HITMAN『世界線を超えて』   作:ふもふも早苗

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『オーディションは命がけ』の別アプローチです。


HITMAN『オーディションは命がけ』(もう一つの世界線)

『346プロダクションにようこそ。47。』

 

『今回のターゲットは346が誇る敏腕プロデューサーの真波亮太。その類まれなる手腕は内外から高く評価されていて、当然そういう状況を快く思わないものも居る。今回のクライアントもその一人、彼に仕事を奪われている961プロダクションの社員。上層部に現状を報告して我々に頼る許可を取り付けたようね。支払いも961プロからよ。』

 

『間もなくここでオーディションが行われるわ。ブルーを候補生として潜入させるから、協力して事にあたって頂戴。』

 

『準備は一任するわ。』

 

 

 

 

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私は今ブルーを346プロダクションに来るまで送り届けている。

 

 

「47も私の担当プロデューサーって事にして正面から入れないの?」

「中に入るには社員証が必要だ。おそらく厳しいだろう。」

「ふーん・・・まあいいわ。」

キキーッ

「じゃあ行ってくるわね。」

「ああ。」

 

 

車からブルーを下ろし、私は一路346プロダクションの社屋の裏側に回る。今回、私はSieger300を持参した。Jaeger7では大きすぎて室内での取り回しに難があると思われたためだ。無論消音器は付いているし、薬莢を排出せずに保持する独自機構も備わっている。更に、念のために通常のスコープの他に技術部特製のサーマルスコープも準備した。

 

裏側に回った私は適当なところに駐車した。社屋の裏側は表側とは違って質素な作りになっており、雑居ビルの壁面そのものだった。一番下には資材搬入口のようなシャッターがあり、警備員こそ立ってはいないが守衛室が横にある。

 

私はSieger300のケースを持ちながら守衛室に近づき、周りに気を配りつつ中を覗いた。中には老年の警備員が1名椅子に座って何かを書いていた。私は開いている窓をすばやく乗り越え侵入すると守衛に気が付かれないように背後に回り込み、首を絞めて気絶させた。

 

気絶した守衛から警備員の服を借り、IDカードも拝借。守衛をロッカーの中に隠し、守衛室の中を探索する。

 

机の中から新人用と思われる館内図を発見した。それによると、この社屋には大小合わせて30以上のトレーニングルームがあり、シャワー室も各フロアに最低2箇所設置されていた。プロデューサーが常駐すると思われる事務所はいろいろな箇所に点在しており、ターゲットの事務所が何処かまではわからなかった。しかし事務所と思わしき箇所にはプロジェクト名が書かれており、ターゲットの所属するプロジェクトの名前がわかれば特定することは問題無さそうであった。

 

 

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『ターゲットの所属しているプロジェクトなら既に情報部が調査済みよ。名前は“プロジェクト・カンツォーネ”ダンスより歌唱力を重視しているグループを育ててるみたいね。あと内部に潜入しているブルーからの情報よ。オーディション説明においてターゲットを確認。ターゲットは現在2階の第3会議室よ。』

 

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カンツォーネ・・・あった。さすがは敏腕プロデューサー。18階に名前があった。役員室などを除けば実質最上階だ。もっとも、オーディションに参加しているターゲットは事務所にはいないだろうが。

そこで待ち伏せるのも手ではあるが、常に出入りが激しいと思われる事務所で待つのは、いくら警備員の服装をしていたとしてもリスクが高い。やはりターゲットがオーディションを行っている最中に暗殺するのが良いだろう。

 

オーディションが行われるであろうホールも記載されていた。第1から第4まであるホールの予定表が同じところに入っていた。第1はシンデレラプロジェクトの合同練習に、第2はKBYDというグループが収録を行うらしく使えない。第3ホールは本日は予定が入っていないようだ。問題のオーディションは第4ホールで行われる予定と書かれていた。ひとまず私はその第4ホールへ向かうことにした。

 

 

第4ホールではスタッフ数名が準備を行っていた。と言っても舞台袖で候補生のための水やタオルを準備したり、進行を確認したり、受験番号の書かれた名札を準備したりといった細かなものだったが。私は警備員の服装でそれを遠目から見ていた。そこへブルーから通信が入った。

