HITMAN『世界線を超えて』   作:ふもふも早苗

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HITMAN『エージェントたちの決戦』(もう一つの世界線)

『硫黄島へようこそ。47。』

 

『現在、実験体はロシア連邦から中華人民共和国へと移動中よ。このまま行けば数時間後にはこのあたりを通過するはず。そこを叩くわよ。』

 

『作戦を説明するわ。呉鎮守府と横須賀鎮守府から艦娘部隊が応援に来てくれることになっているから、彼女らにこの島まで敵を誘導してもらうわ。島の上空まで来たらレミリアとフランに真正面から攻撃、地面に落としてもらうわ。地面に落としたら実験体の背中にある飛行ユニットを速やかに破壊する。』

 

『ユニットを破壊したらアリーナ姫御一行とタバサ、そしてレミリアとフランで集中砲火をかけて仕留める。万が一仕留めきれなくとも足止めだけはしてもらうわ。』

 

『47、貴方の役目はその集中砲火のバックアップよ。離れた場所から彼女らを狙撃で援護してあげて。スネークも別の地点から狙撃することになっているわ。間違っても味方に当てないようにね?』

 

『それと、一応カテゴリ・LOGの試作機“トール”の照準器を渡しておくわ。貴方の判断での使用が許可されているわ、でもくれぐれも慎重にね。脱出用のヘリは用意しているけど少しでも退却が遅れたら粉微塵よ?』

 

『準備は一任するわ。』

 

 

 

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~横須賀鎮守府部隊side~

 

 

 

「戦艦大和!推してまいります!」

「戦艦武蔵!私も行くぞ!」

 

 

今回の作戦は非常に厳しいものになると思う。私は連合艦隊旗艦という立場上、知りたくない情報までいろいろと入ってきてしまう。妹の武蔵にはそのあたりのことをあまり考えずにのびのびと作戦を遂行してほしい。だから旗艦は私、僚艦が武蔵。

 

大本営によると、ICAという組織が世界を滅亡させかねない高速飛翔生命体を捉えたということで、その迎撃を援護するために呉と横須賀から各主力打撃群が出撃している。呉の方は空母が主体だけれど、私達は戦艦が主体。特に今回は、本土近海ということもあって燃料弾薬共にほとんど消費無く、道中深海棲艦に出くわすこともなく作戦海域に到達できているので、私達の力を存分に発揮できる。みんなそう思っている。

 

でも私は違う。大本営で聞いてしまっている。その生命体はICAという組織が作り上げた史上最強のキリングマシーン。それが暴走し、世界を滅亡に追いやり始めたから駆除したいという。大本営としては尻拭いとも取れるその作戦に協力することで恩を売っておきたいらしい。既にこの世界で恩を売ってもしょうがない相手のほうが多い現状で、なお恩を売るということはそれだけ重要な組織なのだろう。

 

ICAはかの生命体のことを“実験体”と呼んでいるらしい。深海棲艦など比較にもならないくらいに強大な敵。武蔵は「この艦隊なら負けるほうが難しい」と豪語していたけれど、私の予想は楽観的に見ても苦戦。最悪は轟沈艦が多数出る可能性があると予想している。そのさなかで私の役目。連合艦隊旗艦大和の役目。それはみんなを生きて母港へ帰還させること。ただそれだけだ。そのためにも必要なことは全部やっていこう。

 

 

「鳳翔さん!偵察機をお願いします!」

「は、はい。わかりましたが・・・いささか早くないですか?」

「どうした?大和。怖気づいたのか?」

「そうじゃないわ。念には念を入れないと。この作戦。そんな簡単な作戦じゃないと思うの。」

「あら?大戦艦大和にしてはいつもの自信が見えないわよ?大丈夫!ミーが守ってあげるわ!」

「アイオワ、あまり前に出過ぎないように。陣形が乱れてる。」

「OH!ソーリー!ビスマルク!」

 

 

やはり皆若干慢心している。おそらく少し強い程度の深海棲艦。戦艦レ級程度の相手だと思っているらしい。

 

 

「大和さん。何かあるんですか?不安にさせるようなことが・・・。」

「・・・大丈夫。念を入れてるだけよ。それよりザラさん、呉鎮守府艦隊と前衛遊撃部隊との連絡はどうなってますか?」

「大本営から支給された通信機のおかげで問題なく。これすごいですね。私の生まれた国にもここまでのはなかったです。」

「そう。何かあったらすぐに知らせるように言っておいてくれないかしら。」

「わかりまし・・・。」

「ザラさん?」

「・・・緊急電!」

「!!」

 

