HITMAN『世界線を超えて』   作:ふもふも早苗

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HITMAN『コンタクト』(別働隊)

『まずいぜ!黄色いランプが光ってる!なんだこれ?』

 

『47のほうも結構まずい状況らしいが、こっちもこっちでやべえぞ。ともかく、今上のお偉いさん方がなんか準備してるらしいから準備ができるまで持ちこたえるんだ!』

 

『可能な限り戦闘は避けろって話だ。もっとも目の前の連中相手だとやりあってどうこうなるようなもんじゃなさそうだけどな。』

 

『ほんとにやばくなったら逃げるんだぜ!命あっての物種だぜ。こっちに帰還する方法はいくらでもあるんだからな。』

 

『今回ばかりは準備は一任するしか無いようだ。頼んだぜ!生きて帰ってこいよ!』

 

 

 

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さあて、どうしたものかしらね。私達は今、セーフハウスの眼の前の通りで睨み合ってる状況。彼女たちの向こうに47が居て、彼女たちがそこへ行く通り道を通せんぼしてる。情報では空を飛ぶくらいはたやすいらしいから、ぷりり達に空を飛んでもらっても速度で追いつかれる可能性が高い。まったく。足止めしに来た私達が足止めを食らうとはね。

 

 

「さあ、お二人とも。観念してください!神奈子様には敵いませんよ!」

「おとなしくしてくれれば悪いようにはしない。最も、そちらの言う任務的には失敗になるだろうが。」

「私としては話し合いで解決したいと思っているのだが。」

「慧音の言う通り、話し合いで解決できるなら越したことはないけど、いざとなったら・・・。」

 

「どうする、姉さん。」

「どうするもこうするもねえ・・・。」

 

 

正直私は話し合いというのはあまり得意じゃない。相手を話術で騙すことに関しては一家言あるけれど、相手の要求とこちらの要求を照らし合わせて妥協点を探る交渉事というのはあまり得意な方じゃない。

 

私は耳打ちでシルバーに作戦を伝える。

 

 

「強行突破するわよ。」

「えっ!でも相手の戦力はだいぶ高いよ。」

「シルバーなんとか10秒でいいから時間を稼いで。その間にぷりりの“うたう”で眠らせてみる。」

「・・・わかった。合図は頼むよ。」

「了解。」

 

「何を相談してるんですか?!抵抗は無意味ですよ!あなた達は完全に包囲されています!」

「早苗。それフラグだからやめなさい。」

 

 

「せーのっ!今!」

「出てこい!オーダイル!マニューラ!」

「出てきて!ぷりり!」

 

 

オーダイル、マニューラが時間を稼いで、その隙にぷりりのうたうで眠らせれば・・・。でも効かなかったらどうしようかしら・・・そんときはそんときね!

 

でも事態は私達の予想の斜め上を行った。私達がポケモンを出して指示を飛ばそうと再び口を開こうとしたその時さらなる大声でそれが遮られた。

 

 

 

 

「あーーーーーーーーーーー!!!!」

 

「!?」

「えっ!?なに!?」

 

 

 

 

「ポケモンだーーーーーーーーーーーーー!!!」

「へ?」

「???」

 

 

 

「え・・・東風谷殿?」

「ちょ、どうした青巫女。」

 

「あー・・・。早苗、ポケモン大好きだったものねえ・・・。」

 

 

目にも留まらぬ速さで東風谷早苗が近寄ってきた。そしてオーダイル、マニューラ、ぷりりの周囲を回りながらペタペタ触りつつ観察している。

私とシルバーはもとより、相手のその他の面子ですら呆気にとられている。八坂神奈子だけはやれやれとため息を付いていた。東風谷早苗はそのうち私達に詰め寄ってきた。

 

 

「ねえ!」

「は、はい?」

「他には!」

「へっ?」

「他には持ってないの!?ポケモン!」

「え、ええ、あるけど・・・。」

「みせて!お願い!」

「ね、姉さん?これは・・・。」

「い、今は従ってみましょうか。」

 

 

私達はその圧倒的な熱量に押され、ひとまず言うことを聞くことにした。

 

 