 

 

「47。聞こえる?」

「ああ、聞こえている。」

「こっちは第4ホールへ移動を開始するところ。ターゲットはどうやら少し離れたところから見るみたい。」

「少し離れたところ?」

「“皆さんからは見えづらいかもしれない”って言ってたから多分客席の後ろの方、よく見える来賓席かもしれないわ。」

「来賓席・・・。一番うしろの2階席か。何人で見るとかの情報はなかったか?」

「残念だけどそこまでは言ってなかったわね。」

「そうか。わかった。」

「あ、ちなみに私は7番目だから。よかったら見ていってね!」

「気が向いたらな。」

 

 

来賓席はホールの一番うしろにあった。今からだと間に合うかどうかわからない上、扉には窓は付いていないのでなかの様子が確認できないので後から入るのも危険だ。私は一旦隣の第3ホールへ向かった。

 

第3ホールには誰もいなかった。使う予定が入っていないので当然といえば当然だろう。

####アプローチ発見####

 

 

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『第3ホールには誰も居ないようよ。第4ホールからこちらに会場を移すことができればいくらでも細工しようがあるここを仕事場にできるわね。』

 

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私は持ってきたSieger300のケースを持って、照明が付けられている舞台上部の作業デッキに登る。金網しか無いため下からは丸見えだが登るはしごは舞台袖の更に端にあるため問題はないだろう。私はデッキの中で作業用具が置かれているスペースを見つけるとそこに一緒にケースを置いて隠した。第4ホールでは梯子の周囲にスタッフが居た為怪しまれただろうが、こちらならば問題はない。

 

ケースを隠し終えた私は、そのまま第4ホールに戻った。ホールでは既にオーディションの候補生たちが集まり始めていた。私は急いで裏に回り込み、舞台の照明や装置の各種電源操作盤を探した。それほど苦もなく見つかったそれを開け、周囲を確認しつつ内部の配線を強引に引きちぎった。

 

ボン キャアキャア

 

ホールの方で照明が落ちたと思われる音がし、候補生たちの驚いた声が聞こえてくる。私は警備員の服装に備え付けられていた懐中電灯を持ちその場で待った。

少しするとスタッフと思われる中年男性と若い女性がやってきた。

 

 

「きみ、どうなってる。電気がつかなくなったぞ。」

「申し訳ありません。私も今来て確認したところ、内部の配線が断裂しているようで、修復には専門の業者を呼びませんと。」

「なんだってえ?まずいなオーディションが行えないじゃないか。」

「どうしましょう。照明が使えないとなると・・・。」

「隣の第3ホールを使用するのはいかがでしょう。あちらは本日使用予定は入っておりません。」

「そうか!構造的にも同じ第3ホールなら機材チェックと審査員席を移動させるくらいで事足ります!」

「うん・・・そうだな。復旧には時間がかかるだろうし、そうするしか無いか。オイ!候補生たちに伝達するんだ。全員隣の第3ホールへ行くぞ!」

「は、はい!」

 

 

うまく第3ホールへ誘導することに成功した。私はスタッフについて行って候補生のもとへ向かった。

 

 

「申し訳ありません。こちらの第4ホールは電気系統の故障により使用ができなくなりました。つきましては隣の第3ホールへ移動願います。」

 

ザワザワ…

 

「足元が暗くなっております。慎重にお進みください。廊下へ出れば明るくなりますので。」

「ねえねえ。」

「・・・はい、何でしょう。」

「大丈夫よ。私が最後尾だから。」

「・・・お前は7番目だったな。今回は舞台の上からターゲットを狙撃することにした。」

「狙撃ね。わかったわ。排莢とか音とか大丈夫なの?」

「排莢は特殊機構ゆえに問題はない。音は多少出る可能性がある。ごまかせるか?」

「曲が始まってから32秒後と1分19秒後に大きく足音を立てる場面があるわ。そのときに合わせられる?」

「わかった。やってみよう。」

「じゃああとでね。」

タッタッタッ…

 

