『ラグドリアン湖へようこそ。47。』
『あなたは精霊って信じるかしら?普通なら信じられない存在もこの湖には実際に“水の精霊”っていう存在が棲んでいるらしいわ。特定の家系の人物が呼びかければ応じて現れるみたいね。』
『実はその水の精霊なのだけれど、今回のクライアントなのよ。最近、近隣集落の軽工業からの排水をこの湖に流している不届き者が居るんですって。はじめのうちは一時期だけと思って見逃していたらしいんだけど、もうかれこれ10年になるらしいの。流石に長期化する懸念が出てきたということでその排水を流している工場の社長の暗殺依頼よ。』
『報酬を払えるのか不安だったけれどちゃんと金貨は持ってるらしいわ。それでもこちらの提示した額には届かなかったようだけれど、代わりに足りない分を【水の精霊の涙】という高価な原料を分けてもらえることになったのよ。3リットルほど。技術部が前回に続いて非常に喜んでいるわ。』
『それと。これは別件なのだけれど、最近開発した“死者を蘇らせる薬”、我々は【リザレクター】と呼称することにしたのだけれど、その実験データを開発した研究員が持ち出してしまって、実証実験資料が手元になくなってしまったの。上層部としては効果が書簡で確認できないものを実戦投入するわけに行かないということで追加試験が必要になったのよ。』
『それで思い出してほしいんだけど、“シャルロット・エレーヌ・オルレアン”という人物を覚えているかしら?あなたが以前トリステイン魔法学院で暗殺したターゲットなんだけど、その遺体がどうやらこの近くの墓地に埋葬されてるらしいの。死んで富も名声も交友関係すら白紙に戻った元凄腕の暗殺者。復活させられたら面白いことになるわ。47、あなたスカウト業に興味はあるかしら?』
『でも第一は今回のメインターゲットの暗殺が主任務よ。名前は“ガンダ・ボルゴレッゾ”というらしいわ。小太りな白人で身長は160前後。いつも頭にベレー帽のような帽子をかぶってるのが特徴ね。』
『準備は一任するわ。』
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サァァ…
心地よい風が吹いている。新緑の間から見える太陽の熱が春も終わり夏が近づいているのを感じさせる。
私は今ラグドリアン湖北東に位置している村、【ロキニョル村】に来ている。10数件の家屋とそれなりな広さの畑、そして湖と森に囲まれた田舎の村だ。この村は南に少し行くとすぐにガリア王国との国境になり関所が有るようだ。そのため王都トリスタニアから続く道はそれなりな広さでこの村を貫いている。
今回はサブ目標として私が以前暗殺したターゲットに新型の蘇生薬を試すというものが含まれているため、その蘇生薬、【リザレクター】といったか。それを持参している。何のことはない普通のサプリメントが入ってそうな手のひら大の半透明の瓶だ。中には何やら薄紫色をした液体が7分目ほどのところまで入っている。これを死体にふりかけるだけで良いらしいが・・・。
何はともあれまずはターゲットの暗殺が優先任務である。私は街の中を捜索しようとしたが、捜索するまでもなく、街につくやいなや町外れの納屋のような建物から煙が出ているのを発見した。他の家屋の煙突から出る煙は白なのに対し、その納屋のような建物の煙突からは黒煙が出ている。おそらくあの納屋がターゲットの経営する“工場”なのだろう。
工場はそれほど大きくはなかった。確かに周囲の家屋と比べれば1回り大きいが規模で言えば町工場という方が正しいだろう。2階建てのようで、入り口には会社名と思わしき立て看板が掲げられているが残念ながら読めなかった。
少し離れたところから観察していると、中から作業員と思わしき人が手押し車を押しながら出てきた。積んでいる積み荷はどうやら穀物のようだ。そのまま建物の裏側へ回っていった。その先には少しくぼんでいるゴミ捨て場のような領域があった。おそらくあそこに廃材を捨てに行っているのだろう。私はすばやくその後を追った。
