『ククイの村へようこそ47。』
『ここはブラジルはククイ村。コロンビア、ベネズエラとの三カ国の国境に位置する村よ。コロンビアやベネズエラに簡単に出入りでき、なおかつブラジル側は広大なアマゾンだから秘密裏に何かをするにはもってこいの場所。』
『今回のターゲットはブラジル軍将校のアルビデ・デ・パラウ大佐。ベネズエラ軍のミハエル・ブブス中佐とコロンビア革命軍のカラマ・ラモス少佐。この3名よ。情報によるとこの三名はブラジル、ベネズエラ、コロンビア、それにペルー、エクアドル、チリ、アルゼンチンとほぼ南米全域での同時クーデターを計画しているようなの。このククイの村でまず三カ国の有力者が集まって他の国々への働きかけの準備をしているようなの。クーデターが成功すれば統一された“南米連邦”が誕生することになるわ。そしてその南米連邦はほぼ間違いなく反米反資本主義反カトリックになる。合衆国としては非常にまずいことになるというわけ。』
『今回のクライアントはペンタゴンの南米コマンド。最近の合衆国は国内の反戦運動の高まりから他国への干渉がしづらくなっているの。でもこのクーデター計画を放置していれば間違いなく第三次世界大戦の発端になる。だから我々に依頼が来たって言うわけ。』
『今回は我々ICAだけじゃなく、外部の特殊部隊チームが支援に来るそうよ。何でも“伝説の英雄”が来るんだとか。楽しみにしていてね。』
『準備は一任するわ。』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
久々だ。ここまで蒸し暑く、息苦しく感じるのは。
私は今ククイ村にある一軒の小屋、ICAが用意したセーフハウス…といえば聞こえは良いが実情はただのトタンで出来た掘っ立て小屋だ。冷房なんてものはなく、即席で作ったためなのか元々なのか電気すら無い。
目標となるターゲットは川の向こう岸の密林の中にベースキャンプを設置しているらしい。向こう岸は完全なジャングルになっており、奥まで見通すのは不可能だ。とにかく向こう岸に渡らないと話にならない。私は村でボートか何かを探すことにした。
街の中心地、と言っても人影はなく、あるのは寂れた一軒の郵便局だけだ。が、その目の前の川岸に桟橋があり、一艘のボートがあった。一応エンジンが付いているので使っているものなのだろう。あたりを見回し持ち主と思われる人物を探す。しかし先程も言ったように辺りに人影らしいものはまったくなく、ボートの持ち主もわからない。仕方ないので“借りる”ことにする。
エンジンを付けて走り始めても人が慌てて出てくる様子もない。ほんとにここに人が住んでいるのだろうか?川幅は約700m。エンジン付きボートならものの数分で到達できた。川辺の岸壁に止め、一応近くの木に流されないように係留ロープを引っ掛けておく。
ICA情報部によれば川辺からさらに700mほどジャングルを進んだ先に開けた場所があり、そこにベースキャンプを作っているということだ。だがこのような場所に作る軍のベースキャンプだ。十中八九ジャングルは罠だらけだろう。慎重に進まなくてはならない。私は足元のトラップを警戒しつつジャングルへ入っていった。
思ったとおりジャングルは罠でいっぱいだ。鳴子や落とし穴等の簡易的なものから、ロープに引っかかるとスパイク付き丸太が降ってきたり、挙句の果てにクレイモア地雷まであった。地元住民が迷い込んだらどうするつもりなのだろうか。罠は解除または避けつつ、地雷も解除しながら慎重に慎重を重ねさらに進む。
・・・ん?今茂みで何かが動いたような。目を凝らして凝視する。
「・・・」
「・・・」
目が合った。明らかに目が合った。茂みには匍匐状態で隠れている男が居た。私はとっさにシルバーボーラーに手を伸ばした。次の瞬間目にも留まらぬ速さでこちらに近づき、取り出したシルバーボーラーを持つ手に手刀を食らった。
「ぐっ!」
「ふっ!」
そのまま男は私に格闘戦を仕掛けてきた。腕を絡め取ろうとする男を躱しつつ逆に絡め取ろうとするがそれも華麗にかわされる。非常に訓練された軍人のようだ。足払いも何度かくらいかけたがなんとか躱した。何回かの応酬のあと、目に止まったものがあった。男の肩に着いているワッペンだ。キツネがナイフを咥えているそのワッペンには見覚えがあった。
「フォックスハウンド・・・!」
「!?」
男が怯んだ。私はとっさに距離をとった。
「フォックスハウンドを知っているということはお前が例の組織のエージェントか?」
「そういうお前は例の特殊部隊というやつか。」
「なるほど。少なくとも敵ではないようだな。」
「そうなるな。私は47。そう呼ばれている。」
「スネーク。とでも呼んでくれ。」
「スネーク、ここにいる目的は・・・同じか?」
