HITMAN『世界線を超えて』   作:ふもふも早苗

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###注意###

原作に登場するキャラが死亡する描写があります。作品に思い入れが有る方はご注意ください。


HITMAN『偶像崇拝』

『プリンセスドームへようこそ47。』

『今回は日本の首都圏郊外にある成武プリンセスドームが舞台よ。今日ここでは【アイドルフェスタ】という複数のアイドルグループ達によるライブが行われているの。業界最大手の765プロを始めとしたいろいろなプロダクションが参加しているわ。仕事じゃなければ私も行ってみたかったんだけれどね。』

『今回のターゲットはその数あるプロダクションの1つ、【961プロダクション】の社長、黒井崇男。彼は世間一般的には765と業界を二分する大手プロダクションの敏腕社長というイメージがあるけれど、その実態は所属アイドルを金儲けの駒にしか見ておらず、スタッフや場合によっては所属アイドル自身に違法スレスレの相手への妨害工作を行わせたり、気に入らない企業は正攻法ではM&A、場合によっては非合法な手段を用いて倒産に追い込むことすらあったとの報告よ。相当阿漕な商売をしているみたいで業界の評判はあまり良くはないけれどその企業規模から誰も逆らえないという状況ね。』

『依頼主はそんな961プロダクションに潰された企業の1つ。実はこの企業、CIAのダミー会社だったらしいんだけれど、それを気が付かずに961プロが倒産工作を掛けて潰したの。それも1度や2度ではなく3度も。日本国内で活動するには961プロダクションの弱体化もしくは破壊が必要と考えたCIAは“一番穏便な方法として”黒井社長の暗殺を依頼してきたってわけ。だから今回のクライアントはラングレーよ。少なくとも支払いは滞り無く行われるわね。』

『準備は一任するわ』

 

 

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ガヤガヤガヤ

私は今、プリンセスドームで行われるライブの大道具班として潜入している。私を含めた大道具班はドーム内のグラウンド後方で大規模なステージセットを構築している。直ぐ側の棚の上にスパナが置いてあった。懐に忍ばせる。私は大道具班の制服を着用しているため、大抵のところには出入りが効く。まずは周囲の状況を確認するべきだろう。

今はちょうどステージの真裏、出演するアイドルが待機する待機所にいる。手狭だが簡易的な化粧道具や姿見、酸素スプレーやタオルなどが陳列されている。

 

「「おつかれさまでーす!」」

 

はじめにやって来たのは元気な少女たちだ。胸に大きく【765】の文字が書かれているところから見て765プロのアイドルだろう。アイドルの低年齢化は議論になっているらしいが少なくとも彼女たちは世間に受け入れられているようだ。気弱そうな男も後ろからついてくる。おそらくアレがプロデューサーだろう。

 

「「お疲れ様です。今日はよろしくおねがいします。」」

 

次にやって来たのはそれよりだいぶ年が上の女性たちだ。ロゴなどは何処にも書かれていないが先頭の緑髪の女性はテレビや町の広告などでよく見る。高垣楓といったか。ということは346プロダクションなのだろう。ふと見ると765プロのアイドルよりも幼い子も混じっていた。それにあの後ろを付き添う大男、目付きが鋭く同業者に見えなくもない風貌をしていた。

 

「「おつかれさまでーす。」」

 

次に来たのは服装がやたら黒っぽい女性たちだ。っと、彼女らの後ろに彼女らの存在を誇るかのように堂々と立っている背広の男が居た。

 

 

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『彼が“黒井崇男”。大柄な男だけど年齢もそれなりに行ってるから体力はないはずよ。情報部が入手した写真では何故かいつも目元が暗く写っていないのだけれど顔は覚えられるかしら?』

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確かに彼の目元は光の加減なのか暗くなっており顔がはっきりとはわからない。が、黒の背広に紫のシャツに金のブレスレッドやネックレスの格好はアイドル達より目立ってると言えなくもない。人混みから探すのはそんなに難しくはないだろう。

961プロのアイドル達はステージ右側のテントへ入っていった。おそらくあのテントが楽屋なのだろう。

 

「お疲れ様です!!!今日はよろしくおねがいします!!!」

「おいおい、張り切り過ぎだぞもうちょっと抑えろ。ただでさえ愛は声がでかいんだから」ハハハ

「は!!すみませんでした!!!!」

 

次に来たのは小柄な女性グループだ。もっている荷物に【876】と描かれているので876プロダクションのアイドルだろう。とても元気な少女が先頭を歩いている。元気すぎてここから観客席の方まで声が届きそうなくらいの大音量で挨拶していった。・・・ん、最近のアイドルグループは女装した男性も参加するのだろうか。

 

「おつかれさまです!よろしくおねがいします!」

 