「でてきて、カメちゃん。」ガメー

「きゃー!カメックス!おっきいー!」

「出てこい。ギャラドス。」

「ギャラドスだー!やっぱりおっきい!!ねえ!乗って良い?乗って良い?」

「あ、ああ・・・。」

「ありがとー!」

 

 

もう子供のようにはしゃいでいる。ポケモンたちもだいぶ困惑してる。モンスターボールの中からでも外の様子はある程度わかるので、戦闘に繰り出されると思って出てきた矢先にこれでは困惑するのも無理ないわよね・・・。

 

そのまま小一時間、私達の手持ちと戯れ、ひとしきり楽しんだ東風谷早苗は、呆然とそれを見ていた他の面子にもポケモンを紹介して回り始め、ポケモンがどんな存在なのか、ポケモンの魅力や特徴などを紹介して回っていた。

 

終いには所謂御三家ポケモンを持っているということで主要人物ではないかと疑われ、よく顔を確認された後に、「もしかしてシルバーさんとブルーさんですか!?」ときたもんだ。私達のことも知ってるのね・・・。

 

私達は流石にポケモンなしでは戦力のせの字にもならないので置いていくわけにも行かず、彼女がポケモンたちを離してくれない限りここを動けないという状況になっていた。見事に足止め食らってるわね・・・。

 

 

「でね!このふわふわ加減!夢にまで見た感覚!私感動しっぱなしで・・・。」

「早苗。早苗。」

「あ、神奈子様も触りたいですか?どうぞどうぞ存分にもふもふしちゃって・・・。」

「ちがあう!正気に戻って冷静になって!あっち側も困惑してるじゃないか!」

「あ・・・。」

 

「あ、ははは・・・。」

「いや、まあ気に入ってくれたんならいいんだけどね・・・。」

 

「も、申し訳ありません!!私としたことが夢にまで見たポケモンに直に触れると思ってなくてテンション振り切っちゃって・・・。」

「あー、いいかい?東風谷殿、そのポケモンとはそんなに珍しいものなのかい?」

「珍しいと言うか私の居た外の世界ではポケモンも彼らもゲームの中のキャラクターなんです。地元では私のメガニウムは結構有名だったんですよ。そんなポケモンに直に会えるなんて!やはり幻想郷では常識にとらわれてはいけないのですね!」

「そ、そうなのか。じゃあ東風谷殿。同じポケモンを慕っている好で彼らと交渉してきてはくれないだろうか。」

「あ、そうでした。そっちが本題でしたね。」

「忘れてたのか・・・。」

「まあ、私もあのポケモンとかいう生物には興味あるけどね。ことが済んだら調べさせてもらっていいわよね?」

「アリスまで・・・。」

 

 

やっと話が本題に移りそうだ。交渉は苦手だけれど、同じポケモンを知ってる身として話が通じるかもしれない。いざ交渉しようとしたその時通信が入った。

 

 

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『全体通信です。任務アップデート。ICA上級委員会より通達。戦略兵器“ロキ”の使用が許可されました。対重魔力障壁弾頭、装填開始。発射シーケンス準備開始。安全制御プロトコル1から8まで解除完了。目標地点を設定してください。』

 

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げ、アノ兵器使う気なの?ということはあっちはそれだけ切羽詰まってるってことかしら・・・。急がないと・・・!

 

隣りにいたシルバーもその通信を聞いて不安げな表情をしている。47が接敵したのは村の入口付近。そこを中心にしたとしても村は壊滅する可能性が高い。ということはその村の中にいる私達も無事では済まない可能性が高いということ。早くしないと私達も巻き添えってこと!?

