HITMAN『世界線を超えて』   作:ふもふも早苗

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困難な任務(笑)状態ですがご容赦ください。
今回、時間帯が変わっており、14時位だと思っていただければ。

###注意###

原作に登場するキャラが死亡する描写があります。作品に思い入れが有る方はご注意ください。


HITMAN『メインディッシュは悲しみの詩』(もう一つの世界線)

『ガリア王国へようこそ47。』

 

『今回のターゲットは大物よ。ガリア王、ジョゼフその人。依頼はガリア国内を二分する派閥ジョゼフ派の対抗馬であるシャルル派のさる大物貴族。とても青いきれいな髪をしていたそうよ、社交界では“ガリアの青”とか呼ばれてるそうね。』

 

『ターゲットが国のトップである以上、かなりの困難が予想されるわ。十分に注意して。』

 

『準備は一任するわ。』

 

 

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ガヤガヤガヤ

 

私は今ガリア王国首都リュティスに来ている。今回のターゲットは王宮にいるらしい。

 

この世界では魔法という技術があるため専用の警備装置や警備配置がありそうだ。周囲の壁は高く漆喰が塗られているようで表面に凹凸もなく登るのは道具か魔法がなければ常人には不可能だろう。そして壁の最上部には何かしらの装置が見える。電気的な装置では無さそうなのでおそらく侵入検知用の魔法装置かなにかなのだろう。

 

私は今回、内部への侵入は難しいと踏んで外からの長距離狙撃を行うことにした。そのために、インフォーマントを通じ、街にある古く寂れた飲食店の使われていない倉庫に“Jaeger7”を置いてもらった。今回は長距離になりそうなのもあり、またガラス越しに打つことにもなると想定されたので消音機能を廃し貫通弾を運用できるようにした“Lancer”バージョンを持ってきた。

 

まずは周囲の状況を確認するところからだ。今現在、私はメインストリートと言える大通りにおり、このまままっすぐ進めば王宮の正面ゲートにたどり着く。条例なのか単に技術がないのかはわからないが周囲は概ね王宮の建物よりは低い建造物で囲まれており、町の何処からでも王宮を目にすることができるようになっている。しかし、その中でも一箇所だけ王宮と同じくらいの高さを誇る建造物があった。リュティス大聖堂である。

 

リュティス大聖堂はこの世界で信奉されている“ブリミル教”の教会であり、聖都ロマリアには王宮並みの大きさの聖堂があるらしい。ここにある聖堂はそれほどではなく、規模で言えば正直サン・ピエトロ大聖堂よりだいぶ小さい。それでもその鐘楼は王宮の最上階部分と大差ない高さを誇っている。

####アプローチ発見####

 

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『リュティス大聖堂は王宮を除けばこの街一番の巨大建築物よ。高さもそれなりにあって、鐘楼部分は人が入ることもできるみたい。ただ鐘楼は関係者しか立ち入れないでしょうから狙撃ポイントにするには工夫が必要ね。』

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幸いにして、ライフルを設置してもらった倉庫は中規模の通りを挟んで反対側にあった。しかし通りは大通りほどではないにしろそれなりに人通りがあり、見られずにライフルを持ち出すのは至難の業と言える。この世界では狙撃銃のような概念はないが、マスケット銃は存在しており、背負ってる物が銃だということくらいは認識されてしまう可能性が高かった。私はひとまず周囲の散策を進める。

 

大聖堂は表向きは貧民に対しての拠り所を自負しているらしく、スラム街と呼べるところにほど近い位置にあった。そこには貴族もおらず、平民だけで全てを賄っているようだった。一軒の店先で男2人が話していた。

 

 

「おい、この間頼んだ木彫り細工。アレまだできねえのか?」

「無茶言っちゃいけねえや、この前の火事のせいで生産が遅れてるんですよ。」

「あの何軒か家焼いた騒ぎだろ?何だ品が燃えちまったのか?」

「いや、品は無事でしたよ。発生したとこは結構遠かったですしね。でもね、あのとき消火に2日くらいかかったでしょう?ココらへんじゃちょっとの火事が起きても貴族様たちは助けちゃくれないんですわ。町の広範囲が燃えるようなことにでもならないと来てくれないんじゃないですかね。そいでここらへんじゃ火事が起こったら町のやつ全員で消火作業に当たることになってるんですわ。」

####情報を発見####

「なるほど、2日2晩火事の消火にあたってて生産が遅れてると、そういうわけだな?」

「へい。しかもどうやらそのとき家を開けてる最中にこそ泥が入ったようでしてね、木彫り細工に使う樫の木を何本か持ってかれちまってんでさ。新しいものを発注してはいるんですがまだ届かないんで。だからこうして材料がないので店先で駄弁るしか無いってこういうことでさあ。」

「近くの森に切りに行くとかできなかったのかよ。ただ待ってるよりよっぽどいいだろ。」

「無理ですよ、わたしゃもう年だ。工房で樫の木を動かすのだって一苦労なのに森からここまでどうやって持ってくるっていうんですかい。あんたが持ってきてくれるってんなら話は別だがよ?」

