会話文多めなので読みにくいかもしれません。
~幻想郷~
今日もいい天気。少し前の喧騒が嘘のよう。
半年ほど前に起こった“幻想郷危機”(命名:東風谷早苗)ではICAという組織が霧の湖の水を溢れさせて人里やうちの館に被害を与えた。聞くところによると被害が出たのはここらだけではなく、その時に発生した地揺れの影響なのか、地底の旧都の一部が崩落して鬼や餓鬼達に被害が出たり、竹林や魔法の森の一部が陥没したりしたようだ。
しかし、それ以降ICAの者と思われる流入者は無く、それどころか外来人自体ここ数ヶ月新人はいないようだ。今までが外来人だらけだったのを考えると、ある意味異変とも言えるかもしれないわね。私がテラス(遮光フィールド完備)でお茶を楽しんでいると優秀な従者が私を呼びに来た。
「お嬢様。よろしいでしょうか。」
「何かしら。咲夜。」
「パチュリー様がいくつか話したいことがあるそうで、図書館まで来てほしいと。」
「パチェが私を呼ぶなんて珍しいわね?わかったわ。」
あの動かない親友はこちらがちょっかいをかけることはあっても、向こうからこちらを呼びつけることは殆ど無いので非常に珍しいと言える。呼ばれた理由が全く想像できないからこそ行く楽しみがある。私は若干楽しみになりながら図書館へ向かった。
「あら?フラン?」
「あ、おねーさま!」
「来たわね。」
図書館には妹のフランがいた。最近ではその破壊衝動も幾分自制が効くようになってきたので、地下に閉じ込めるなんてことはしていない。もっともほとんど屋敷から出していないので同じかもしれないけど。
「フランもパチェに呼ばれてきたの?」
「うん!」
「そう。それで?一体何をするのかしら?また勝負するつもり?」
「勝負はしないわ。レミィ弱いから。」
「弱くない!」
「お姉さま、この前も約束手形いっぱいだったものね!」
「アレは部下に花を持たせただけだから!本気になればすぐに億万長者よ!」
「とにかく。本題よ。レミィ、フランの運命を見てほしいの。」
「フランの?そりゃまた何故?」
「???」
「最近、と言ってもここ数十年になるけど、私占いを少しかじってるのよね。」
「知ってる。偶に占星術っぽいことやってるわよね。」
「私のやってるのはもっと高度なものだけど。それで、昨日も占ってみたんだけど、レミィとフランが面倒事に巻き込まれるという結果になったわ。」
「面倒事って何よ?」
「そこまではわからないわ。だからレミィの能力で確認してもらいたいのよ。そうすれば対策もできるでしょ。」
「そういうことね。私としては最近平和ボケしそうで退屈してたから面倒事はちょど良いけど。」
なんとも拍子抜けだ。ただ単に予防策を立案するために呼ばれたようだ。まあ私とフランのことを気遣っていることは理解できるので悪い気はしない。私は早速フランの直近の運命を見ようとしたその時だった。
「あれ?お姉さま。なんか黄ばんでない?」
「黄ばんでなんか無いわよ!・・・ってこれは・・・!」
「・・・!転送陣!レミィ!」
「お姉さま!」ガシッ
「ちょ、フラン!離れて・・・」
バシュウゥ…
「レミィ・・・フラン・・・。」
「パチュリー様?今なにか大きな声がした気がするのですが・・・?」
「咲夜、非常事態よ。レミィとフランが連れ去られたわ。」
「な、な!」
「落ち着きなさい。あの転送陣は見覚えがあるわ。行き先を逆探するから手伝いなさい。」
「!かしこまりました!」
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~米花町~
「博士、今度は何作ったんだよ。」
「おお、新一。来たか。ちょっとまっていろ、今回のは力作じゃぞ!」
博士はまたよくわからない発明品を工藤君に見せびらかしている。今回の発明は相手の身体能力を表示できるスマートメガネだそう。漫画のスカウターとかいう道具にインスピレーションを受けたらしい。うまく行ったら工藤くんのメガネに搭載するつもりのようだ。
しかし、そのスマートメガネの技術の一部は私が開発したもの。しかもまだ実証試験段階にも達してなかったはずなので・・・。
ボゥン!
