問題児たちが異世界から来るそうですよ? 召喚士の軌跡 作:ブレイアッ
サウザンドアイズ来賓室
先ほどまでは『第一回、黒ウサギの審判衣装をエロかわいくする会議』や耀と修也の対戦相手のコミュニティやラッテンフェンガーに関するハーメルンの笛吹の話が行われていた
今は白夜叉、修也の二人が向かい合っている
「で、話ってなんだ?」
「うむ、話と言うのは他でもないおんしの霊格についてだ」
真剣な面持ちで口を開く白夜叉、その声音にはおふざけの類いは一切無い
「おんしにギフトカードを与えた時に比べると信じられないほどに今の霊格は低い、あの時は四桁の神霊とも互角に渡り合えるほどの霊格を持っておったというのに………」
「へぇ、俺が神霊とねぇ。じゃ、今はどうなんだ? 白夜叉から見てどれくらい下がっているんだ?」
白夜叉は部屋に飾られている刀を手に持っている扇子で指して言う
「その刀と同じ……いや、少し上か。どちらにせよあり得ないほどの霊格の低下だ。教えてくれ、おんしの身に何があった?」
「なるほど、やっぱり霊格ってのは残り時間に比例するもんなのかね」
修也は真っ直ぐに白夜叉を見、そして口を開いた
「いいぜ、そこまで分かってるなら教えてやる。白夜叉なら忘れないだろうしな」
これは“ノーネーム”の皆には内緒だ。そう前置きをして修也は語り出す。自分は何者か、自分に何が起こったのか、そして、これからどうなるのかを
「白夜叉の疑問に答えるにはまず、俺が何者かを話す必要がある。最初に確認しておくが、霊格ってのは世界に与えられた恩恵、生命の階位。霊格を得るには世界に与えた影響、功績、対価によって得るんだよな?」
「うむ、他にも誕生に奇跡を伴う遍歴がある場合でも得ることが出来る。他にもあるが大体はこの二つだな」
「そうか、まずは俺が何者であるか? これについては簡単だ。人の手によって創られた人造生命体、人型対人殺戮兵器だ」
「待て、人造生命体だと!? それではおんしは人の手によって造り出された命だとでも言うのか!?」
驚愕に目を見開く白夜叉、声もさっきまでとは比べ物になら無いほど大きくなっている
それもそのはずだ。本来、人の手によって命を作り出すなど神にも等しい行為、そう容易く行えるはずがない。もしそれが可能で、それによって誕生した修也は普通の人間とは比べ物になら無いほどの霊格を生まれながらに有していることになる
「ま、実際のところは10年、良くて15年しか稼働出来ない出来損ないだがな」
(それでもこやつの生まれは以上すぎる。人型
「待て、おんしはさっき自分のことを人型対人殺戮兵器と言ったか? 殺戮兵器とはまさか……あの霊格は人を殺して得たとでも言うのか?」
「ああ、殺したさ。人を殺してこその兵器だからな」
「…………前の世界で、何人殺した」
あっけらかんと言い放つ修也
恐ろしいほど冷たく、低い声音で白夜叉は問う。目の前の
そんな白夜叉の考えを知っているのか否か、修也は人差し指を立てる
「一人…………か?」
修也は首をふる
「では10……いや、100か」
「1つの星に住まう人間を含めた生命全てだ」
「何ッ!?」
星一つ分の生命を全て滅ぼした
彼が世界に与えた影響は幾多の種の絶滅、彼が世界に払った対価は百億をも越す命。修也の功績は彼を魔王とするには十分だ
白夜叉は自身と修也を白夜叉を表す白夜のゲーム盤に閉じ込めた
「ククッ、まあこうするのが
危険人物扱いには慣れているのか全く動揺の様子を見せない修也、話を続ける
「さて、次は俺に何があったのか? 霊格の大幅な減少の要因は一つしかない。俺が箱庭に来てからガルドとのギフトゲームをしたのは知ってるな」
白夜叉は首を縦に振って答える
「さっき話した通り俺の寿命は短い、ヤツとのギフトゲームの最中に俺は寿命を迎えて死んだ」
「死んだ………だと? ならば私の目の前にいるおんしは一体何者だ?」
「簡単だ、肉体を魔力で再構成して魂を無理矢理その魔力の器に繋ぎ止める魔導、擬似的な死者蘇生術だ」
それはかの魔導の都、アルハザードが産み出した禁忌の魔導。死者を蘇らせる魔法
これを使えば死者を一時的に生者と変わらなくさせることが出来る
