HITMAN『世界線を超えて』   作:ふもふも早苗

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『北方の重要機密』の別アプローチです。


HITMAN『北方の重要機密』(もう一つの世界線)

『アラスカへようこそ。47。』

 

『今回のターゲットはここ、エルメンドルフ空軍基地に居るアーノルド・ホリンズ空軍大将よ。依頼人は中国国家安全部。北太平洋での米空軍の弱体化が狙い。』

 

『今回ICAの技術部が新開発した“新薬”を持っていってもらうわ。なんのことはない、強化睡眠薬よ。その実地試験もお願いね。』

 

『あとホリンズ大将は軍の重要機密を持っているらしいからそれも奪取してきて頂戴。』

 

『準備は一任するわ。』

 

 

 

 

 

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冬のアラスカの深夜ともなれば軍人もおいそれと外には出たがらないものだ。それが川の近くとなればなおさらだ。私は基地の西側にあるニック・アーム水路からゴムボートで侵入を試みている。南側は港湾施設があるが、基地の真横から北側は険しい崖が海岸線に沿って存在する。しかしその中で600mほどだけ崖が無くなって森になっている部分がある。私はそこへ上陸し、ゴムボートを森のなかに隠した。

 

岸から最寄りの施設までは最短でも800mは離れている。しかもあいだは森だ。見つかる心配はほぼないと思ってよいだろう。私は気持ち急ぎ目で森の中を進んだ。すでに何日か前に積雪があったようで、森の中はところどころに雪が積もっていたが歩けないほどではなかった。

 

 

ふいに森が終わったと思えば森のなかに大きめな建物が立っていた。近くに大きめのアンテナ付きの鉄塔が立っているので、通信設備なのだろう。もしかしたらここから機密情報にアクセスできるかもしれない。私は建物に近づき、中の様子を探った。

 

窓からは誰も見えず、電気も消えていたので裏側の非常口からの侵入を試みる。非常口には内側から鍵がかかっていたが、電子錠ではなく普通の一般的な鍵だったので容易に解錠できた。中に侵入すると廊下の電気も消えていた。非常灯だけが光っていた廊下は人の気配はなく、私は手前から一つ一つ部屋を調べて回った。

 

目的の通信室は3つ目の扉を開けたところにあった。この部屋のみ明かりが付いており、中で夜勤と思われる兵士が椅子に座りながら眠りこけていた。私は静かに背後に近づくと懐から新薬を取り出し、蓋を開けて内容物を兵士に嗅がせた。一瞬だけぴくっと動いたかと思えばかろうじて保っていた体勢をすべて投げ出し完全な熟睡モードに入ったようだ。

 

私は兵士の目の前にあるパソコンを調べた。フライトスケジュール、ミッション内容、演習予定表、他愛のないものがほとんどであったが一つだけ暗号化されたファイルを発見した。ともかくその他の雑多なファイルと一緒に、基地のサーバー内のデータを丸ごとICAの本部に転送した。

 

 

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『データは受け取ったわ。今情報部がファイルを解析している。ターゲットの位置なら割り出せるかもしれないわ。暗号化されたファイルも最悪時間をかければ解析できなくは無さそうよ。それと、スケジュール表によれば、ターゲットのホリンズ大将はこのあと朝8時になったらF-16戦闘機でハワイ・パールハーバーへ向かうらしいわ。何でもスケジュールが過密でそれじゃないと次の予定に間に合わないらしいわね。それまでにターゲットの排除を終わらせないと逃げられるわ。それなりには急いでね。』

 

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時間をかければ解析できるのであれば無理に暗号の解読コードを取りに行く必要性もないだろう。ターゲットの暗殺に集中することにしよう。

 

問題はターゲットが今何処にいるか。そして如何にして暗殺するかだ。朝8時にはここから出ていってしまうので残された時間はあと5時間ほどになる。しかし、ここは軍事基地である。人を殺すための道具なら困らない。私は手始めに武器弾薬庫を探すことにした。

