  修也は雷を身に纏いその騎士に向かって突撃する。その一撃はすさまじく近くにいた騎士にまで電撃を浴びせ、数秒で戦闘不可能にした

 

「凄い……わ!?」

 

『耀!?」

 

  突然、前触れなく耀が吹き飛んでで壁に叩きつけられる。修也はすぐに反対方向に向かって電撃を放つが地面を抉るだけに留まった

 

(嘘だろ。レプリカじゃなくて、本物を使ってる奴がいるのか……!)

 

  そう、姿だけでなく臭気、熱量、物音までをも消す完全な気配消失を可能にするギフト。それを持った騎士が付近で息を潜めているのだ。修也は考えをめぐらし、ひとつの結論に至る

 

「ウォン!」

 

  修也は柱の影から様子を伺っていた十六夜に向かって一鳴きする

  修也が言おうとしたことを察した十六夜は柱の影に完全に身を隠す

  それを確認した修也は

 

「アウォォォォォォオン」

 

  思いっきり咆哮を上げる

  そして体からバチバチッ! と雷を迸らせあたり一面に放った。360度、3次元に、放たれた雷は本物のハデスの兜をかぶっていた騎士に当たる

  そう、これが修也が出した結論

「姿が見えないのであれば、炙り出せばいい」

  避けようのない雷の攻撃を受け感電し、失神した騎士から兜が落ちる。やがて放たれた雷は収まり、あたり一面は真っ黒焦げになっていた

 

「おいおい、危ねえぞ! 修也!」

 

  十六夜がボロボロになった柱の影から姿を現す

  どうやら無事だったようだ

 

「ウォウ」

 

修也は本物の兜を咥えて十六夜に渡す

 

「へえ、これが本物の【ハデスの兜】か」

 

修也は光に包まれて元の姿に戻る

 

「それつけてさっさと行きな」

 

  修也は階段のほうを指差して言う

  見ればそこも真っ黒焦げでそこを守っていたであろう騎士たちは全員失神していた

 

「そうか、なら遠慮なく行かせてもらうぜ」

 

  そう言って十六夜とジンは最奥へと向かっていった

 

:::

 

「これ………すごい」

 

  耀が修也から渡された宝石を見ながら呟く

  耀の体は傷ひとつなく、また、耀の立っていた箇所だけ修也の雷の影響を受けずにそのままの状態で残っていた

 

「修也、この石って何?」

 

「ん、言っただろ?  ただの御守りだって。ソイツは特定の条件下で自動的に防御壁を展開する防具、聖鎧石(せいがいせき)だ」

 

「そうなんだ、コレのおかげで助かった」

 

  そう、さっき本物のハデスの兜をかぶった騎士の一撃が当たる直前に防御壁が展開され、耀は怪我を負わなくてすんだ。それだけに留まらず修也の雷を完全に防ぐほどの防御力を発揮した。修也が耀のことを気にせずに雷を放てたのは耀がもつ聖鎧石の防御力を知ってのことだ

 

 

 

 

「ラ、ギャアアアアァァァァァァアア!!」

 

 

 

 

  突然、最奥の方から甲高い不協和音の叫びが響いた

 

「な、何!?」

 

  耀が驚いて辺りを見渡す、いつの間にか自分と修也を除く全てのものが石化していた

 

「耀!」

 

「え?  きゃっ!」

 

  修也に突然抱き抱えられ可愛いらしい短い悲鳴を上げる耀

       

  耀のいたところに巨大な岩塊が衝突した

 

「耀、無事か?」

 

「え……えと、うん。大丈夫」

 

「そうか、なら安心だ」

 

「………修也、おろして。恥ずかしい」

 

  今の二人の状態は修也が耀をお姫様だっこをしている状態だ。最も、他に誰が見ているわけでもないので恥ずかしいもあったものではないが

 

「えっ……あっ、ごめん」

 

  修也は少し慌てた様子で耀をおろす。心なしか修也の頬は少し赤くなっている

  そんな付き合いたての初々しいカップルみたいなやり取りをした後、耀がぽつりと「飛鳥は大丈夫かな?」と言った

 

「心配なら見に行くか」

 

  そう言って修也は手を差し出す

 

「うん」

 