「いやー・・・樫の木が来るのはいつなんだろうなあ・・・」

「・・・予定では明後日になるらしいですけどね。」

 

 

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どうやらこの町では火災が発生したときは周辺住民総出で対処するようになっているみたいね。陽動に使えるかもしれないわね。

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私は早速近くの通りを進み、火事を起こせそうな家を探す。火災は小規模ではすぐ消されてしまうし周辺の陽動にもならない。しかし大きすぎると今度は収集がつかなくなり、王宮に報告が行きターゲットの狙撃に支障が出る可能性もある。タイミングと規模が重要である。教会から離れすぎず、かつそれなりの規模だが住民だけで消せない大きさではないことが重要だ。

 

少し進むと煙突から煙が出ている家があった。表の看板に剣と金床の模様が彫られているところから見ておそらく鍛冶屋だろう。鍛冶屋ということは中には高温の炉が有るはずだ。中を覗いてみると案の定炉があり、その炉の周りの床は石材だが少し離れたところは木材のフローリングのような床だ。壁も漆喰を使って燃えないようにしているのは見受けられるがそれも炉の周囲だけであり、やはり距離にして2~3mも離れたところからは壁は木材だ。

 

私は鍛冶屋の横の細い路地に入る。路地裏は決して清潔とは言えず、悪臭が立ち込めているところであったが通れないことはなかった。最も足の踏み場には気をつけなければならないが。私は鍛冶屋の裏手に出ると裏口の鍵をピッキングで開けた。裏口は奥の居住スペースに通じているようだった。この世界ではまだ電気は使われておらず、明かりはすべて蝋燭か松明だ。この家の主人は不用心なようで、居住スペースのリビングのテーブルに置かれていたランプの蝋燭が点きっぱなしだった。リビングの奥にはキッチンと思わしきところがあり、様々な調味料が小さな壷に入って並んでいた。私は調味料の中から油と思わしき壷を倒して中身をこぼれさせた。油が床に染み渡る。テーブルの上にあったランプも倒し、中の火がテーブルの上に広げてあったテーブルクロスに燃え移るのを確認した。テーブルとキッチンの床はそれなりに離れてはいたが、この差が時間差として働いてくれるだろう。一番離れた窓を少しだけ開け、私は家を出た。

 

教会横に戻った私は鍛冶屋の方面に煙が上がってるのを確認した。大きな炉の煙が1本と、注意深く見なければわからない程度の細い煙がもう一本。まだ騒ぎにはなっていないようだがそれも時間の問題だろう。私は一足先に倉庫へ向かった。

 

倉庫の中はホコリだらけで調度品は壊れ窓ガラスも割れており、もう何年も使われていないことが伺える。その中程のいくつか置かれたテーブルの下にこの中では真新しい木箱があった。開けると中に頼んでおいた“Jaeger7”があった。私は損傷や不具合がないかをチェックする。

 

バァァァン!!

キャー!ナンダ!カジダー!

 

にわかに外が騒がしくなった。最初の爆発音はおそらく油に移った火がなにかに引火したのだろう。私は倉庫の扉からこっそり辺りをうかがう。通りは大騒ぎになっており、鍛冶屋の方角からは今までの白い煙ではなく大きな黒煙が立ち上っていた。通りの人々はその黒煙の方に夢中であり、足早にさまざまな道具を持って黒煙の方角へ駆けていく。

 

通りの人通りがだいぶまばらになった。私は周囲を確認しつつ教会へ移った。通りの人々はみな慌てた様子で走っていたり、女子供は通り沿いの黒煙の方角を見て驚愕の表情を浮かべている。私が通りを横断したことには誰も気がついていないか、爆発音のした鍛冶屋のほうが気になるのか遠目で見られても気にもとめていなかった。私は追ってくる人間が居ないのを確認すると教会裏口の窓から侵入した。

 

教会の内部も混乱していたようで、避難してきた近隣住民がかなりの人数訪れていた。それらの対応に教会職員や神父はてんてこ舞いとなっており、水や食料を分け与えつつ祈りを捧げて落ち着くように説法をしていた。私は難なく裏窓から侵入した後、鐘楼へ向かった。途中、職員とすれ違いそうになったが、寝具を入れる箱に身を隠すなどしてやり過ごした。

 

鐘楼はそれなりの高さがあり、階下で不安と恐怖が入り混じった喧騒が聞こえる。しかし非常時に鐘楼に登る人間も居ないようで登る階段に人気はまったくなかった。私は一気に駆け上がり、頂上へ到達した。

上がってすぐ右手で結構な大きさの黒煙が見えた。しかし風向きはこちらが風上なので煙で視界が邪魔されることもなかった。正面には王宮の荘厳な外観が見えており、最上階もよく見えた。私はJaeger7を構え、ターゲットの位置を確認する。ターゲットは今現在自室に居るようだ。

 

 

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『アレがガリア王ジョゼフ。歴史という名の壮大なゲームのプレイヤー。でもそろそろゲームオーバーの時間ね。』

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スコープ倍率を上げ様子をうかがう。大きな模型の周囲をウロウロしながら話している。その隣にはやたら暗い色合いの女性も立っている。おそらく作戦会議か何かだろう。数分そうしていたかと思うとターゲットがこちらに正面を向ける形で立ち止まった。模型を眺めているようだ。模型上で何かを動かしている。私はその嬉々とした表情を中心に捉え、若干風向きを考慮しつつ引き金を引いた。

 

 

バァーン!

