『デンバーへようこそ。47。』
『今回の任務はICA上級委員会に極秘で行われるわ。近頃いくつかの世界でICA職員が不審な失踪を遂げているの。上級委員会は現地勢力によるものだと断定しているけれど、私は上級委員会が絡んでいると見ているわ。』
『それを確定させるために今回向かってもらうのはアメリカ中央部、コロラド州デンバーの郊外にあるゴールデンゲートキャニオン州立公園。ここに公園内の山小屋に偽装してICAの情報収集センターがあるの。そこへ行って情報を探ってきてほしいの。』
『今回は情報部はもちろん、技術部も頼れない。情報の解析には別組織の協力が必要。そこで以前一緒に仕事をしたことのあるハル・エメリッヒ博士に協力を依頼したわ。あの“伝説”さんも派遣してくれるそうよ。』
『準備は一任するわ。』
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チチチチ
遠くで鳥のなく声がする。今は初夏なので多種多様な動植物が見られるこのゴールデンゲートキャニオンのシルバートレイルにツアー客として紛れてやってきた。隣には同行者として登山客の格好をしているスネークがいる。
「はーい、では今から登り始めますが、体調不良の方は遠慮なくおっしゃってください。」
「スネーク、登山は平気か?」
「あん?俺を舐めるな。これでも特殊部隊出身だ。体力には自身がある。そういうお前こそどうなんだ?」
「私は訓練で登山は何度も経験している。ハイキングコースならば近所の散歩と変わらない。」
「なら何の問題もないな。で、その山小屋とやらはどこにあるんだ?まさかハイキングコース沿いにあったりはしないだろう?」
「そのまさかだ。」
「何?」
「途中、小さい山小屋によるんだが、そこは表向きは宿泊もできる山小屋だ。しかしその裏手にある入口から地下へ降りる階段があり、そこが今回の目的地だ。」
「なんとまあ・・・。木の葉を隠すなら森の中とはよく言うが、何もそんな人目につくところに作らなくとも良いだろうに。」
「人目につくということはそこにはないと思わせることができるということだ。そういう意味では理にかなっているだろう。」
「はーあ。まあ何でも良い。で、どのくらい歩くんだ?」
「ココからおよそ10キロほどだな。」
「ふむ。準備運動にはちょうど良さそうだ。」
ガイドに連れられて山を登り始める。その道中で体内通信が入る。
『47。聞こえるかしら?』
「聞こえている。」
『今エメリッヒ博士と合流したわ。今デンバー市内のワゴン車から中継している。』
「ということはエメリッヒ博士もそこにいるのか。」
「ああ。はじめまして、というべきか久しぶりというべきか。僕がハル・エメリッヒ、仲間内からは“オタコン”と呼ばれているよ。良ければ君もそう呼んでくれ。」
「善処しよう。」
「オタコン、そのICAの女性は信用して良い人物なのか?」
「大丈夫。少なくとも愛国者達に僕たちのことを告発したりはしない。利益がないし意味がない。」
『私達は国家や組織にとらわれない国際機関。愛国者達がどういう組織であろうと我々には関係がないの。だから今回のコレもあなた達にとっては“ビジネス”よ。それにそのICAにも今回は内密の任務だしね。』
「なるほど。」
『さて、本題に入るわね。山小屋についたら適当な理由をつけて山小屋にとどまって頂戴。裏手の隠し扉の暗証番号は追って伝えるけど、それ以外にカードキーが必要なの。47。カードリーダーは持ってるわね?』
「問題ない。ちゃんとある。」
『それを使ってこっちに通信を送って頂戴。あとはエメリッヒ博士が全てやってくれるわ。』
「そういうことだスネーク。君の任務は47の護衛。有事の際の援護だ。」
「了解した。だがオタコン、俺が言うのも何だが、よくこんな任務受ける気になったな?」
「彼の取得するであろう情報は僕たちにとっても重要である可能性があるんだ。取得した情報の共有は契約に入っているよ。」
