HITMAN『世界線を超えて』   作:ふもふも早苗

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HITMAN『偶像崇拝』の別アプローチです。

結局狙撃に頼るという・・・w Jaeger7が使いやすすぎるのがいけないんだ(暴論)
もうちょっとバリエーション付けたいなと感じる今日このごろ。



HITMAN『偶像崇拝』(もう一つの世界線)

『プリンセスドームへようこそ47。』

『今回は日本の首都圏近郊にある成武プリンセスドーム。ここで行われるアイドルフェスタというイベントに参加するアイドル事務所、【961プロダクション】の社長、黒井崇男が今回のターゲットよ。いろいろ悪どい商売をやってきたツケが回ったのかその商売の過程でCIAに知らず知らずのうちに喧嘩を売ってしまったようでね。今回のクライアントはラングレーよ。』

『準備は一任するわ』

 

 

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「楽しみ~!」

「私も!ねえねえ!推しは?」

「私はやっぱり~・・・天ヶ瀬冬馬くん!」

「やっぱりー。私は伊集院北斗くんかな!」

「あーわかるー!」

ワイワイガヤガヤ

 

 

私は今、アイドルフェスの会場であるドーム会場の入場口の列に並んでいる。無論入場するためではあるが、やたら熱気に満ちた男女の中にスーツの男が立っているのはなかなかに異様なのではないだろうかと少し不安になっている。しかしそういう層も一定数いるのか入場口では係員にチケットを見せると普通ににこやかに通してくれた。

 

今回、私はドームすぐ外側の休業中屋台の裏側に“Jaeger7”を設置してもらった。サプレッサーはそれなりに大型ではあるが完全に音を消せるほどのものではない。しかし、マズルフラッシュはほぼ完全に消してくれるので、音の方はアイドル達にご協力願おう。

 

外野席は侵入できないが、内野スタンドはそれなりに客が入っている。グラウンドはほぼ全面にアリーナ席が設けられており、外野グラウンドにステージが設営されている。バックネットすぐ後ろにはロイヤルシートと関係者席があった。今回のライブではバックスクリーンの大型ビジョンは使われないようで電源が入っていないようだ。

私は1塁側スタンドの後ろ側の席をとったが、席に座っておとなしくライブを楽しむことは出来ないだろう。現在時刻午後5時45分。ライブ開始は6時半からで、この時期は日が沈むのも早いため既に辺りは夕暮れで、すぐに電灯の灯りがなければ足元がおぼつかなくなるだろう。さらに言えばライブ中は場内の電灯も消灯され、ライブステージの明かりのみになるようなので私にとっては非常に好都合であると言える。

私は一旦、外周部の外の通路に出た。このドームはドーム内と外が繋がっており、屋外球場としての特徴も持っているようだ。と、おそらく物販ブース用の電源車と思わしきトラックのそばで係員が話しているのが見える。近くの物販ブースを遠目で眺めるふりをしつつ耳を傾ける。

 

 

「それで?あのお偉いさんのとこに酸素ボンベを持っていったのか?」

「ああ、961プロのトップだぜ?ただのライブスタッフであるオレに拒否権なんかねえよ。」

「そりゃそうだが、それで765プロの酸素ボンベはどうするつもりなんだよ?ライブ自体が失敗になるのは避けたいんだぞ?」

「あとで他のとこで余りそうな酸素ボンベを持っていってやるつもりさ。765のボンベを回せとは言われたが765にボンベを渡すなとは言われてないからな!」

「ははは!ちげえねえ。961プロの社長もいい加減に諦めたらいいのにな。」

「ほんとそれな。961プロの社長、酸素ボンベ移動し終えたこと伝えたらめっちゃ上機嫌になってたよ。ロイヤルシートのエリア入場パス持ってたから関係者席に座って一番見やすいところで失敗する様が見れると思ってんだろうな。」

####情報を発見####

「でもよ、ほかからの酸素ボンベが集められなかったら思惑通りになっちまうぞ?」

「ああ、だからそろそろ他の参加者のとこへ行って酸素ボンベ分けてもらう交渉しに行かねえとな。」

「大丈夫さ。ライブを成功させたいのはみんな一緒なんだから。なんだったら961プロのアイドルにも秘密裏に交渉してみるか?社長独断みたいだしな。」

「そりゃあいいや!・・・あ、でもちょっとその前にトイレだ・・・」

「何だよまたかよ!ったく、早く行ってこい!だからあれほど仕事前に冷たいものがぶ飲みするなって言ったのによ・・・。」

 

 

どうやらターゲットはライブが始まった後はバックネット裏の関係者席にてライブを鑑賞するようだ。その場から動かないのであればこれ以上にない絶好の狙撃機会になるだろう。問題はどこから狙撃するかであるが、ひとまずは今トイレに向かった男を追いかけることにする。

 

 

 

 

「ふー、あぶなかったな。っと紙紙・・・」

 