手押し車を前に傾け中身を出している作業員の後ろから羽交い締めにし、口をふさぎつつ首を絞める。突然のことに驚いていたのもあったのか、すぐに動かなくなり気絶した。私は作業員から作業服を“借り”、作業員をゴミ捨て場と思わしき窪地に投げ込んだ。ゴミ捨て場と言えど内部は籾殻のようなものと土が入り混じっており、沈んでいくこともなくそのまま横たわった状態になった。しかし窪地のため近づいて覗き込まない限り周囲から見えることはないだろう。
私は空になった手押し車を押しながら工場内に潜入した。
工場内は予想よりも暑かった。どうやら穀物を使ってなにかの缶詰を作っているようだ。製品を作る際になにかの液体と一緒に煮込んでいるのが見える。おそらくあの煮込んだ後の残り汁を湖に不法投棄しているのだろう。
少し高いところからあたりを見回している人物を発見した。どうやら現場責任者のようだ。その後ろに小太りのベレー帽をかぶった男が居た。
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『アレがガンダ・ボルゴレッゾ。工場長にして精霊を怒らせた張本人。』
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ターゲットを発見したがそこへ行くまでが遠そうだ。まずターゲットの居る位置は全体を監督する現場責任者クラスが居るところのようであり、そこへは簡易的ながらエレベーターで行く必要があるようだ。そのエレベーターは見たところ2つの鍵が必要のようであり、おそらくターゲットと現場責任者、もしくはそのどちらかが持っているのだろう。
もう一つはその立っている場所が下から丸見えなことだ。床は荒目の金網で、少し動いただけでもガシャンガシャン音がしている。加えて奥行きもそこまで広いとは言えず、隠れられそうな場所も、死体を隠せそうな場所も見当たらない。有るのは簡易的な椅子と机と小さめのホワイトボードだけだ。
っと、もう一つ付け加えると、今現場責任者のほうが降りてきた。その際、エレベーターは結構な大音響で可動しており、工場内のあらゆる機械の音にも負けない騒音を発している。この音の感じだとおそらく昇降には歯車を使っていて、その歯車が錆びているのだと推測できる。
流石に現場監督レベルだと変装が見破られる可能性があるので私は目立たないように資材チェックをしている風を装いながらチャンスを待った。
チャンスが訪れたのは日が完全に直上に来たお昼になってからだった。どうやらターゲットは昼食もあそこで取っているらしく、簡易的な長机の上に弁当を広げている。他の作業員の話を聞く限り、仕事が終わった後は従業員全員と同一の宿舎に帰っているようだ。だとすれば仕事中にすべてのケリを付けたいものだ。そう思っていると、現場責任者を残してほとんどの作業員は外へ出ていってしまった。皆一様に弁当を持っているようなので天気がいいから外で食事ということだろうか。
私は現場責任者の位置を確認する。彼は大きなボイラーのような装置の前でなにかの調整をしており、そのボイラーの向こう側にターゲットが居る。今ならボイラーが影になってターゲットからは見えないはずだ。私は万が一外から見られる可能性も考慮して、ボイラーの隣りにある食材を裁断する機械のけたたましい音に乗じて扉を締めた。
「くそったれめ。このポンコツ手こずらせやがる・・・」
「私が手伝いましょうか。」
「ん、頼む・・・」
ドゴッ
「ガッ…グフ…」
ドサッ
彼の後ろから静かに近づき、彼が振り向いた瞬間に顎に拳を食らわせた。作業服は口元を覆う布巾のようなものを着用するため、顔は瞬時にはわからないはずだ。
彼はゆっくりと弄っていた機械にもたれかかった。その拍子になにかのレバーが作動した。
ガーガタガタガピーピー
この世界の機械は原始的な歯車で作られており、機械というよりは絡繰と言ったほうが正しいかもしれない。しかしそれでも操作を間違えればおかしな動作をするのはどの世代の機械でも一緒だ。あからさまにおかしな音を立ててボイラーとその横の裁断機が動き出した。
「ん?何やってんだ、マーク。機械が動いちまってるぞ!」
上に居たターゲットが休憩中だと言うのに稼働し始めた機械に不審に思ったのか大声で叫んで問いかけてきた。