「ICAの上と愛国者達は裏でつながってると?」
「その可能性もある。それを確かめるのさ。っと、そろそろ山小屋だよ。」
話し込んでいたら山小屋のすぐ近くまですすんでいた。ツアー一行はそのまま山小屋で休憩を挟む。私は山小屋には入らず、そのまま裏手へ回る。山小屋の店員もICAの職員なので私が来たことがバレてしまうためだ。
小屋の中ではスネークがツアーガイドとなにか話している。おそらくこのままココにとどまる根回しをしているのだろう。私は一人裏手で隠し扉を探した。
隠し扉は薪割り用の用具入れの奥に隠されていた。壁に少しだけ切れ込みがあるだけなので素人目にはひび割れ程度にしか見えないだろう。私は切れ込みを丹念に探り、開けるための機械を探した。切れ込みの一部を押すと少しだけ浮き上がった。そのまま浮き上がった部分を剥ぎ取ると中に暗証番号入力用キーボードとカードキー差込口が現れた。
「差込口を発見した。」
『よくやったわ。えーと、今の暗証番号は・・・“jfn5dg5se8c1”よ。』
ピッピッピッ
「流石に無意味な文字列だね。じゃあ47。カードリーダーを差し込んでくれ。解析しよう。」
「わかった。」
カシャ
「・・・んー、また珍しい方式だね・・・。だがコレなら・・・。」
ピピピ
ゴゴゴゴゴ
予定通りゆっくりと扉が開いていく。ものの1分でポッカリと穴が空いた。そこへスネークも合流する。
「お、こりゃまたあからさまな秘密基地って感じだな。」
「此処から先は私も全く情報がない。」
「ミス・バーンウッドでもわからないのか?」
『本部のデータバンクに問い合わせればわかるわ。でも今本部のメインコンピューターにアクセスする訳にはいかない。』
「だろうね。今アクセスすれば逆探される可能性が高い。僕たちが使ってる回線もほとんど民間回線だしね。」
「オイオイ、民間回線使って大丈夫なのか?」
「暗号化自体は僕のオリジナルだから大丈夫さ。それよりも47はもう先に進んでしまったよ?」
「んな!?お、おい待て!」
スネークは何か話し込んでいたようだったので、とりあえず先に中に入った。入り口は物々しかったが、入ってしまえば普通のコンクリート製の壁と階段に蛍光灯のシンプルなものだ。後ろからスネークが何やらブツクサ愚痴を垂れながらついてきた。
階段を降りきると奥に伸びる通路に出た。両側にいくつか部屋があり、傍目からはどの部屋が目的の部屋かはわからない。しかし情報部の情報があるいつもと違い、今回は単独での任務。虱潰しに探すしか無かった。
手始めに一番近くの部屋の前の扉に耳を当てて内部を探る。室内からは特に話し声や機械音などはしない。
「俺に任せろ。」
「スネーク。何か調べる機械を持っているのか?」
「備えあれば嬉しいなってやつだ。コレだ。」
「それは・・・サーモグラフィーか。」
「そうだ。じゃあ見てみるか。」
スネークは懐からサーモグラフィーを取り出し、それを部屋の中へ向けた。相変わらずどこぞの狸型ロボットのポケットのような懐だ。
「ん-・・・。ん?この部屋かなり広いぞ。とりあえず中には誰もいないようだ。」
「では入ってみよう。」
扉を開けてみると、そこは格納庫だった。様々な車両が並べられている。セダンからSUV、果ては米軍の軽装甲車両までよりどりみどりだ。振り返ると格納庫の端にトンネルが見えた。おそらくあそこから近くの一般のトンネルへ出られるのだろう。
「おい、コレ見てみろ。良いものを見つけたぞ。」
「これは・・・施設図か?」
「のようだ。この施設は地下3階まであるようだな。ここは地下1階の車両格納庫だ。」
「我々が目指すべき場所は・・・ここだな。」
「制御室?こっちのメインコンピュータルームじゃないのか?」
「そこは警備が厳重だと予想される。こちらのほうが安全に内部に侵入できるだろう。」
「そうか、そう言えばお前は潜入には慣れていなかったな。わかった。この格納庫の端のエレベーターが使えそうだ。」