「うぉわ!」
「うわ!」
案の定オーバーヒートして爆発した。小規模なものなので掛けていた工藤君の顔が煤まみれになるだけですんだが。
「・・・博士、そのメガネの熱交換器はまだ試作段階よ。まだ調整が不十分だから使わないでって言ったわよね?」
「ううむ・・・イケルと思ったんじゃが・・・。」
「博士!せめて自分で試してからにしてくれよなあ!」
「ううむ、すまんすまん。改良が必要じゃなあ・・・。」
黒の組織に加えてICAという謎の組織も参戦してきているこの頃、こんなことをしている場合なのだろうかというちょっとした不安に襲われている・・・あら?
「え、っちょ、何?!」
「灰原?・・・!」
「哀くん!?」
「ちょ、なにこの光!」
「灰原!」ガシッ
「工藤…」
バシュッゥゥ…
「新一・・・哀くん・・・こりゃイカン・・・!」
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~トリステイン魔法学院~
「待ちなさい!犬!」
「待つわけ無いだろ!」
「今日も元気だな、あの二人。」
「毎日毎日よく飽きないもんだね。」
庭でティータイムを優雅に決めていたのを邪魔したのは、いつもどおりルイズとサイトのコンビだった。どうやら今日はまたサイトがシエスタに目移りしたことでご主人様の怒りを買ったらしい。
一応、ルイズとサイトはこの世界をエンシェントドラゴンから救った英雄なのだが、まだ在学中ということもあってド・オルニエールの領地よりこちらにいることのほうが多い。
僕が率いるオンディーヌ騎士隊も活躍したのでこの学院での僕たちの地位はそれなりに高い。だからこそ僕の美貌に美女たちが集まってきてしまうわけだが。
「まちなさーい!」
「ルイズ、そのくらいにしておいてあげたらどうかね?サイトだって男の子なんだから。」
「ギーシュは黙ってて!これはご主人様に楯突いた犬を躾けてるんだから!」
「なんだよ!ちょっと弾みで胸を触っただけじゃないか!」
「触るだけじゃなく、私とシエスタの胸を触って比べてたでしょうが!」
「あー、それはいけないよサイト・・・。」
こういう場合、大抵サイトの自業自得だ。この前はルイズの下着を無くして同じく追い回されていたし、授業中にルイズの失態を大笑いしてた事もあった。
でもルイズ本人もこの状況を楽しんでる風もあるし、サイトの方も最近じゃこの追いかけっこを楽しんでいるようなので、この状況はお互いにとってWIN-WINと言うやつなんだろう。
「今日こそはこの新しいこの鞭の・・・あら?」
「やーなこっ・・・ん?」
会話が途切れたので何事かと思えば、ルイズの周りが黄色く光り輝いている。アレは・・・召喚陣か?目に見えてルイズが不安そうにしている。これは不味いかもしれない。僕も席を立って駆け寄ろうとする。
「ルイズ!」
「サイト!」
バシュッゥゥ…
二人は黄色い光に飲み込まれ消えてしまった。消える直前にサイトがルイズの腕を掴んでいたのでサイトも巻き込まれたようだった。
その後、学院総出で二人を探したが、その日は結局見つけることはできなかった。
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~3時間前~
「簡単だ。渡界機を使えばいい。」
皆、私の言葉に呆気にとられているようだった。その中で最初に口を開いたのは意外にもタバサだった。
「渡界機は使えなくなってる。さっき話していた。」
「そうよ!何聞いてたのよもう!」
『47。どういうことか説明してくれるかしら?』
「壊れているのは送信機だけだろう?受信機は生きている。」
「そういえば・・・でもだからどうだってのよ?」
「個人名転送で各世界の有力者をかき集めるんだ。そして力を合わせてあの化け物を倒す。」
『個人名転送・・・そうかその手が!』
「なにそれ?」
整備性とリスクヘッジの関係で、ICAの持つ渡界機は大本となる機械などは無く、受信機、送信機、通信機、発電設備の4つがそれぞれ独立して構成されている。座標指定で使用するのが主であるが、緊急時には個人名で指定することもできるのだ。