耀はその手をとって頷く

 

 

:::

 

「どうしよ、これ」

 

  修也と耀は目の前の岩塊の壁に足止めされていた

 

「破壊して進むしかないわな」

 

「どうやって?」

 

「こうやって、ヴォルザ、モードリリース」

 

《モードリリース》

 

  修也は戦闘服を解除し、ゲームを始める前の私服姿になる

  バッ!  と修也は待機状態のヴォルザをつけた右手を前にだし、叫ぶ

 

「ヴォルザ起動!  フォルム(アインス)!」

 

リスティングフォルム(RüstungForm)起動(Anfang)

 

  修也を青い光が包み、それが晴れると修也の格好はさっきまでとは変わっていた

  肘の上までを覆う防護武装、足は膝までを覆う具足、体の動きを阻害しない程度の鎧が胴体につき、腰には何やら複雑な機巧にマガジンがついている

 

「さて、壊すか」

 

  修也は右手を引いて構える

  キィンと修也の足元に青白い光と冷気を放つ三角形の魔方陣が出現する

 

「ヴォルザ」

 

《Explosion》

 

  ガシャンと腰から薬莢が排出され、修也の右手は魔力と冷気を纏う

 

破城槌(はじょうつい)!」

 

  修也の一撃で目の前の岩塊の壁が破壊され、道ができる

 

「さ、行くぞ」

 

:::

 

 

「飛鳥!」

 

「春日部さん!? 修也くん!? 無事だったのね!」

 

赤いドレスを揺らしながら修也たちのほうへと駆け寄る飛鳥

 

「ん、飛鳥の聖鎧石も正常に稼働したな。良かった」

 

「そう、これってあなたのおかげだったのね。ありがとう」

 

  その時、白亜の宮殿が黒く染まり、壁が生き物のように脈打ち、黒い染みから蛇の形をした石柱が修也たちを襲った

 

「何!? コレ!」

 

  飛鳥はギフトカードから出した銀の十字剣で蛇を切り捨てながら言う

 

「分からない!」

 

耀は旋風で蛇を払いながら言う

 

「耀!  飛鳥!  少し伏せてろ!!」

 

  修也に言われて反射的に伏せる二人。その間に修也は斧槍、ハルバードを召喚する

 

「ヴォルザ!  カートリッジロード!!」

 

《Explosion!!》

 

    ガシャンガシャンと腰から薬莢が2個排出され、足元に青白い光を放つ三角形の魔方陣が出現。ハルバードは冷気を纏う

 

「凍てつけ!  雷帝式…………」

 

  両手で持ったハルバードを頭の上で回転させる。その際に、斧槍から放たれる冷気によって凍りついた水蒸気が修也の魔力光によってキラキラと光る

 

「九十一式『破軍斬滅(はぐんざんめつ)(仮)(かっこかり)』!!」

 

  冷気をまとった氷の斧槍を振り回し、周囲にいる複数の蛇をまとめて薙ぎ払う。修也の一撃はそれだけに留まらず、余波で辺り一体を氷漬けにした

  もちろん、耀と飛鳥は持っていた聖鎧石のおかげで無事だ

  

「すごい………」

 

「さっきの蛇たちを一瞬で凍らせるなんて」

 

  修也はふぅ、と息を付きながら斧槍を戻し、耀たちのほうを見る

 

「これで一先ず安心だな」

 

「そうね。でも………」

 

「寒い………」

 

  はー、と白い息を出す耀。それもそのはず、修也の破軍斬滅(仮)によって部屋はカチコチに凍り、温度は0℃を下回っているのでは?  と思うほど寒いのだ

  騎士甲冑を身に纏った修也とは違い、薄着の二人にとってここは居づらいのだろう

 

  その時、上の階で轟音が響いた。それこそ3階まで崩れたような音だ

 

「……とりあえず此処から逃げようか」

 

  修也が8センチ程の柄の無い小さな刀を召喚して言う

 

「さっ……さんせぃ……」

 

「はやく此処から出たいわ」

 

  修也は再び雷の黒狼の姿に変わり、耀と飛鳥を乗せて白亜の宮殿から脱出した




今回修也が使った魔法、わかる人はたくさんいるはず!
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