「早速向かおう。」
格納庫の端には資材用の昇降機があった。隠れるところは殆どないが、いざとなれば天井にでも隠れればよいだろう。私達は昇降機に乗り、地下3階を目指した。
ゴゥゥゥゥン
『47。スネーク。聞こえる?エメリッヒ博士が施設の監視カメラをジャックしてくれたわ。これであなた達が監視カメラに発見されることもないし、私達もあなた達のことを見れるわ。』
「なかなか厳重なセキュリティだったけど、僕の手にかかればこんなもんさ。まあミス・バーンウッドが暗証番号を教えてくれなかったらもっと手間取ってたけどね。」
「そうか。ということは監視カメラの心配はしなくて良いわけだな。」
「さすがだ、オタコン。その調子で遠隔で情報は抜き出せないのか?」
「いや、流石にそれは無理だ。そもそも僕たちが狙っている情報はオープンネットワークに接続されていないようなんだ。」
「ネットに接続されてないから外部からは手が出せないってわけか。」
「そういうことだ。」
『そうそう伝え忘れていたわ。47。』
「なんだ。」
『今回は施設に侵入したのがあなただと発覚する訳にはいかないの。だから気絶させる戦法は使えないわ。』
「ということは。」
『ええ。発見された場合はもとより、背後から襲った場合も何らかの情報が漏れる可能性があるから、関わった人間は速やかに抹殺して頂戴。スネークも頼むわね。』
「了解した。」
「やれやれ・・・殺しは好きではないんだがな。」
そんなことを話している間に地下3階へ到着した。到着した直後に目の前が昇降機と同じくらいの幅で大きめの通路に出たため、私達二人はとっさに近くに置いてあったダンボール箱の影に身を潜めた。先程の施設図によればこの通路の突き当りがメインコンピュータルーム。そしてその右手前の部屋がサーバールーム。そしてそのさらに手前の部屋が制御室だ。
私達は通路の端を慎重に中腰状態ですすんでいく。監視カメラが随所にあるため、博士がジャックしていてくれなければ進むのがかなり遅くなっただろう。
ガチャ
唐突に目の前の部屋から人が出てきた。白衣を着ているためおそらく研究員だろうか。研究員は我々に背を向ける形で通路に居座り始めた。どうやらタバコを吸いに出てきたようだ。私とスネークは聞こえないよう小声で相談する。
「どうする、あいつがあそこに居る限り前には進めんぞ。」
「・・・。」
「狙撃の腕に自信がないならやるが?」
「いや、ここは迂回する。」
「迂回?どうやって?通路はここしか無いぞ。」
「こっちだ。」
私は近くの部屋を指し示す。スネークはすかさずサーモグラフィーで内部を探る。スネークは手で丸を作った。中には誰もいないらしい。私は静かに扉を開け、内部に入る。
この部屋は使われていない部屋のようだった。何も乗っていないデスクや壊れて倒れている椅子があるだけだ。部屋を見渡し、奥の左側の壁に目的のものを見つけた。
「ああ、なるほど。そういうことか。」
「この施設は地下施設だ。こういうものが必ずあるはずと思ったが案の定だったな。」
私は転がっていたデスクを使って壁にある換気口に手を伸ばし、枠をはずした。人一人が通れるくらいの大型の換気ダクトだ。私はそのままダクトの中に潜り込む。少し進むと後ろからスネークも追従してきた。換気ダクトの中を進むと隣の部屋の上まで来た。隣の部屋では研究員と思われる男たちがパソコンに向かって作業をしている。
「こっちは終わったぞ。」
「こっちはもう少しかかる。」
「しかし何だって最近はこんなのばっかりやらされるんだ?」
「仕方ないだろ。それが上の命令なんだから。」
「技術部の連中が言ってたけど、最近上級委員会のほうの様子がおかしいらしい。」
「おかしいって?」
「変な技術を要求してきたり、変な道具を発注してきたりが増えたらしいぞ。」
「へえ、なんかやってんのかね。」
「俺が思うに上級委員会の中でもNo.9が怪しいと思うね。」
####情報を発見####