しかし個人名で使用する場合はいくつか弊害がある。例えば、触れているものや人を同時に転送してしまうことだ。これは本来服などが転送されないという事態や、触れているものが範囲外にある場合に転送エリア外と内で、対象を物理的に分離してしまわないようにするためだ。これは利点でもあるが欠点でもある。もし転送対象が巨大な魔物などと戦闘中で、剣を交えている最中だったとしたらその魔物まで一緒に転送されてしまうのだ。
さらに転送時に通信機能などはないため、通信は別で行わなければならない。座標指定の場合、その座標地点に通信設備が設置されるのでその心配はなくなる。さらに転送先からは転送元の状況が全くわからない。これは転送エリアがいきなり現れ問答無用で連行されることになるため、着替え中や入浴中などでも容赦なく転送されることになる。
その他にもいくつか細かい弊害があるが、主にこれらの理由で個人名転送は普段行われていない。しかし今回はその特性が功を奏する事になる。
「でも協力してくれるかしら?」
「協力するかどうかはわからない。だが目的は同じになるはずだ。どのみちあの化物を倒さなければ元の世界に帰れないのだから。」
「えげつない。」
「無理やり引きずり込もうってわけね。渡界機が治った瞬間殺されなければいいけど。」
「その時は本部が報復すればいい。幻想郷に配置してあるアレはまだ残ってるんだろう?」
「そういえばこの世界にはないの?」
『一応試作型が一つあるわ。弾頭は同じものだからシステムをアップデートすれば使えるかもしれないわね。』
「しかしそれは最終手段だろう。あれは簡単に撃って良いものではない。」
「まあ、こっちまでやられそうだしね。」
『それに・・・。』
「それに?」
ミス・バーンウッドが言おうかどうしようか迷う素振りを見せる。今の話の流れだと、カテゴリLOGの試作機には何かトップシークレットの機能があるようだ。
『・・・なんでもないわ。じゃあまずは誰を呼び寄せるのかリストを作成して頂戴。』
「まずは戦力だ。フランドール・スカーレットは必要だろう。」
「ルイズ・・・なんて言ったかしら?あの子も強力な魔法使いなんでしょう?」
「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。」
「そうそれよ。相変わらず長い名前よね。」
「彼女は虚無の魔法使い。対魔法生物にはもってこい。」
「そうか。では彼女も呼ぶとしよう。タバサにとっては久々の再会になるな。」
「・・・。」
「参謀役もほしいな。作戦立案をする人間が必要だ。」
「ならば灰原哀を連れてこよう。江戸川コナンの参謀役だ。」
「あら、それならそのコナンくんも連れてきたら良いんじゃない?」
「ふむ。ならば個別に呼ぶとしよう。」
その後も何人か候補が出た。渡界機が許す限り手当たり次第に呼ぶことになりそうだ。第一陣が策定され、我々は早速地下にある渡界機の受信ユニットに向かった。
地下の設備も一部がえぐり取られている。おそらく実験体の光線の直撃をもらったのだろう。確かに送信機の半分がバラバラに壊れて使えそうにない。そのさらに下の階層に受信設備がある。
受信設備には通信装置が併設されており、まだかろうじて機能が生きている。ミス・バーンウッドが端末に近寄る。
「渡界機のオペレーターはどうした?」
『脱出する時のためにそのほとんどが送信機近くにいたわ。』
「そうか・・・。」
『全滅ってわけじゃないわ。10人が2人に減ったけれど。』
「部隊で言えば全滅扱いだろうな。」
ともかく、受信機備え付けの通信機で世界座標を指定する。個人名指定モードに切り替えた後、スイッチを起動する。幸いにして発電設備は破損しているもののバッテリーが残っているため受信に必要な電力は確保できていた。それでも送信には足りないが。
受信装置が静かに動き出し、回転し始める。受信ポッドが光り輝き始め、そのまばゆい光の中から人影が出てくる。
「パチェ・・・・?あら?」
「ん・・・んん?」
