HITMAN『世界線を超えて』   作:ふもふも早苗

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HITMAN『欲望は人を呪う』

『トリスタニアにようこそ。47。』

 

『あなたはこの街は二回目かしら?前回は確か町の役人を暗殺したんだったわね。でも今回用が有るのは城下町じゃなくて王宮の方よ。もちろん警備は厳重だろうけど、他国の王宮なら潜入したことあったわよね?』

 

『今回の依頼はいささか不明瞭なの。ターゲットは“財務卿”。依頼の文章にはそれしか書かれておらず、個人名はわからない。でも国の財務卿といえば一人しか居ないだろうからその点は余り問題ではないでしょう?』

 

『クライアントはさるトリステイン貴族。依頼の文章と多めの依頼料しか特定するものがないからなんとも言えないわね。でも我々は依頼され金が支払われればそれを忠実にこなすだけ。相手が誰だろうと、それで国がどうなろうと、私達には関係ないわね。今情報部がクライアントの身元を特定しようとしているけど、依頼文には今日明日で終わらせてほしいと書いてあったから、とりあえず任務遂行が先になったというわけよ。』

 

『準備は一任するわ。』

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

~???side~

 

クソッ!クソッ!クソッ!

何故だ!何故こうなった!何処で間違えた!

 

どうしたら!私は一体どうすればいい!

 

 

 

 

 

 

 

~47side~

 

 

久々だ。この町並みは。私は今この町一の大通りに来ている。以前来たときと全く変わらない町並みを眺めつつ、その奥にそびえ立つ王宮を見る。

 

とても大きな西洋風の城だ。ノイシュバンシュタイン城を思い起こさせるその荘厳な佇まいは見るものを圧倒している。

 

今回私はこの荘厳な城を爆薬で吹き飛ばすことを選んだ。正確にはターゲットとなる財務卿が居る部屋をだが。そのためにアタッシュケース型の爆薬を持参した。中にはカモフラージュ用の書類があり、外側に薄く平べったくプラスチック爆薬が仕込まれている。部屋1つくらいなら吹き飛ばせるはずだ。

 

 

私はまず、城の周囲を確認することにした。城は外壁の周囲を堀で囲んでおり、5mはある外壁の上は人が通れるようになっているようで、警備兵と思わしき兵士が巡回している。正面ゲート以外では裏側に裏口のような小さな扉が有るだけだった。裏口には警備兵は立っておらず、外壁上の警備員からも死角になっている。裏口は鋼鉄製と見られ、当然のように鍵がかかっていた。試しにノックしてみるが反応はない。私は周囲に誰も居ないことを確認し、懐からロックピックを取り出しピッキングを開始する。

 

扉の鍵はそこまで難しい仕様ではなかったようで、ロックピックを鍵穴に挿してからものの数秒で開けることができた。扉を開けて内部に侵入する。外壁は内部が廊下といくつかの部屋になっていたようだ。そのうちの一つの部屋に入る。中は兵士の宿舎だったようで2段ベッドがいくつか置いてあった。壁にはいくつも同じデザインの上着とズボンがかけられていた。近くには帽子も槍もある。私はそれらを借り、着替えた。アタッシュケースを一旦宿舎のベッドの下へ隠し、私は城の中を探索することにした。

 

 

 

城の内部は様々な人が行き交っている。メイド、貴族、商人、兵士。私も兵士の格好をしているおかげでその中に無事紛れ込むことに成功している。

 

最初は1階を探索する。1階はすぐ外に美しい庭園が広がっており、10人ほどの庭師が絶えず手入れを行っている。内部では中央の大階段から左右へいくつも部屋があり、使用人の食堂であったり、調理場であったり、シーツなどを洗う洗濯場まであった。基本的な機能はガリア王宮と大差ないようだが、こちらのほうがいささか小さいかもしれない。

 

私は2階へと上がる。この城は1階と2階がだいぶ離れており、1階層の高さは7m前後はあるかもしれない。その高さで広々とした室内空間を実現するだけでなく威厳や豪猪さを出しているのだろう。しかし壁や柱の彫刻は人の目線の高さ以外には余り施されておらず、ガリア王家との資金力の違いが出ていると言える。

 

2階はそんな厳しい財政事情を管理する財務局があった。目的であるターゲットの部屋は近い。ちなみに財務局以外にも様々な政治局があったし、更に上の階にはアンリエッタ女王の執務室や私室等があるようだが、私の目的ではないのでどうでも良いことだ。

