『チューク諸島へようこそ。47。』
『今回はミクロネシアはチューク諸島にある、日本国海軍基地に視察中の合衆国の高官がターゲットよ。ターゲットの名前はトーマス・バーミッダム中将。ペンタゴンの命を受け、アメリカ海軍第7艦隊に艦娘部隊設立を計画している重鎮よ。』
『クライアントは日本国大本営。日本固有の戦力である艦娘というアドバンテージを崩したくはないけど、同盟国であるアメリカに表立って中止要請も出来ないから私達に依頼が来たというわけ。』
『今回、バーミッダム中将は艦娘たちと一緒に中部海域、ミッドウェー島周辺の掃討作戦を艦上から見学した後、そのままハワイにあるホノルル司令部に帰還する予定みたいね。出港は間もなくだから急いで。あとできることなら深海棲艦との戦闘に巻き込まれた風を装ってほしいという依頼も受けてるわ。それはサブ目標として設定しておくわね。』
『準備は一任するわ。』
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私は今チューク諸島ウェノ島西部にある日本国トラック泊地に整備員として来ている。
今回私はスタングレネードを持参した。海戦中は流れ弾が飛んでくる可能性もある。その流れ弾にこれで偽装しようというのだ。
近海には深海棲艦は居ないらしいが、以前空襲にあったことがあるらしく、地元民は皆一様に海へは近づかないらしい。そこでトラック泊地所属の艦娘達が時折環礁内で行った漁で取れた魚を市場に流しているのだという。
「今日もいっぱい取れたのー!」
「さっきアジの群れが泳いでるのをみたでち!」
「じゃあそれもついでに取りに行くのー!」
潜水艦娘達が主な漁師だという。軍隊が漁業とは世知辛い世の中になったものだ。
彼女らが魚を取っている直ぐ側に目的の軍艦が停泊している。DDG-85 USSマッキャンベルだ。ターゲットはおそらくあの船でミッドウェーへと赴き、艦娘達の戦いぶりを見学するようだ。艦娘達は一応にして普通の人間たちと大差ない大きさではあるが、深海棲艦に対しては普通のミサイル駆逐艦のミサイルよりも低コストかつ効率的に攻撃ができるらしい。私は早速船に近づいていく。
船のそばまで来たが、船の入り口であるタラップの前には警備員と思われるアメリカ軍兵士が2名立っていた。臨時の停泊であるためその他に要員は見当たらない。基地の入口は見張り台と数名の兵士で防護されているためここは手薄でも問題ないということか。私はクライアントが大本営ということもあり、特別通行証を見せたら一発で通れてしまったが。
私は一旦、その場を離れ、港の脇へ向かった。脇には潜水艦娘達が取ってきたと思われる魚介類が集積してあった。近づくと、海の中から誰かが浮かんできた。
「ちょっとおにいさん!それは私達がてーとくに言われて集めてる魚なんだから取っちゃダメなの!」
「取ったりはしない。君たちに伝えることがある。」
「なになにー?でっちー、なんか話があるんだってー。」
「でっち言うのやめるでち。それで話ってなんでち?」
「あそこのタラップの前にいるアメリカ人二人はここに来てからずっと気を張りつめているそうだ。提督からの伝言は、その二人を君たちで緊張を解してやってほしいとのことだ。」
「私達で?」
「あのふたりをでちか?」
「そうだ。今日は一段と暑いからな。海水浴にでも誘ってやったらどうだろうか。」
「わかったの!」
「ゆー、私達流のおもてなしをこの際だから教えてあげるでち。」
「わー。どんなのー?」
「それはでちねえ・・・。」
「では私は伝言は伝えたからな。これで失礼する。」
「はーい。伝言ありがとうなのー。」
潜水艦娘達は非常に好奇心が旺盛で天真爛漫な子が多いと事前情報で聞いていた。そういう子達に今のような言葉をこの炎天下でかけたとすれば。
ソーレ!! ウワァー!! ドボーン!