 

さすがに47が私達の存在すら無視して村にアレを打ち込むとは思えないけれど、いざとなったらそれすら躊躇わずに撃ちそうというのもある。わたしは交渉を急ぐことにした。

 

 

「早苗さん。悪いんだけれどかなり時間がないみたいなのよね。単刀直入に言うわよ。そっちの要求はなに?」

「あ、はい。私達としては貴方たちの行っていることを詳細に教えてほしいのです。あなた達のやっていることは幻想郷のパワーバランスを大きく揺らがせています。このままでは幻想郷は遠からず崩壊してしまう。だからあなた達にそのことを伝え、任務が不可避なものなら影響が出にくいように工夫する手伝いをして、根本的に揺るがすことだったら、残念ですけど強制的にでも止めさせて頂く形に・・・。」

「なるほどね。私達2人はもう2人の任務遂行を手助けするためにここに居るわ。具体的には十六夜咲夜の足止めね。」

「なるほど・・・だから十六夜殿は広場で眠っていたのか・・・。時間も時間だったのでさきほど起こしたが。」

「あら、起こしちゃったの?まあ時間的に任務は完了してたから良いけれど。」

「じゃあ咲夜さんの足止めが目的なら、もう目的は達成されているということですか?」

「そのはずだったんだけどね。もう2人のほうが今現在進行系でピンチみたいなのよね。それを救出に向かおうと外に出たところであなた達に鉢合わせたってわけ。」

「君たちは彼らを救出することの意味がわかっているのか?」

「同僚のピンチに駆けつけるのに理由がいるの?」

「・・・まあそうか。」

「・・・神奈子様?」

 

 

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『座標設定が完了しました。発射シーケンス開始。弾頭:対重魔法障壁弾頭。炸薬タイプ:なし、通常モード。安全制御プロトコル、9から16まで解除完了。全安全装置解除完了。カウントダウン開始、発射まで10,9,8,7・・・』

 

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げ!マジでぶっ放しちゃったの?!私達はすばやくドンカラスとぷりり以外のポケモンをボールに戻した。

 

 

「あ、あの・・・?」

「ごめんなさいね。東風谷早苗さん。時間切れみたい。」

 

 

その時、空を劈く轟音とともに村の上空を飛翔体、おそらくロキの弾頭が通過していった。私とシルバーはドンカラスとぷりりで浮かび上がる。

 

その動きに呼応するように上白沢慧音と藤原妹紅以外の3人も同じように上がってきた。弾頭は村を越えて森の方へ飛んでいき、そしてその奥に見えた湖に着弾した。

 

とてつもない轟音と共にかなりの地揺れが発生して村の家々が皆一様に何かしらの損害を受けていた。驚いた住人たちが次々と外へ出てくる。

 

 

「なんだ!何が起こったんだ!」

「今の揺れは・・・!慧音!アレ!」

「!?」

 

 

上白沢慧音と藤原妹紅もたまらず上にがってきた。その時、湖の端の森が大量の水に押し流されるのが見えた。かなりの速度で、ここまで到達するのも時間の問題でしょうね。

 

私達は空を飛んでいればいいし、セーフハウスが流されたとしても転送地点を別の場所に再設定すればいいだけだから良いけど、村は・・・。

 

私もシルバーも村が濁流に飲み込まれることを悟り、なんとかできないか思案したものの、為す術がないことを理解するのがやっとだった。

 

 

「早苗!」

「!はいっ!」

 

 

八坂神奈子が東風谷早苗になにか合図を送った。もしかして彼女ならなんとかできるのだろうか?既に村の入口付近まで濁流は接近しており、物見櫓が流されるのが見えた。

 

 

「ふ・・・はあっ!!」

 

 

掛け声一つかけると彼女を中心に透明なドームが急速に広がっていった。村の家屋を飲み込もうとしていた濁流がその不思議なドームによって防がれる。ドームは村の大半を覆う形になり、濁流はドームを避けるように流れていった。少しして、濁流が収まり、あたりが水浸しになった以外は家屋の倒壊が2件ほどで済んだ。

 

その光景に感心していると、八坂神奈子はすごいスピードで濁流が来た方向の村の入り口へすっ飛んでいった。東風谷早苗は慌ててそれを追いかけていく。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

『おう、お前ら無事か?危ないところだったな。47の方は交渉がまとまったようだぜ。まあ抑止力を誇示するために一発ぶっ放したらしいな。村のすっごい遠くにある・・・なんつったか、桐の湖?とか言うところに落としたみたいだ。今見たら湖の水が3分の1くらいになっちまってるな。相変わらずすげえ威力だぜ。』