 

財務局はそれなりの広さがあった。テニスコート1面分はゆうにあるだろうか。その一番奥に個室が備え付けられていた。遠目からでは分かりづらいが、ドアには“デムリ財務卿”と書かれたプレートがあった。どうやら財務卿の名前は“デムリ”と言うらしい。ターゲットの部屋を確認した私は一旦、兵員宿舎へ戻った。

 

 

 

宿舎に戻るとメイドの一人がベッドメイキングを行っていた。やはり兵士はそれなりに重要視されているらしく、ベットメイキング程度は行われているらしい。私は気が付かれないようにベッドの下にしまったアタッシュケースを取ると宿舎を出た。しかし兵士の格好をしたものがアタッシュケースを持っているその様相は考えなくても不自然だとわかる。私は見つからないように城壁内を進んだ。

 

私は庭に出て最近手入れされ、手入れをする必要が無さそうな植え込みを選んでその中にアタッシュケースをもう一度隠した。再度城内を警備を装って歩いて、今度は商人を探した。商人ならばあのアタッシュケースを持っていたとしても多少特殊なカバンに見られることはあっても問題はないだろう。

 

 

 

商人はなかなか見つからなかった。やっと見つけたときには探し始めてから1時間以上が経過していた。発見した商人は1階の広間にて待たされているようだった。私は商人に話しかけた。

 

 

「失礼します。大臣がお会いになりたいと申しています。ご同行ください。」

「キロプ大臣が?何の用だろうか・・・わかった。行こう。」

 

 

キロプ大臣というのが何大臣なのかは知らないが、少なくとも今は関係がないだろう。私は商人を人気のない廊下を通り、先程歩き回った時に発見した使われていない応接室に商人を通した。

使われていないのもあって中は埃が多かったが、商人は多少訝しんだだけで素直に従ってくれた。二人共部屋の中に入ると扉を閉め、商人に席に座るよう促した。促されるまま席につこうと後ろを向いた商人を持っていた槍で殴打して気絶させた。

気絶した商人から服を借り、部屋に備え付けられていた棚に押し込んだ。私は兵士の服を同じく棚に押し込むと、応接室からでて中庭に戻り、隠しておいたアタッシュケースを持って今度は堂々と城内に侵入した。

 

 

どうやらこの商人は東方との交易商人だったようで、2階の財務局までほぼノーチェックだった。しかし入り口には当然のごとく兵士が2人立っていた。

 

 

「止まれ。ここは財務局である。商人が入っていい場所ではない。」

「私は財務卿に書類を届けに来た者です。ガリアからの・・・書類です。」

「ガリアからの書類だと?」

「いやまて。もしかすると先程おっしゃっていた・・・」

「昨日からしきりに言われていた刺客のことか・・・?」

「わかった。だが執務室以外への立ち入りは禁ずる。ことが済んだら速やかに出ていくように。」

「わかりました。ありがとうございます。」

 

 

私は執務室へ向かうふりをしつつ人目がなくなった瞬間に財務局の隣りにある倉庫、というか財務卿がいる執務室の隣のスペースであるが、そこに入った。書類が満載されている箱の間にアタッシュケースを隠す。

 

しかし、刺客のこととは何のことだろうか?もしや情報が漏れており私が潜入したことも気が付かれているのだろうか?だがここまで来てしまっているので特に問題はないと思われるのでそのままプランを遂行することにする。

 

財務局内は机や書類で散らかっており、金貨を数えているのか時折ジャラジャラという音も聞こえている。この倉庫から隣の執務室までは机や棚に遮られており中腰ならば見つからずに行くことができそうであった。私は中腰で執務室の前まで来ると聞き耳を立てた。中では何かを書いている音がした。おそらく執務中なのだろう。私は一度倉庫に戻り様子をうかがった。

 

しばらくすると一人の女性が部屋に入っていった。腰には剣と銃を携行していた。部屋に入るとターゲットと思われる声と女性の凛とした声が聞こえる。

 

 

ガチャ

「銃士隊隊長が守ってくださるならば何処へでもいけましょうぞ。」

「おまかせを。ではこちらです。」

「それにしても陛下が私にご用とは何事でしょうな?」

「さあ。私にはわかりかねます。」

 

 