こうなる。
哀れ米兵二人は後ろから潜水艦娘たちにひっつかまれて海へ転落した。私はその隙にタラップをできる限り静かに渡り船へ乗り込んだ。したではバシャバシャと水遊びをしている音がしている。米兵たちも可憐な少女たちのスキンシップで悪い気分ではないようだ。最も後で責任者に双方とも怒られるのは目に見えているが。
船内に潜入に成功した私は、近場の部屋をノックする。・・・反応がない。部屋を開けるとそこは倉庫になっていた。所狭しといろいろな物資が置かれている。中には冷蔵する必要のないレトルトの食品まであった。私はしばらくこの部屋に隠れ、機会を伺うことにした。
そのまま数時間はたっただろうか。扉の向こうが慌ただしくなっている。出港が近いようだ。入った部屋はタラップに近い部屋のため外から慌ただしく人が駆け回る音が聞こえる。ちなみに1時間ほど前には外から叫びにのような怒鳴り声も聞こえてきた。どうやら遊んでるのがバレたらしい。
プーーー
現代の船にありがちな電子音のような汽笛がこだまする。と、同時に振動がし始めた。ガスタービンエンジンが稼働し始めたようだ。揺れが一段と大きくなった。波に揺られているというのが正しいだろう。無事出港したようだ。
出港からしばらくすると近づいてくる足音が聞こえた。そのまま扉の前で止まり、扉が開かれた。
「えーと、どこだ・・・?赤いアレって言われてもなあ・・・。ん、これかな?」
船員である海軍軍人の一人がやってきた。ご丁寧に扉も閉めてくれた。私は背後からそっと近づき、口を抑えつつ首を絞めた。軍人らしく振りほどこうとする力は強かったが、抵抗虚しく気絶した。私は海兵の服を借り、気絶した海兵はそのままだといつ終わるかわからないこの任務中に起きてしまう可能性があるので、残念ではあるがそのまま首を折って殺し、奥の木箱の中に入れておいた。
彼の着ていた服の中には艦内の船員の通常配置をメモ書きしたものが入っていた。どうやらこの海兵は新人だったようだ。これによると、この海兵は艦橋側部のデッキにて周囲監視役になっていたようだ。これは好都合である。
####アプローチ発見####
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『艦橋デッキ監視要員の制服を手に入れたのね。それがあればターゲットのすぐ近く。艦橋のまさに真横に居られるわ。加えて今回の出撃の主任務はミッドウェー島での艦娘たちの戦闘能力調査。デッキに来ることもあるんじゃないかしら。』
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部屋を出るとまさに海上。船の周囲を艦娘が数人で護衛していた。左舷側であるここからだと3人左側面を警戒しつつ進んでいるのが見えた。っと、そのうちの一人がこちらに気がついた。黒髪の中性的な顔立ちをしているセーラー服の少女だ。彼女はニッコリと微笑むとこちらに手を振ってきた。反応しないのも不自然なので手を振り返しておく。
私は艦橋に移動し、左舷の艦橋横についているデッキへ移動した。制服のおかげで少し気をつけていれば、視界に少し映った程度では怪しまれること無く移動できた。私は備え付けの双眼鏡で辺りを警戒しつつ時を待った。
数時間ほど経っただろうか。先頭をゆく茶髪の艦娘が発光信号を送ってきた。モールス符丁のそれを私の隣りにいた海兵がメモを片手に読み取っていた。発光信号が終わるとすぐに海兵は艦橋内に入っていった。
ビービー
“総員。対水上戦闘用意。繰り返す。総員、対水上戦闘用意。”
ブザーとともにアナウンスが鳴り響いた。どうやら艦娘たちが深海棲艦を補足したようだ。話によると深海棲艦たちは通常の人間と大差ない大きさのため水上艦用のレーダーには小さすぎて映らないらしい。
艦は面舵をとり、右方向へ転舵していく。艦娘達は取舵を取り、左方向へ転進していく。と、艦橋からターゲットがやってきた。
「おお、ついに始まるのか。この目で見届けなければ。オイ、君、その双眼鏡を貸したまえ。」
「はっ。どうぞ。」
「うむ・・・。おお、アレが深海棲艦か。実物をこんな間近で見るのははじめてだ・・・。」
前哨の駆逐艦隊と遭遇したらしい。駆逐艦クラスしか居ないようだ。数も少なく、こちらまで攻撃している暇はないと見える。戦いは早々に艦娘達の完全勝利にて幕を下ろした。