「待った。お前も上から聞かされてないか?オレたちの間では“コイツ”を使う。」
そう言うと彼は耳から首にかけて付けている装置を指し示した。ブリーフィングで説明は受けていたし、その装置も受け取っている。いわゆる“無線通信”というやつだ。私はそちらに切り替える。
~以下無線通信~
「これでいいか?」
「ああ、これで周りに余計な音を立てずに話すことができる。本当は体内通信のほうが安全なんだがお前はナノマシンが入ってなさそうだからな。俺の周波数は141.80だ。」
「わかった。こちらの周波数は140.48だ。」
「140.48・・・オルガと同じか・・・」
「オルガ?」
「いやこっちの話だ。」
「で、目的の話だが、私の目的とスネークの目的は同じということでいいのか?」
「ああ。パラウ大佐、ブブス中佐、ラモス少佐の排除。それが目的だ。」
「ふむ。既にここに潜入していたのか。」
「ああ、目標の3人は今ベースキャンプにいる。どうやら何かの知らせを待っているようだが。」
「敵の位置か規模はわからないか?」
「ベースキャンプの周囲を常に2人1組で巡回する警備兵がいる。内部は3つの建物のうち一番大きな司令部に5から8。細長い宿舎に4から6。残る1つは弾薬庫で常に2人の警備兵が入り口に立っている。内部には居ない。」
「即席のベースキャンプにしてはやけに厳重かつ装備が充実しているな。」
「ああ。俺もそれは気になった。どうやら相当前から計画して準備していたようだな。」
「で、目標は?」
「司令部だ。司令部の2階に作戦司令室のような部屋があり、そこにいつもいるようだ。」
「なるほど。何かプランはあるのか?」
「こっちも偵察くらいしかまだしていない。潜入プランはこれからだな。」
「ならば私が先陣を切ろう。」
「大丈夫なのか?言っちゃ悪いがこんなジャングルにスーツで来てるやつに何ができるか不安なんだが・・・。」
「大丈夫だ。支援が必要なときは通信する。だがまずはベースキャンプまで案内してもらおうか。」
「ああ、わかった。」
私はスネークに案内されベースキャンプへたどり着いた。道中聞いた話ではあるが、ジャングルにあった罠やクレイモア地雷等のトラップはすべて彼が仕掛けたものだったらしい。なんともはた迷惑な話だ。
外周部を回る巡回の警備兵が見える。私は彼にここで待つよう合図を送ると、警備兵に近づいていった。大きめの石と木の枝を持って背後に近づき、枝を前方明後日の方向へ投げる。
ガサッ
ン?ナンダ?カクニンシロ!OK!
警備兵の一人がルートを離れ茂みを確認しに行く。私は早足で残る一人に近づき、後ろから石で殴打する。軽くうめき声を上げながら警備兵の一人が気絶する。倒れないように抱きかかえつつ、そのまま石をもうひとりに投げつける。石は茂みを確認していた警備兵の後頭部に当たり、そのまま茂みに倒れこむように気絶した。
「ほう、なかなかうまいもんだな。」
私はそのまま抱きかかえた警備兵も茂みに押し込むといつもどおり服を“借りた”。いつの間にか後ろに来ていたスネークに後方援護を頼むとしよう。
「私はこのまま内部に潜入する。どこか見晴らしのいいところでいざというときの援護射撃を頼む。」
「俺も潜入には自信があるんだがお前もなかなかなようだな。いいセンスだ。わかった。今回は任せてみるとしよう。」
私はそのまま警備兵の装備を借り、何食わぬ顔で巡回ルートへ戻った。一周周り正面ゲートに差し掛かったとき、ゲート付近に2人の警備兵がいるのが見えた。こちらに近づいてくる。
「交代だ。ん?もうひとりはどうした?」
「今腹を壊してトイレに駆け込んでいる。周囲は異常なしだ。」
「そうか、ジョニーの他にも腹痛になるやつが出るとはな・・・。そいつが戻ったら拾い食いはするなと伝えとけ。」
「了解した。」
私は難なく基地内に潜入することが出来た。そのまま司令部棟に侵入を試みようとするが、他の兵を見ると入る時に簡単にだが所属と名前を確認している。このままではバレてしまうので棟の周りを観察する。東側の窓2つの内片方が開いているのを確認した。周りを見渡し、窓の縁に足をかけ・・・
「ふわぁ・・・お?」
「・・・」
もう一つの窓から兵士が顔を出した。一瞬目が合う。これはまずい。
「・・・?!て!てk」パシュン ドサッ
「・・・!」
奇声を上げつつ中に引っ込んだ。通信が飛んでくる。
「危なかったな?」
「支援感謝する。スナイパーライフルか?」
「ああ、安心しろ。麻酔弾だ。殺すかどうかはそっちに任せることにしよう。」
「目的が達成できれば目撃されたかどうかは正直どうでも良くなる。そのまま続行する。」
「俺としたらこのまま基地内にいるやつを片っ端から眠らせてもいいと思ってるんだが?」
「それは止めておいたほうが良い。麻酔弾の弾が足りなくなるだろう。」