ただしこの魔導には決定的な欠点がある。それは肉体を魔力に置き換えるため、魔力が枯渇すれば二度と蘇ることの無い死を迎えること、術者に関わった人間から術者に関わる記憶全てが書き換えられ、元から居なかったことになること。この二つだ
「それは…………ただの死よりも辛いことではないか」
普通の死は周りにいた人間の記憶に残る、しかし修也の死は周りにいた人間の記憶から源修也という人間そのものが無かったことになる
「いいじゃねえか、俺が死んでも悲しむ人は誰一人としていないんだから」
「だが、その裏を返せば誰も悲しんではくれない。ということに他ならんわ」
「…………まぁ、そんなことはどうでもいい、どうせあと五ヶ月ともたない身だしな」
「五ヶ月……それがおんしのタイムリミットか?」
「ああ、ギフトゲームとかで戦うことがあるならもっと短いだろうな。近いうちに魔王との戦いになるんだろ? なら頼みたいことがある」
修也は立ち上がりながら言う
「なんだ…………ッ!」
白夜の空を多い尽くすほどの武具たち、刀や剣、槍、斧などはもちろん、鎧や鎖、何に使うのか分からないものまである
「こいつらを売るとしたら、白夜叉はいくらで買う?」
何をするかと思えば………。
白夜叉は心の中で苦笑し、空に浮かぶ無数の武具をみた
「これら全てを買うとしたら…………サウザンドアイズ発行の金貨で大体五百枚と言ったところか」
「そうか」
そう言って修也はギフトガードを掲げる、空に浮かぶ武具たちが全て光の軌跡となって修也のギフトガードに吸い込まれて行く
「俺が消えたらこのギフトガードの中の武具全てを白夜叉に買ってもらいたい、そしてその金は全て“ノーネーム”に匿名で与えてやってほしい。星霊たる白夜叉なら俺のことはわすれないだろう?」
たとえ誰も自分のことを覚えていなくともコミュニティの未来を思う、その考え方に白夜叉は修也の中の兵器ではない騎士としての心を感じた
「わかった。おんしの願い、この白夜の星霊白夜叉が聞き届けた。サウザンドアイズの御旗と私の誇りにかけておんしの願いを叶えよう」
白夜叉の言葉と同時に周りの光景も元の来賓室へと戻る
「ありがとう、白夜叉」
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修也は来賓室から出た後にふぅ、と息を吐く
「最強の
でも、やるべきことはやった
魔王との戦い前に自身の霊格を少しでも元に戻す必要がある。そのためには
「俺の新しい
元より兵器とは使い手がいてこそ力を発揮するものだ、修也が主として認め、その主が命令を下してこそ真の力を発揮する。かつての使い手の「全てを滅ぼせ」という命令によって星一つ分の生命を滅ぼしたのがいい例だ
そして、彼が主として認める人物は前の主イクスヴェリアともう一人、春日部耀だけだ
思考を一旦停止、耀の部屋の前で気配を探って耀以外の誰もいないことを確認する
「耀、少しいいか?」
「修也? どうしたの? こんな夜中に」
部屋の襖が開いて浴衣姿の耀が出てくる
「少し話がしたい、いいか?」
「うん、大丈夫」
そう言って修也を部屋に入れる耀、恐らく修也以外の男子だったら少し考えてから入れるのだろう
「どうしたの? 話って」
「ああ、ガルドの時に俺は騎士だって言ったよな」
「うん」
「騎士には主が必要だ。そこで俺は耀を主になってほしいと考えている」
「えぇ!?」
春日部耀、恋する十四才
好きな人から告白めいたことを言われ、驚きの声をあげる
「駄目か?」
「あ……いや、駄目って訳じゃなくて……びっくりしたというかなんというか………その……えと…………よろしくお願いします」
「本当か!?」
「う、うん。修也の主……頑張ってみる」
その言葉を聞いた修也に、変化がおこる
「マスター認証、新マスター名春日部耀、登録完了。これより、私はマスターの剣となり、盾となる。貴女の忠実なる僕となりましょう」
機械的な発音、感情の無い声
しかし、それもつかの間。すぐに修也はもとのようになる
「ありがとう、耀。これで明日のゲームは勝てる」
「…………うん」
修也の変化に言い様の無い不安と、恐ろしさを感じる耀だった
「俺と契約して主になってよ」
使おうかなと思って書いてみて速攻でやめた台詞、某インキュベーター的なことをしたかったんです