フランドール・スカーレットを呼び寄せたつもりが、その姉まで着いてきた。地下室でひとりおとなしくしているものとばかり思っていただけに、少々誤算ではあるがまあ問題はないだろう。
「ここは・・・!お前は!」
「・・・久しぶりと言うべきか。レミリア・スカーレット。」
「こっちはあまり会いたくはなかったんだけれどね。」
「あ、あのときのおじさん。」
「おじさん・・・プッ!」
「だ、駄目だよ姉さん・・・笑っちゃ・・・クッ」
「・・・フッ」
・・・正直、まだおじさんという年ではないと思うのだが。そんなことよりも溢れ出る殺気を抑えきれていない姉の方に現状を説明せねばならない。
私は実験体の大本が彼女の妹だということは伏せつつかいつまんで説明した。片方は殺気を出しながら、もう片方は興味津々といった雰囲気で聞いていた。
「ふうん・・・その実験体とやらのせいでこの世界が滅び掛けてると。ふうん・・・。」
「すまないが実験体を無力化するのに協力してもらえないだろうか。無論報酬は出す。」
「嫌よ。」
「(ですよねー・・・)」
「何故無関係の私達が知りもしない世界を救わなきゃならないの?私達は悪魔よ。神様か何かと間違えてんじゃない?そういうのは山の宗教家の管轄でしょうに。」
大方予想通りの答えだ。初めからもう帰れないことを理由に脅迫するのもよいが、それでは良い協力は得られないだろう。私は前回任務で情報部から得られている情報を使うことにした。
「君は幻想郷一の戦闘力があり、頼りがいがある人物と聞いている。」
「!」
「・・・47?」
「その戦闘能力は他の追随を許さず、夜の帝王として幻想郷で恐れられているとも。」
「そ、そう・・・それで?」
「・・・お姉さま?」
「カリスマ性でも抜きん出ており、優秀な部下と友人や家族に慕われると同時に、数多の尊敬を集めていると聞いている。」
「ふ、ふうん・・・。」
『(そういうことね。)』
「我々が直面している危機も、かの御仁ならば瞬時に解決してくれるであろう力と器量を備えていると判断したため、今回は大変失礼ながら呼ばせてもらった。」
「そういうことだったのね。良いでしょう!この夜の王、レミリア・スカーレットに任せなさい!そんなよくわからんやつちゃちゃっと倒してやるわ!」
「(ちょろいわね・・・。)」
「(ちょろいな。)」
「(お姉さまちょろすぎ・・・。)」
『(与し易い子で助かったわ。)』
かくして、スカーレット姉妹が参戦してくれることが決定した。ちなみに妹の方は、姉よりだいぶ冷静に状況が判断できるらしく、私の説明中にこちらの核心も言い当ててきた。
「ねえ、その実験体って、私の血を元にしたんでしょ?」
「!」
「大丈夫よ、怒ってないから。むしろ面白そう。お姉さまも乗り気だし手伝ってあげるわ。この所暇だったの。」
そう耳元で囁かれた時は流石に冷や汗が出たが、なんとか乗り切れた。
場はなんとか沈静化したので次の対象者を呼ぶことにする。次はハルケギニアだ。先ほどと同じように光り輝く転送装置から人影が現れる。
「・・・ぷぁ!」
「うわわ!・・・ってここはどこだ?」
「ルイズ。サイト。」
「へっ?・・・もしかして・・・タバサ?!」
「!!」
タバサがまっさきに迎える。久々の再開だと言うのに感動というよりは警戒という方が強いようだ。タバサを生き返らせてから数ヶ月後に聞いた話では、魔法学院までタバサの遺体が消えたことが伝わったことが確認できている。おそらく何者かに操られていると思っていうのだろう。
「・・・!あなた、何者!タバサの体なんて使って!誰が親玉!」
「ルイズ!俺の後ろにいろ!」
「違う。操られてるわけじゃない。」
「操られてる本人の言葉なんて信用できるわけ無いでしょ!」
『タバサの言ってることは本当よ、ヴァリエールさん。』
「!あなたは・・・?」
『そうね。タバサを殺し、そして蘇らせた組織、かしら。』
「蘇らせた!?」
「殺し・・・ってことは暗殺したのはお前らか!」
『ちょっとは落ち着いて頂戴。主従揃って感情的では何も話は進まないわよ。』