「安心しろ。“無限バンダナ”だ。弾はいくらでもある。」
「“無限バンダナ”・・・?」
「とにかく、任務を進めよう。麻酔弾はガラスは貫通できないから中の支援は基本的にできないと思ってくれよ。」
「わかった。」
改めて私は司令部棟の中に侵入する。それにしても無限バンダナとは一体何なのだ・・・。バンダナ程度で補給の心配がなくなるとは・・・。今度ICAの技術部にも頼んでみようか。
司令部棟内は1階に4つの部屋と2階に大小3つの部屋がある。私が入ったのは1階南東の部屋、先程兵士が引っ込んだのは北東の部屋だ。発見されると面倒なことになるので私はまず北東の部屋に向かった。向かったと言ってもドアを出てすぐ横のもう一個の扉の中に入るだけだが。
中では見事に大の字になって寝ている兵士が居た。首筋の動脈に寸分違わず麻酔弾が打ち込まれており、どの程度の距離から狙撃したのかはわからないがかなりの腕だ。少なくとも私ではここまで正確に狙うことは出来ない。私は眠った兵士をソファに横たえさせた。隠しておくロッカーやゴミ箱が見当たらないためだ。これなら麻酔針さえ抜いてしまえば誰かに起こされても居眠り後、起きたやつが敵襲を報告しても寝ぼけてるとして処理されるだろう。
兵士を処理した後、私は2階へ上がった。2階は東側に大きな司令室。西側に細長い倉庫とその間北側に小さくトイレがあった。私はまずトイレに入り、窓を開けた。予想通り、建物の外壁には丁度2階の床になる高さに出っ張りがあった。私はそこを伝い、隣の司令室へ近づいた。中で話し声が聞こえる。窓に鍵がかかっていなかったため少しだけ開けて聞き耳を立てる。
「だからうちの部隊がやると言っているだろう!」
「いいえ少佐。少佐の部隊は既に面が割れている物が数多くいる。ボゴタでのテロ攻撃がCNNにスクープされたのはまずかったですな。」
「問題はない!我がFARCの精鋭部隊は面が割れてる程度で怖気づいたりも作戦に支障があったりもない!」
「現実で考えてください少佐。ここは無難に現地のコロンビア軍にやらせるべきです。第一、あなた方が大統領を暗殺してもクーデターではなくテロ攻撃としか受け取られませんよ?」
「だからといって成り上がりのあの将軍に手柄を渡すなど・・・!」
「まあまあお二人とも。少し落ち着きなさい。焦っても何も始まらないですよ。」
「パラウ大佐・・・」「ぐっ・・・」
「第一まだ我々は会合を開いただけで何もしてない。やましいことはなにもないのです。」
「だがうちの部隊は!」
「FARCには今後もご協力を願いますよ?我々ブラジル革命派のためにもね。」
「それは・・・わかっているが!」
「だったらこの話は一旦終了です。コロンビア大統領はコロンビア軍が、ブラジル大統領は我々が。ベネズエラ大統領はブブス中佐が。それで決定です。」
「ぐっ・・・。」
「さて、私は少し用があるのでちょっと失礼しますよ。なあにすぐに戻ってきます。」
「はっ!了解しました大佐殿!」
「・・・了解。」
ギィーバタン
「ブブス中佐、1つ言っておくが我々の部隊は既に準備万端整ってこのベースキャンプの北西部に潜ませている。私の意向次第ではこのベースキャンプなど一瞬にして灰にできることをお忘れなく。」
####アプローチ発見####
「ラモス少佐、それは脅しですかな?」
「忠告だよ・・・。では私も少し失礼。」
ギィーバタン
「愚かなゴロツキだ。北西に部隊が展開していることなど百も承知。我々ベネズエラ軍も北東に待機させているのを知らんらしいな・・・。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『ベースキャンプを守っているのはブラジル軍。その北東にベネズエラ軍。北西にはコロンビア革命軍。もし火種が投下されれば三つ巴の大乱戦になるわね。うまくすればその混乱に乗じて彼らを始末できるかも知れないわ。』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
私は一度トイレに戻り、トイレ内で通信を行った。
「スネーク、聞こえるか。」
「ああ、聞こえてる。どうだ、なにか有効な情報はあったか?」
「北東部にベネズエラ軍。北西部にコロンビア革命軍が潜んでいるらしい。お互いに睨み合ってるような状況らしく、火種を投下できないだろうか?」
「そういうことならおまかせあれ。喧嘩をふっかけるのは得意だ。いつ始める?今からでいいか?それとも日没を待つか?」
「いや気絶させた兵士が起きる前にやりたい。今からでいいだろう。」
「わかった。すぐ賑やかになるぞ。備えろ。」
トイレから出た私はそのまま反対側の部屋に入る。ここは倉庫のような扱いになっているらしく、いろいろなよくわからない機材が並べられている。
ダダダダダ!ドーン!