 

先程入るときに見えたが、通信施設の前には何台か車が止まっていた。おそらく夜勤の兵士が乗ってきたのだろう。私は椅子の上で熟睡している兵士の懐を弄った。左胸ポケットに車のリモコンキーを発見した。キーに書かれているエンブレムはアウディだ。私はそのキーを拝借すると部屋を後にした。

 

施設から出て目の前に止まっている数台の車のうち、白のアウディを発見したのでそれに向かってリモコンキーを使ってみる。ウィンカーが数回点滅した。当たりのようだ。私は車に乗り込みエンジンをかける。先程通信施設内のパソコンで見た地図情報によると、弾薬庫はここから1キロほど離れた、滑走路のそばの森の中にあるようだ。私は車を運転し、そこを目指した。

 

 

 

弾薬庫は至って普通の倉庫のような建物だった。カモフラージュなのか、攻撃などされるわけがないという慢心なのかはわからないがともかく好都合だ。私は弾薬庫の前に車を止め、正面の扉をピッキングで開け、内部に入った。

 

内部はまさに倉庫という感じだった。弾薬庫にしては少々おかしい気がする。私は手近な木の箱を開けてその違和感の正体を知った。

 

中に入っていたのはM1ガーランド、別の箱にはリー・エンフィールドが大量に入っていた。この弾薬庫はすでに使われなくなった武器などを保管しておくための倉庫だったのだ。流石に第二次世界大戦期の武器では心もとない。それに肝心の弾丸が何処を探しても見当たらなかった。弾丸がなければただの松葉杖のようなものだ。仕方なく私は外に出た。しかし困った。他の弾薬庫の位置は把握していなかった。手近な建物に入って調べるか・・・?

 

 

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『47。データの解析の結果、施設の配置がだいたい把握できた。そこから東へ500mほど行ったところにある建物に陸軍の武器弾薬保管庫があるわ。』

 

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幸い情報部が解析してくれたようだ。私は再び車に乗るとその情報通り東の建物を目指して車を走らせた。

 

 

たどり着いた施設は陸軍用の輸送機などを駐機する格納庫のすぐ横の建物だった。また私は慎重に扉を開け中を探る。廊下はまたも電気がついておらず、非常灯だけが光っていた。私は慎重に中を進み、ひとつひとつ部屋を確かめながら進んでいく。一番奥まで来た。最後の扉であるが、ドアにある表示には“保管庫”と書かれている。おそらくここだろう。

 

私は保管庫の扉を開けた。扉自体は鍵がかかっていたがロックピックのある私にとっては無いのとほぼ一緒だ。中にはもう一枚鉄格子の扉があり、その奥には基地内の兵士用と思われる大量の銃と弾薬が置いてあった。私は鉄格子もピッキングで開けると早速武器を物色した。

 

M4やM16があるなか私が選んだのは“M107”だった。これならばたとえ滑走路の端からでも、もう片方の端を狙うこともできるだろう。私は銃を担ぎ、弾薬置き場から50口径弾を1マガジン分拝借した。他にも色々あるがとりあえずスタングレネードとスモークグレネードくらいは持っていこうか。っと、防空用のカモフラージュネットがあった。これも1セット拝借していこう。

 

入る時と同じく、慎重に扉を開け廊下を確認。建物から出た私はすぐとなりの格納庫へ向かった。

 

 

格納庫の中には何も駐機されていなかった。おそらく出払っているのだろう。私は隅の壁際に作業台があるのを確認した。作業台に近づきなにか情報がないかを探る。

 

コルクボードに貼られている連絡事項の中に滑走路についてのものがあった。

####情報を発見####

 