 

艦隊に緊張が走る。気が緩んでいたとしてもそこは歴戦の猛者ばかり。警戒するべき時はきちっとしているのだ。

 

 

「前衛遊撃艦隊から入電!伊勢、日向が対象と遭遇!迎撃を試みるも返り討ちにあった模様です!2艦とも大破し、現在撤退中!」

「伊勢と日向は呉鎮守府のだろう?おかしい、そんなに早くやられるようなヤワなやつではなかったと思うんだが。」

「そのとおりだ長門。どうやら大和の不安が的中しそうだ。全艦!全周最大警戒!対艦対空対潜警戒厳となせ!」

「「了解!」」

 

 

私の悪い予感が現実のものとなりかけている。絶対に。守らないと。最悪私達の何人かが轟沈すると思っていた。しかし、今はそれをさらに上回る最悪を想定しなければならないかもしれない。・・・今度は、守ってみせます!

 

 

 

 

 

 

 

~47side~

 

 

「報告。呉鎮守府の艦隊が交戦開始。被害も既に出ている模様」

「改良していると言っても二次大戦の兵器の延長線上を使用している艦娘たちには、少々荷が重いかもしれないな。」

 

 

私は硫黄島の元自衛隊基地の建物に居る。横にはタバサがおり、先鋒部隊が会敵したことを知らせてくれた。

 

予定では、艦娘達が相手を翻弄しつつこの島へ誘導する。この島はそこまで大きな島ではないので、通過するとすれば真中付近を通る。島中央の滑走路上空でレミリアとフランの上下からの同時攻撃により滑走路に叩きつける。そこへ間髪入れずにアリーナ姫一行とタバサで飛行ユニットを破壊する。その後、そのままその地点で戦闘を行い、レミリアフランも加わりつつ、隙きを見て南東から私が、北からスネークが援護射撃を行い実験体を亡き者にする計画だ。

 

脱出用のヘリコプターはスネークの後方に1機。私の後方にも1機用意されている。万が一仕留めきれないと踏んだ場合は足止めとしてアリーナ姫一行の一人、ブライとタバサの2人がかりで氷の魔法で凍結させて足止めする。ヘリで脱出し、氷漬けの実験体に向けてトールを撃ち込むことになるだろう。その際は島がおそらくは影も形も無くなる可能性が高いが、幸いこの島は民間人は全く住んでおらず、唯一の島民だった自衛隊と米軍も深海棲艦の攻撃によって撤退した。潰れても対して問題はないだろう。

 

 

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『47。呉鎮守府と日本国大本営から通信があったわ。呉鎮守府の空母打撃群はかなりの被害を受けているらしいわ。それでもなんとかこの島へ誘導だけはするために一番早い駆逐艦を単艦囮にしてこの島へ到達させるみたい。到着予定は30分後よ。準備して頂戴。』

 

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やはりあの実験体の動きや火力は第二次世界大戦当時の航空機ではまるで刃が立たなかったらしい。本来空母は相手の攻撃が届かない超遠距離から艦載機を飛ばして攻撃を行うアウトレンジ戦法が主体。しかし現代の空母ならばいざしらず、当時の艦載機の航続距離はたかだか2000kmから3000km。武装していればもっと短くなる。攻撃によって注意を惹かれ、実験体が大本となる空母を射程に捉えるまでおそらく10分もかからない距離しか離れられないだろう。

 

 

「聞こえますか!こちら横須賀鎮守府連合艦隊旗艦大和です!応答願います!」

『こちらはICA合同迎撃部隊。協力感謝します。接敵予定時間にはまだいささか早いようですが如何なさいましたか?』

「よかった、繋がった。私達は戦艦を主とした艦隊です。火力には自信がありますが、万全を期すために囮となっている駆逐艦を援護したいと思うのですがよろしいでしょうか?」

『それは我々より大本営や横須賀鎮守府に確認することでは?』

「鎮守府と大本営には確認し了解を得ています。」

『であるならば我々としては問題ありません。ターゲットを硫黄島に誘導してくれさえすれば、後は好きに動いて構いません。』

「ありがとうございます!通信終わります!」

 

 