その一番奥に隠れていると外から銃声と爆音が聞こえ始めた。爆音の方はかなり近くらしく、基地内に着弾したようだ。部屋の外から叫び声が聞こえる。
「ラモス!ラモスはどこだ!」
「なんだ中佐。この騒ぎは何だ!」
「とぼけても無駄だ!こちらはまだ結論を出していないというのに脅しだけでは飽き足らず攻撃してくるとは恥さらしの裏切り者め!」
「なんだと!?我々は攻撃の指示は出していな・・・わかったぞ!お前だな!ブブス中佐!」
「な、なに?!」
「我々と手を組むのが嫌だったお前は我々が攻撃したと嘘を付き、偶発的な戦闘で我々を葬ろうというわけだな!そうは行くか!」
「何をバカなことを!貴様!」
「貴様らと手を結んだのが間違いだった!」
「あ、おいこら待て!誰かその裏切り者を殺せ!」
バババダダダ
「ブブス中佐!」
「大佐!ラモスのやつが・・・」
「そんなことはどうでもいい!貴様の兵がこのキャンプを攻撃しているとの知らせを受けた!私の案に賛成できなかったお前がこういう実力行使に出てくることは想定済みだ!南部に展開中の部隊を呼んだ。貴様はもう終わりだ!」
「な・・・貴様!お前たちグルだったのか・・・!チクショウ!」
ダーンダーンダーーンババッババ
なんとも大変な状況になった。三つ巴の戦闘に発展し、お互いがお互いを狙う状況になった。軍事協定は紳士的な者が行わないとこういう結果になるのだ。通信が入る。
「おう、だいぶ派手になったな。」
「スネーク。一体何をやったんだ?ここまで三つ巴になるとは。」
「なあに。ちょこっとコロンビア軍のほうからベネズエラ軍の方に向かって1マガジンAKをぶっ放し、ベースキャンプの宿舎に向かってRPGを撃っただけだ。」
「なるほど。それで裏切られたと言っていたのか。」
「ほほう?それはまた怖いくらいに思惑通りだな。ああそうだ。さっきベースキャンプ内にあった車で逃走しようとしていたラモス少佐だが、車に乗り込んだところでRPGでふっとばしといたぞ。」
「そうか。それは手間が省ける。もう2人は今絶賛部屋の外で銃撃戦中だ。」
「それはそれは。こちらも実弾に切り替えて援護するからお前はそこから脱出したほうが良い。」
「そうさせてもらう。スナイパーの援護があるなら私が手を下すよりも確実だろう。どのみちこの状況では悠長に死体の確認はでき無さそうだ。」
「ああ。南側の窓から外に出ろ。外周のデッキの西側の下に資材があるからそこからおりられそうだ。」
「助かる。安全が確保できたらまた連絡する。」
「ああ。死ぬなよ。」
「そちらも。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『衛星でラモス少佐の死亡を確認したわ。彼はなかなかの腕前ね。動き始めたジープの側面に正確にRPG-7を当てていたわ。』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ドーン!