「なるほどなるほど・・・機動力は申し分なく、そして相手への火力も・・・。むぅ・・・白か・・・。」
戦力分析をそのまま行っている。絶好の機会ではあるが、今ここでやったところですぐに他の甲板要員や艦橋内部の人間に露見してしまい、逃げ場のない海の上では危機的状況に陥るだろう。
その後、滞りなく進軍は再開され、ついにミッドウェー島西南西200km地点まで来た。
「マッキャンベル乗組員に告げる。司令官のバーミッダムである。本船はこれより敵中枢に乗り込む艦娘達を支援する。相当な激戦が予想されており、我が方への被害も予想される。たとえ艦橋が吹き飛ばされたとしてもCICが生きておる限り指揮系統に問題は生じ得ない。諸君らは己の任務を確実かつ迅速に遂行するよう今のうちから心の準備をしておくように。以上だ。」
ターゲットが艦内放送で呼びかけた。艦内に緊張の糸が張り巡らされる。当のターゲットは艦長でも副長でも砲雷長でも無いため艦橋部分で戦況を見守る算段のようだ。
「敵機来襲!」
「対空戦闘用意!」
カーンカーンカーン
遠くに敵機が見える。航空力学を無視した特徴的な形をしており、我々の常識ではどうやって飛んでいるかもわからない。
はじめに行われるのは空母艦載機による制空権争いだ。どうやら優勢ではあるものの確保には至らなかったようだ。
水平線が光った。戦艦クラスの発砲だ。近くの艦娘何人かの付近に着弾し、凄まじい水柱が上がっている。こちらの戦艦も呼応するように発砲。戦いは激戦の様相を呈してきた。
「司令官!危険です!」
「構わん!私はこの目で見なければならない!」
後ろの艦橋からターゲットが部下の静止も振り切って出てきた。私はさり気なく壁際、ドアの後ろ付近まで下がった。
敵艦がまたも発砲。今度は・・・。こちらを狙ってきている。
ドォーン!ドォーン!
「うわああ!!」
「クッソ!こっちを狙ってきたか!」
砲弾はこの艦を夾叉。相手の射程圏内に入っているということはアーレイ・バーク級は装甲自体はとても脆い船の為非常に危険な状態ということだ。
「か、甲板要員退避!CIC!敵弾を見落とすなよ!」
「司令官!危険です!艦内へ!」
「こんな脆い船どこに居ても同じだ!私にかまうな!」
艦内は混乱していた。艦娘たちも自分たちの周りにいる重巡や戦艦に手一杯という雰囲気。どうやら事前の敵戦力予想に誤りがあったようだ。
私は懐からスタングレネードを出し、ピンに手をかけつつその時を待つ。
ボーン!ザァァァァ!
艦の右舷、こちらとは反対方向に至近弾があったようだ。艦橋内部に海水が凄まじい量入ってきた。艦橋内が混乱するのを好機と捉え、私と一緒に居た甲板要員のもうひとり、端の双眼鏡を覗いていた船員に艦が傾斜した瞬間にすばやく近づき、足から持ち上げそのまま海へ落とした。
「うぁ!わあああ!」
「一名、デッキから転落!」
「なに!?」
私はわざとらしく報告をしておく。
「敵機来襲!」
「シースパロー発射!CIWSもやれ!」
「倒しきれません!数機向かってきます!」
「総員対ショック体制!」
そうこうしている間に今度は敵空母から発艦したと思われる艦載機がやってきた。私は冷静に対空砲火を抜けてきた敵機の射線を見極める。ここだ。
私は艦の揺れによろけたふりをしつつターゲットをデッキ端に突き飛ばす。
「うぉ!?」
ダダダダダダダ
「ぐわああああ!!」
「艦橋被弾!」
「クソッタレのバケモノどもめ!損害を報告せよ!」
敵機の射撃はデッキの端をかすめるように機銃掃射を行っていった。ちょうど突き飛ばしたターゲットを横薙ぎにする形で。
「バーミッダム司令負傷!」
「何だと!くっ!,これ以上この海域に居ては艦が持たん!面舵一杯進路60!最大船速!」
「オイ!司令官は無事か!」
「お待ち下さい。」
私は機銃掃射されたターゲットへ駆け寄る。
「うぐぐぐぐ・・・。」
「まだ息はあるか。」
私は密かに忍ばせておいたシルバーボーラーを取り出した。この位置からなら艦橋からは私の体自身が邪魔をして見えないはずだ。私はそのままシルバーボーラーを彼の顔面に向けて撃った。
パシュン
「ブフ…。」
「・・・。艦長。司令官はもう・・・。」
「くっ・・・!わかった!お前も艦内に入れ!機銃掃射くらいなら耐えられるだろう!」
「わかりました。」