「すみません。ぶつかった拍子に動いてしまったのですが止め方わかりますか?」
「ああ?お前新人か。マークはどこ行った?」
「マークさんは今しがた外へ出ていかれましたが。」
「ったくしょうがねえな・・・そこで待ってろ。」
私は少し場所を変えて返答した。ターゲットはこちらが何者か気がついていないようだ。動き出した機械に負けず劣らずの大きな音を立ててエレベーターが動く。ターゲットが降りてきた。
「で、どれが止められないって?」
「これです。どうやらこの辺りが。」
私は裁断機の食材を入れる箇所を示す。
「なんでえチョッパーか。こいつはな、最近調子が悪くてな。ガーゴイルと似た技術を使って動かすとか言ってガリアの技巧ギルドは言ってたんだがどうも馬のように気性が荒いんだ。」
「なるほど」
ターゲットは動き続ける裁断機を指し示した。ここまで来ればやることは1つだ。
「では食材を入れれば直りそうですね。」
「え?何いってんだ?こいつドンわぁぁぁぁあ!?」
私は後ろに回り込み、その小太りな背中を強く突き飛ばした。彼は裁断する食材を入れるスペースへ吸い込まれていった。
「うぎゃぁぁぁぁっぁあああ!!!」
バリバリグチュグチュ
ターゲットは見るも無残に裁断され、ミンチになった。どうやらそのまま茹でられて他の野菜と混ぜ合わされて缶詰にされるまでが全自動のようだ。
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『ターゲットの死亡を確認。なかなかエグイやり方をするのね47。私はしばらくハンバーグは食べられそうにないわ。』
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「何だ今の声?」
「なんか変な声聞こえたような?」
叫び声も可動する機械の音でほとんどかき消されたらしいが、それでも若干外に漏れていたようだ。外の作業員数名が扉をあけて中を覗き込んだ。
「すまない。でかいネズミが出て取り乱してしまった。」
「ネズミだと?それは本当か!」
「ああ。しかも最悪なことに調整のために可動させてたチョッパーに入ってしまったようだ。」
「げえ・・・。じゃあ今できてるやつは全部処分したほうがいいな・・・。」
「それが良いと思う。」
「ところでボルゴの旦那は?」
「先程用があると言って裏口から出ていった。」
「そうか。どちらにしろ一旦機械は止めてばらして洗浄したほうが良さそうだ。」
「私はボルゴさんに頼まれたことが有るので少し失礼する。街で買わなければならないものができたのでな。」
「そうか。いいなあ。俺らで洗浄か。めんどくせえなあ・・・。」
「すまない。」
「いいっていいって。さっさと行きな。ボルゴさん怒らせちゃまずいぞ。」
「わかった。ありがとう。」
「おう。」
私は工場を出て、裏の廃材置き場へ戻り、放置していた作業員に作業着を着せて元のスーツを着た。その足で村へ戻った。
村に戻った私はそのまま町外れの雑木林に隠れた入江に来た。水の精霊とやらから報酬をもらうためだ。
私が入江のほとりに立つと風も吹いていないのに波が立ち始めた。そのうち一人の女性の体に水が形を変えて出現した。
「汝が余の要求を実現した者か。」
「おそらくはそうだろう。お前が水の精霊とやらであるならばだが。」
「不届きな者を葬った礼を受け取るが良い。」
そういうと水の中から金貨の入った袋が3つと大きな水瓶が2つ宙に浮かびながら来た。サイコキネシスか何かだろうか。
「1つ良いか?」
「なんだ。複製されし者よ。」
「お前ほどの存在が何故人間一人殺せない?」
「ガンダールヴと約束した。水を増やさないと。水が近くになければ我々は対処できない。」
「ガンダ・・・まあいい。報酬はたしかに受け取った。」
「此度の事。感謝する。」
そう言うと水でできた女性は水面へ帰っていった。
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『衛星から報酬は確認したわ。技術部に取りに行かせる。任務は完了よ。で、サブ目標なんだけど。ガリア領に入って少しすると【カンブレン】っていう少し大きな街が有るの。そこの町外れの墓地に彼女は眠っているようよ。彼女の名前のスペルは覚えているわよね?』