ターゲットと銃士隊隊長と呼ばれた女性は何処かへ行ってしまった。私はこの機を逃さまいとしてアタッシュケースを持ち執務室に潜入した。

 

執務室内は大きな木製の机と本棚。絵画などが飾られていた。私は部屋中央に置かれている執務机を調べた。重厚な作りではあるが木製であるのには変わらず、何かしらの魔法がかかっている可能性もあるがそれを確かめるすべを私は知らなかった。タバサに聞いておくべきだっただろうか。

 

私はとりあえず古典的な方法として執務机と床との微妙な隙間にアタッシュケースを潜り込ませた。アタッシュケースの大きさよりも机のほうが広いのでどの角度からも問題なく隠せている。机の下を覗き込まない限り発見されることはないだろう。私は仕事をし終えると慎重に扉を開け何食わぬ顔で財務局を後にした。

 

 

財務局を出た私は応接室に戻り、兵士の服に戻った。外周部の城壁の上に登り、警備をするふりをしつつ財務局の執務室のすぐ外側の城壁から部屋にターゲットが戻るのを待った。

 

しばらくそうして待っていると、執務室の扉が開くのが見えた。しかし入ってきたのはターゲットともうひとり、先ほど銃士隊隊長と呼ばれていた女性だった。彼らは二言三言話したかと思うとすぐに女性の方が部屋から出ていった。一人になったターゲットは机の上で何かを書き始めた。

 

私は爆弾のリモコンを懐から出した。ターゲットは机の下に何かを落としたらしくかがんだ。私は爆弾の起爆スイッチを押した。

 

 

 

ドガァァァァン!!

 

 

予想よりも大きな爆発だった。窓ガラスは瞬時に粉々に飛び散り、壁面も大部分が吹き飛んだ。ここからでも内部がよく見えるようになったが、執務室には先程あった重厚な机や応接用のソファ、そしてターゲットも無くなっていた。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

『ターゲットの死亡を確認。財務卿のデムリだったかしら?排除成功ね。帰還して頂戴。』

 

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爆発は相当派手だったのもあって城のあちこちから兵士が飛び出してきた。私はその中に混じりつつ城の外側を警戒しに行くと見せかけつつ脱出した。

 

 

 

 

 

 

 

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~翌日~

 

 

「今回は災難でしたな。枢機卿。」

「いやはや全く。もうすぐ降臨祭だというのに仕事ばかりが増えていきます。」

「それで今回の被害は?」

「財務局の一部が崩落しました。そして財務卿も行方知れずです。」

「おそらく爆発に巻き込まれ消し飛んだのだろうな。私の部下が爆発直前に執務室に戻る卿を見ている。」

「でしょうな。いやはや全くどうしてこうなったのか。」

「しかしアレほどの爆発で死者が1名だけとは不幸中の幸いというものだろうかね?」

「あなたがそれを仰るのですか?」

「まあ私の後釜ではあるが、私としては悲しいというよりは政敵がひとり減ったという気分ですな。元々そこまで有能なものでもなかった。」

「彼の職務能力については様子見だったのですが、消し飛んでしまっては様子も何もあったものではない。」

「それで?後任はどうするつもりなのだ?」

「それなのですが。私はあなたにやってもらいたいと思っています。」

「私が?一度追い出された身だぞ?」

「追い出したのはキロプ派の独断です。その派閥もトップが消し飛んでしまって瓦解寸前ですが。」

「そうはいうがな。あやつに追い出された私がそう簡単に戻っては私が謀殺したと思われないか?」

「そのあたりは卿の手腕にかかっておりますな。何れにせよ今の王家の財務を任せられるのはあなたしか居ない。今回の爆発事件もあなたしか居ないという始祖のお導きなのではないだろうか。」

「うーむ・・・。わかった。やってもいいが、枢機卿も協力してくれ。風に当たるのが私だけでは荷が重い。」

「わかっておりますとも。では“デムリ財務卿”。よろしく頼みますぞ。」

「ああ。またよろしく頼む。」

 

 

 

 

 

 

ミッションコンプリート

・「おてんば姫専用口」 +1000 『裏口から城へ侵入する。』

・「あの世からの特使」 +3000 『商人に変装して財務局へ入る。』

・「呪われたターゲット」+2000 『ターゲットの名前が判明する。』

・「スマートな財政」  +3000 『ターゲット以外死者を出さない。』

 

 

 




ターゲットについては別アプローチにて。


次回は別アプローチです。
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