この張り紙によればこの基地にある2本の滑走路のうち、東側の南北に伸びる滑走路は先日降った雪の影響で一部が凍結してしまっているようだ。張り紙にはA滑走路、つまり基地を東西に貫いているもう一本の滑走路を使用するようにと書かれていた。こちらの滑走路は今日の昼間に融氷作業が終わったようだ。ということはターゲットの乗る戦闘機もこのAの滑走路を使うことになるだろう。だいぶ絞り込めてきた。

 

私は格納庫を出ると車に戻り、滑走路へ向かった。

 

 

 

滑走路の横に併設されている管制塔のある建物へ来た。1階と2階は指令センターになっているようだ。横には大型機用の格納庫もある。私はM107を車に置き、滑走路側の入り口から内部へ侵入した。

 

内部は他の建物と同じように電気がついていなかった。しかしいくつかの部屋からは声が聞こえる。私はそのうちの一つの扉を慎重に開けて中の会話に聞き耳を立てた。

 

 

「それならよかったが、整備の方は大丈夫なのか?」

「ああ。ちゃんと昼間のうちに終えておいたさ。」

「ならいいが、この前みたいな整備不良でどやされるのはゴメンだぞ。」

「大丈夫だって。ホリンズ大将のF-16、5号機だよな?いつもの倍時間を掛けて念入りに3度も確認したぞ。どこぞの大惨事特集みたいにはならんさ。」

「頼むぞ。どやされるとしたら整備担当であるお前と責任者である私なんだからな。」

「心配性だなお前も。あ、でも一つだけ大将に言っておかないとな。」

「ん?」

「最近演習区域に行くときに東側に離陸してただろ?アレ住民から苦情が来てな。今日から西側に離陸しろって上から命令が来てんだわ。」

「そういえばそんな陳情も来てたな。まあ私はペンタゴンにそれを転送するだけだったがな。」

「それが巡り巡って俺のとこまで来たってわけか。あいかわらず無駄が多い指揮系統だな。」

「そのあたりはしっかりしておかないと色々とまずいだろうからな。」

 

 

滑走路は東側ではなく西側に離陸するように今日から変更されるということらしい。これで情報が出揃った。ターゲットの乗る機も出発する方向も判明した。あとは待ち伏せるだけだ。

 

私は静かに扉を閉めると、建物を後にした。

 

 

 

私は車を運転して滑走路の西端へ向かった。滑走路の端は開けているため狙撃に必要な高さが確保できない。しかしそれよりも後ろにも別段高い場所があるわけでもない。横からだと偏差射撃の難易度が跳ね上がり確実性が低くなる。私の出した結論は滑走路よりも少し奥に行った平地に車両を止めてその上から狙撃することだった。

 

しかし見晴らしがいいため平地に一般車両が置かれていると目立ってしまう。そこで先程弾薬庫から拝借したカモフラージュネットの出番だ。私は滑走路の端の森の中に乗ってきた車を停めると、カモフラージュネットを展開させ、車にかけた。元々の色がそこまで派手な色ではないので十分に遠目からならごまかせるはずだ。ネットをかけた私はそのまま車内で待った。

 

 

 

日が昇り、当たりに朝もやが立ち込める。霧のようになったそれは朝の巡回から身を隠すのにもうってつけであった。現在時刻午前7時45分。もう間もなくだろう。私は車をネットがかかったまま動かし、滑走路の端まで移動した。

 

到着した瞬間、遠くの方で戦闘機のエンジン音が轟き始めた。私はM107を持って車の上に乗った。車の上に腰掛けるようにして構え、たった今格納庫から出てきた3機の戦闘機を見る。誘導路を走行している最中に尾翼の機体ナンバーを見る。後ろの2機は3号機と4号機のようだ。先頭のF-16は5号機。アレがターゲットが乗っている機体だろう。私は彼の機体が滑走路の正面に来ると照準をあわせた。

 

戦闘機のエンジン音が一層大きく甲高くなった。先頭のターゲット機が滑走路を滑り出す。私は滑走路横の吹き流しなどを見つつ修正を加え、引き金を引いた。

 

 

 

ダァーン!