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私は村の中心地にあった駅馬車の停留所に向かい、そこからガリア行きの馬車に乗って村を離れた。
「ほれ、お兄さん。着いたよ。カンブレンだ。」
「ありがとう。」チャリン
「はい。毎度。気をつけてな。」
パカパカパカ…
カンブレンの街についた。街はかなりの大きさに思えるのは先程まで居た街が閑散としすぎていたからだろうか。
実際結構栄えており、診療所や醸造所まである。もちろん教会もあり、少なくとも中心部であるここからは町の外は見えない。
「すまない。道を訪ねたいのだが?」
「はい?何でしょう?」
「私の友人の墓参りに来たのだが、この街の墓地はどちらに有るのかな?」
「ああ、コミュナ墓地ですね。でしたらこの通りをまっすぐ行って街を抜けた辺りから右手に見える青い屋根の建物のところがそうですよ。」
「街を抜けた後右手に見える青い屋根の建物、だな。ありがとう。」
私は訪ねた少女に別れを告げ、街の端へ向かって歩いた。しかし結構距離がありそうだが馬車を途中で降ろしてもらえばよかっただろうか。
言われたとおりに進み、墓地に着いた。馬車で着いたときには既に夕暮れに差し掛かっていたが、墓地に到着したときには既に辺りは暗闇に包まれていた。しかし辺りの民家の明かりが付いている。時刻は私の時計で午後8時を指している。今行動を起こすのは流石にまずい。もう少し夜が更けるまで墓地で待機することにした。
現在時刻、午前1時。辺りの民家の明かりは全て消え、明かりは月明かりだけだ。私は行動を開始した。まずはターゲット…ではないか。シャルロットの墓標を探すとする。墓地は結構な広さが有る。しかし墓標一つ一つがそれなりに大きいため広さの割には埋葬されてる人間は少ないと見える。加えてあちこちで空地になってる部分も見受けられた。
30分ほど探しただろうか。目的の名前を見つけた。“タバサ”と墓標には刻まれている。本名は伏せられて埋葬されたようだ。私は墓地の入口の小屋に立てかけてあったスコップを墓標の目の前に突き立てた。そのまま掘り進んでいく。そこまで深く埋葬する必要はないだろうからメートル単位で掘るようなことはないはずだ。
ガキン
しばらく掘っていると、スコップの先がなにか硬いものにあたった。土を慎重に払いのけると長さ170cmほどの棺桶が出てきた。周りの土を払い除け、棺桶の蓋をゆっくりと開ける。
中には出会ったときと同じ魔法学院の服装を着せられた腐敗した遺体があった。この世界は基本的に火葬という概念がなく、土葬が一般的である点は今回の任務においては好都合だった。
「お休み中申し訳ないが働いてもらうことになりそうだぞ。」
誰と無く話しかけた私は、懐から技術部より預かった薬品【リザレクター】を取り出した。蓋を開けると柑橘系と思わしき匂いが感じられた。そのまま腐敗した遺体に服の上からふりかけた。
サァァァァ
風の流れを感じる。どうやら周囲の空気が遺体に向かって集中している。というより吸い込んでいるに近いだろうか。彼女の遺体はスカートと靴の間から見えていたシワシワで茶色に変色した皮膚を、ボロボロになっている手を、しわくちゃになってほとんど骸骨状態になっていた顔を、その風がみるみる水分を取り戻させる。ものの数分で肌は茶色から薄い肌色に、ほとんど抜け落ちていた髪は美しい青い髪を復活させ、虚空が広がっていた目やシワシワの鼻、白骨化一歩手前の口などはみるみるうちに可憐な少女の顔に戻っていった。
丁度10分経っただろうか。彼女の遺体は服装以外はほぼ完璧にもとに戻っていた。
「んっ・・・」
動いた。ここまで来れば完全に遺体ではなく生きた人間だ。この薬の効果は実証されたようだ。
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『実験は成功ね。映像で記録したわ。これで実戦配備ができるわ。ご苦労さま。』