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

私とシルバーはとりあえず地面に戻った。戻る最中に本部から通信が入って、事の顛末が伝えられた。降り立つやいなや残っていた3人から詰め寄られた。

 

 

「ちょっとちょっと、今のは何よ?!」

「私達の本部が使った戦略兵器よ。」

「戦略兵器だと?!」

「詳細は聞いてないけれど、おそらく私達の仲間はこの世界を人質にとったわね。あの兵器がこの村に直接落ちてきていたらどうなってたと思う?」

「さっき、空から着弾の瞬間を見てたけど、魔法障壁が貫通されたような感じだったわね。」

「アリス殿、わかるのか?」

「ええ。私達魔法使いにしか多分わからないと思うけどね。かなり強力な障壁が貼ってあったみたいだけど・・・。」

「ということは向こうにいる魔理沙もわかったのか。」

「いやあ、あの子はどうかしら。あの子結構いい加減だから・・・。」

「じゃあ防御は不可能ってことじゃないか。そんなものがここに落ちたら・・・。」

「間違いなく、村は跡形も無く消し飛ぶわね。」

「そんな・・・。」

 

 

そんな会話をしていると道の先から2人の人影が歩いてくるのが見えた。大柄なスーツの男性と小柄なマントを羽織った少女。間違いない、47とタバサね。

 

 

「姉さん。帰ってきたみたいだ。俺たちも帰ろう。」

「!」

「そうね。あの二人が帰ってきたってことはそろそろ帰らなくちゃ。」

「ま、まて。最後にひとつだけ聞きたい。」

「あら?なあに?」

「答えられることなら。」

「君たちは・・・何者なんだ?」

 

 

私とシルバーは互いに顔を見合わせて、こんなシーン映画にありそうだなと思いつつ言った。

 

 

「私達は、ICAよ。」

 

 

 

 

 

 

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~1日後~

 

 

 

『フランドール・スカーレットの血液は予定通り技術部に回されました。』

「うむ。ご苦労だった。あとは我々だけで完結できそうだな。」

『それに伴い、今後の予定について簡単に流れをご説明します。』

「よろしくたのむ。」

『現在、フランドール・スカーレットの血液はDNA解析に掛けられています。それが完了次第、ブルーとシルバーがルーマニアの廃病院から入手してきた技術を使って素体の生成に入ります。』

「ふむ。素体の生成にはどのくらいかかる予定かね?」

『1ヶ月ほどです。』

「やはりそれなりに掛かるか。」

『その後、素体が正常なことが確認できましたら、カテゴリ・ハナダとカテゴリ・フォルムーラをあわせて再度素体を生成して経過を観察します。順調に行けばこちらも1ヶ月ほどで完了できます。』

「取扱には細心の注意を払うように。その辺は抜かり無いな?」

『問題ありません。これらの研究はすべて別の世界、ワールド13423で行われます。』

「それならばいい。その後は?」

『素体が完成しましたら量産体制に入ります。この工程もその世界で継続して行われます。それと同時に実戦試験も行います。』

「実戦試験か。相手は?」

『その世界での主要人物になってしまいますが、“艦娘”達が相手になってくれるでしょう。』

「そうか。たしかワールド13423は通常の軍隊や深海棲艦とかいう生命体も居たはずだな。それらとも戦闘試験を繰り返し実施したまえ。」

『わかっています。既に準備は始めています。』

「うむ。さすがはバーンウッドくん。手際がいいな。」

『ありがとうございます。』

「では、プロジェクト23265もいよいよ根幹部分に取り掛かることになる。最新の注意をはらいつつ、完成させてくれ。」

『了解しました。』

 

 

 

 

 

ミッションコンプリート

 

・「メガニウムのさなちゃん」 +1000 『東風谷早苗にポケモンを見せる。』

・「バランサー」       +3000 『幻想郷主要人物から目的を聞き出す。』

・「34丁目のサナエ」     +5000 『東風谷早苗の奇跡を目撃する。』

・「戦神を携えし者たち」   +1000 『主要人物に自分たちの所属を明かす。』

 

 




2019/06/17追記

最初のウィートリー君の出だしはEDF5からです。(わかった人いるのか・・・?)


次回、プロジェクト23265完成。

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