トイレでは既に用を足し終えた男が居た。私は他の個室に人が居ないことを確認した。ここは会場から離れている上に関係者しか入れない場所にあった。最も腰くらいの高さの作で区切られているだけな上、植え込みには柵はされてないので侵入は容易だった。私は隣の個室に入り、扉を少し開けた状態で待ち構える。

 

ジャー

 

男がトイレから出てきた。出入り口にある手洗い場に向かう。私はそこを後ろから首を絞めあげるようにして拘束する。十数秒抵抗していたが関節技も決まって男は気絶した。そのまま引きずり、先程出てきた個室に戻す。個室の鍵をかけ、男の服装を“借りる。”トイレの便器や荷物置きなどを足場に隣の個室に移り、私は何食わぬ顔でトイレから出て会場へ戻った。

 

 

 

 

 

現在時刻、6時15分。そろそろライブが始まるためか、外側にいる観客は少なくなってきた。代わりに関係者たちはてんてこ舞いだ。裏側はかなり慌ただしくなっている。その中に現場監督と思わしき男が居た、いろいろな方面に指示を飛ばしている。

 

 

「おい!機材のチェックは済んだのか!?マイクの用意は!メイク班にも急ぐように伝えろ!」

「チーフ!25番の機材はどこに置いておきましょう?外野席にでも置いておきますか?」

「あ?おお、そうだったそうだった。そうだな外野に置いておけ。誰にも見られないとこに置いておけよ。不要な機材がチラ見えしてたら雰囲気もへったくれもないからな!」

####アプローチ発見####

「わかりました!」

 

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『不要な物資はバックスクリーン近くの外野席に置かれてるみたいね。大きなステージセットのおかげでバックスクリーンは殆ど見えず、スタッフも忙しくて気にもとめてないわ。でもスクリーン上部には登れるようだから気づかれずに登るにはいいかも知れないわね。うまく行けば会場中が見渡せるわ。』

 

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私は外周部の休止した屋台へ向かった。休止している理由は単純で関係者しか入れない領域にあるためだ。誰もフランクフルト片手に機材チェックはやらない。屋台には他にも空木箱が何個かおいてあり、そのうちのいくつかはJaeger7を入れるに十分な大きさがあった。

私は空き箱の一つにJaeger7を入れ、もう2つ空き箱を余分に持ってチーフと呼ばれていた男のところへ戻った。

 

「チーフ。空き箱があったのですが、外野席に置いておいてよろしいですか?」

「あ?なんだその箱。そんなもんあったっけな・・・。まあいい!今忙しいんだ!外野に適当においておけ!」

「わかりました。」

 

そのまま箱を持って外野席に入る。外野席の両側は本来外と繋がっており吹き抜けになっているはずだが、ライブ会場の光を漏らさないためか外の余計な光を入れないためかはたまた目隠しか、とにかくカーテンのようなビニール製の布がかけられており、外からは見えなくなっている。難なく侵入し、スクリーンの根元、観客席からもスタッフからも見えなくなっている死角に大量に機材が置かれている。その中に空き箱をおいた。その時、会場の照明が暗くなった。

 

ジャジャーン!ワーワー!

 

ライブが始まったようだ。私は箱からJaeger7を取り出し、直ぐ側にあったスクリーン上部に登る階段を登る。階段はスクリーンとステージセットに完全に隠れており、最上部に登るまで誰にも見られることはなかった。

####アプローチ完了####

 

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『よくやったわ。ライブは見れないけれど、仕事をする上では特等席ね。』

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登ったところはスクリーンの右上角の裏側で、いろいろな制御装置が並んでいた。制御盤の上に乗り、スクリーンの上部から顔を出す。丁度ステージセットの最上段照明の裏側に位置しているようで、観客席からはおそらく逆光で見えない位置になる。私はJaeger7を構え、バックネット側の関係者席をスコープで覗く。関係者席は即席のテントのような形で、ステージ側以外からは中が見えないようになっているようだ。スコープで見渡したが、まだターゲットは来ていない。しばらくここで待機することにした。

 

ライブはどんどん進行する。最初の一組目のライブが終了したようだ。会場は割れんばかりの大歓声とアイドルの名前を叫ぶ黄色い声援と地響きのような拍手に包まれている。少し静まったかと思えばまた歓声が大きくなった。2組目のアイドルグループが登場したようだ。すると関係者席に動きがあった。私はスコープを覗く。一人の男が関係者席に入って来た。黒の背広に紫のシャツというなんとも悪役っぽい格好をしている。

 

 

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『アレがターゲットの黒井崇男。さあ、あなたが彼を栄光の王座から引き摺り下ろしてあげるのよ。』

 

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私はスコープの倍率を弄る。距離にして約200m。狙撃としては短距離の部類だ。風はほぼ無風。ドーム内とは言え側面は吹き抜けになっているため心配していたがあまり影響は無さそうだ。照準を彼の額に合わせる。あとはステージのパフォーマンス用の花火や観客の歓声に合わせるだけだ。ターゲットは座って落ち着いてステージを見つめている。幸いにして彼の座っている席のテントには他の関係者の姿はなく、中にいるのは彼だけだ。

ステージで演奏されている曲のテンポが上がった。そろそろフィナーレだ。私は引き金に指をかける。こちらの仕事もフィナーレといこう。

 

 

 

ジャーン!ドォォパシュンォォン!!ワー!パチパチパチ!!