 

####アプローチ完了####

私はブルーを含めた候補生達が廊下に出ていくのを確認すると少し離れてその後を追った。

 

 

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『よくやったわ。会場は第3ホールに移り、ターゲットも自然とレンジのなかに収まってくれるでしょう。』

 

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第4ホールでは急ピッチで準備が進められていた。何分急な移動故にかなり慌ただしい。ホールの裏には機材置き場兼機械室がある。先程の配電盤もここにある。

 

「アンプアンプ・・・何処に置いてたっけかなあ・・・。」

 

技術スタッフと思わしき人物が機材置き場に入ってきた。私は柱や機材を隠れ蓑に背後に回ると持っていた懐中電灯で殴打した。あっさりと気絶した技術スタッフを部屋の奥へ移動させ、服を借りると、機械が入っていたと思われる大きめの箱へ放り込んだ。彼はアンプを探していた。ひとまずアンプを持っていくことにする。

 

 

「おせーぞ!アンプはあったか!」

「はい。ここに。」

「おし、これで必要な機材は揃った。後は各部のチェックだけだ。」

「では照明を見てきます。」

「おう。できる限り早く始める。問題がないようなら報告は後でいいから他の項目のチェックに行け。」

「わかりました。」

 

 

アンプを技術班のスタッフに渡し、私は点検の名目で舞台上部の作業デッキに上がった。下を見ると忙しく動き回っているが誰も上は見ていない。私はそのままそこで調整するふりをして待機した。

何度か照明がついたり消えたりしていたが程なくして下の慌ただしさもなくなった。

 

「では、これより新ユニット、“スプラッシュ”の選抜オーディションを開始いたします。受験番号001番の方から順番に出てきてください。」

 

オーディションが始まった。照明の逆光と幕の多さでうまく私の存在は隠せているようで誰もこちらに気がついては居ない。

 

少女たちが足元でダンスと歌を披露している。私はそのダンスを観察し、音楽の曲調と先ほどブルーが言っていた32秒後と1分19秒後の足音の部分を頭に叩き込んだ。

 

私は静かに隠していたケースからSieger300をとりだした。作業デッキと観客席の間には垂れ幕があり、通常スコープでは覗けないためサーマルスコープを付けた。サーモグラフィーで来賓席にいると思われるターゲットを探す。

 

まずい。来賓席には2名居た。どちらがターゲットなのかを確認しなければならないが、作業デッキから降りる事はできても再び上がるのは怪しまれてしまう。現在の受験番号は5番。まだ間に合うだろう。

 

 

「ブルー、聞こえるか。」

「ふぇ!?あ、何、47。」

「来賓席に2人いる。どちらがターゲットかわかるか?」

「ちょっとまってね。うーん、横から覗いてるけど逆光のせいでよくわからないわ。」

「もう少し身を乗り出して本部に映像を送れ。」

「わかった。怪しまれちゃうから一瞬だけね。」

 

 

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『映像が来たわ。解析中・・・、完了。47から見て左側の人物は初老の男性よ。ターゲットじゃないわ。右側の若い男性は情報部が入手しているターゲットの写真とも一致する。47、ターゲットは右よ。』

 

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私は改めてサーモスコープを覗いた。サーモグラフィーによって来賓席に居る2名も布の垂れ幕ごしでもはっきりと分かる。銃身を手すりに乗せて安定させ、そのうちの右側の人物へ照準を定めた。

 

 

「受験番号007番。青梅愛です!よろしくおねがいします!」

「ん、良い返事だ。じゃあ行ってみようか。」

 

 

ブルーの試験が始まった。私は最初の32秒を待った。29、30、31…くっ、隣の人物と話していたため顔が動いていた。確実に仕留めるためにはスルーせざる負えない。次の1分19秒後を待つ。こちらも失敗ならばもう音は気にせずに撃つしか無い。

 

少しして1分19秒が迫ってきた。私は再度照準をあわせた。16、17、18、今!