「No.9って・・・ああ、あの偏屈爺さんか。」
「あいつ最近エージェントのやることなすことに注文付けまくっててよ。どうも気に入らねえことが多いみたいだ。」
「でもよ、それだけじゃあな・・・。」
「いいや、俺はこの間情報部の可愛子ちゃんとお茶したときに聞いたんだよ。情報部の方でもそいつから変な情報要求が最近増えてるって。」
「オイオイ、可愛子ちゃんと知り合いになんていつの間になったんだ?」
「おっと、そこは企業秘密だぜ・・・ってお前、作業は終わったのかよ?」
「ああ、無駄話してても終わらせられるような仕事だからな。これで終了っと。」
「おっし、じゃあ飯食いに行くとしようぜ。」
「ああ。その可愛子ちゃんはコレないのか?」
「無茶言うなあの子はこの間のフロリダ出張のときに知り合ったんだよ。」
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『No.9。名前は“ドナルド・カーキンス”。組織内でも結構な古参の委員よ。彼ならばエージェントを好き勝手動かすことができるわね。』
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「上級委員会No.9か。」
「古参なのに9番目なのか?」
「スネーク、彼らの組織内の事情だろうから教えてはくれないんじゃないかな。」
『別に構わないわ。私達の組織は功績を残さないと上に上がることはできない完全な実力主義。彼は若い頃はエージェントとして名を馳せたみたいだけれど、上級委員会に上がってからはあまり功績を残せていないわ。』
「へえ、じゃあ君も何かしら功績を残してその地位に?」
『フフ…さあ、どうかしらね。』
「先を急ぐぞ。」
私達はそのままダクトを通り更に隣の部屋、制御室にたどり着いた。ダクト内からスネークがサーモグラフィーをかざす。どうやら中には誰もいないようだ。
音を立てないように慎重にダクトの通気口を外す。顔だけを出し、再度確認したのち、慎重に床に降り立った。部屋の中にはコンピュータ端末が1つと配管、バルブ、制御盤などが設置されている。施設内の空調をココで管理しているようだ。
私は持参したメモリカードを端末に接続する。このメモリーカードはLAN機能を有しているのでクローズドネットワークをWebにつなげることができる。
「よし、認識した。」
「ん。よし、オタコン。良いぞ。」
「了解。」
すぐに遠隔で端末が操作され始める。どうやら解析ソフトなども並行して使用しているようだ。様々な情報が画面上に出ては消えていく。
「うーん、困ったな。」
「どうした?オタコン。」
「この端末には情報は入ってない。」
「何?」
「この端末は施設内のローカルネットワークに接続することはできた。だが肝心の情報端末は別のネットワークになっているようだ。どこにもそれらしきものが見当たらない。」
『やはりサーバールームに侵入するしかなさそうね。』
「この端末からの情報によると、さっき君たちが通ってきた換気ダクトはサーバールームには通じていない。サーバールームの空調は別ダクトで直接外気を取り込んでいるようだ。」
「ということは正面から行かねばならないということか。」
「あ、でもサーバールームのドアをハッキングできるかもしれない。5分時間をくれ。」
「頼むぞオタコン。」
「では我々は先にサーバールームのドアを確保しよう。」
「わかった。」
私は近くのデスクに置いてあった鉛筆を3本ほど拝借してから部屋の外を探る。スネークのサーモグラフィーによれば先程の煙草休憩の研究員はいなくなったようだ。慎重にドアを開けて廊下に出た。
すぐ隣のサーバールームのドアは他のドアと違ってガラス戸になっていた。外から見られないように注意し無くてはならないだろう。室内に人がいないのを確認し、鍵が開くのを待った。
「まだか、オタコン。」
「待ってくれ・・・よし!命令プロトコルに割り込んだ。今開けるよ。」