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『ターゲットの死亡を確認。名誉の戦死ってやつね。お見事だったわ。一応そこから南東20km地点に潜水艦を潜ませてるからゴムボートでも一応は脱出できるわよ。』
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私は艦内に入ると敵の攻撃により混乱しているのに乗じて艦橋を離れた。戦闘態勢に入っているため艦内各所は水密扉が閉められていたが、逐次開けては締めを繰り返せばいいだけなので問題はなかった。途中、最初に入った倉庫へ立ち寄り、死後硬直が終わりかけていた船員の死体を海へ投げ捨てた。
艦尾の飛行甲板まで来た。航空機の発艦指示は出ていないので甲板には誰も居ない。私は近くにあった浮輪を片手にそのまま艦尾から海へダイブした。スクリューの泡に飲まれかけたが何のことはない。このまま泳いで行けばいい。
しかしイージス艦にも発見されていない潜水艦とは、一体技術部もなかなかのものを作ったようだ。艦は全速航行しているためあっという間に離れていく。私は南東へ向かって泳ぎ始めた。
艦が水平線に近くなった頃合いで私の足が突っつかれる感覚があった。サメかシャチなら非常にまずい。
「ぷあ!」
「・・・!」
「あなたが47さん?思ったより年食ってるなあ。」
「君は?」
「私は潜特型二番艦の伊401。しおいって呼んでね!うちの提督があなたを迎えに行くようにって!」
「そうか、ソナーにも発見されない潜水艦は君のことだったのか・・・。」
「え!?もしかして私あのイージス艦に発見されてなかったの?」
「ああ。潜水艦が近くに居いるという話は聞かなかった。」
「えへへ・・・。やったあ!イージス艦をだしぬけたって自慢できるよ!」
「それで私はこれからどうなる。」
「このまま私が曳航…じゃなかった。連れて行ってここから南に100キロほど進んだところに別の普通の潜水艦が居るからそれに乗るよ!」
「そうか。わかった。では掴まっていればいいのか?」
「うん。・・・あ!そこは晴嵐さんが居るところだから触っちゃダメ!」
「っと、済まない。」
「じゃあ行くよ!」
私はそのまま引かれて脱出した。
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~1ヶ月後~
「申し訳ありません提督。私の判断ミスです。」
「赤城さんのせいではありません。私に責任があります。」
「アカーギとカガは悪くないネ・・・。護衛艦ほっぽって突撃したのはミーが最初だから・・・。」
「3人とも頭を上げろ。今回は仕方のないことだった。むしろアレほどの戦力差の敵と会敵したにもかかわらず当方への損害は重巡2隻大破と駆逐艦3隻中破と小破で済んだのだから奇跡的だよ。」
「ですが提督。護衛対象のマッキャンベルでは司令官を含め3名が戦死と・・・。」
「それも軽微だと思う。実際あの艦は戦艦の艦砲射撃と航空機による機銃掃射を何度も受けていたのだからな。その時君たちが居なければ確実にあの艦はこの程度では済まない。いや沈んでいただろう。」
「提督・・・。」
「・・・。」
「赤城と加賀は最後まで航空機を発艦させて残敵の掃討にも貢献してくれた。金剛は皆の盾となりよく奮戦してくれた。そして、皆よく帰ってきてくれた。おかげで作戦は成功。ミッドウェー島周辺海域の敵制海権はかなり弱体化した。今横須賀の基地設営隊が向かっているそうだ。橋頭堡を築けるのは君たちの戦果だ。もっと胸を張れ!」
「「・・・はい!」」
「よし。疲れただろ。報告は終わりだ。間宮券をやるからこれでなんかうまいもんでも食ってこい!」
「ワーオ!エクセレントねー!提督も一緒に行くデース!」
「こ、これは間宮券の中でも最も高級な伊良湖最中セット券・・・!」
「気分が高揚します。」
「俺からのおごりだ。皆にも伝えてくれ各艦十分に英気を養っておくように。」
「「はい!」」
ミッションコンプリート
・「正規の乗艦」 +1000 『正面タラップよりマッキャンベルに乗艦する。』
・「対空警戒厳とせよ」+5000 『ターゲットを敵航空機の攻撃で殺害する。』
・「名誉の戦死」 +2000 『マッキャンベルが作戦行動中に脱出する。』
・「無鉄砲」 +1000 『海に飛び込んで脱出する。』
アーレイ・バーク、また増産するらしいですね。
次回は別アプローチです。