 

ダンパシュン

 

 

椅子に深く座りながらステージを凝視していたターゲットめがけ垂れ幕を貫通しつつ一直線に向かっていった弾丸は、椅子の背もたれから突出していた頭の丁度鼻面の脳幹部分を直撃した。あまりにも綺麗に決まったヘッドショットは、腕組みをしていたターゲットの頭を後ろに傾かせる以外の一切を微動だにさせずに射殺した。

 

 

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『ターゲットのダウンを映像で確認。ご苦労さま。そこから脱出して頂戴。』

 

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静かに、そして確実に決めることが出来たため、なんと隣りに座っている男性もターゲットの死に気がついていないようだ。だが気が付かれるのは時間の問題なので早々に退散することにする。

 

私は静かにケースに銃を戻すと反対側の舞台袖のはしごから降りた。大きめのケースだが作業員の服装のおかげでなにかの作業ケースだと思われているらしく、試験が終わった候補生たちの興味もそれほど引くことなく降りることが出来た。

 

丁度その時ブルーの試験が終わったようだ。舞台からブルーが戻ってきた。彼女はスタッフからタオルを受け取るとこちらをチラ見し、ウィンクをしてみせた。あまり素性が疑われるような行動は控えてもらいたいものだが。

 

ほどなくして客席後方が騒がしくなった。スタッフが怪訝そうな顔で見ているのを横目に私は機材室に戻り、箱の中で気絶していたスタッフに服を着せ警備員の服に着替え直した。そのままケースを持ち、会場を後にした。

 

守衛室に戻るとロッカーに入っている気絶した守衛に服を着せ、私は愛用のスーツに戻ると守衛室から脱出した。

 

 

「47。聞こえる?」

「ブルーか。」

「任務は終わったの?」

「ああ。」

「そうなの。こっちは全然騒ぎになっていないわ。まるで何事もなかったかのように進行してる。」

「大事にはしたくないんだろう。いらぬパニックを引き起こすだけだろうし、346のブランドイメージにも傷が付きかねない。」

「そうかもね。試験が終わったからもう帰っていいみたい。正門で拾ってくれない?」

「わかった。」

 

 

私は駐車していた車に乗り込むと正門でブルーを拾い、脱出した。

 

 

 

 

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~3日後~

 

 

 

ギャアギャア

 

『彼らは一体どうしたのよ?』

「なんでもオーディションのときの映像のことでもめてるみたいです。」

『映像?ブルーの映像はほとんど彼女視点の映像で彼女は映っていないでしょうに。』

「いえ、どうやら47のほうの映像らしくて。」

『47の?ああ・・・そういうこと。』

「ええ、真上からの視点なので・・・。」

『47は意識してなかったでしょうけど、軽装でダンスを踊っている女子を真上から見ればまあ・・・そうなるわね。』

「その映像をどうやらシルバーくんが手に入れてしまったようで。それで。」

『なるほどね。彼も元気な男の子ってことね。』

 

「興味深かった。」

『あら?タバサ。いつ帰ってきたの?』

「さっき。」

「興味深かったってことは見たんですか?その映像。」

「(コクン)」

『シルバー、何流出させてるのよ・・・。』

「・・・。(ペタペタ)」

「た、タバサちゃん?」

『・・・。気にしなくてもいいわよ。女の魅力は胸だけじゃないわ。』

「・・・。」

 

 

 

『(技術部の最新薬のことは今は伏せておいたほうが良さそうね・・・。)』

 

 

 

 

 

 

 

ミッションコンプリート

・「シャットダウン」+1000 『オーディション会場の電源を落とす。』

・「鉛のりんご」  +3000 『ターゲットをオーディションの最中に狙撃する。』

・「魔法が解ける時」+3000 『変装に使用した服をターゲット暗殺後に元の場所に戻す。』

・「休日のパパ」  +1000 『ブルーの潜入と脱出を支援する。』

 

 




原作面子ほぼ出てきてないけどいっか(開き直り)
後付けはちょっとほのぼの系にしてみました。


2019/06/17追記
最新薬の話も2期で書きたいな・・・。ネタ回になる予感しかしないけどw


次回は温泉へ行きます。
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