問題児たちが異世界から来るそうですよ? 召喚士の軌跡   作:ブレイアッ

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25話 修也の実力ですよ?

修也と耀が主従の契約を結んだ夜が終わり、二人はギフトゲーム『造物主たちの決闘』のゲーム会場に来ていた

会場の中心にはこのゲームの司会進行兼審判の黒ウサギがマイク片手に“ノーネーム”の紹介をしているところだ

 

「修也」

 

「なんだ?」

 

「絶対に勝とうね」

 

「了解、我が王よ」

 

周りの風景が変わる

 

 

     

 

ギフトゲーム名:アンダーウッドの迷路

 

・クリア条件 1 プレイヤーが大樹の根の迷路より野外に出る

       2 対戦プレイヤーのギフトを破壊

       3 対戦プレイヤーが勝利条件を満たせなくなった場合(降参含む)

 

・敗北条件  1 対戦プレイヤーが勝利条件を1つ満たした場合

       2 上記の勝利条件を満たせなくなった場合

 

 

 

 

上下左右、その全てが巨大な木の根に囲まれている大空洞。耀と修也は対戦相手である、“ウィル・オ・ウィスプ”のアーシャ=イグニファトゥスとそのギフト、ジャック・オー・ランタンと向かい合っていた

 

「 審判権限ジャッジマスターの名において。以上が両者不可侵であることを、御旗の元に契ります。御3人とも、どうか誇りある戦いを。此処に、ゲームの開始を宣言します」

 

黒ウサギの宣誓と同時にゲームが開始された

 

「睨み合っても始まらねえ、先手は譲るぜ」

 

アーシャが耀と修也に言う

 

「貴方は…ウィル・オ・ウィスプのリーダー?」

 

「え? あ、そう見える? なら嬉しいんだけどな♪ けど残念なことにアーシャ様は」

 

「そう、分かった」

 

それだけ言って耀は背後の通路に向かって疾走していった。自分から始めた会話をほっぽり出して逃げ出した耀にしばし唖然とするアーシャ

 

「お………オォォウケェェェェェイ! 行くぞ! ジャック! 木の根の迷路で人間狩りだ!」

 

「ヤホホホォォォォォウ」

 

「そうはさせない!」

 

「は?」

 

修也がアーシャとジャックの前に立ちはだかる

 

「ヴォルザ、起動」

 

リスティングフォルム(RüstungForm)起動(Anfang)

 

騎士甲冑を身に纏った修也は魔力で出来た青い球体を作り出し、思いっきり殴る

 

「アイゼンゲホイル!」

 

すると、辺りを閃光が包み、爆音が響く

思わぬ閃光に腕で目を隠すアーシャ

 

「時間稼ぎは俺がやらせてもらう。召喚(Summon)剣の軍(Army of Schwert)

 

修也は自身の背後に大量の剣を召喚させ、その切っ先全てをアーシャに向ける

 

「行け! 発射(Start)!」

 

修也の背後で待機していた剣の軍がアーシャたちを襲う。発射された剣はその数を増やし、アーシャの視界を覆うほどになる

数秒としないうちに剣たちがはアーシャを襲った地点から煙が上がる

そして、その煙が晴れると

 

「大丈夫ですか? アーシャ」

 

「ありがとう、助かったよ。ジャックさん」

 

ボロボロのジャック・オー・ランタンが盾になって無傷のまま立っているアーシャだった

 

「先に行きなさい、アーシャ。この方は私がお相手をします」

 

体のあちこちを剣で貫かれ、ボロボロになっているもののそれは修復し始めていた

 

「悪いねジャックさん。本当は自分の手で優勝したかったけど……」

 

「それは貴女の怠慢と油断が原因。猛省し、このお2人のゲームメイクを見習いなさい」

 

「うー……了解しました」

 

アーシャはしぶしぶといった様子で頷き、その場から離脱する。修也はそれを見逃した

 

「おや? アーシャを逃がすのですか?」

 

ジャックは不思議そうに欠けたカボチャ頭を傾げて言う

 

「ああ、耀はアイツには負けないだろうからな。たとえ地精が相手だろうと決して引けを取らない」

 

それにと修也は続ける

 

「その修復速度、お前はアーシャ=イグニファトゥス作のジャック・オー・ランタンでじゃないな。俺たちが最も恐れていたヤツだ。

――――生と死の境界に権限した大悪魔、ウィラ=ザ=イグニファトゥス作の世界最古のカボチャ悪魔、不死の怪物、ジャック・オー・ランタンだろ?」

 

ジャックは驚いたような口調で言う

 

「その通りです。あなたのお名前をお聞きしても?」

 

「いいぜ、俺はジン=ラッセルのノーネーム所属の召喚剣士、源修也だ」

 

「あなたからは私が最も嫌う気配を感じますが…………いいでしょう、聖人ペテロに烙印を押されし不死の怪物――――このジャック・オー・ランタンがお相手しましょう!」

 

ジャックはランタンを掲げ、戦闘体制に入る。修也は拳を構え、叫ぶ

 

「ヴォルザ! カートリッジロード!」

 

《Explosion》

 

修也の腰にあるマガジンからカートリッジが左右1個ずつ、計2個排出される

ドン! と修也から魔力と冷気が放出され、ジャックを少し後退させる

ジャックは再び油断無く構える、ジャックの持つランタンから炎が漏れ出す

 