ミス・バーンウッドはその巧みな話術によって、重要な部分はぼかしつつ、こちらの要求部分はしっかりと説明する。タバサに関することも時折本人の話も混じりながらほとんどを打ち明けた。その歴戦のオペレーターの話術は彼らの感情的な高ぶりを見事に抑え込んでいた。そして私も加わりつつ話は本題に入っていく。
「じゃあその実験体っていうのを倒さないとこの世界が滅ぶってこと?」
「そういうことだ。」
「なんだよそれ・・・。そんなもん相手にしろって無茶言うなよ!」
「実験体は魔法の力で動く部分も多く、君たちの力もかなり有用と判断されている。」
「・・・。」
「で、でもさあ・・・。」
「タバサ、貴方は?貴方はこの人達の言うことを信用しているの?」
「・・・少なくとも、ガリアよりは信頼できる。それだけの理由も見てきている。」
「そう・・・。あなたは、あの実験体と戦うつもりなの?」
「戦う。迷いはない。」
「・・・なら私達も協力するわ。」
「ルイズ?!」
「サイト、あの実験体とかいうのはこの世界の人々を苦しめ滅ぼそうとしている。貴族の娘として見過ごす訳にはいかないわ。それに、タバサが行くっていうのに私達が行かないわけに行かないでしょ?」
「そりゃあそうだけどよ。でもどうすんだよ。虚無の魔法だって効くかどうか分かんねーぞ?」
『私達は虚無魔法についてもいくらか調べてあるわ。虚無魔法ならば実験体にも、滅するまでは行かなくとも有効打を与えられる可能性が高いと試算している。』
「だー!わかったよ!やりゃあいいんだろやりゃあ!」
外堀を埋められて逃げ場がないと悟ったか、少年も同意してくれた。ルイズとサイト、そしてついでについてきた喋る剣…デルフリンガーとか言ったか。2人と1本が仲間になった。
これで4人。まだ足りないな。特に頭脳部分が足りていない。相手は猛獣などではなく、戦略的な思考もできる簡易的なAIも搭載している。戦略担当が必要だ。そこで次の対象者の出番というわけだ。
次の対象者は米花町に住む工藤新一、もとい江戸川コナン。宮野志保、もとい灰原哀。この両名。戦略面ではかなり優秀な部類に入ると思われる二人がいれば作戦担当は十分だろう。
「・・・君!・・・あら?」
「ぐっ・・・?ここは・・・。」
「ようこそ!ウェルカム!いらしゃーい!」
「歓迎するよ。」
住んでいる家は違うということなので一人ずつ呼ぶ予定だったのだが、ちょうど一緒にいたところで転送したようだ。2人まとめてきてくれたのは都合がいい。
私が前に出るとまた話がこじれるからという理由で私は少し後方で待機させられた。代わりに出迎えたのはブルーとシルバーだ。もっとも、すぐにこちらの存在に気がついたようだが。
「くっ!おまえは!」
「・・・?」
「あーやっぱり気がついちゃうわよねえ・・・。」
「お前ら、まさかICAか!」
「そのとおりよ。今回はちょっと君たちの力を借りたくて。」
「ふざけんな!殺人犯たちの頼みなんて聞けるか!」
「あら?でもその殺人犯達にこの前命を助けられてなかったかしら?」
「ぐっ・・・。」
我々は各々の作戦の後に、反省も兼ねてエージェント同士で任務内容を報告し合う。あの少年を助けた時ブルーとシルバーはいなかったが、作戦内容も含めおおよその概要は報告済みだ。
「借りは返さないといけないと思わない?今なら借りを返すどころか、逆に借りを作るチャンスがあるんだけど?」
「・・・。」
「そっちの彼女はどう?」
「えっ・・・。」
「貴方も研究員なんでしょ?主に薬品に関しての。」
「!」
「お前ら!何故!」
「あら?私達の情報部を舐めないほうが良いわよ。工藤新一くん。宮野志保さん。」
「!!!」
「むしろ情報部は不思議がってたわよ。彼らの観点からすればかなり分かりやすい偽装だって。黒の組織とやらが何故しっぽをつかめないのか不思議でしょうがないって。」
「・・・。」
「姉さん。そろそろ本題に移ろう。今回二人を読んだのはある実験体から世界を救うためだ。」
「実験体?」
2人は彼らに今回の顛末を伝える。今更ながら、一気に呼び出して同時に説明したほうが手早く済んだかもしれないな。他の対象者は一気に呼び出すことにしよう。