私は今、硫黄島の基地司令部跡地の建物の上に居るが、そこからでも西の水平線上に明かりがちらつくのが見える。おそらく、艦載機が最後の抵抗と言ったところだろうか。そのうち更に大きな光が見えた。アレはおそらく戦艦の砲撃だ。私はそれを見て島にいるメンバーに呼びかける。

 

 

「全員。ここから水平線上に明かりが見えている。接敵は近い。各員十分に警戒せよ。」

「了解。」

「こっちからも見えるぞ。ずいぶんと派手にやっているな。」

「ん~・・・あ!見えたよ!お姉さま!」

「フラン、高度を落としなさい。奇襲の意味がなくなってしまうわ。」

 

 

我々はそのままじっと待ち続ける。水平線の光がだんだんを鮮明になってきた。

 

 

「来たぞ。」

「今宵は満月。さあ、存分に行きましょうか!」

「出撃~♪」

 

 

水平線から艦影が見えた。囮の駆逐艦だ。かなりボロボロではあるが巧みに攻撃を躱してこちらへまっすぐ向かってくる。その少し後方には他の艦娘たちが見える。一様に何かしらの被害を受けているようだった。

 

 

「レミリア、ターゲットは囮に釘付けだ。こっちに振り向かせる必要がある。」

「言われなくても、これでもくらいなさい!神槍“スピア・ザ・グングニル”!」

 

 

バリバリバリ!

ガキィィン!!

 

 

レミリアの放った一撃は既の所でこちらに気がついたターゲットによって明後日の方向に弾かれてしまった。しかし、これで完全にこちらに矛先が移った。

 

 

「囮役の駆逐艦へ。よく持ちこたえてくれた。後は我々がやる。海域を全速で離脱せよ。」

「りょ、了解・・・駆逐艦初月、離脱します・・・。」

「こちら横須賀鎮守府連合艦隊所属、鳳翔です。旗艦大和と僚艦武蔵が大破しました。初月を護衛しつつ離脱します。」

 

 

駆逐艦を逃している間に実験体は滑走路へと誘導されていた。低空侵入で滑走路へ侵入してくるレミリアと実験体。予定地点の直前で前傾姿勢だったレミリアが体を起こして急停止する。実験体は勢い余ってレミリアを追い越してしまう。さながら戦闘機のコブラ機動のようだ。

 

追い抜いてしまったことで実験体も遅れて急停止する。その時を待っていたかのように直上から赤い光線が実験体に向かって降り注いだ。

 

 

「禁忌“レーヴァテイン”!あははは!」

「フラン?!私も近くにいるんだけれど?!」

 

 

フランの放ったレーヴァテインは実験体とレミリアをまとめて攻撃していた。レミリアは既の所で避けていたが、実験体はまともに背中にぶち当たったようだ。その際に飛行ユニットが破壊されたらしく、攻撃の威力そのままに地面に叩きつけられた。

 

土煙が上がるがお構いなしに周囲から4人が飛び出してくる。アリーナ一行とタバサだ。クリフト、ブライ、タバサはそれぞれ補助魔法や攻撃魔法で実験体が居ると思われる場所を攻撃する。アリーナ姫はというと攻撃魔法が飛び交っているにもかかわらず、お構いなしに接近戦を敢行している。

 

ここからは少し離れているがそれでも余波がここまで伝わってくるほどに戦闘は激しいものになっている。私は持ってきたJaeger7を構える。土煙が魔法によって晴れ、実験体が見える。アリーナの攻撃を防ぐので手一杯と言った様子だったが、時折直撃コースを取る氷魔法もすべて防ぎきっているところから見ても、そこまで追い詰められているというわけではなさそうだ。むしろ相手の能力を分析しているふうにも取れる。

 

レミリアとフランも近接戦闘に加わって場はだいぶ滅茶苦茶だ。流石に実力者3人相手となると分が悪いと思ったのか、段々と滑走路東側にずれていって離脱を試みようとしているのがわかる。各員の立ち位置からしておそらくはそろそろ。

 

 

バッ

 

ダァーン!

ダァーン!

