問題児たちが異世界から来るそうですよ? 召喚士の軌跡 作:ブレイアッ
白い世界が消え去り、問題児一同が立っていた場所は前までいた”ノーネーム"の本拠とは全く違う場所だっだ
「ここは…………どこだ?」
「外……のようだけど」
「Yes 、でも”ノーネーム"の敷地内じゃないのは確かなのですよ」
十六夜たちは辺りを見渡しながら言う
地面は綺麗に刈り揃えられた草で覆われ、等間隔に置かれた円形の花壇には色とりどりの草花が辺り一面の緑に鮮やかな彩りを与えている
少し離れたところには二つの噴水が見られ、その向こう側には石造りの門が、さらにその向こうには巨大な城が
その門の前で手をふる人影が一つ
「…………! あれ、修也だ」
人よりも視力のいい耀が額に手を当てて言う
「本当に修也くんなの?」
「うん、間違いない」
そう断言する耀、迷いなどほんの欠片もない
「それなら早く行きましょう!」
「もう皆さん行ってるのですよ!」
今までほとんど出番の無かったジンがリーダーシップを発揮しようと言った時には既に問題児たちは門へと走っていて、ジンの隣には黒ウサギしかいない。
強く生きろ、ジン
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「修也ー!」
ところ変わって門前の修也
走るスピードでは絶対に負けないはずの十六夜を突き放して修也の元へ一直線に駆ける耀、後ろの飛鳥を横に抱えて走る十六夜は非常に楽しそうである
「きゃっ」
「え……?」
さて、皆さんに質問だ
走っている時につまずくとどうなるだろうか?
その答えは前のめりにこける。だ
そして十六夜をも追い越す速さで走っている時につまずいてこけるとどうなるか?
それは今の耀の体勢が物語っている
両手を前にだし、体が宙を浮き、勢いは止まることを知らずに修也へと一直線
「わあぁっ!」
「きゃぁっ!」
結果、見事二人は衝突、耀が修也を押し倒す形で地面に転がる
いつぞやの逆である
「耀、大丈夫か?」
「うん、おかげさまで」
そう、修也が耀を無事に受け止め、耀は怪我一つせずに終わった
「ありがと、修也」
「ん、どういたしまして」
耀は修也に抱きつく力を強くする、修也もそれに答えるように耀の背中に手を回し、抱き合う
二人は気付いていないが二人の体勢は見事に抱き合っているのだ、端から見ればカップルのよう
「そうだ! 修也、身体は大丈夫?」
「ん? 問題は無いぞ、全く」
「そっか、よかった」
「おーい、少しいいかー」
耀と修也が首だけを動かし、声のした方を見る
そこにはいつのにか着いていた十六夜たちが何やらそれぞれ違う表情を浮かべている
十六夜はニヤニヤと笑い
飛鳥は顔を赤く染め
黒ウサギは両手で顔を覆いつつも指の隙間から二人をのぞき
ジンはなにやら思考停止状態
それでも二人は離れる様子が無い、と言うよりやはり二人は自分たちの体勢を理解していないようだ
「二人して抱き合ってる中悪いんだが…………修也、ここが何処かわかるか?」
そう言われてやっと自分たちの体勢を理解したのか、修也と耀の二人はものすごい勢いで離れる
「あ………ああ、ここは、”シュトゥラ"の本拠前…………だと思う」
「へぇ? ここがそうなのか」
「あぁ、たぶん」
門の向こう側に聳え立つ城を見ながら十六夜が楽しそうに言う
「それよりも修也様はいつからここに?」
「少し前から、具体的にはお前らがゲームしてる時にはここにいた」
「と言うことは…………」
「あの修也くんは偽者だったってことね…………全く、なめた真似を」
飛鳥が若干苛立ちながら言う
「じゃあ私の胸をもんだのは…………」
「それは俺、ゲーム開始前にここに弾かれたから」
「そうなんだ…………よかった」
あ、良いんだと修也と耀を除く一同が心の中でハモる。どうやらここに来て天然バカップルの頭角を現し始めたようだ
突然、キイィと音をたてて門が開く。まるで、中に入れと言わんばかりに
「どうするの? 十六夜くん」
「さあな、それを決めるのは御チビだ」
「…………入りましょう、僕たちに試練を与えてきたのは何か理由があるはずです」
「わかりました、何かの罠があるかもしれませんが、黒ウサギはジン坊っちゃんをお守りします」
「ハッなんか面白くなってきたじゃねぇか」
十六夜が右の拳を左手に打ち付けて言う、次は何が出てくるのかとどこか楽しそうだ
「では、作戦会議を行いましょう! また何が出てくるのかわかりませんからね」
黒ウサギが人差し指を上に向けて問題児たちに提案する
「気を付けて進む!」
「前向きに進む!!」
「明日を見据えて進む!!!」
「と、言うわけで…………」
「「「「ガンガン進もうぜ!!」」」」
握りこぶしを上に挙げて歩き出す問題児四人衆
「作戦会議終わったー!!!」
「待ってください~!」
いつものようにツッコミをいれ、後を追う黒ウサギ、ジン
”ノーネーム"一行は通常運転で門の中へと歩き出した
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ここは問題児たちが目指す城のどこかの部屋
そこに三人の男女がテーブルを囲んである報せを待っていた、三人の男女の顔はカーテンによって光が遮られているせいでよく見えない
「召喚剣士と”ノーネーム"の皆様を城の中に通しました」
失礼します、と部屋に入ってきたメイド服を着た女性がそう言う
「そうですか、人数は?」
一人の女性がメイドに問う
「召喚剣士を含め、六名でございます」
そう、と言いながら女性はテーブルの上の紅茶に手を伸ばす
「ありがとう、もう下がってもいいですよ。準備に戻ってください」
今度は先程の女性の隣にいた男性がメイドに向かって言う、失礼しました、という声と同時に扉が閉まる音が三人の男女の耳に届く
「…………もうマリアージュたちを倒してきたんですね」
テーブルの上にあるクッキーに手を伸ばしながら少女が言う
「まぁ、それくらいの技量が無ければ困りますからね」
男性が紅茶を一口飲んでから言う
「あら、もうあんなところまで」
女性がカーテンの隙間から見た城の外には話題に上がっていた一行が見える
「では、我々もそろそろ支度を始めましょうか」
男性と女性は椅子から立ち上がり、部屋の外へ向かう
少女が少しつま先立ちをして窓の外を見て、笑みを浮かべる
「どうしました?」
「いえ、何でもないです」
たたたっ、と二人の男女の元へとかける少女
ふと、カーテンごしに外の少年少女たちにむかって一言
「ようこそ、”ノーネーム"のみなさん」
そして、と少女は続ける
「おかえりなさい、召喚剣士、源 修也」
黒幕登場です
いや、わかってる人もいるでしょうけどね