次は男性グループだ。やたら暑苦しい赤髪のリーダー格と思しき男性が握手とともに挨拶してくれた。そのまま彼はスタッフ一人ひとりと握手しながら挨拶して回っていた。あの手慣れた場捌きはアイドル以外にもなにかやっていたのだろうか。

 

 

 

それぞれのアイドルグループは別々のテントが割り振られているようだ。テントは全部で合計6つあり、315プロはかなり多くのグループが参加するということでテントは2つに分けられていた。ターゲットのいる961プロのテントが一番右側、そこから機材置き場を挟んで346プロ、765プロ、876プロ、また機材置き場を挟んで315プロと並んでいる。315は2つ連続だ。

346プロのテント近くの机にこのイベントの進行表が置いてあったので確認する。

####アプローチ発見####

 

 

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『進行表によれば961プロダクションの出番は1番目のようね。しかも一曲目から参加アイドル全員のデュオパフォーマンス。ステージ中は楽屋には誰も居なくなるんじゃないかしら。“ターゲット以外は”ね。』

 

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派手なイベントらしくターゲットは派手に退場してもらうことにしよう。進行表によれば961プロのステージは最後にでかい花火を放つらしい。とても大きな音だと思うのでその瞬間を狙うことにしよう。楽屋にはステージが確認できるモニタが備え付けられているのでおそらくそのモニタに釘付けだろうから工作もしやすいだろう。

と、楽屋からふとターゲットが出てきたと思いきや私の方に歩み寄ってきた。

 

「そこの君」

「はい、なんでしょう。」

「少し頼みたいことがあるんだ」

「何なりと申し付けてください」

「良い返事だ。実はな、765プロの楽屋に置かれる予定の酸素ボンベをすべてこちらに回してほしいのだ。」

「それですと765プロが使用する分の酸素ボンベが足りなくなる恐れがありますが?」

「それで良いのだ。ククク・・・あいつらがステージで醜態をさらすお膳立てとしては十分だろう!」

「よろしいのですか?」

「かまわん!この私が誰か知らないわけではあるまいな!口答えは許さん。わかったな!」

「わかりました。」

 

要求を言った後彼は楽屋へと戻っていった。どうやら765プロのアイドルを酸欠状態にして倒れさせるか酸欠にならないようにパフォーマンスを落とさせて客の期待を裏切らせる算段なのだろう。情報通りの工作好きのようだ。

私は酸素ボンベが保管されてる会場隅にある備蓄倉庫へ向かった。

 

備蓄倉庫には様々な物資が置かれていた。その中に酸素ボンベが入っているダンボール箱があった。箱はいくつかあり、側面には【961】【346】【765】【315】【876】と描かれていた。私はその中の【961】と【765】のなかの酸素ボンベの蓋をスパナで少しだけ漏れ出るように細工した。全部で20本以上あるため多少は時間かかったが問題なく全て細工し終えた。

細工した後、その2つの箱を台車に載せ、961プロの楽屋へ運んだ。楽屋はなにかの打ち合わせにでかけたのだろうか誰も居なかった。私は部屋の中を観察した。部屋には簡易的な椅子と机、姿見と化粧道具、そして彼女らの衣装があった。私はモニタの近くの壁際に酸素ボンベの入ったダンボール箱を置いた。楽屋を出ると入れ替わりのような形で961プロのアイドルとターゲットが戻ってきた。彼らは自分たちの楽屋から出てきたスタッフに怪訝な顔をしたがターゲットが何かしら話すと納得したようなしないような顔をしながら楽屋へ入っていった。

既にステージの向こう側では客が入り始めているらしく、段々と騒がしくなってきた。この喧騒ならスプレーが漏れ出ている音もかき消せるだろう。私はテントの裏側に回り込んだ。テントの裏側はいろいろな機材やコードが所狭しと並べられていた。私はそれらの機材をチェックするふりをしつつ時を待った。

 

 

 

しばらくして外のざわめきが一層大きくなった。ライブの始まりである。

 

“それでは皆様!各プロダクションが競い合って行うパフォーマンスを存分に堪能してくださいね!”

 

 

「よしお前ら!961プロの威光を存分に見せつけてこい!」

「「「はい!」」」

 

中で掛け声がした後、楽屋から961プロのアイドルが出ていくのが見える。アイドルたちはそのままステージ脇へと向かった。私はテントのすぐ裏の機材をチェックするふりをする。中からターゲットの独り言が聞こえる。

 

「ククク…私の偉業はとどまることを知らないのだ…ボンベはここにある。今頃765の慌てた姿が目に浮かぶようだ…」

 

 

 

~~♪

 

ステージが始まった。軽快な音楽と黄色い声援、地響きのようなその歓声などがドームに反響して木霊している。

私はテントの周囲を観察した。と、テントの目の前にスタッフが一人机で何かを書いていた。このままだと彼も巻き込まれてしまう。私は彼に近づいた。

 