ピピッカチャ
「よし開いたぞ。」
開いた直後に内部に滑り込む。すぐにサーバーラックの間に隠れ、廊下から見られない位置を取る。すぐ近くのサーバーラックに直接操作するための端末があった。私は先程と同じようにメモリーカードを差し込む。
「エメリッヒ博士。頼む。」
「はいはい。えーっと・・・おお、こっちが本命だね。」
『情報は抜き出せそうかしら?』
「そう焦らないで。今警報プログラムが仕込まれてないかチェックするから・・・。」
小一時間そのまま待機した。この部屋には大量にサーバーラックが置かれており、そのすべてが常時起動している。そのためエアコンから冷気が常時流されているにもかかわらず室内はとても暑い。
「よし、大丈夫だ。いくつか警報プログラムがあったけれどどれも大したことはなかった。」
『じゃあまずは上級委員会No.9、ドナルド・カーキンスについて調べてくれるかしら。』
「そうだね。・・・よし、ダウンロードを開始しているよ。いくつかこの場で見てみよう。」
『指令書数・・・6300?ずいぶん多いわね。』
「多い方なのか?」
『私と47が受け取る指令書は年間でもせいぜい20程度。上級委員会の役員が出す指令でも年間500も無いはずよ。』
「10倍以上の指令を出してるってわけか。たしかに妙だね。」
「内容はわからんのか?」
「一番最近に出された命令書を見てみよう。・・・これは・・・。」
『これは・・・そんなまさか・・・!』
「どうした?」
『47。この指令書、“エージェント67-1の抹殺命令”だわ。』
「エージェント67-1?誰だそれは。」
『エージェント67-1は正式なコードネーム。この番号はブルーのことよ。』
「!!」
ブルーに対する抹殺指令だと?何のために。ともかく放置しておく訳にはいかない指令だ。
「ブルー?誰だい?それは?」
「オタコン、俺は知ってるぞ。いつだったかの硫黄島や違う世界での任務で会ったことがある。こいつらの仲間だ。」
「それは・・・急いだほうが良いかもしれないね。実行日は来週になってる。」
「わかった。データの転送は済んでいるのか?」
「データの方は問題ない。ドナルド・カーキンスについての情報は検索にヒットした分は全部ダウンロード完了したよ。」
『できればこの最新の指令書に関することも同時にダウンロードできないかしら。』
「できなくはないが問題がある。」
『問題?』
「指令書に関するデータは閲覧履歴がどうしても残ってしまうみたいなんだ。閲覧履歴自体は本部のサーバーで管理されるみたい。」
「ということは俺らが入ったことがバレる・・・ということか。」
「そういうことだ。まあ方法がないわけではないけれど・・・。」
「方法はあるのか。」
「ああ。閲覧履歴は定期的に本部に送られてる。次の送信が明日の午前0時だからその前にサーバーを破壊してしまえばいい。」
「破壊なんかしたら侵入したことがバレてしまうじゃないか。」
『・・・ああ、そういうことね。わかったわ。許可しましょう。』
「そうかい?じゃあ遠慮なくやっちゃうよ。」
「オイオイ、そっちで勝手に話をつけないでくれ。」
「サーバーに高負荷を駆けた状態で空調システムをダウンさせればいい。ついでに火災報知システムと自動消火器もダウンさせればどうなるか・・・。」
「サーバーが発火し、火災が発生。データは炭に変わるってことか。」
「そういうことだ。・・・よし、ダウンロードできた。じゃあ“爆弾”を仕掛けるから仕掛け終えたらメモリースティックを持って脱出してくれ。」
「了解した。」
その後すぐに何かをダウンロードする画面が現れ、画面に一瞬ドクロのマークが現れて消えた。私達はメモリースティックを抜いて部屋を出る準備をする。
外へ出ようとしたところでスネークが手でバツ印を作った。どうやら廊下に人がいるらしい。慎重にドアに近づき、外の様子を探る。廊下では先程煙草休憩した研究員が出てきた扉の前で2人の研究員が談笑していた。