「その実験体を殺すための策を私達がいっしょに考えてほしいってことね。」
「まあ端的にいうとそういうことね。」
「私達が協力するメリットは?」
「報酬なら出すわよ。お金でもいいし、他のことでも良いわ。いいわよね?」
『大丈夫よ。こちらの不利益にさえならなければね。』
「なら・・・私達を手伝ってもらえる?」
「灰原!」
「あなたは少し黙ってて。私の本名も知ってるということは私達が小さくなった理由も知ってるんでしょう?」
「私は教えられてないから知らないけれど、情報部は知ってると思うわよ。」
「なら、任務に協力したら私達が元の体に戻るための薬の研究を手伝う。これでどう?」
「・・・(チラッ)」
『・・・確認をとったわ。答えはYESよ。』
「そう。なら交渉成立。」
交渉がまとまったようだ。しかしほぼ放置な彼の承諾が得られていない。こういうことに関しては頭が硬そうな少年が許すような案ではない。案の定食って掛かる。
「灰原お前何勝手に話を進めてんだよ!コイツラは殺人犯なんだぞ!」
「だから?そんな事を言ったら私だって殺人幇助数十件よ。あなただって捜査の過程で殺人のアリバイ作りに利用されたことぐらいあるでしょう?」
「それとこれとは!」
「それにこの世界から米花町へ帰るには、彼らの機械が必要そうだしね。」
「だけど!」
「それに私達の体を元に戻す薬もこれで大きく進展すると思う。彼らの逮捕は米花町のあるあの世界でやったら良いわ。」
『加えて言うならこの世界はもう警察機関と呼べるものは殆ど残ってないわね。』
「ぐっ・・・。・・・わかった。今回限りだからな!」
折れた。多勢に無勢。味方となる人間がいなければ人間とは折れやすいものだ。彼とて例外ではない。
ともかく作戦立案に関しての強力な助力が得られそうだ。情報部の調べでは、今まで数々の窮地を機転と作戦で乗り切ってきたようだから、今回も役に立ってくれるだろう。
その後も何人か呼び寄せた。アメリカの伝説的傭兵だったり、武道大会優勝したお姫様とその付き人2人であったり、何故かリストに名を連ねていた強面プロデューサーであったり。
最後の人物は本人も私達も何故呼んだのか呼ばれたのかわからなかったが、彼に説明をしている最中に瓦礫が崩落した際、彼がとっさにその瓦礫を裏拳でいともたやすく破壊したを見て、初歩的な戦闘訓練を施せば戦力になる可能性が見えた。もっとも、訓練自体は私がやる羽目になったが。
戦力は着実に整ってきている。反攻作戦の開始と行こうか。
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「バーンウッドさん!」
『・・・!新たな情報?』
「はい。実験体の現在位置が判明しました!」
『本当なの?それで、現在位置は。』
「現在、アメリカ合衆国ミズーリ州はカンザスシティ周辺です。」
『もうそんなところまで・・・。状況は?』
「はい・・・。それが・・・。」
「どうした?」
「・・・実験体がカンザスシティに到達したのはつい数十分前です。上空を通過するつもりだったようですが、衛星からの映像では対空砲火を受けているようでした。おそらく現地の米軍だと思われます。」
「深海棲艦の航空機と間違えたのかしらね。まさか撃墜されたの?」
「・・・対空砲火は全て外れました。実験体に有効なダメージを与えられず、つい5分ほど前に、カンザスシティは消滅しました。」
『なんですって・・・!』
「大爆発があり、その直前に大きな火球が確認されています。現在、カンザスシティ、リバーマーケットを中心に半径20キロほどのクレーターができています。」
「火力が尋常じゃなさすぎる。手に負えるのか?」
「なんとかしなければこの世界がすべてカンザスシティのようになる。急ぐ必要がありそうだ。」
ミッションコンプリート
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ちょっと手直しする可能性があります。
追記:微修正済み
次回、反攻作戦開始。