「すみません、少しいいですか?」

「ん、なんだい?」

「315プロの方に酸素ボンベを追加で持ってきてほしいと頼まれたのですが、私は少しやらなければならないことがありまして代わりに行っていただけますか?」

「ああ、そういうことか。わかったすぐに持っていくよ。」

 

そういうと彼は備蓄倉庫の方へ走っていった。丁度そろそろ曲もクライマックスだ。私はテントから離れシルバーボーラーを取り出す。

 

~~~♪!!!

 

ドーンパシュボーン!!!

 

 

花火の音と同時にテントから透けて見えるモニタの光の少し下に向けてシルバーボーラーを撃った。弾丸はテントを貫通し、ボンベの詰まった箱に命中、ボンベはその衝撃で破裂し爆発、他のボンベも連鎖的に爆発し、テント内に充満していた酸素にも引火した。引火したことでさらに大きな爆発となり、テントは大きく吹き飛んだ。連鎖的な爆発は断続的な破裂音を引き起こしたが花火の連発に見事にかぶさってカモフラージュされた。遠くを歩いていたスタッフはその大きな音と衝撃と熱にパニックになりかけているがさすがプロフェッショナルだ。女性スタッフですらキャーキャー騒ぐということはなかった。数秒呆然と吹っ飛んだテントを見ていたがすぐに皆一様に状況確認を行おうと奔走し始めた。

テントの破片の内側には血なのか肉なのかわからないものがこびりついているのが見える。モニタの近くにおいたボンベが炸裂したため缶の部材が破片手榴弾のようにばらまかれたと推測される。その証拠にテントは無残にもいたるところでちぎれておりモニタの破片と思わしきものも大量に散乱していたため文字通り“ぐちゃぐちゃ”の状態だった。

私は何食わぬ顔でテントの表側に回り込み驚愕するスタッフに混じった。テントの破片の中に半分だけ原型をとどめている倒れたターゲットを視認できた。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

『ターゲットダウン。見事だったわ。ライブは中止かも知れないけどね。さあ、そこから脱出して。』

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

状況を確認するふりをして私は飛び散った破片の中を観察した。数分探した結果、私がモニタに向かって撃った弾丸を隣のテントの近くで見つけた。961のテントから隣の346のテントまでは5~6mは離れていたにもかかわらずここまで飛ばされたことに爆発の大きさが伺える。私は弾を回収した。

 

観客も異変に気が付き始めた。進行役のスタッフが奔走しているため961のアイドルが捌けた後もいつまで経っても次のプログラムへ移らないためだ。最も裏はそれどころではないが。

私は奔走するスタッフに混じって外に出た。外は未だに喧騒とまではなっていないが、時期に騒がしくなるのは目に見えている。遠くから消防車のサイレンも聞こえてきた。私はそのまま裏門から徒歩で脱出した。

 

 

 

 

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~1ヶ月後~

 

「今戻ったよ。」

「おかえりなさい社長、葬儀お疲れ様でした。」

「いやはやなんともね。親しかった友人の葬儀に出るのはまだ先だと思ってたんだが。」

「そうですね。いけ好かない感じでしたけどまさか亡くなってしまうとは・・・」

「うむ。ところで音無君は?」

「みんなのフォローに奔走してますよ。今度はケーキを作ってあげるんだ-って。」

「そうか。爆発事故で死者が、しかもそれなりに知ってる人物が被害者だからな・・・ショックも大きいだろう。」

「伊織なんかは『せいせいしたわ!』とか強がってましたけど若干震えてましたからね。」

「そういう律子くんは大丈夫なのかい?」

「はい、私も初めは沈んで仕事が手に付かない感じでしたけど、プロデューサー殿に元気づけていただきましたから。」

「そうか。彼なら今のアイドルたちもきっと癒やすことができるだろう。」

「ですね。では、私は仕事に戻ります!社長もいつまでもしょげてないでくださいね!」

「うむ。生きている私達がせねばならないことはまだまだたくさんあるからね。頑張ろう律子くん!」

「はい!」

 

 

 

 

ミッションコンプリート

・「塞翁が馬」  +5000 『ターゲットに指示された行動を用いて事故に見せかけ暗殺する』

・「悪魔の声援」 +3000 『観客に気付かれないように暗殺する』

・「派手な演出」 +3000 『ターゲットを爆発で暗殺する』

・「私は技術者」 +1000 『大道具班の服装のまま全てをこなす』

 

 

 




申し訳ありません。艦これイベントやってたら遅くなってしまいました。
黒井社長はいろんな悪事に手を染めるあまりいろんな方面から怒りを買ってそうだなと思いました(小並感)


次回は別アプローチです。
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