とうとう奴らまでもロケット弾を使い始めた。本格的な戦争状態だ。願わくばこれが本国の正規軍にまで波及しないことを祈ろう。私は情報通り南側の窓から外の外周デッキに出て西側の資材置き場を足がかりにして下に降りた。そのまま応戦するブラジル軍に混じりつつ門の外へ出る。門の外はすぐに密林だ。身を隠す場所などいくらでもあった。
「よう!」
「・・・!」
いつの間にか近くまでスネークが来ていた。出会うやいなやスネークは私に銃を手渡してきた。
「その様子だと武器は拳銃くらいしか無いんだろ?これを貸してやる。俺の見立てではそろそろあの正面扉からどっちかが出てくる。そこを仕留めるんだ。2人同時に出てきたときは俺も同時に打つからな。」
「・・・わかった。」
渡された銃はレミントンM700。良い銃だ。彼はSVDを持っていた。あちらもよく手入れが行き届いていそうだ。私は木の陰からスコープを覗き構える。
ダン!
扉が勢いよく開いた。と、同時に中から2人の人影が転がり出てきた。ターゲットの二人だ。二人共拳銃を両手に持っている。ガンカタでもやっていたのだろうか?
「俺は左をやる。良いな?3、2、1、」
ダァン!ダァン!
我々が放った弾は二人を直撃した。が、相手が動いていたため私が撃った方は胸に。スネークが撃った方は頭部に命中していた。これが腕の差ということなのだろうか。訓練施設で射撃訓練を受け直す必要があるだろうか・・・。
「気にするな。どうせあの傷では1分と持たない。」
「・・・撤収する。」
「ああ。長居は無用だな。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『ブブス中佐、パラウ大佐両名の死亡を確認。よくやったわ。そこを脱出して。』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
私達はジャングルの中を敵に発見されないように気をつけながら進んでいた。
「じゃあ俺はここまでだな。」
「スネーク。」
「今回は助かった。オレ一人だともう少し時間がかかっていただろう。明日か明後日くらいまでかかることを想定していたからな。」
「こちらこそ再三の援護感謝する。スネークが居なかったらもうもっと慎重に事を進めなければならなかった。」
「ふむ。機会があったらまた会おう。」
そういうとスネークはジャングルの茂みの中に消えていった。カモフラージュは得意と言っていたが別れてからものの数秒で見えなくなるのはさすが伝説の英雄か。
私は川岸まで戻り、係留していたボートに乗って対岸に渡り脱出した。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~6時間前~
『あなたが伝説の英雄さん?』
「その呼び方は嫌いだ。そういうお前さんは誰だ。」
『私はダイアナ。ICAのオペレーターをしているわ。』
「ICAか。何度か誘いが来たが俺は殺しは好きじゃない。」
『わかってるわ。長官もそう言ってたし。今回通信している理由は勧誘じゃないのよ。』
「ふん?」
『うちのエージェントがあなたと同じ目的で現地に行くことになったの。支援してあげられないかしら。』
「それはそれは。天下の暗殺集団ICA様から直々のお達しとは。光栄極まれるな。」
『茶化さないで。うちも諜報員不足でまともにあなたと張り合えるのは今回派遣される47くらいしか居ないんだから。一応最近新たな候補生は2人入ったけれど。』
「そうか。で、俺はそいつと何をすればいい?そいつを罠にはめてそいつが手間取ってる間にちゃっちゃと任務を終わらせるか?」
『協力って言ったでしょ。大丈夫。衛星情報や周辺の情報はこちらから回すわ。』
「回すってどこに」
ピー
「僕のところにだよスネーク。」
「オタコン。」
「彼女は味方さ。少なくともこの任務中はね。」
『彼は面白いわね。最初こちらから情報を送信したら不正アクセスだと思ったのか、うちのサーバーにハッキングを試みようとしてきたのよ?』
「それは何の前振りもなく情報を送りつけてくるからだろう?しかもアドレスに【g◯ggle.com】と来たらウイルスを想定するのは当たり前だ。」
『キャンベルから聞いたと思ったのよ。ちょっとした手違いね。情報は得られたんだから問題はないでしょう?アドレスはちょっとした茶目っ気。』
「ちょっとまて。ダイアナさんとやら。大佐とも知り合いなのか?」
『知り合いも何も。ロイ・キャンベルは私の大学の同級生よ?』
「あんた一体何歳なんだ・・・。」
『レディに年を聞くものじゃないわ。』
ミッションコンプリート
・「伝説の英雄」 +1000 『スネークと合流する。』
・「ニアミス」 +1000 『スネークに3回以上援護される。』
・「7.62mm玉」 +2000 『スネークの代わりに基地に潜入する。』
・「少し早い内乱」+5000 『2名以上のターゲットに同士討ちさせる。』
スネークは殺すのは好きじゃないと思います。たとえ兄弟に「殺戮を楽しんでるんだよ!貴様は!」と罵られてても。
次回は別アプローチです。