 

案の定、驚異的な足の瞬発力で一気に滑走路の東方向へ離脱を試みた実験体。しかし、予めある程度予測できていた私は、一回の跳躍の後着地する瞬間を狙って実験体の左膝関節部分をJaeger7で撃ち抜いた。北から狙っているスネークも同じことを考えていたようでスネークの方は右足首を破壊していた。通常の生物ならばもう動くことはできないと思うが。

 

明らかに動きが鈍った実験体に再び6人の集中砲火が浴びせられる。しかし位置は全く動かなくなったとは言え、有効なダメージが与えられているかと言えばそうでもない。動けなくなったのもほんの10分ほどで、驚異的な回復力により戦闘しながら両足は完治していたようだった。

 

 

「各員聞け。このままでは埒が明かない。トールで一気にかたをつける。」

「え?どうするのよ?」

「スネーク、聞こえるな。ヘリでこちらに来てくれ。」

「了解。」

 

 

私はまずスネークをこちらに呼び寄せた。程なくしてこちら側の背後にスネークがやってくる。次に私達のところからの射線を少しだけ開けさせた。

 

 

ダァーン!ダァーン!

 

 

まずはじめに実験体の足を止める。すかさず数発胴体や頭部にも弾丸を撃ち込む。殆どは防がれたが、アリーナ、レミリア、フランが距離を取るのには十分な隙きが生まれた。すかさずタバサとブライが簡易的ではあるが下半身を分厚い氷で氷漬けにする。それにより更に生まれた隙によってアリーナ一行とタバサはこちらへ向かってくる。レミリアとフランは比較的大技を準備している。

実験体の氷が破られる。足は完治しかかっており、すぐに動き出してしまう。しかし、レミリアとフランがそれを許さない。

 

 

「QED“495年の波紋”!」

「紅魔“スカーレットデビル”!」

 

 

濃密な弾幕が実験体を襲う。あまりの濃密さにこちらからでは実験体の姿が霞むほどである。確実に実験体の動きを止めつつ、脚部を破壊していく。私はスネークと到着したアリーナ一行、タバサらと共にヘリに乗り込み飛び立つ。飛び立つさなかのヘリの中から私は“トール”の照準を行う。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

『戦略AIです。座標設定が完了しました。発射シーケンス開始。弾頭:対重魔法障壁弾頭。炸薬タイプ:なし、通常モード。発射弾数 10。安全制御プロトコル、9から16まで解除完了。全安全装置解除完了。カウントダウン開始、発射まで10,9,8,7・・・』

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「レミリア、フラン。トールが発射された。弾幕もそこそこにして離脱するんだ。」

「あなた達はほんとに地面を壊すのが好きよねえ・・・っと!」

ボガァァン!

「楽しかったよ!また遊ぼうね!っと!」

ドゴォォォン!

 

 

置き土産と言わんばかりに二人は実験体の足めがけて衝撃波のようなものを放って離脱していった。実験体の脚部は既に腿の上部分から下が無くなっていた。それでも上半身は手によって防ぎきっていたためかほとんどダメージを受けているようには見えなかった。実験体はすかさず手を足のちぎれた部分にかざす。おそらく回復を促しているのだろう。みるみるうちに断面部分から足が生えてくる。しかし、時すでに遅しだ。

 

 

シュルルルル

 

 

上空から炎をまとった弾頭が落下してくる。まとめて放ったため初弾着弾前に10本すべてが肉眼で確認できてしまう。

 

 

ボォーン!

 

 

初弾が着弾するよりも前に空中で爆散した。強烈な爆風と爆炎であたりが埋め尽くされる。実験体が回復作業を中断して迎撃したのだ。放つ赤い光線は次々と弾頭を破壊していく。しかし破壊するたびに爆炎と爆風が吹き荒れるため若干次弾への対処が遅れる。3発目にはかなり地上付近での迎撃となり、そして。

 

 

ドゴォォン!ドゴォォン!

 

 

ついに迎撃が間に合わずトールの弾頭が着弾した。一発迎撃できなければその後を迎撃する余裕ができるわけがない。弾頭は次々に着弾した。爆炎と土煙の中から島の一部だったと思われる土塊や、滑走路側にあった建物自体が飛んできてたりもしている。少なくとも島の形が変わるのは確実だろうな。

 

 

「相変わらずえげつない威力ね。」

「レミリア。」

「私も居るよ!」

「アレって、幻想郷で撃ったアレよね。あんなに連射できるものなのね。」

「試作機だからあのときのものよりは若干威力が落ちるらしいがな。」

 

 

ヘリで遠巻きに見ていた我々へレミリアとフランが合流した。トールの威力に目を丸くしている。私としてはそこまで誇れるものでもない。アレは周囲への被害が大きすぎて使いづらい。

弾頭10発。そのうち迎撃されたのが3発。7発の弾頭が実験体に直撃した。流石にやれたと思ったが・・・。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