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「気がついたか。」
「ここは・・・?」
「自分が何者かわかるか?」
「私は・・・っ!?」
「む。」
「お前は・・・!」
「あの時の記憶が有るのか。」
「お前は私に毒を・・・!」
「落ち着け。まずは状況を説明してやる。」
それから私は用意しておいた代わりの服装を渡しつつ、小一時間現状を説明した。彼女が一度死んだこと。死んでこのガリアの辺境の街に埋葬されたこと。蘇生させる薬を我々が開発したこと。その薬を使って生き返らせたこと。そして、情報部からの伝達情報として彼女の母親が彼女が死ぬとそれに呼応するかのように息を引き取ったこと。
「そんな・・・かあさま・・・。」
「お前はもうシャルロットでもなければタバサでもない。それらの名を持つ人物は死にここに埋葬されたのだ。」
「・・・。」
「我々と一緒に来る気はないか。復讐の連鎖も終わっている今、この世界に未練はないはずだ。」
「・・・。ついていっても良い。だけど一つだけやらせてほしいことが有る。」
「なんだ。」
「キュルケに・・・。私の最も親しかった親友に別れを言いたい。」
「キュルケ・・・あの褐色肌の女性か。」
「彼女に別れを告げたら、どこへでも行く。世界を混乱に陥れた私は今までのあの温かい世界に居る資格はない。」
「・・・わかった。上層部に掛け合ってみよう。」
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『上層部の許可を取り付けるのは至難の業だと思うわ。でもやってみましょう。この世界には居られなくなる可能性が高いことだけは承知させて。』
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「この世界に居られなくなる可能性が高い。それでも良いか?」
「いい。」
「そうか。わかった。」
私は墓を埋め戻した後、町外れに停めてある迎えの車両に彼女を乗せ脱出した。
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~2時間後~
「キュルケ。」
「んん・・・。」
「キュルケ。」
「ん・・・だーれーこんな夜中に・・・」
「私。」
「・・・え!?タバサ!?」
「そう。」
「え、でもなんで。あなた死んだはずじゃ・・・」
「私は幽霊になった。あなたに別れを告げに来た。」
「・・・そうよね。あなたはもう死んでしまったものね・・・。」
「今まで無愛想だった私を気にかけてくれて感謝してる。」
「そんな、私はただ仲良くなりたかっただけよ。」
「それにサイトとの仲を結ぼうとしてくれたことにも感謝している。」
「それは感謝される理由はないわ、だって成就してないんですもの・・・。」
「いい。私は彼が幸せならそれで良い。」
「タバサ・・・。」
「今夜のことは夢。私からの最後のお別れ。だから、私のことは気にしないであなたはあなたの人生を歩んでほしい。それが私の願い。」
「忘れろっていうの?それはいくら親友の頼みでも出来ない相談だわね。」
「・・・。」
「まだまだ語り無いことたくさんあるもの。できればもっともっと話していたいくらいよ。」
「それは出来ない。そろそろ。時間。これで最後。」
「え・・・ま、待ってタバサ!まだ私、あなたに」パシュン
トサッ スー…スー…
「良かったのか?」
「いい。彼女もわかってくれる。」
「新しい麻酔弾をこんな形で使うとは思わなかった。」
「・・・。」
「では。行くぞ。」
「(コクン)」
「さようなら。私の大切な人。」
ミッションコンプリート
・「産業革命」 +1000『作業員の変装をして工場に潜入する。』
・「ランチはお前」 +3000『ターゲットをチョッパーで暗殺する。』
・「渡し賃不足」 +1000『タバサを復活させる。』
・「ドリームオブオーバーナイト」+5000『全目標を24時間以内に達成する。』
敷かれた道を進むより、道なきところに自ら道を築いて進め。
-ラルフ・ワルド・エマーソン-
次回は別アプローチです。