 

 

 

放たれた弾丸はちょうど浮き上がろうとしていたターゲットのF-16のコックピットに吸い込まれていき、12.7mmの弾丸はキャノピーを貫通。内部に赤い血が飛び散ったのがスコープ越しに確認できた。

 

制御する人間を失ったF-16は急速に機首を下げ右へ曲がり始めた。もともと浮き上がった直後なのですぐ下は地面。そのまま右主翼が滑走路に激突し、翼端に積んでいたサイドワインダーが爆発し、派手にバラバラになりながら滑走路右側の誘導路に飛び散った。後ろに随伴していた2機のF-16はそれをみて無理矢理避けるように離陸した。あの場合で離陸を中止すれば巻き込まれた可能性もあった。その判断力はさすが合衆国空軍だろう。

 

 

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『軍用無線の情報や衛星からの情報からターゲットの死亡を確認したわ。ご苦労さま。すぐに軍がそこへ向かってくるはずだから早急に退却して頂戴。』

 

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私はM107を投げ捨てると車に戻り、カモフラージュネットを取り払うのも兼ねて急加速でその場を後にした。

 

滑走路の端の道路を通り、初めの建物へ戻ってきた。すでに日が昇っており、先程より車の量が多かったのですでに何人かが出勤してきているのだろう。私は建物の駐車場に車を止め、キーを中に放置して森のなかに入った。

 

最初のルートをたどるようにして森を進み、最初に乗ってきたゴムボートを再度水路に浮かべて脱出した。

 

 

 

 

 

 

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~3日後~

 

 

 

『問題は無さそうね。』

「ええ。我々が制作した薬が問題なく効力を発揮したようで良かったですよ。」

『47だけじゃなく、ブルーやシルバーやタバサにも手伝ってもらったからね。予定より早く実地試験結果が集まったわ。』

「願ってもないことです。」

『じゃあ今後はこれをさらに強力にする改良研究を行って頂戴。』

「さらにですか?お言葉ですが現在でも十分に強力であり、すでに実地試験でも有るように5時間は眠り続けます。これ以上強くすれば数時間どころか数日は寝たままになるほどになりますが。」

『数時間じゃ足りないのよ。できれば・・・そう、1週間から10日くらいは寝続けるくらいでないと。』

「そんなにですか?まあ確かに濃縮と成分調整を行えば可能ですがそこまでやる意味はあるのですか?」

『有るのよ。プロジェクト23265を遂行するためにはね。』

「なんです?そのプロジェクト何とかってのは。」

『ICA上級委員会勅命のプロジェクトよ。機密情報が多いからこれ以上は話せないけれど。』

「ふうむ・・・。まあ我々技術部は要求された仕様を達成するために研究開発を行うだけですがね。」

『それでいいわ。そのうち大きな仕事も有ると思うからそのときはお願いね。』

「大きな仕事ですか。最近兵器部門が暇だと騒いでいましたからちょうどいいんじゃないでしょうかね。」

『そうそう。この薬品の名前だけれど、こちらで決めても構わないかしら?』

「ええどうぞ。私達もまだ番号でしか区別していなかったので。」

『では本日よりこの新型睡眠薬を“バサラブ”と命名する。この薬品に関する研究を“カテゴリ・バサラブ”として遂行するわ。』

「了解しました。」

 

 

 

 

 

 

ミッションコンプリート

・「感度良好」  +1000 『基地内の通信施設より機密情報を取得する。』

・「お買い物」  +1000 『武器弾薬庫から武器を調達する。』

・「飛行禁止措置」+5000 『ターゲットの乗る機体を離陸している最中に狙撃する。』

・「ストライキ」 +5000 『ターゲットを暗殺し、その容疑を基地内の兵士に着せる。』

 

 




クロスオーバー要素皆無なのは感想を見て気が付きました。(暴露)


2019/06/17追記
レバノン料理は食べたことないですね。


次回はネバダ州へ向かいます。
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