「鮮花狂乱!」

 

修也は叫ぶ

 

すると、ジャックから放たれる熱とは相反する冷気がさらに強くなり、修也の体から放出される

 

「ジャック・オー・ランタンの炎、受けてみなさい!!」

 

「凍てつけぇ! 零度の拳(Fist of Null)!!」

 

ジャックが放つ炎と修也の纏う冷気がぶつかり合い、激しい爆発が幾つも起こる

 

「ヴォルザ、電気変換、炎熱変換を起動!」

 

《Jawohl! Explosion!!》

 

修也の腰にあるマガジンからカートリッジが左右1個ずつ、計2個排出され、右手には炎、左手には雷を纏う

 

「炎雷双刃拳!」

 

短距離転移(ショートジャンプ)、刹那にも満たぬ間にジャックの背後に転移してその炎と雷の双掌を叩き込む

修復したばかりのカボチャ頭を砕き、先程の余波で凍てついた木の幹に叩き付ける

 

「召喚、捕縛の鎖!」

 

ジャラジャラと音をたてながら修也が召喚した鎖によってジャックを拘束する

 

「ふぅ、これで動けないだろ」

 

修也はそう言って耀の援護に向かおうと木々の間を飛んだ

 

:::

 

「こんのぉ~! ぜってぇーに私が勝つ!」

 

「残念だけど、勝つのは私たち! だよね、修也!」

 

剣の軍(Army of Schwert)

 

耀に追い付こうと木の根の上を必死に跳ぶアーシャの前に複数の剣が突き刺さり、檻を作る

 

「その通り、勝つのは俺たち“ノーネーム”だ」

 

剣の檻を作り出した犯人、修也が姿を表す

耀の姿は、もう見えない

 

 

「勝者! “ノーネーム”!!」

 

 

どこからか聞こえた黒ウサギの勝者を告げる声の後に周りの風景が変わり、元のゲーム会場に戻る

 

「やったな、耀」

 

「うん、修也のおかげだよ」

 

イェーイとハイタッチをする2人、仲のいいことだ

 

 

「おい! お前! 名前は何だ?」

 

アーシャが耀を指差して言う

 

「耀、“ジン=ラッセルのノーネーム”の春日部耀」

 

「春日部耀か……次はぜってぇー負けねえからな!」

 

「その時は返り討ちにする」

 

笑いあうアーシャと耀、お互いに好敵手と呼べそうな相手が出来たようだ

 

 

「ジャック、あんたは俺から最も嫌う気配を感じるんだってな」

 

「ええ、誰かを殺した者特有の気配です」

 

ジャックと修也は出来るだけ顔を近づけて話し合う。話の内容があまり人に聞かせれるようなものではないからだ

 

その時、空から黒い封書が落ちてきた

 

上空から雨のように撒かれた黒い封書。それに気付いた辺りが騒がしくなる

 

 

 

ギフトゲーム名: The PIED PIPER of HAMELIN

 

・プレイヤー一覧 現時点で3999999外門・4000000外門・境界壁の舞台区画に存在する参加者・主催者の全コミュニティ。

 

・プレイヤー側・ホスト指定ゲームマスター 太陽の運行者・星霊、白夜叉。

 

・ホストマスター側勝利条件 全プレイヤーの屈服・及び殺害。

 

・プレイヤー側勝利条件、一、ゲームマスターを打倒 

            二、偽りの伝承を砕き、真実の伝承を掲げよ。

 

 宣誓、上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。

 

                             グリムグリモワール・ハーメルン印

 

                                 

「魔王が……魔王が現れたぞぉぉぉぉぉ!!」

 

そう叫んだのは誰だろうか?

観客席にいた全ての人がパニックに陥る

 

一番最初の変化は特別席のバルコニーで起こった

突如白夜叉を黒い風が包み込み、他の者は一挙に外まで弾き出される。そこにいた十六夜、飛鳥、ジンの三人は舞台側へと飛んだ

 

「魔王が現れた……そういうことでいいんだな?」

 

「はい」

 

飛鳥を抱きかかえて舞台へ着地した十六夜が訊ねると、黒ウサギが真剣な面持ちで頷く

 

「皆! あれ!」

 

耀が指差した先には3人の人影が落ちていた

恐らく、魔王の仲間だろう。十六夜は「任せたぜ」といって1人、その人影の元へと飛び上がった

 

:::

 

時はほんの少しだけさかのぼる

境界門上空に4人の人影があった

 

「さあ、ゲームを始めるわ」

 

斑模様の衣服を身に纏った少女が言う

 

「「「イェス、マスター」」」

 

少女の言葉に返事をしたのは3人の男女だ

共通するのは3人とも大きさは違えど笛を持っていることだろう

 

「手はず通りにお願いね?」

 

「おう、邪魔する奴は?」

 

自分の身長ほどもある笛を持った黒い軍服を身に纏った男性が言う

 

「殺していいよ」

 

「イェス、マスター♪」

 

二の腕ほどの笛を持った露出の多い白い装束を身に纏った女性が言う

 

「マスターも気をつけて」

 

男性ほどではないが大きく、細い笛を持った金髪に獣耳をつけた女性が言った

 

 

魔王のゲームが…………始まる

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