 

 

 

花火と同時に発射された弾丸はターゲットの額にほとんど誤差なく命中した。

芸能界の独裁者は死んだ。万雷の拍手の中で。

 

 

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『ターゲットダウン。いい仕事ぶりね。さあ、そこから脱出して。』

 

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花火とともに射撃したおかげで発砲音はほぼ完全にかき消せた。ターゲットは撃たれた直後に後ろに倒れ込んだため、観客はおろかスタッフすら気がついていないようだ。更に見てみると彼の後ろのテントに“961”と書かれたロゴマークがあった。おそらくあの席はターゲット専用の席だったのかも知れない。

 

私は階段を再び降り、元の空き箱にJaeger7をしまうと、そのままその箱を持って裏から外に出た。箱を元の屋台に戻した後、再びトイレに向かった。トイレは会場から離れている。歓声や爆音はそれ程聞こえてこないため、最初のスタッフは未だに気絶していた。私は彼に服を着せると、元々自分が来ていたスーツを着た。

 

私はすぐにドーム前にある駅へ向かって歩き出したが、そこで周りからの妙な視線を感じた。考えてみればスーツ姿の大男がアイドルのライブに来てるのも十分異質にもかかわらず、そこからさらにライブも始まったばかりで帰るとなると不審に思われるのも仕方がない話である。不審に思われるのは良いことではないので私は踵を返してドームに戻る。不審に思われないようにライブが終わった後の雑踏に紛れて脱出するのが良いだろうという判断だ。決してライブが見たかったとかそういうことではないのはここに宣言しておくことにする。

 

 

 

 

 

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~ライブ終了5分後~

 

「「お疲れ様ー!」」

「今回も大成功!だったね!お客さんもすっごい楽しんでくれたみたいだったし!」

「そうね。春香がソロ曲のときに歌詞ど忘れしかかったときはヒヤヒヤしたけれど。」

「もうー!千早ちゃん!それ内緒にしてっていったじゃないー!」

「そうは言うけれど春香。みんな知ってることよ?」

「え?!本当!?」

「そだねー。あのときのはるるんは誰が見ても焦ってたもんねー。」

「私も見ててドキドキしました~」

「私からすればあずささんもなかなかにヒヤヒヤなところはありましたけどね…二人共!あとでミーティングだからね!」

「あら~?」

「えぇ~そんなぁ~。」

ハハハハハ

「楽しそうじゃねえか。」

「君たちいつも賑やかだよねえ。」

「あ、鬼ヶ島羅刹!」

「違うよ亜美!ピピン板橋だっけ?」

「天 ヶ 瀬 冬 馬 !!!最初のは“ヶ”しか合ってねえし後のは文字数しか合ってねえじゃねえか!!」

「まあまあ、そのへんにしときなよ竜馬。」

「翔太?!お前もか!?」

「あはは・・・で、どうしたんですか?二人して765のテントに来るなんて。」

「ああ、それがね。クロちゃん見なかったかなって。玲音ちゃんと詩花ちゃんが探しててね。」

「黒井社長?いえ、見てないけど・・・961のテントには居ないの?」

「ああ。それでオレたち3人も手分けして探してたんだが・・・」

「冬馬が765のテントの周りでウロウロしてたのを見て僕がひと押しね。」

「ちょ、おま、なんで言う」

「でも765にもちょっかい出しに来てないってことはほんとどこで何やってんだろ・・・。とりあえず見かけたら連絡して。できればでいいからさ。」

「わかったわ。こっちでもいろいろ当たってみるけど、送迎のバスがもうすぐ来るからそれまでになっちゃうけどね。」

「助かるよ。じゃあ。お疲れ!」

「「お疲れ様でした!」」

 

 

 

 

・ミッションコンプリート

「笑顔が一番!」   +3000 『ターゲットを暗殺する。ライブが終わるまでアイドルに気が付かれてはいけない。』

「バーンウッドの代役」+1000 『ライブを最後まで見る。』

「バックホーム」   +2000 『バックスクリーンから関係者席にいるターゲットを狙撃する。』

「雲の上の存在」   +1000 『バックヤードでアイドルに見られてはいけない。変装も不可。』

 

 




ぶっちゃけて言うとアイマスは765と961と346しか知りません(暴露)


2019/06/17追記
後々扱いに困るアイマス世界ですw


次回はカントー地方へ向かいます。
多少ドンパチします。

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