『47。気をつけて。実験体の生体反応が消えていない。』

『戦略AIです。発射完了。効果確認。・・・・ターゲットの健在を確認。』

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「まだ生きてるとはしぶといわね。」

「もう一回行く?」

「済まないが頼めるか。」

 

 

レミリアは返事の代わりに「フンッ」と鼻を鳴らして実験体に向かって全力で飛んでいった。フランも後に続く。

 

 

「我々も行くぞ。ここでなんとしてもとどめを刺さなければならない。」

『47。実験体に動きがあるわ。』

「何?」

 

 

見ると実験体の周囲が光り輝き始めている。次の瞬間、満身創痍の実験体がかき消えた。向かっていたレミリアとフランも思わず急停止する。辺りを見回すがそれらしき影もなく、ヘリの羽音のみが響き渡っていた。

 

 

『こちら戦略AIです。ターゲットの座標が取得できません。ターゲットロスト。』

「どういうことだ?」

「いなくなったってことなの?」

『バーンウッドよ。こちらの衛星でも実験体をロストしたわ。どういうことなの・・・。』

「・・・いなくなったのなら探さねばならない。死体になったのではないのだから。」

『そのとおりね。ともかく今は一旦基地に帰還して頂戴。情報部が全力で捜索するわ。』

「了解。」

 

 

腑に落ちないと言った表情のレミリアとフランを回収し、我々は基地へ帰還するために日本本土を目指した。

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

~2週間後~

 

 

「入りたまえ。」

『失礼します。只今帰還いたしました。』

「おお、バーンウッド君。無事で何よりだ。」

「実験体に襲われたと聞いた時はもう帰ってこないかと心配しましたわよ?」

『ありがとうございます。それで実験体なのですが、先程、情報部が転移先を突き止めました。』

「おお、流石仕事が速いな。それで?かの迷惑サイボーグは今度はどこにちょっかいを出しているのだ?」

『はい。どうやら“ハルケギニア”へ向かったようです。』

「また辺鄙なところへ行ったな。」

「艦娘と深海棲艦が手に負えなかった相手を技術的にも魔術的にも後進国しか無いあの世界が対応できるとは思えん。」

『一応虚無というものがありますが、あまり期待はできないと思われます。』

「うむ・・・。対抗策はありそうか?」

『正直な所、トールの砲撃にすら耐えた現状では・・・。』

「そうか・・・。」

「・・・。」

『如何なさいましょう。』

「・・・。致し方あるまい。」

『はい?』

「ハルケギニアに新しいカテゴリLOGシステムを至急設置しろ。」

「あなた、まさか・・・!」

「弾頭は3種類だ。」

『3種類・・・通常弾頭と・・・。』

「戦略純粋水爆弾頭。そして・・・アレだ。」

『お言葉ですが、その弾頭は威力が高すぎる可能性があります。ハルケギニア自体に甚大な被害が及ぶ可能性があります。』

「やむを得んだろう。世界が滅ぼされるよりは国の一つや二つ滅びるほうがまだ幾分マシだ。」

『しかし・・・。』

「もたもたしていると我々の世界に転移してきかねない。早急に対処せねば。」

「ハルケギニアには犠牲になってもらう。ということですわ。」

「実験体を通常弾で倒せないなら、アレの使用しか方法が無いというのは、このとおり委員会の決定事項だ。」

『・・・了解しました。』

「うむ。では正式に伝達する。」

 

 

 

「ICA上級委員会No.1からNo.10までの連名で通達する。“カテゴリ・スパディル”の使用を許可する。実験体を殲滅せよ。」

 

 

 

 

 

 

ミッションコンプリート

・「2人なら乗り越えられる」 +1000 『ブルーとシルバーを基地に残す。』

・「祀られるのはまだ早い」  +1000 『艦娘に轟沈艦を出さない。』

・「跪け!」         +3000 『実験体の脚部を狙撃する。』

・「悪魔的近接防空」     +1000 『トールを5発以上9発以内弾着させる。』

 




ちょっと投稿が遅れました。何故か筆が進まなかったのと時折謎の頭痛に悩まされていたためです。(結局ただの寝不足だったみたいですがw)


2019/06/17追記
この話の移動をもって「もう一つの世界線」の移動が完了しました。
3~5日くらいを目処に元々の方は閲覧できなくなります。


次回は実験体を追跡します。

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