私は先程持ってきた鉛筆を3本まとめて研究員の奥に向かって投げた。
カランカランカラン
「ん?」
「何だ今の音は?」
「わからん。見てくるか。」
研究員二人が鉛筆の方に気を取られた隙にすばやく私達は隣の制御室へ戻った。
「鉛筆?なんでこんなとこに。」
「てかコレ制御室のやつじゃねえか?」
「ん?・・・あ、本当だ。しょうがねえなあ・・・。」
まずい。こちらにやってくる。私達は急いでダクトへ潜り込む。先にスネークが入り、私が入った後すぐに格子を元に戻す。戻した直後に部屋の扉が開いた。間一髪だ。
私達はそのまま来た順路を通って昇降機まで戻った。昇降機が動き出す瞬間に研究員が部屋から出てきたが、見えたとしても足首だけだから問題はないだろう。格納庫まで戻ってきた私達は出入り口の廊下を念の為サーモグラフィーでチェックしたところ、出口の階段の前に兵士と思われる人員が配置されているのを確認した。
「まずいぞ。廊下が狭すぎる。揺動は使えない。」
「だな。さてどうしたもんか・・・お?」
「どうした?」
「47。正面から堂々と帰ってやろうじゃないか。なあ?」
「!・・・危険だがそれしかなさそうだな。」
スネークが指し示す先には米軍の最新鋭の軽装甲車両があった。私は車のドアをロックピックで解錠し、搭乗した。エンジンもロックピックで、と言いたいところだったが、どうやら形状の違う特殊な鍵を使っているようだ。このロックピックでは始動できない。
「47。ここだ。」
「ここ?・・・ああ。」
指し示された先には端末接続用のコネクタがあった。ものの見事に私の持っているメモリースティックと同じ形状だ。私はコネクタに差し込んだ。
「大丈夫。その車のハッキングは前にやったことがある。・・・そら。」
ブルゥゥゥン
「ハッキングとは便利なものだな。」
「だろう?オタコンがいなかったら達成できなかった任務は数え切れんさ。」
「おや?この車。その格納庫の扉を遠隔で開ける機能が備わってるぞ。今開けるから待っててくれ。」
少しして格納庫の正面扉が車一台分開いた。私達はそのままその車で基地を脱出した。
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~3時間後~
『先程確認が取れたわ。ブルーはまだ無事よ。』
「それはよかった。」
『できればまだあなた達には協力してほしい。ブルー救出にもあなた達の助けがいりそうなの。』
「乗りかかった船だ。お前らのNo.9とやらのことも気になるしな。」
「それにスネーク。僕たちも断るわけには行かなくなったんだよ。」
「どういうことだ?オタコン。」
「この数時間でざっと調べたんだ。あのドナルド・カーキンスという人物。僕たちのフィランソロピーにもいくつか妨害指令書を出している。」
「ううむ・・・。」
「私は何をすればいい。」
『架空の暗殺依頼をでっち上げて渡界機の使用許可を取り付けたわ。ブルーを保護して頂戴。』
「わかった。」
「俺たちは何をすればいい?」
『スネークは引き続き47について。エメリッヒ博士は私と一緒に作戦に参加してもらうわ。』
「わかった。」
「了解。」
『私は独自ルートでNo.9の罪状を洗い出すわ。我々ICAを私物化するとどういう目に合うのか、たっぷりと思い知らせてあげなくちゃね。』
「・・・。」
「オタコン、あの女性と一緒にいて大丈夫か?」
「多分・・・彼女はあれでも結構仲間思いだよ。ちょっと怖いけど。」
『何か言ったかしら?』
「「いえ!何も!」」
ミッションコンプリート
・「ゆくるない暗殺」 +1000 『ハイキングツアー客として山小屋にたどり着く。』
・「フィランソロピー」+5000 『死傷者を出さない。』
・「燃やすに限る」 +5000 『サーバールームで火災を発生させる。』
・「ICA are GO!」 +3000 『格納庫正面扉から車両に乗って脱出する。』
次回、救出作戦。