ナ、ナンダ!!ナニカガバクハツシタノカ!!

 

 

放たれた弾丸は予測どおりの軌道を描きつつ、窓ガラスを貫通し、ちょうど眼前に掲げるように持っていた箱のようなものをも貫通しターゲットの頭を正確に撃ち抜いた。反動でターゲットは後ろに盛大に倒れ込んだ。一瞬だけ命中の瞬間が見えたが血以外にもいろいろ飛び散っていた。

 

 

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『ターゲットダウン。いい腕ね。後はそこから脱出するだけよ。』

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隣りにいた女性は一瞬何が起こったのかわからないという様子で数泊立ち尽くしていたが、後ろに倒れ込んだターゲットを見て慌てた様子で駆け寄っていた。そこから先はカーテンに隠れて見えなくなった。

私は証拠を残さないために排出された薬莢を拾い、傍にあった雨水入りバケツを周囲にぶちまけた。階段を降り、教会内部を探る。どうやら銃声は火事による爆発と受け止められたようで神父が必死に民衆をなだめていた。私は侵入経路と同じ様に裏の窓から路地へ出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見事だった。」

 

 

路地に出た瞬間、急に話しかけられた。奇しくもターゲットと同じような青い髪をした少女だ。目撃されたならば始末しないといけないだろうか。

 

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『47。その子が今回のクライアントよ。でもなぜここに?』

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このような幼い子供がなぜ王の暗殺を依頼するのか、何故その多額の報酬を払えるのか。思案していると彼女は話を続けた。

 

 

「これで私の父様の敵も取れた。礼を言わせてほしい。」

「必要ない。これが仕事だ。」

「(コクッ)でも長年追い続けた敵を討ってくれた。感謝している。これから大変な時代に突入するのはわかっている。王座はジョゼフの娘イザベラに引き継がれることになるだろうけど彼女までは討たない。」

「・・・」

「私は私の敵を討てたことだけで満足。あなたにはこれを受け取って欲しい。」スッ

「これは…金貨か。報酬は既に支払われているはずだが。」

「いい。これは気持ち。チップのようなもの。」

「そうか。」

「もしかしたらまた依頼するかも知れない。その時はよろしく。」

「わかった。」

 

 

そういうと彼女はそそくさと路地奥深くへ消えていった。私は未だ騒がしいその街の喧騒に紛れつつ、倉庫の元あった木箱の中に銃をしまい、足早にリュティスを後にした。

 

 

 

 

 

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~同時刻~

 

 

「みよ、ミューズ。この世界を。」

「はいジョゼフ様。」

「この世界は今や混沌に満ちている。トリステインの王座は空席、ゲルマニアは政権争いに奔走し、ロマリアは宗教改革、アルビオンに至っては内戦の危機だ。」

「ジョゼフ様。ゲルマニアの政権争いは先程報告が上がってまいりまして、アルブレヒト3世閣下が即位した模様です」

「ほほうそうか。あのキツネ。とうとう皇帝へ上り詰めたか。それはそれで面白い。アレをここへ。」

「ハッ。こちらに。」

「うむ。これはな。アルブレヒト3世が即位したときのために用意させた特別な駒だ。これを」

 

バリンッガシャーングシャ

 

「・・・え?え??ジョゼフ・・・様・・・?」

「!!!!ジョゼフ様!!」

「誰か!衛兵!衛兵!」

ガチャ

「今の音は!?何事…なんと!陛下!」

「外からの襲撃を受けた!至急王都全体に非常事態宣言と非常線を張れ!」

「ハ、ハイ!水メイジもただ今すぐに!」

「急げ!」

「一体どこから…外ということはレビテーションで浮かんで…?いやしかしそんな事をすれば衛兵が気づかないはずがない。じゃああの教会から?いや無理だ。距離がありすぎる。700メイルは離れている。銃はせいぜい150メイルが有効射程だ。だとしたら一体どうやって・・・。」

 

 

 

 

ミッションコンプリート

・「キングハンティング」 +3000 『ターゲットをスナイパーライフルで暗殺する』

・「ゲームオーバー」   +2000 『ターゲットが世界模型の近くにいるときに暗殺する』

・「炎の精霊の導き」   +1000 『火災を発生させる』

・「最後の時まで」    +3000 『シェフィールド執政官の目の前で暗殺する』

・「世代交代」      +3000 『タバサに会う』

 

 

 

 




遅くなりましたがジョゼフ暗殺編パート2。


2019/06/13追記
ジョゼフの暗殺に早い段階で成功していたらどうなっていたかというのは小説を書く以前から色々妄想はしていました。ガリアは大混乱というレベルじゃすまないということはわかりましたが。


次回もハルケギニアです。
人を呪わば穴二つ。
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